765 名前:某月某日(EX)[saga] 投稿日:2014/04/29(火) 14:39:47.17 ID:Sf4vN21Ro
照「へっ、さけんでもだれもきやしねえよ」
京太郎「急に三下っぽい口調に!?」
照「ぐへへ」
京太郎「ぐへへとか言わないでくださいよ……折角の美人が台無しじゃないですか」
照「っ……不意打ちはずるい」
京太郎「え? なんですか?(難聴)」
照「……なんでもない。それより泊まらないの?」
京太郎「泊まりませんよ! っていうか泊まれません!」
照「家に帰れないのに?」
京太郎「ぐっ」
照「お金も持ってないし、私以外に知り合いもいないのに?」
京太郎「うぐぐ……」
照「うちならご飯も食べさせてあげられるし、お風呂もベッドもある」
京太郎「でっ……でも、俺は――!」
照「京ちゃんが出て行ったら私も後を追う」
京太郎「すんません泊まります勘弁してください」
766 名前:某月某日(EX)[saga] 投稿日:2014/04/29(火) 15:12:33.05 ID:Sf4vN21Ro
……
…………
………………
照「おまたせ」コトッ
京太郎「おお……!」
照「買い物に行く時間がなくて簡単になっちゃったけど……」
京太郎「全然問題ないです! 照さんの手料理好きですから!」
照「よかった」
京太郎「んじゃ、いただきます!」
照「うん。召し上がれ京ちゃん」
モグモグ
照「味はどう?」
京太郎「やっぱ美味いっす。ギャップ込みで余計に」
照「まだ言うの」プクー
京太郎「冗談ですって。花嫁修業でしたっけ? ばっちり成果出てるじゃないですか」
照「じゃあいいお嫁さんになれるかな」
京太郎「なれますよ!」
照「京ちゃんの」
京太郎「そのような意図で申し上げたのではない」
769 名前:某月某日(EX)[saga] 投稿日:2014/04/29(火) 15:52:56.55 ID:Sf4vN21Ro
パクパク
京太郎「ところで照さん」
照「どうしたの京ちゃん」
京太郎「昼間のはなんだったんですか」
照「昼間って?」
京太郎「ほら、俺のことを彼氏だって紹介した……」
照「あー」
京太郎「説明してもらっても?」
照「いいとも」
京太郎「じゃあお願いします」
照「あれは二学期も終わりに近付いていた頃のこと。淡の発案でがぁるずとぉくをしていた」
京太郎「がぁるずとぉく……」
照「がぁるずとぉく」
773 名前:某月某日(EX)[saga] 投稿日:2014/04/29(火) 16:18:31.71 ID:Sf4vN21Ro
………………
…………
……
淡「やっぱ女子会と言ったら恋バナだよねっ!」
誠子「鯉?」
照「バナナ?」
淡「女子力たったの5め! 失せなっ!」クワッ
尭深「まあまあ……」
菫「お前が言い出しっぺなんだから、投げ出さずにちゃんと進行しろ」
淡「うー、恋バナってのはもっとキャッキャ言いながらするものなのに……」
照「ああ……もしかして恋バナって恋愛の話のこと?」
淡「このタイミングで!? でもそうだよテルー、よく分かりました!」
照「任せて」フフン
菫「何を威張っているんだか……意味が分かったところで照に色恋なんて無縁だろうに」
照「むっ……そんなことはない。私にだって好きな人くらいいる」
淡「えっ!?」
尭深「いるんですか……?」
照「ていうか彼氏」
誠子「彼氏!?」
菫「ば、馬鹿馬鹿しい。だったら私達の前に連れてきてみろ。その彼氏とやらが実在するならな」
照「いいでしょう。明日またここに来てください、本当の彼氏を見せてやりますよ」
……
…………
………………
775 名前:某月某日(EX)[saga] 投稿日:2014/04/29(火) 16:50:18.61 ID:Sf4vN21Ro
照「ということがあった」
京太郎「嘘ついてんじゃねーよ!!」
照「嘘じゃない。私は京ちゃんが好き」
京太郎「ッ……そこじゃなくて! 俺は照さんの彼氏じゃないですよね?」
照「非実在彼氏?」
京太郎「この際なんでもいいです。駄目じゃないですか、チームメイトに嘘なんて」
照「反省してる(照だけに)」
京太郎「……はあ。つまり? 弘世さん達に見せびらかす為に俺を誘拐したと」
照「うむ」
京太郎「なんで自慢気ですか」
照「京ちゃんは自慢の彼氏」
京太郎「彼氏じゃないっちゅーに!」
照「」カチャ
京太郎「え、なんですか照さん。なんでいきなり急須の蓋をズラしたんですか」
照「ふふ、これはお茶のおかわりをほしいのサインだよ」
京太郎「だからなんで突然!?」
782 名前:某月某日(EX)[saga] 投稿日:2014/04/29(火) 17:18:51.08 ID:Sf4vN21Ro
コポコポ...
京太郎「流れで俺が注ぐことになった……別にいいけど」
照「お茶を注いでもらった時は指でテーブルをトントンと」トントン
京太郎「もういいですってば。それより照さん、違う話をしましょうか」
照「どんな話?」
京太郎「そうですねえ……あ、進路の話とか」
照「」ピクッ
京太郎「やっぱりプロですか? なにしろインターハイチャンピオンですもんね」
照「……」
京太郎「照さん?」
照「違う」
京太郎「へ?」
照「元、チャンピオン」
京太郎「え、ああ、そうでしたね」
照「ごちそうさま」ガタッ
京太郎「どこか行くんですか?」
照「お風呂掃除。準備が出来たら京ちゃんから入って」スタスタ
京太郎「あ……はい」
783 名前:某月某日(EX)[saga] 投稿日:2014/04/29(火) 17:48:09.04 ID:Sf4vN21Ro
……
…………
………………
チャプン
京太郎「はぁぁぁ……生き返る」
京太郎「なんだかんだ長距離の移動で疲れてたんだなぁ……」
京太郎「……東京、か。最初は驚いたけど、冬休みの旅行と思えば案外楽しいかもな」
京太郎「それにしても照さん、なんか様子が変だったな」
京太郎「俺が進路の話をした辺りからか? 急に黙り始めて……」
コンコン
照「京ちゃん」
京太郎「うわっ、照さん!?」
照「お湯加減どう?」
京太郎「ああ、大丈夫ですよ。いい感じです」
照「よかった」モゾモゾ
京太郎「……あの、照さん?」
照「なに?」
京太郎「磨りガラス越しになんだかモゾモゾしてるのが見えるんですが………………何をしているのでしょうか」
照「脱いでる(照だけに)」
京太郎「」
794 名前:某月某日(EX)[saga] 投稿日:2014/04/29(火) 21:05:07.70 ID:Sf4vN21Ro
照「待っててね、すぐ行くから」モゾモゾ
京太郎「(う……わ……)」
京太郎「(ガラス越しだと照さんの細さがハッキリ分かる……)」
京太郎「(その照さんが服を脱ごうと身体をくねらせるのが、なんか――)」
京太郎「――ハッ!? いやいやいや照さんストップ! 駄目ですって!!」
照「どうして?」
京太郎「言わなきゃ分かりませんかね!? 男と女が一緒の風呂に入るなんて非常識だからですよ!」
照「問題ない。私と京ちゃんは恋人同士」
京太郎「それは昼間の話でしょう!? もう恋人ごっこは終わったんですから!!」
照「ッ」
京太郎「だから冷静に、服を着て、居間で待っててください。ね?」
照「………………わかった。困らせてごめん」
スタスタ...
京太郎「……はあぁ……ったく、心臓に悪すぎるだろマジで……」ブクブク
795 名前:某月某日(EX)[saga] 投稿日:2014/04/29(火) 21:32:36.14 ID:Sf4vN21Ro
……
…………
………………
京太郎「ふぅ……」ドサッ
京太郎「照さん、一体どうしちゃったんだ……?」
京太郎「風呂でサッパリしてくれればいいけど……」
ピーンポーン♪
京太郎「ん?」
ピーンポーン♪
京太郎「来客? こんな時間に珍しいな」
ピーンポーン♪ ピーンポーン♪
京太郎「照さん……は風呂だし、俺が出てもいいのかな……」
ピーンポーン♪ ピーンポピーンポーン♪
京太郎「……」
ピポピポピポピポピーン...ポーン♪
京太郎「だぁあうぜぇ!! どこのどいつだ!」
ドタドタドタ
ガチャッ
菫「や、やあ。昼ぶりだな……///」モジモジ
800 名前:某月某日(EX)[saga] 投稿日:2014/04/29(火) 22:05:13.90 ID:Sf4vN21Ro
京太郎「弘世さん!? それに……」チラッ
淡「よっ! 元気か金髪!」ヒョコッ
京太郎「おめーも元気そうだな金髪」
淡「とーぜん! 淡ちゃんが元気じゃなかったら地球に氷河期が到来しちゃうから!」
京太郎「じゃあ地球温暖化の原因はお前かよ……」
菫「淡! 私達は雑談しに来たわけではないんだぞ!」
淡「それはこっちのセリフ! 菫先輩こそデレデレしてないでとっとと本題入ればー?」
菫「デレデレなどしていないにゃん!///」
淡「だから噛むなら「な」を噛みなよ!?」
菫「ぐッ……む、ん、おほんっ! あー……すまない、見苦しいところを」
京太郎「いえ……あの、それで本題って?」
菫「ああ。今日は照が迷惑を掛けたから、改めて礼を言いたくてな」
京太郎「それでわざわざ……なんかすんません」ペッコリン
菫「気にしないでくれ。大変だったろう? 恋人のフリなんて」
京太郎「いやぁ、まあ特に何かさせられた訳でもありませんし別に……」
京太郎「、――え?」
811 名前:某月某日(EX)[saga] 投稿日:2014/04/29(火) 22:46:37.81 ID:Sf4vN21Ro
淡「デカ長! こいつやっぱりクロですぜ!」
菫「誰がデカ長だ……だが――やれやれ、シャープシュート成功といったところか」キリッ
京太郎「ぁ……な、え? バレ……」
菫「遠路遥々ご苦労だったな」
京太郎「い、いつからですか!?」
菫「最後まで確信はなかったさ。だからカマをかけた」
京太郎「なんでそこまで……」
菫「……さあ、なんでだろうな」
京太郎「弘世さん?」
菫「須賀くん。照と初めて会ったのはいつだ?」
京太郎「え? えっと、今年の秋……10月に入った頃ですかね」
菫「まだ知り合って日が浅いと」
京太郎「浅いどころか延べ日数なら今日で二日目です」
淡「二日目!?」
菫「東京と長野だ、そうなるだろうな……まったくあの馬鹿は」フゥ
814 名前:某月某日(EX)[saga] 投稿日:2014/04/29(火) 23:20:16.53 ID:Sf4vN21Ro
淡「会ったの二度目なのに東京まで来るとか……もしかしてテルのストーカー!?」ズザッ
京太郎「ちげえ! 俺は照さんに誘拐されたんだよ!」
淡「なにそれこわい!」
菫「淡。退屈なら道端で一人だるまさんがころんだでもやってろ」
淡「なにそれ面白そう! いってきまーす!!」ドヒューン
京太郎「やるのかよ!?」
菫「車に気を付けるんだぞ。……さて」
京太郎「!」
菫「ここからが本題の本題だ。少し長くなるが、いいだろうか」
京太郎「……はい。大事な話なんですよね?」
菫「照にとっては、な。キミにとっては瑣末な話かもしれない」
京太郎「構いません。聞かせてください」
菫「ああ。よく聞いて、そして考えてくれ」
817 名前:某月某日(EX)[saga] 投稿日:2014/04/30(水) 00:08:26.49 ID:NZgd4IQfo
京太郎「……」ゴクリ
菫「まず照だが――あいつはプロに行く」
京太郎「!!」
菫「……聞かされてなかったのか?」
京太郎「直接は……なんとなく、そうなのかなって思ってはいました」
菫「そうか。そうだろうな、宮永照だからな」
京太郎「はい」
菫「その大方の予想と期待の通り、照はプロチームに入団することが決定している」
京太郎「おめでとうございます!」
菫「私に言われてもな」クスッ
京太郎「あ、そっか……後で本人に言っておきます」
菫「そうしてやってくれ。でも、私からも礼を言うよ。友人として、あいつを誇りに思っているからな……ただ」
京太郎「?」
菫「ひとつ問題がある」
京太郎「え?」
菫「あいつは最近、そのプロ行きを迷っているようなんだ」
京太郎「えっ!?」
819 名前:某月某日(EX)[saga] 投稿日:2014/04/30(水) 00:37:11.95 ID:NZgd4IQfo
菫「本人に聞いた訳ではない。が、ほぼ間違いないだろう」
京太郎「な、なんで!? どうして照さんがプロ行きを迷ったりなんて……!」
菫「本当にどうしてだろうな……あんな、麻雀のことしか頭にないような奴が――」
菫「――そんな奴が迷うとすれば、それは麻雀以外の何かが原因だろうな」
京太郎「……、え?」
菫「そう、例えば……恋とかな」
京太郎「ちょ、待ってください。それってもしかして……」
菫「……」
京太郎「……俺のせい、ですか……?」
菫「……所為だなんて言葉を使わないでくれ。キミに非はないよ」
京太郎「でも!」
菫「繰り返すが、キミに非はない。私はむしろ感謝すらしているよ」
京太郎「か、感謝?」
820 名前:某月某日(EX)[saga] 投稿日:2014/04/30(水) 01:04:08.88 ID:NZgd4IQfo
菫「ああ。照の見えなかった一面を引き出してくれたんだからな」
京太郎「見えなかった、一面……」
菫「それに原因はキミだけじゃない。もっと前から兆候はあったんだ」
京太郎「どういうことですか?」
菫「インターハイだよ。個人戦が終わって以来、あいつは少し変わった」
京太郎「……咲」
菫「そうだ。あの時、あいつの中ではひとつの区切りがついてしまったんじゃないかと、私は思っている」
菫「妹さんとの確執がなくなり、チャンピオンという肩書がなくなり、あいつは変わった」
菫「いや、変わったのはあいつじゃなく、あいつの中の麻雀の有り様なのかな」
京太郎「……」
菫「ともかく。あいつはなんというか……衰退、していたんだ」
菫「それが顕著になったのは、秋以降だな」
京太郎「ッ!」
821 名前:某月某日(EX)[saga] 投稿日:2014/04/30(水) 01:28:25.36 ID:NZgd4IQfo
菫「参加義務こそないが、部活に顔を出すことが減った」
菫「そしてその分、行方をくらますことが増えた」
菫「フラッといなくなって、またフラッと戻ってくる。そんな繰り返しだ」
菫「私も流石に不安になってな。三日ルールや校内の案内表示の徹底など、お節介を尽くしたよ」
京太郎「あ……あれ弘世さんだったんですか」
菫「これでも照とは三年来の付き合いでね。使命感も芽生えるというものだ」
菫「だが徒労だったようだ。劇的な解決方法が、今私の目の前にある」
京太郎「それって」
菫「キミだよ。照の惚れた男」
京太郎「……っ」
菫「妹さんに負け、キミに恋をし、今の照は本当の意味で迷子だ」
菫「麻雀に迷い、人生に迷い、自分の立場も進路も分からなくなっている」
菫「だから――須賀くん」
京太郎「は、はい」
菫「キミの力が必要だ。キミの言葉を、照に聞かせてやってほしい」
菫「キミが照を好きでも嫌いでも構わない。ただ答えてやってほしい」
菫「押し付けがましいのは百も承知だ。不快に感じたならいくらでも謝る――それでも、」
菫「宮永照の友人として、私は彼女の幸せを切に願うよ」
822 名前:某月某日(EX)[saga] 投稿日:2014/04/30(水) 01:38:13.93 ID:NZgd4IQfo
京太郎「……」
菫「……」
京太郎「………………、あの――」
淡「菫せんぱーい! 一緒に一人だるまさんがころんだやろーよ、超盛り上がるよ!」
京太郎「――それ二人だるまさんがころんだじゃねーか!!」ビシッ
淡「あたっ!? 何すんのー!?」ウガー
京太郎「あ……すまん、つい」
淡「ふんっ!……ふーん」ジー
京太郎「なんだよ?」
淡「テルはもっと公務員みたいな顔の男を選ぶと思ってた!」
京太郎「どんな顔だそれ」
淡「少なくとも金髪じゃないね!」ケラケラ
菫「……はあ……淡、そろそろ帰るぞ」
淡「あ、はーい」
京太郎「弘世さん!」
菫「須賀くん。今言おうとした言葉は、他に聞かせる相手がいる筈だ」
京太郎「ッ」
菫「……じゃあな。あいつをよろしく頼む」フッ
淡「あばよ金髪!」ベーッ
スタスタスタ...
京太郎「……」
823 名前:某月某日(EX)[saga] 投稿日:2014/04/30(水) 01:44:40.42 ID:NZgd4IQfo
……
…………
………………
ガチャ
照「……おまたせ、京ちゃん。お風呂あがったよ」
京太郎「はい」
照「途中でチャイムが鳴ってたみたいだけど……」
京太郎「ああ、セールスの勧誘でした。断っちゃいましたけど、大丈夫でしたか?」
照「問題ない」
京太郎「そうですか」
照「……」
京太郎「……」
照「……あの、京ちゃ――」
京太郎「照さん」
照「――っ、え、なに?」
_, ⌒\/ ̄ ̄ \
,  ̄ ̄ / 、 _\
´ / \ `ヾ
/ ' 、 、 、 \
/ | { :. | | ∨、\ \__
′ | l| } | |、 | |\ \ ̄ ̄´
. { 从 /-}/-Ⅵ { ヽ |
/ ,.-从 | }/ ィ≧、 { \ }'
/イ { ⌒\ { 、 Vj ∨、 \
八 、 \ ヽ  ̄ 「話があるんです」
Ⅵ ,ー、 ,:'
ヾ\ / ∧ -,
ヽ /{/ 、 '
_从/____ > __ノ
|///////////l :l//|
|///////////| //|
/////////// ∧ :./|
, <////////////////\l/、
//////////////////////\l、
//////////////////////////} }
【TO BE CONTINUED...?】
最終更新:2014年05月01日 21:18