ミミをかけ!

839 名前:7月6日(土)[saga] 投稿日:2014/04/30(水) 21:49:33.08 ID:NZgd4IQfo

京太郎「穏乃ー」チョイチョイ

穏乃「んー?」トテトテ

京太郎「ん」チョイ

穏乃「ん」ポスッ

ナデナデ

穏乃「んー……えへへ」

憧「…………………………なにやってんの」

京太郎「え? 見れば分かるだろ、穏乃撫でてんだよ」

穏乃「京太郎に撫でられてる!」

憧「なんで」

京太郎「撫でたいから」

穏乃「撫でられたいから!」

憧「これから遠征なのよ!? 真面目にやんなさいっ!」ガーッ

841 名前:7月6日(土)[saga] 投稿日:2014/04/30(水) 22:20:10.14 ID:NZgd4IQfo

玄「ま、まあまあ憧ちゃん」

宥「どうどう……」

灼「今回の対戦校も遠いし、今から気を張ってもしょーがな」

憧「そうだけどさぁ……」グヌヌ

京太郎「そう目くじら立てんなって。憧にもしてやるからさ」ポスッ

憧「ふきゅ」

京太郎「ほーれほれ」ポンポン

憧「ぁ、ぅ……っ」

穏乃「……」ジー

玄「……」ジー

宥「……」ジー

灼「……」ジー

京太郎「……憧?」

憧「なに……?」トローン

京太郎「嫌がらないのか?」

憧「……………………………………………………ハッ!?/// い、嫌がるわよ!? 今にも嫌がるからね!? せーの、ヤメテヨッ!」バシッ

京太郎「予告キレ芸とか新しいなおい……」

847 名前:7月6日(土)[saga] 投稿日:2014/04/30(水) 22:50:26.90 ID:NZgd4IQfo

レジェンド「はーい、ラブコメそこまで~」パンパン

憧「ラブコメじゃないっ!///」

レジェンド「そろそろ出発するよ。準備はOK?」

玄「バッチリですのだ!」ビシッ

京太郎「目的地は静岡でしたっけ」

レジェンド「そだよ」

穏乃「静岡! 富士山!! うおお登りたーい!!!」メラメラ

灼「別の機会にしてほし……」

宥「山の上はあったかくない……でも穏乃ちゃんはあったか~い」ポワーン

レジェンド「はいはい、盛り上がってきたところで例のやついくよー」



             __________
            /   ___  S.A.作/|
          /   /     `l    /  |
         /    ヽ.____/  ./    |
        /________/      .|
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       |  /川 `\_ 丶  `l |      |
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       | l∥;.l 佗i   冫´フ  l.|     /
       | │l.」''`´ _ '⌒` y\ト|    /
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       |   ヽ  仆 - イク    |/
        ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄



レジェンド「く~じ~び~き~!(だみ声)」

京太郎「今の子供には通じませんよそのモノマネ」

レジェンド「嘘っ!?」

853 名前:7月6日(土)[saga] 投稿日:2014/04/30(水) 23:14:15.61 ID:NZgd4IQfo

京太郎「試しに綾ちゃん達の前でやってみてくださいよ今度」

レジェンド「や、やめとくよ……それよりほら、クジ引こうよクジ!」アセアセ

穏乃「引こう引こう!」ゴソゴソ

玄「目指せ両手におもち!……あ、でも片方はどうしても……」ゴソゴソ

憧「言いたいことがあるなら言ってみなさいよ」ゴソゴソ

宥「誰でもいいから挟まれたい……」ゴソゴソ

京太郎「俺も挟んでほしいです(ゲス顔)」ゴソゴソ

灼「わずらわし……」ゴソゴソ

レジェンド「みんな引いたね。でも今回で五回目だし、そろそろ大体のパターンは出尽くしたかな?」

京太郎「そーっすねー」

憧「ちょ、ちょっと待ちなさいよ! あたしがまだアンタの隣に座ってないでしょ!?」

京太郎「あれ、そうだっけ?」

憧「アンタねぇ……! 見てなさい! こうなったら意地でも隣になってやるんだから!」ビシッ

京太郎「なにやだこわい」

レジェンド「そんじゃ開けるよー。せーの――!」

914 名前:7月6日(土)[saga] 投稿日:2014/05/01(木) 22:05:45.95 ID:HVZuLQhoo


憧○レ
○穏宥
灼玄京
□□□

 ドン☆

憧「」

宥「ご、ごめんね穏乃ちゃん、またぎゅーってさせてくれる……?」プルプル

穏乃「大丈夫です! ジャージ二枚持ってきました!」

灼「ちくわ大明神 is dead(訳:ちくわ大明神は死んだ)」

玄「わぁ……! よろしくね、京太郎くんっ!」

京太郎「こちらこそ。玄さんと隣になるのは二度目ですね」

玄「そうだね~。ご縁があるのかな、えへへ」

憧「……京太郎……」ユラリ

京太郎「憧?」

憧「ッ……京太郎なんて、玄のおっぱいでもしゃぶってればいいのよ、バカァー!」ウワーン

京太郎「なんてことを言うんだ!?」

玄「きょ、京太郎お兄ちゃんは大人なのに玄の」

京太郎「しゃぶりませんから!!」

玄「はうぅ……///」

920 名前:7月6日(土)[saga] 投稿日:2014/05/01(木) 22:50:09.92 ID:HVZuLQhoo

……
…………
………………

 という訳で、我々サイバトロン戦士もとい阿知賀学院麻雀部は、練習試合の為に静岡へと向かっていた。

 前回以上の長旅である。通常ならば疲労と退屈は必至だ。

 ところがおっぱい、ゲフン、どっこい。

 今日は玄さんが隣なのだ。

 見ていて和むし、話していて楽しいし、旅のベストパートナーだ。

 疲労? 退屈? いえ、知らない子ですね。

京太郎「玄さん……セーラー服っていいですよね……」

玄「分かる……いいよね……」

京太郎「へそがチラ見えするぐらい突っ張った胸……」

玄「いい……」

 おもちトークも絶好調である。

 相変わらずリアルでは縁がないが、話すだけならタダだ。

 そう割り切って馬鹿話に興じていた。

924 名前:7月6日(土)[saga] 投稿日:2014/05/01(木) 23:29:48.56 ID:HVZuLQhoo

京太郎「阿知賀はブレザーなのが惜しいですよね」

玄「デザインは可愛いんだけどねぇ」

京太郎「それは確かに。玄さんもカーディガン似合ってますよ」

玄「えへへ、ありがとー///」テレテレ

京太郎「でもシャツだけでも涼しげでいいと思うんですけど」

玄「だね。灼ちゃんとか涼しそう」

灼「ハルちゃんが遠くて凍え死にそう」ビュォォ

玄「ふええ……」

京太郎「どうでしょう、ここはひとつ玄さんもシャツ一枚になってみては」

玄「え? わ、私?」

京太郎「ええ。潔くすぽーんと」

玄「ここで!?」

京太郎「Exactly(そのとおりでございます)」

玄「きょ、京太郎くんの前で脱ぐなんて……だめっ! なんだか恥ずかしいよぉ……///」カァー

 駄目か。

 そもそも、失礼ながら超絶無防備であらせられる玄さんが何故カーディガンなぞ着ているのだろう。

 謎だ……

928 名前:7月6日(土)[saga] 投稿日:2014/05/02(金) 00:10:02.45 ID:RA/QRs7ao

玄「あ、そ、そうだっ! 京太郎くんに見せたいものがあったんだ!」

京太郎「見せたいもの?」

玄「うん。ちょっと待っててね」

 そう言って玄さんが腰を浮かせる。

 そして俺達が座る席の更に後ろ、荷物を積んだスペースに上半身を突っ込んだ。

 ……言った傍からパンツ見えそうだよ!

玄「」チラッ

 見えたよ! 今日も白さんは玄だったよ!

 上は重装甲なのに下は軽装甲すぎるんだよ! 本当にありがとうございます!

玄「ん~……あった!」パッ

京太郎「」サッ

 目当ての物を見つけたらしい玄さんが体勢を戻す。俺も視線を戻す。

京太郎「で、なんですかそれ? アルバム」

玄「ふっふっふ……なんと! 私の秘蔵おもち写真集ですのだ!」バァーン

京太郎「秘蔵おもち写真集!?」

935 名前:7月6日(土)[saga] 投稿日:2014/05/02(金) 00:41:14.53 ID:RA/QRs7ao

玄「私が厳選してコツコツ撮り貯めた自信作なのです!」ムフーッ

京太郎「げ、厳選……」ゴクリ

玄「見たい?」

京太郎「是非とも!!」クワッ

玄「わわっ……えへへ、そんなに喜んでくれるなんて嬉しいなぁ。はいどーぞ!」

京太郎「ありがとうございます!」

 受け取って、表紙を眺める。

 まず目につくのはペンで大きく、しかし可愛らしく書かれた「おもち」の文字。

 その周りをシールやらイラストやらが華やがせていた。

 見た目だけなら女子力に満ち満ちている表紙の先に、あんな写真やこんな写真が……

京太郎「」ゴクリ

 溢れそうになる唾を飲み込み、最初の一ページを開いた。

 ら、

京太郎「……あれ?」

 知らない巨乳の女の人の写真だった。

玄「どうしたの?」

京太郎「これ玄さんの自撮り写真集じゃないんですか?」

玄「違うよ!?」

941 名前:7月6日(土)[saga] 投稿日:2014/05/02(金) 01:15:34.36 ID:RA/QRs7ao

京太郎「違うのか……なんかショックだな」

玄「なんで!? わ、私のなんてカメラに収める価値もないのに……」

京太郎「玄さん!!」クワッ

玄「ひゃいっ!?」ビクッ

京太郎「俺、何度も言ってますよね? 玄さんの胸は立派なおもちだって」

玄「はぅ……/// でも、私だって言ってるよ? おもちじゃないよって……」

京太郎「玄さん!!!」クワワッ

玄「ひゃわぁ!?」ビククッ

京太郎「何度も言わせないでください。玄さんはおもちをお持ちです」

玄「おもちをおもち……私が……」グルグル

京太郎「おもちです」

玄「……ご、ご注文はおもちですか?」

京太郎「おもちです」

玄「おもちなんだ……そうなんだぁ……///」モジモジ

灼「なにこれ……」

944 名前:7月6日(土)[saga] 投稿日:2014/05/02(金) 01:38:57.57 ID:RA/QRs7ao

京太郎「で、だったらこのアルバムは一体?」

玄「あ、うん。これはね、街で見かけたおもちな人達の写真を集めたアルバムなんだ」

京太郎「……盗撮?」

玄「許可は貰ってるよぉ! ちゃんとカメラ目線だよね!?」

京太郎「ああ確かに」

 ぺらぺらとめくる。

 なるほど、厳選という言葉に偽りはない。

 そう思わせる珠玉の写真集だった。

玄「ちなみに後半は全部おねーちゃんだよ」

京太郎「マジっすかァー!!」

玄「これを見ながら一緒に語りましょう!」

京太郎「はい!! あ、でも……」

玄「でも?」

京太郎「下ばっかり見てたらまた気持ち悪くなったりしちゃいませんかね」

玄「ふえ゛っ……/// だ、大丈夫! 今日はフロントホックだから!」

京太郎「ふろんと?」

玄「……ごめんなさい、今の聞かなかったことに……///」プシュー

京太郎「?」

44 名前:7月6日(土)[saga] 投稿日:2014/05/03(土) 22:35:22.31 ID:+AqCCRS5o

……
…………
………………

京太郎「」ウトウト

 眠い。

 旅の行程はまだ半分も消化されていないというのに。

 おもち写真集にテンションを上げすぎてしまった。

 しかし素晴らしかった。特に宥さんが素晴らしかった。

 撮影者が実の妹だからか、写真の中の宥さんはどれも無防備な笑顔を浮かべていて。

 時々している控えめなピースが、それしかポーズを知らないようでまた可愛らしい。

 更には着替え中の写真まであって……玄さんと二人でハシャいでたら宥さん本人に気付かれて没収された。

 だが宥さんの生「めっ」をいただけたから結果オーライである。

 で、眠い。

 写真集を取り上げられたので手持ち無沙汰になってしまったからだ。

 もう瞼が上がらない。

 前列の宥さんと穏乃も寝ているらしく、寝息が聞こえてくる。

 今レジェン号の車内で聞こえるのは、その更に前のレジェンドと憧の話し声のみ――



玄「んっ……///」



 !?

51 名前:7月6日(土)[saga] 投稿日:2014/05/03(土) 22:57:53.31 ID:+AqCCRS5o

 なんだ、今の。

 声だよな。玄さんの。

 ……エロい声だったよな?

京太郎「………………」

 いやいやいや、まさか。

 意味が分からない。

 こんな静かな車内で、男の隣で。

 急にエロい声を出す意味が分からない。

 これは間違いなく俺の思春期男子特有の幻ちょ

玄「あっ、ぁん……っ///」

 エロい(確信)。

 幻聴じゃなかった……

 俺の隣で玄さんが喘いでる……

 どうしよう、瞼を上げるのが怖い。

 でも怖いもの見たさという言葉がある。エロいもの見たさという言葉もある。

 隣で玄さんがどんな痴態を披露しているのか、私、気になります――

京太郎「」パチッ





灼「ヴヴ……ヴヴヴ……」グリグリ

玄「ら、らめぇ……///」ピクンッ





京太郎「」

55 名前:7月6日(土)[saga] 投稿日:2014/05/03(土) 23:38:08.61 ID:+AqCCRS5o

 えええええ。

 何してんのこのこけし。

 つい二日前は「須賀くん……///」なんて言ってたのに今日は「ヴヴヴ」だよ。

 ていうか寝てる。鷺森部長には寝電動こけし癖があったのだ。

 その黒光りする御髪を玄さんの豊かな胸に押し当てた状態でゴロゴロと体勢を変えている。

灼「ヴヴッ、ヴーーーッ、ヴヴッ」

 緩急つけてんじゃねーよ。

玄「だめぇ……だめだよ、きょうたろうくぅん……///」

京太郎「!?」

 オレェ!?

♪メールダヨ、チャントミトケヨー

京太郎「!」

 メール?

 なんてタイミングだ。誰だろう。

パカッ

==================

From:憧
Sub:No title






























ナニシテルノ

==================

66 名前:7月6日(土)[saga] 投稿日:2014/05/04(日) 00:06:39.97 ID:iEV9K7qXo

京太郎「ひえっ……」ムグ

 慌てて口を押さえる。

 思わず声が出そうになったわ。

 怖い(確信)。

 なんだよ憧。なんでメールだよ。

 車内が静かだから? でっかいお世話だよ!

玄「やっ、そんなところ……あっ///」

京太郎「」ハッ

 いかん、まずは釈明だ。

 このまま濡れ衣を着せられるのはマズい。マズすぎる。

京太郎「」メルメル

 よし、送信っと。

♪メールダヨ、チャントミトケヨー

 早っ。

==================

From:憧
Sub:No title

ほんとに……?

==================

 天地神明に誓って。

75 名前:7月6日(土)[saga] 投稿日:2014/05/04(日) 01:05:40.18 ID:iEV9K7qXo

 誤解の一因に、俺達と憧の位置関係がある。

 助手席からでは二列目の座席が邪魔して俺と玄さんの首から下を見づらいのだ。

 その死角を利用して俺が玄さんに……なんて憧が考えても無理はない。

 しかし誤解は誤解なので、鷺森部長の仕業であるということをハッキリ伝えよう。

京太郎「」メルメル

 送信。

 これなら憧も納得してくれる筈だ。

 後は、

玄「おにいちゃあん……わたしたちきょうだいなのにぃ……///」クネクネ

 これだ。

 この期に及んでまだ夢の中とは恐れ入る。

 震える鷺森部長を脇に避け、

京太郎「玄さん、玄さん」ユサユサ

玄「ふにゃ……?」

 起こす。

76 名前:7月6日(土)[saga] 投稿日:2014/05/04(日) 01:54:53.82 ID:iEV9K7qXo

玄「もぉ……なぁにぃ、今せっかく京太郎お兄ちゃんと……」パチッ

京太郎「……」

玄「…………………………きょ、きょきょきょ京太郎くん!?///」ボフンッ

京太郎「京太郎くんです」

玄「お、ぁ、お、おはよう! ごめんね、ちょっと寝ちゃってたねっ///」

京太郎「ええ……あ、よだれが」スッ

玄「ほわあああっ!?/// だ、大丈夫! 自分で拭けるよどんどん拭けるよ!」グシグシグシグシ

京太郎「……玄さん。提案なんですけど、よければ寝ないで話しませんか」

玄「え? お話?」

京太郎「はい。せっかく隣同士なんですから、いっぱい喋りましょう」

玄「わぁ……そうだねっ、寝てたら勿体ないもんね!」

京太郎「はい」

玄「よーし、旅のお供は私に――おまかせあれっ!」ドンッ



プチッ



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                /:..:..:..:/:.:.:.:.:.:.:.:/|__;.ム斗:./  |:.:.:.し:.:.;\_}:.:|__ ゚。.:.:.:.|:.:..゚。:..:..:\:.゚。
            /:..:..:..:/ :.i:.:.:.:i:.:/│:./  |:.′ |:.:.:.:.:.:./  Ⅵ   :。:.:.:|:.:.:..:。:..:..:..:}ⅵ
              /.......:.:.,:.:.:.:|:.:.:.:レ彡|:./三ミ:{、  | :.:.:.:./ 彡=リ三ミト、 :.:.|:.:.:.:.:゚:..:..:..:| リ
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           /:..:./..:.:.:.|.:.:.:.:.:.|  ミト、     ィj/     ミト、     ィj/ | :.:.:.:.|:.:.:.:..:.∧
         j:./ .:..:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:|   ゞ=====彡       ゞ=====彡  │ :.:.:.|:.:.:.:.:..: ∧
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 当たりどころでも悪かったのか。

 自分の胸を叩いた玄さんの情けない悲鳴がレジェン号に木霊した。

101 名前:7月6日(土)[saga] 投稿日:2014/05/04(日) 21:11:37.19 ID:iEV9K7qXo

……
…………
………………



   _
.  { ヽ
.  八
    :. ’
     ヘ ::.
    r‐、ヘ. ヽ
  ,-マ ,廴__ \                        γ==‐
  入. \ーュ、 ̄`ヽ                  ム - : : `
  { \_ く.| ̄`  V                    ´: : : : : : : ` 、: \
.  `寸‐二八    ト、            /: : : :/: : : : : : : : : \: \
    \   ヽ   // 勹ュ          ′ : : /: : : : /: : : :,ィ: : : ヽ: :\
     ヽ__   // /./二\         /|: :\/:/: : :/ : : : / ハ: : : : :ヘ: : :` ー-_- __
       `寸ニ/ノ /二二ハ.     |λ:!: ,l:/: :\|: i: ;.イ / | : : : : : ヾー- 、: : : ` 、-- _‐-、
        守三ヲ二二二入      lハ:|:ハト、i: |_|ヽ: | |/ ||: :|:ト、:\  ` 、: : : ヽ  `ヾ、
         マ二二二二二ニヽュ_  V´.|:l ,ィ示心ト、ハ| -┼|: :|:| |トヽー-- \: : : \   `
.            `寺二二二二二ヘ\八 ハヘ. 弋_ツ   ヽン芯ムイ:./|: | j! ヾ.    \: : : \
.              `寸二二二二ヽニマ.迅ヘハ ""    .辷ツ/|_j厶レ'二≧、ヾ     ヽ: : : ハ     「ゲット、クリティカルトリガー! 効果はすべてギャラティンに!!
                   ` 二二二二{ニ.ハ、ヾ、| Y`ー、_ '  ∧:|二/ムァ‐ 、二ヽ\、    }: : : |     そして沈黙の騎士ギャラティンでヴァンガードにアターック!!!」
                   \二二ニ./ニヘヽ.|ト、`ー_'_ ィニ∧、〈 { / / /ヽニ{       ノ: : :/
                   \二/二二二リ「} ̄二ニ/ニ/ニ.ヾ、>ニュ{_ム}‐'    _/: : /
                   |_/二二二二 ||二二ニレニ.厶ィ´ }:|        ー―‐z/
                   |二二二二二ニ||二二ニ厂    リ
                   |二二二二二ニ||二二./
                   |二二二二二ニ||二ニ./
                   λ二二二二ニ ||ニニ./
                  ハ.}二二二二ニ/'二 /\
                  二二二二二./'二 /ト、ニヽ
                   |二二二二二.{{二ニノ ヾュニ}
                    |二二二二二.ハヤ二二二ノタ
                     |二 「l二二二二ヾ二ニ/.,イ
                     |二 |.|二二二二ニ}} /./ '
                八二l」二二二二_ム' /   ト、
                  }二二≦==‐rヘ´     .|ヾュ、



ギャラティンさん「ハァッ!!(沈黙)」

「ぐわあああァァーーーーーッ!!」

105 名前:7月6日(土)[saga] 投稿日:2014/05/04(日) 21:52:09.13 ID:iEV9K7qXo

……
…………
………………

京太郎「ふぃー」ボスン

 駿府高校との練習試合で快勝を収めた初日。

 上機嫌でベッドに背中から飛び込む俺だった。

 阿知賀が勝てばマネージャーとしても鼻が高い。となれば枕も高く眠れるって寸法よ。

 ビジネスホテルに泊まるのもこれで四度目。

 最初は初遠征の宿泊先とのギャップを感じずにはいられなかったが、もう慣れた。

 そうしてみると、この必要最低限って感じの小綺麗さがむしろ好きになり始めている。

 安宿でも宿は宿。いつもと違う場所に寝泊まりするというのはワクワクするものだ。

 ただしユニットバス、テメーはダメだ。

 風呂とトイレは別物だろう。別物だ。別々の物として扱いやがれ。

 こればかりは合理化の一言で片付けてはいけないと思う。

コンコン

京太郎「ん」

「も、もしもーし」

 ノックしてもしもしだ。

 俺はこの声を知っている。

 この声と、この時間帯に俺の部屋を訪ねるような人間を知っている。

110 名前:7月6日(土)[saga] 投稿日:2014/05/04(日) 22:20:27.73 ID:iEV9K7qXo

ガチャ

憧「や、やっはろー」

 そうです、憧です。

京太郎「おう、どうした? って……なんか、なんとなく想像つくけどな」

憧「うん、多分正解……」

 と言って、憧が背中に回していた手を前へ持ってくる。

 そこには、

             __________
            /   ___  S.A.作/|
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       |  l l ヽ. ー  '' 仆川. |  /
       |   ヽ  仆 - イク    |/
        ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

京太郎「やっぱ指令か」

憧「そーゆーこと」

京太郎「あれ、監督か鷺森部長は一緒じゃないのか?」

憧「う、うん。あたし一人」

京太郎「ちゃんとやるか見張ってなくていいのかな」

憧「そこは信用されてるってことでいいんじゃない? あたしも、人に見られながらだと緊張しちゃうし……」

京太郎「……」

 夜に一人で男の部屋に来るのは緊張しないのかい、憧さんや。

112 名前:7月6日(土)[saga] 投稿日:2014/05/04(日) 22:43:41.31 ID:iEV9K7qXo

憧「どうする? どっちが引く?」

京太郎「ん、ああ……こないだは確か俺だったよな。憧が引いていいぜ」

憧「分かった。じゃあ引くわね」

ゴソゴソ

 机に置いた指令ボックスに手を突っ込む憧。

 そしてそれを所在なげに突っ立って見ている俺。

 うーん、第三者がいないとどうにも間抜けというかシュールというか……

憧「……これっ!」

 お、引いたな。

京太郎「早く開けようぜ。そんで早く終わらせて、早く寝ようぜ」

憧「寝゛っ……/// そ、そんな簡単に言わないでくれる!?」

京太郎「あー悪い。でも指令見るのぐらいは急かしていいだろ」

憧「そうだけど……まぁいいわ。それじゃ開けるからね」

京太郎「おう」

ピラッ



                     ---------ミ
                 . : ´: : : : : : : : : : : : : `ヽ、
                   /: : : : : : : : : : : : : : : \ : : : \
             / : : : : : : : : : : : : : : : : : : : \: : : :\
                /: : :/: : : : :.:| : : : : : :|: : : : : : : : :ヽ : : 〈_トミ
            /: : : i : : : : : :|: : : : : : |ヽ: :|: : |、: l: ∨: /:|ヽ、`ヽ
           _.′: : :l: : : |: : ∧: : : :.:.|||',__|_|: i|: :|/: ′:'.\: \
          / i: : : : :l: : :_レ┼‐、: : : :ТТ「:i|l: l|: :|: : /: |: :i  ヽ : ヽ
.          / /^|: : :| : l/: |\|  \: :| |/x|/=ミl|: :|/: : |: :|  ‘, : :‘,
         / /  |: i: | :!\lx==ミ   \|  ノ::::ハ 》: :レヘ: :.:|: :|   i: : : :',
.       /:.,′ |八:l\ト、《 ノ::::ハ       乂_ン |:.:|  }:.:.l : |   |: : : : ',  「み、『耳掃除』……!?///」
       /: :′   |: | : : ∧  乂_ン  ,   ::::::::::: |:.:l /.: :| : |   |: : : : :i
.      /: :    |:|: : 人 ′::::::::::           |:.:|ィ: : :.:| :|   |: : : : :|
      ′: |     l: :|: : : : ゙ト',               /|: ′ : : l: : |   |: : : : :|
     i: : : |     |: :| : : : : |个 .     (_ )   /:.:|/: : __: :|: : |    |: : : : :|
     |: : : |     / 八: : : :!l : :>-      イ : : : :|:/_ヽ_l    |: : : : :|
     l: : :|  /: : : : >、 : \ : : : : /|   ̄   ト、.: : :|{:::{ r‐く_/>┐|: : : : :|
     |: : : l   /: : : : / ヽ: : : :マニ‐/ \     l ∧___l乂>-、  ̄⊂V: : : : /
     |: : :! /: : : : /   ∧ : : ヽ, |   .>┐ /へ 寸: :`:Tヽ\    ヽ: :.:/
     |: : : :∨: : : : :|   /∧:.: :∧|_/ i ∨ // >',: : : :| `ト \____ノ: /
     |i\: : \: : : :|   \ ∧: : :∧ ゝ―-ミ∨/ ̄ ̄|: : :! 「{   「、/
     |   \_ノ/|   \∧: : :!:i |  ―‐()、―  八: :|ノ./\__,レ|
      /: : : : : /: : |       ∧ : i | |   / || \ / ∨|  / / / 〈
.     /: : : : : /: : : l       / |: : / ーく__.八__「    ∨      }
    /: : : : : /: : : :!    | ノ/      ∨      ′    ∧
    .′: : :/|: : : : :‘      |            ‘,         i     / : ′
.   i: : : :/  |: : : : : ハ     人         Θ}        八   /: : : :i
.   |: : :/  八 : : : 〈        ヽ        /       /    ,イ: : : : :|



京太郎「」

120 名前:7月6日(土)[saga] 投稿日:2014/05/04(日) 23:20:15.79 ID:iEV9K7qXo

憧「耳掃除って……もしかして耳掃除!?」

 もしかしなくても耳掃除だ。

 むしろもしかしない方の耳掃除がどんなものか知りたい。

 いや、そんなことより、

京太郎「……こりゃまた、結構キツいのが来たなぁ……」

憧「結構どころじゃないっ! なにこれ、恥ずかしすぎるでしょ!?」

京太郎「ですよねー」

憧「こ、こんな密室で耳掃除とか……しかも二人っきりで!///」カァー

京太郎「いや、二人っきりなのは誰も連れてこなかったお前の落ち度――」

憧「……」プルプル

京太郎「――サー! 不幸な偶然です、サー!!」

憧「………………っ、……はぁ」

京太郎「憧?」

憧「出ちゃったものはしょうがないか。時間も勿体ないし、始めましょ?」

京太郎「憧!?」ギョッ

129 名前:7月6日(土)[saga] 投稿日:2014/05/05(月) 00:04:14.66 ID:hdsHmr6No

憧「な、なによそのリアクションは」

京太郎「いや、いつになく聞き分けよくて驚いたっつーか……」

憧「む。失礼ね、あたしだって少しは成長してるんですけど?」ツーン

京太郎「……だな。頑張ってるもんな。茶化して悪かった」ペッコリン

憧「べ、別に謝らなくてもいいけどさ……」

 顔を背けたまま、モゴモゴとこぼす憧。

 俺はそんな憧の変化が嬉しかった。

京太郎「じゃあ、憧の成長ぶりを見せてもらうとするかな」

憧「ぅ……ま、任せなさい」

京太郎「で、俺がすんの? お前がすんの?」

憧「あ、あたしがやる!」

京太郎「おお積極的。なら頼むな」

憧「………………お、おまかせあれ」

 どんどん声に元気がなくなってる気がするが、まあ気のせいだろう。

130 名前:7月6日(土)[saga] 投稿日:2014/05/05(月) 00:36:26.36 ID:hdsHmr6No

 憧がベッドに腰を下ろす。

 スプリングが軋む音にドキッとしてしまった。

 他に耳かきに適した場所はないが、ベッドか……

 ちなみにパジャマだ。改めて意識して、またドキッと。

 ミニスカ生足より幾分マシだろうが、薄いよな……

憧「じゃあ……こ、ここ」ポンポン

京太郎「ッ」ドキッ

 三度目。

 躊躇いがちに太ももを叩く仕草を可愛いと感じてしまった。

 いかん、かなり意識してるぞ俺。

 折角憧が頑張ってるんだ、俺も気合入れろ。

 いや、むしろリラックスすべきか。意識しすぎないように。

 となれば咲の出番だな。

 あいつのことを考えると、いい具合に肩から力が抜けるんだ。

 あのポンコツ、耳掃除だけはやたら上手かったんだよな。

 あまりにも心地よくて、されてる内に眠ってしまったことも何度かある。

 今日は寝たらマズいよな。我慢出来るか、ちょっと不安になってきた。

171 名前:7月6日(土)[saga] 投稿日:2014/05/05(月) 21:46:00.73 ID:hdsHmr6No

憧「……京太郎?」

京太郎「え? あ、悪ぃ。ちょっと考え事してた」

憧「この状況で考え事? ずいぶん余裕じゃない」ジトー

京太郎「バカ言え、余裕なんてねーよ」

 だからこそ気の紛れることを考えていたんだ。

京太郎「で……寝るけど、いいか?」

憧「ふきゅ……う、うん……どうぞ」

京太郎「――」スッ

ポス

憧「っ……!///」

 柔らかい。

 暖かい。

 いい匂い。

 やばい。

 憧の太ももマジパナイ。

174 名前:7月6日(土)[saga] 投稿日:2014/05/05(月) 22:19:30.78 ID:hdsHmr6No

 これは危険だ。

 気を抜くと頬擦りしてしまいそうになる。

 ていうか、マジで、とんでもないシチュエーションだよな。

憧「ね、ねえ」

京太郎「ん?」

憧「……ど、どう、ですか。あたしの膝枕……」

京太郎「あ、ああ。なんつーか……いいよ」

憧「ほんとにっ? 寝苦しかったりしない?」

京太郎「しないしない。このまま眠れそうなぐらいだ」

憧「へ、へ~……ま、寝られたら困るんだけどさ……」モジモジ

京太郎「だな。気を付けるよ」

憧「……」

京太郎「……」

憧「………………ねえ」

京太郎「ど、どうした?」

憧「あたし耳かき持ってないんだけど……」

京太郎「あ」

176 名前:7月6日(土)[saga] 投稿日:2014/05/05(月) 22:57:41.48 ID:hdsHmr6No

※アメニティで部屋に置いてありました

京太郎「ほい」スッ

憧「あるんだ……あっちゃうんだ……」

 言いながら受け取る憧。

 俺も、改めて膝枕に頭を乗せる。

憧「ん……」

 声を出すな声を。

 吐息と一緒に降ってくるから心臓に悪い。

 さっきより太ももが熱くなってる気さえしてくる。

憧「そ、それじゃあ始めるけど……痛かったら手挙げてね」

京太郎「歯医者かよ。つーか、今更だけど耳掃除の腕はどうなんだ?」

 鼓膜を破られ右から左なんて御免だ。

憧「それなら任せて。しずとか桜子には好評だから」

京太郎「その二人は同列なのか……」

182 名前:7月6日(土)[saga] 投稿日:2014/05/05(月) 23:32:52.36 ID:hdsHmr6No

憧「ただし。アンタが変なこと言った場合はその限りじゃないから、肝に銘じておきなさい」

京太郎「変なこと?」

憧「あたしを怒らせたり動揺させたりすることよ」ゴゴゴ...

京太郎「せ、線引きが分からねぇ……こえぇ……」ビクビク

憧「簡単だってば。例えば今の状況だったら「俺、こういうの初めてだから優しくしてくれよな」とか」

京太郎「言わねーよ!?」

 大体初めてじゃねーし。

 右の穴も左の穴も咲にやってもらったことあるし。

憧「そしたらあたしが「そ、そんなのあたしだって!……あたしだって、はじめてだし……」って言って」

憧「今度は京太郎が「そっか、俺達初めて同士だな」とか言って恥ずかしそうに笑いかけてくれて」

憧「あたしが「……一生懸命するから」って言ってってこれじゃ男と女が逆じゃないのバカァ!///」ブゥンッ

京太郎「あっぶねえ!?」ゴロンッ

 降り掛かる殺気を察知、ベッドから転げ落ちて回避。

 一瞬前まで俺が横たわっていた空間に耳かきが振り下ろされていた。

 本当に危険なので良い子は真似しないで欲しい。

192 名前:7月6日(土)[saga] 投稿日:2014/05/06(火) 00:11:43.74 ID:NwFow5QXo

京太郎「お前なぁ! 男嫌いの前にその妄想癖を治せよ!」

憧「う、うっさいうっさい! 妄想ゆーな!///」

京太郎「いや割とマジな話だからな……このままじゃ俺が女性恐怖症になっちまうよ……」

憧「え? ならないでしょ」

京太郎「ならないけどさ」

 女の子大好きでーす。

憧「だったら問題ないじゃない。はい、戻ってくる」チョイチョイ

京太郎「うぇーい」ノソノソ

ポスンチョ

憧「もー、何回膝枕させる気よ……」

京太郎「俺が聞きたい」

憧「口答え禁止。ほら、始めるわよ」

京太郎「や、優しくしてね……///」

憧「風穴空けられたいの?」

京太郎「すみません」

194 名前:7月6日(土)[saga] 投稿日:2014/05/06(火) 00:41:55.53 ID:NwFow5QXo

憧「本っ当に始めるからね。ジッとしてなさいよ」

京太郎「お、おう」

 上から気配が迫ってくる。

 緊張の一瞬――

スポッ

京太郎「――!」ゾクゾクッ

 予測可能回避不可能な異物感。

 久しぶりなせいか、身体が敏感に反応してしまう。

 いかん、耐えろ。

 耐えなければ風穴だ。

京太郎「っく……ぅ……!」プルプル

憧「……京太郎」

京太郎「な、なんだ?」

憧「なんか可愛い」

京太郎「!?」

226 名前:7月6日(土)[saga] 投稿日:2014/05/06(火) 22:02:06.26 ID:NwFow5QXo

 kawaii?

 誰が?

 オレェ?

京太郎「な、なに言ってんだよ憧」

憧「だって、おっきな体をそんなに縮こまらせちゃって……えい」グリッ

京太郎「ひぐっ!?」

憧「あははっ、変な声~」ケラケラ

京太郎「お前なぁ……!」

憧「えいっ」ゴリッ

京太郎「あひィン!?」

憧「やば、これ楽しいかも……♪」

京太郎「人の耳で楽しくなってんじゃねーよ! 本当に怖いので真面目にしてください!!」

 キレながら懇願した。

 鬼に金棒ならぬ憧に耳かき。予想外に危険な組み合わせだ。

228 名前:7月6日(土)[saga] 投稿日:2014/05/06(火) 22:30:26.94 ID:NwFow5QXo

憧「ちぇっ。分かったわよ、真面目にやりまーす」

京太郎「」ホッ

 言葉の通り、改めて差し込まれた耳かきは優しく耳の中で動いた。

 これで一安心だ。

 しかし、憧にあんなサディスティックな一面があったとは。

 いや、普段の振る舞いからして結構Sか?

 でも絶対マゾだって思ってました(偏見)。

憧「」ホリホリ

京太郎「あ゛ぁ~……」

憧「どう? 気持ちいい?」

京太郎「ああ……なかなかのなかなかだ……」

 眠くなってきた。

 それは即ち、咲に勝るとも劣らない腕前だということでもある。

憧「よかった。じゃあ反対向いてくれる?」

京太郎「んー」ゴロン

憧「ギャー!?///」

230 名前:7月6日(土)[saga] 投稿日:2014/05/06(火) 22:55:57.40 ID:NwFow5QXo

京太郎「む?」

 なんか顔面が暖かい。

 なんか、凄く安心する。

憧「あ、あああアンタ何してくれちゃってんのぉ!?///」

京太郎「むご? むごごむごむごむごごごご」モガモガ

憧「ひぁ!? ちょ……息、熱……っ///」ピクンッ

 膝枕で感じたよりもずっと濃い肌触りが、温度が、匂いが心を安らかにさせた。

 少し息苦しいが、それでもずっとこうしていたいと思った。

 そう思ったら、

ギュッ

憧「ふきゅっ!?///」

 無意識に腕を回していた。

 あれ? 何に?

 そりゃ腰だ。

 あれ? 誰の?

 そりゃ、

京太郎「あ」

 憧だ。

234 名前:7月6日(土)[saga] 投稿日:2014/05/06(火) 23:18:49.73 ID:NwFow5QXo

京太郎「……」ソローッ

 恐る恐る顔を上げる。

憧「……///」プルプル

 赤面涙目の憧がいた。

 自明である。

 苦手な男から腹に顔をうずめられて、腰に腕を回されて。

 赤くならなきゃ憧じゃねえ(暴論)。

憧「いっ……つ、ま、で、ひっついてんのよばかぁーーー!///」ドンッ

京太郎「さばー!?」ズテーン

 突き飛ばされた。

 ベッドから転げ落ちる。

憧「こ、この変態変態変態! なに考えてんのよ! 言い訳があるなら言ってみなさいよ!」

京太郎「なにもかんがえてなかった」

憧「余計タチが悪いわよ!!」

236 名前:7月6日(土)[saga] 投稿日:2014/05/07(水) 00:00:44.10 ID:20b1ls0ro

京太郎「いやほんとすまんかった。あれだ、もう今日はやめとくか?」

憧「………………やるけど」

京太郎「だよな。えっやるの!?」ギョッ

憧「やるわよっ! 耳掃除、片方だけで終わりとか気持ち悪いし……」

京太郎「お前される方じゃなくてする方じゃん」

憧「それでも気持ち悪いの!」

 まあ言わんとすることは分かる。

 几帳面な憧の性格を考えれば尚更だ。

 しかし、あんな目に遭ってまで指令を続けるとは。遭わせたの俺だけど。

 誰が見てる訳でもないのに。

 その真摯な姿勢からも成長を感じた。

憧「……ほら、早く戻ってきなさいよ。もう怒ってないから」

京太郎「ああ、悪いな」

憧「いいってば」

 何より、交わす言葉の気安さが嬉しかった。

260 名前:7月6日(土)[saga] 投稿日:2014/05/07(水) 22:02:11.02 ID:20b1ls0ro

 この短時間で四度目の膝枕。

 耳掃除、再開。

憧「ていうかさ」ホリホリ

京太郎「ん?」

憧「アンタ耳垢溜まりすぎ」

京太郎「マジでか」

憧「大マジよ。ちゃんと定期的に掃除してる?」

京太郎「んー……してない」

憧「しなさいよ!」

京太郎「最近ずっと忙しくってつい」

憧「清潔にしとかないと女の子にモテないわよー」

京太郎「それは困る!!」

憧「ま、誰が男を耳の穴で選ぶのって話だけど」

京太郎「いや分からんぞ。耳の穴フェチの女の子とかいるかもしれん」

憧「……仮にいたとしてさ、そんな僅かな可能性に賭ける意味ってある?」

276 名前:7月6日(土)[saga] 投稿日:2014/05/07(水) 22:43:05.21 ID:20b1ls0ro

京太郎「あるさ。あらゆる可能性に備えることがモテ男への第一歩だ」キリッ

憧「じゃあ京太郎はその一歩も踏み出せずに何してるの? その場駆け足?」ズバァッ

京太郎「ぐえー!? なんてこと言うんだ憧! 謝れ、俺に謝れ!」

憧「なんでよ。実際モテてないじゃない」ズバァッ

京太郎「ぐえー!? う……うぐぅ~」

 悔しい。

 実際モテてないので悔しい。

 何も言い返せない自分が惨めだった。

京太郎「ほんとだもん……備えてるもん……今この部屋に猫耳女子と糸目女子が間違えて入ってきてもクールに対処出来るもん……」

憧「だからなんでそんな限定的なシチュエーションなのよ……ああもう、いじけないでよ子供じゃないんだから」

京太郎「いじけてないもん……」

憧「……はあ」

ポス

京太郎「、お?」

 不意に、耳かきとは別の感触。

 これは――手だ。

 憧の手が俺の髪に乗っていた。

283 名前:7月6日(土)[saga] 投稿日:2014/05/07(水) 23:23:23.81 ID:20b1ls0ro

サラッ

京太郎「お、ぉお?」

 そのまま撫でられる。

 優しい手つきで、穏やかなリズムで。

憧「悪かったわね」

 そして憧が言った。

京太郎「へ?」

憧「あたしらのこと優先してくれてるから女の子と仲良くなれないんでしょ」ナデナデ

京太郎「それは……」

 半分正解だ。

 部外の女子と触れ合う暇がないのは事実である。

 が、

 部内の女子が可愛すぎて満足してしまっているのも事実である。

 その上でマネージャーに徹していれば、そりゃモテませんわ。知ってた。

305 名前:7月6日(土)[saga] 投稿日:2014/05/08(木) 22:21:45.30 ID:+t8ve9v1o

憧「でも大丈夫。京太郎ならきっといい人が見つかるって」ナデナデ

京太郎「え」

憧「なに?」

京太郎「あ、いや……憧だって、男嫌い治そうと頑張ってるよな」

憧「ほんとっ? そう思う?」

京太郎「思う思う。この調子ならいずれ彼氏だって出来るよ」

憧「え」

京太郎「どうした?」

憧「ん……いや、なんでもない」

京太郎「……」

憧「……」

 何、この沈黙。

 ていうか、さっきの感覚が何だ。

 憧が珍しく素直に励ましてくれたのに。

 どうして喜べなかったんだろうか。

307 名前:7月6日(土)[saga] 投稿日:2014/05/08(木) 22:45:22.40 ID:+t8ve9v1o

 ていうか、それ以前に、

京太郎「憧」

憧「な、なに?」

京太郎「なんで急に優しいのお前」

憧「なっ!?///」カァー

 あ、赤くなってる。

 これは見なくても分かる。

憧「せ、せっかく人が感謝してるんだから茶化さないでよ!」

京太郎「いや、静かに聞いてたら恥ずいし……」

憧「あたしだって恥ずかしいわよ! こんなこと、面と向かって言えるわけないし……っ」ゴニョゴニョ

 なるほど。

 膝枕だから言えることもあるということか。

 確かに向かい合っては言えそうにないし、聞けそうにない。

 そんなことを考えていると、

憧「ふ、ふーっ」

京太郎「んひゅえぁ!?」ビクーッ

308 名前:7月6日(土)[saga] 投稿日:2014/05/08(木) 22:46:01.93 ID:+t8ve9v1o

 跳ねた。

 一切の誇張なく、身体がビクンと跳ね上がった。

 何を血迷ったか、憧が耳に息を吹きかけやがったのだ。

憧「ふきゃあ!? あ、危ないじゃない!」

 耳の傍まで近付けていた顔を慌てて遠ざけ、抜け抜けと俺を批難する憧。

 頭に来ました。

京太郎「それはこっちのセリフだ! いきなり何すんだよ!?」

憧「何、って……アンタが変なこと言わせるから照れ隠し……じゃなくて! 耳掃除の仕上げよ仕上げ!」

京太郎「逆側はしてなかったじゃねーか!」

憧「う゛……うっさい! それより、本当に気を付けてよね! 危うくアンタの横顔に、き、き、き……キス……するところだったんだから!///」

京太郎「横顔ぐらいでギャーギャー言ってんじゃねーよ!! あの時なんて――」ハッ

憧「あの時?」

 いかん。

 つい口を衝いて出てしまった。

 『あの時』。

 即ち、祝勝会の夜。

 憧にキスされて舌まで入れられた、あの時のこと。

311 名前:7月6日(土)[saga] 投稿日:2014/05/08(木) 23:25:16.34 ID:+t8ve9v1o

憧「ねえ、あの時って何?」

京太郎「そ、それはだな……」

 どうする、俺。

 言えるか?

 「俺とお前は一ヶ月以上も前にベロチューしてるんだよーあばばばー」と。

 言えるか!

 つーか、ちくしょう、最近ようやく意識しないようになっていたのに。

 また思い出して、それだけで恥ずかしさがこみ上げてくる。

 俺でさえこうだ。憧でならどうだ。

 どうもこうもない。第三次大戦の幕開けだ。

 だから、

憧「ねーえー。あの時って何よー?」ユサユサ

京太郎「……」

 許せ、憧。

314 名前:7月6日(土)[saga] 投稿日:2014/05/09(金) 00:06:19.79 ID:gBQaawgho

京太郎「ッ――」

 痛みは一瞬だ。

 憧の腕を掴み、するりと膝から脱出。

 即座に掴んでいた腕を引き寄せると、

憧「――え?」

 状況リバース完了。

 俺が憧を膝枕する格好となった。

憧「え? え?」

 突然の事態を呑み込めない憧。

 その憧に、これから行うことを思うと胸が痛む。

 もう一度だけ言おう。許せ、憧。

京太郎「憧」

憧「きょ、京太郎? え、あの、なにこれ――」

京太郎「――ちょっとくすぐったいぞ」

319 名前:7月6日(土)[saga] 投稿日:2014/05/09(金) 00:55:30.86 ID:gBQaawgho

憧「な、なに? なにっ?」

憧「京太郎……冗談、だよね……?」

憧「京太郎があたしにひどいことなんてするわけない……よね?」

憧「……やッ!? だめ、拡げないで!」

憧「やだやだ、やだってば! 汚いからぁ……!」

憧「そんなとこ、見ないで……」

憧「……、?」

憧「――ッ!?」

憧「ひ、っぐ、ぅ……! はぁ……っ!」

憧「ぁ……それだめ、なか、入って……!」

憧「掻き回さないでぇ……ん、きゅうぅ……っ」

憧「やだぁ、変になっちゃう……きもちいいの、とまらないよぉ……」

憧「はぁ……はぁ……っ、あ……ん……」

憧「もう、らめ……ゆるひ、へ、ッは、ぅ――ふきゅううぅうぅぅっっっ!?」

326 名前:7月6日(土)[saga] 投稿日:2014/05/09(金) 01:05:18.94 ID:gBQaawgho

……
…………
………………


ガチャッ

穏乃「んぉ?」

憧「……」

穏乃「あー憧おかえりー」

憧「……」

穏乃「指令やりに行ってたんだよね。どうだった?」

憧「……」

穏乃「憧?」

憧「……」

フラフラ

ボスン

憧「…………………………もうおよめにいけない」

穏乃「ぅ?」

【TO BE CONTINUED...】
最終更新:2014年05月09日 23:42