たたえあい宇宙

441 名前:6月15日(土)[saga] 投稿日:2014/02/06(木) 21:40:01.93 ID:uUdlzu8Ro

 土曜日。

 マッサージやらダイエットやら、横文字マシマシでお送りした一週間も大詰めである。

 そして今日は、二回目となる県外遠征の日でもある。

 目的地は京都、泉水女子。

 お利口さんに午前の授業を受け、午後からの出発だ。

穏乃「京太郎っ、これおねがーい」

京太郎「あいよ」

 先週に引き続き、荷物の積み込みは俺の仕事だった。

 穏乃の、明らかにダンベル的なサムシングが入っているであろう重さのリュックサックを受け取る。

 そしてそれをレジェン号の最後部座席へ。

 以下繰り返し。

憧「こっちもお願いね」スッ

京太郎「へいへい」サッ

灼「頼んだ……」スッ

京太郎「かしこまり」サッ

宥「よ、よろしく~」スッ

京太郎「合点承知」サッ

 次から次へと手渡される荷物荷物アンド荷物。

 うおォン、今の俺は人間ベルトコンベアーだ。

442 名前:6月15日(土)[saga] 投稿日:2014/02/06(木) 22:02:54.23 ID:uUdlzu8Ro

玄「ありがとうね京太郎くん、これで最後だよ」スッ

京太郎「いえいえ、お安い御用で――」ハッ

 瞬間、本能が警鐘を鳴らした。

 玄さんのボストンバッグ。

 不自然に大きい……気がする。

京太郎「……」

玄「京太郎くん? 急に止まってどうし――」



京太郎「そこかァァァッ!!」ガバッ



玄「本当にどうしたの!?」

 開けた。

 バッグを。

 躊躇いもなく。

 そして中身を改める。

 が、

京太郎「なんだ、下着か……」フィー

憧「なんだじゃないでしょっ!!」スパーン

京太郎「お゛うっ!?」

449 名前:6月15日(土)[saga] 投稿日:2014/02/06(木) 22:20:30.32 ID:uUdlzu8Ro

 はたかれた衝撃で正気に返る。

 本当だよ。「なんだ」じゃねーよ。

 先輩の荷物を漁って白黒ストライプ下着を目撃しておいて。

玄「きょっ、きょきょきょ京太郎お兄ちゃんは大人なのに玄の下着に興味があるの……?///」カァァッ

京太郎「ち、違います! 誤解なんです!」

 興味があるかないかで言えば、凄くあるけど。

京太郎「ほら、前回は綾ちゃんが荷物に紛れ込んでたんで、もしや今回もと警戒してただけなんです!」

憧「だからって断りもなく女子の荷物を開ける……?」ジトー

レジェンド「流石に二回目は許可しないよー」アッハッハ

京太郎「そんな常識があるなら一回目から許可すんなや!」

レジェンド「悪かったってー。それよりもさ……」ゴソゴソ

             __________
            /   ___  S.A.作/|
          /   /     `l    /  |
         /    ヽ.____/  ./    |
        /________/      .|
       |   r‐- _        .|       |
       i   l ヽ  \ ̄` ヽ  .|      |
       |  /川 `\_ 丶  `l |      |
       | /∥イ从仆〟. ヽ_. l |      |
       | l∥;.l 佗i   冫´フ  l.|     /
       | │l.」''`´ _ '⌒` y\ト|    /
       |  l l ヽ. ー  '' 仆川. |  /
       |   ヽ  仆 - イク    |/
        ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

レジェンド「早く席決めしよっ! ねっ?」ワクワク

京太郎「浮かれすぎでは」

 自分は運転席固定なのに。

454 名前:6月15日(土)[saga] 投稿日:2014/02/06(木) 22:32:09.05 ID:uUdlzu8Ro

レジェンド「いやー、こういうのって見てるだけでも楽しいもんだよ?」

京太郎「そっすかぁ?」

レジェンド「そうそう。複雑な人間模様ってやつ」

京太郎「はあ」

 よー分からん。

 が、退屈そうにされているよりはマシか。

穏乃「今度の席は誰と隣かな~」

灼「今度こそハルちゃんハルちゃんハルちゃんハルちゃん……」ブツブツ

玄「こ、今度も京太郎くんと……で、でもっ///」

宥「今度は誰かにくっつきたいなぁ……」プルプル

憧「………………」

レジェンド「じゃあ一列に並んでー。引いた人から数字教えてねー」

「「「「「「はーい」」」」」」

 斯くして、複雑な人間模様の縮図であるらしい、二度目のクジ引きの幕が上がった。

565 名前:6月15日(土)[saga] 投稿日:2014/02/07(金) 21:44:14.88 ID:8M93pPHko


 で、

憧○レ
○玄穏
灼宥京
□□□

 と。

憧「………………」

玄「私はこの前と同じだね。ほっとしたような……///」

穏乃「一列前になった! 玄さん、よろしくお願いします!」

灼「ハル……ちゃん……」

宥「わぁ」

京太郎「ふんふむ」

 後部座席・二列目・窓際。

 隣は宥さんか。

 ……うへへ。

レジェンド「お、今回は憧が助手席かー。仲良くやろうね!」グッ

憧「あたし寝るわぁ」

レジェンド「なんで!?」

573 名前:6月15日(土)[saga] 投稿日:2014/02/07(金) 22:04:50.93 ID:8M93pPHko

京太郎「おいおい、助手席に座るんなら運転手の話し相手にならないとダメだぞ」

憧「きょ、京太郎……」

京太郎「ま、意識すると大変かもしれないけど頑張れよ」

憧「……分かってる。今のは冗談」プイッ

京太郎「そか。にしても憧とは縁がないよなぁ」

憧「」グサッ

京太郎「前より離れて、もうこれ以上はないってレベルだよな」

憧「」グサグサッ

京太郎「だから寂しいよ」

憧「ふきゅっ!?///」

京太郎「なんだかんだいつも一緒だからさ、ちょっと落ち着かないっつーか……俺だけかな?」

憧「っ……あ……ぁ、の……」モジッ

京太郎「ん?」

憧「あ、あ、あたし、も……ほんのちょっと、寂」



宥「京太郎くーん」フリフリ

京太郎「はぁい、今行きまーっす」デレェ



憧「疾ッ!!」ズンッ

京太郎「ってェ!? おま、今わざと踏んだだろ!?」

憧「知らない! さっさと乗りなさいよバカ!」ツンッ

585 名前:6月15日(土)[saga] 投稿日:2014/02/07(金) 22:28:30.08 ID:8M93pPHko

……
…………
………………

 雲の多い空、土曜の昼下がり。

 今日は一般道を走るレジェン号だ。

 目指す泉水女子までは片道二時間程度。

 先週に比べればちょっとしたドライブ気分の内に着く。

 が、

宥「」ピトッ

京太郎「……」

 近い、近いよ宥さん。

 そりゃ俺は図体デカいけど、同列に座っているのは宥さんと鷺森部長だ。

 トータルで見ればスペースに余裕はある筈なのに。

 すぐ真横に宥さんを感じる。

 ていうか、腕と腕が密着している。

 どうしてこうなった。

597 名前:6月15日(土)[saga] 投稿日:2014/02/07(金) 22:54:54.86 ID:8M93pPHko

宥「……♪」スリッ

京太郎「っ」ビクッ

 そしてこれだ。

 意識しているのかしていないのか。

 時々、擦りつけてくる。

 腕だけど、腕だけど擦りつけてくるんだよ。

 ドキドキせずにはいられない。

 一時のハプニングならともかく、継続されるのはマズい。

 宥さんのものか、ふんわり漂う香りも相まって、じわじわと緊張が高まる。

京太郎「……あ、の。宥さん」

宥「なぁに?」ポワポワ

 あら上機嫌。

京太郎「えっと……ち、近くないっすか?」

宥「うん、あったかいね」ニコ

京太郎「あ、はい」

 せめて会話をして欲しい。

606 名前:6月15日(土)[saga] 投稿日:2014/02/07(金) 23:22:50.92 ID:8M93pPHko

宥「ふふっ……♪」スリスリ

京太郎「ぉぉぉ」ゾクゾク

 宥さんは何が嬉しいのか――いや、暖かいのが嬉しいんだろうけど――

 とにかくエスカレートする接触。

京太郎「――」

 逆に考えるんだ、須賀京太郎。

 『くっつく以上のことはされないんだ』と。

 それなら別の事柄に意識を向ければ平静は保てる。

 問題は、何に集中するかということだが……

京太郎「お」

穏乃「」ピョコンッ

 穏乃だ。

 穏乃のポニテだ。

 前の席からしっぽ部分だけがこちらにはみ出してきている。

 俺にはその様が釈迦の垂らした蜘蛛の糸のように見えた。

京太郎「」ツイツイ

穏乃「んひゃっ?」ピクッ

612 名前:6月15日(土)[saga] 投稿日:2014/02/07(金) 23:53:59.46 ID:8M93pPHko

 毛先を摘んで軽ーく引っ張ってみたら、思ってた以上のリアクションが。

穏乃「ど、どしたの京太郎?」

京太郎「ああスマン、痛かったか?」

穏乃「痛くはないけど……」

京太郎「暇してたら目の前にあったからさ、つい」

穏乃「もー、イタズラしないでよね」クルッ

 また前を向く穏乃。

穏乃「」ピョコンッ

京太郎「……」

 誘ってるな(確信)。

京太郎「」ツイツイ

穏乃「ぅひっ」

京太郎「」ツイツイ

穏乃「にゃふっ」

京太郎「」ツイツイ

穏乃「やんっ」

 楽しい(確信)。

623 名前:6月15日(土)[saga] 投稿日:2014/02/08(土) 00:29:16.03 ID:2IU9oZePo

穏乃「も、もー! イタズラしないでってば!」

京太郎「ハハハ」

穏乃「なんで笑ってんの!?」

 楽しいからだよ。

玄「こら。女の子の髪で遊んじゃダメなんだよ?」

京太郎「あ、スミマセン」

 こういう時、第三者に怒られると弱い。

 穏乃の隣に座っている玄さんも後ろを振り向いていた。

京太郎「穏乃もごめんな、もうしないから」

穏乃「う、うん。くすぐったいだけだし、別に気にしてないけど……」

玄「そうなの?」

京太郎「本当に弱くしか引っ張ってませんから。こんな感じで」スッ

 と、

 玄さんの、一房だけ結んだ謎のチョロ髪を摘んで、

ツイッ

玄「んっ///」ピクンッ

京太郎「ね、くすぐったいだけでしょ?」

玄「そ、そうだねっ、きもちい……く、くすぐったいだけだね、うん!///」アセアセ

 誤解が解けて良かった。

632 名前:6月15日(土)[saga] 投稿日:2014/02/08(土) 01:01:43.98 ID:2IU9oZePo


 髪いじりも止められたので窓の外を見ていると、

京太郎「お」

 水滴がガラスを叩いた。

 一滴、二滴、パタパタと音を立てて増える雨粒。

 そう言えば天気予報は午後から雨だったと、今更ながら思い出す。

京太郎「……ん?」

 雨が降る

 ↓

 気温が下がる

 ↓

 桶屋が儲かる

 じゃなくて、

京太郎「」チラッ

宥「ゎゎゎゎゎ……」ブルブル

 こうなる。

638 名前:6月15日(土)[saga] 投稿日:2014/02/08(土) 01:51:51.25 ID:2IU9oZePo

京太郎「だ、大丈夫ですか宥さん?」

宥「ささ、さむいぃぃぃ……」ブルブル

 大丈夫じゃないでした。

 雨は降り始めたばかりだが、もう心の方が冷え込んできたのだろう。

 心底から寒そうに震える宥さんを見ると気の毒な気持ちになる。

京太郎「何か羽織るもの持ってきてますよね? 出しましょうか?」

宥「お、おねがいぃ」

 請われ、すぐさま身を捻る。

 最後部座席に積まれた荷物から宥さんのバッグを捜索。からの発見。

京太郎「失礼しまーす……」ゴソゴソ

 グチャグチャにならない程度に中身を漁る。

 ショールか膝掛けが欲しいが、揺れる車内、不安定な姿勢での作業は難しい。

 それでも懸命に探し続けていると、

京太郎「お、これかな――っと」ズボッ

 ブラだった。

京太郎「デカっ!!」

 デカかった。

642 名前:6月15日(土)[saga] 投稿日:2014/02/08(土) 02:20:22.50 ID:2IU9oZePo

宥「で、でか……?」ブルブル

京太郎「いやッ、なんでもないです! すみません、急ぎますんで!」

宥「せっ急かしてごめんねねねねね」ブルブル

 大慌てでデカブツを戻す。

 淡いグリーン。フリル多め。

 不可抗力で見えたタグには、

京太郎「……Fかぁ……」ボソッ

宥「えふ……?」ブルブル

京太郎「ナンデモアリマセーン!!!」

ゴソッ

京太郎「!」

 ブラと入れ替わりにショールを見つけた。

 ブラに負けず劣らず大きなそれを、早速宥さんの肩に掛ける。

宥「あ、あったか~……く、ないぃ」グスッ

京太郎「まあ、即効性のあるものじゃないですからね」

宥「ぅう……きょうたろうくん……」ブルブル

京太郎「なんですか? まだして欲しいことがあったらなんでも――」



宥「抱いて……」



京太郎「」

652 名前:6月15日(土)[saga] 投稿日:2014/02/08(土) 02:46:38.31 ID:2IU9oZePo

 抱いてって。

 宥さんが抱いてって。

 か細い声で、涙ながらに抱いてって。

京太郎「」ハッ

 この問題、進研ゼミで出たぞ!

 もとい、憧で通った道だ。

 あれは4月、憧が風邪をひいた時のこと。

 今と似たシチュエーションだったし、即ち――

京太郎「だっ………………抱き締めろってことですか?」

宥「うん……良かったら、一緒にショールに入って欲しいなぁ」ブルブル

京太郎「ああ、なんだそんなことですか。だったら全然問題」

 あるでしょ(真顔)。

 そりゃあショールは大きいよ。二人でくるまっても大丈夫そうだよ。

 でも、人前っていうか車内っていうか、そういう場所でやることじゃないんじゃないんじゃ――

宥「……だめかなぁ?」ウルッ

京太郎「ハハッ、まさか」キリッ

655 名前:6月15日(土)[saga] 投稿日:2014/02/08(土) 03:19:07.50 ID:2IU9oZePo

 しっかりしろ須賀京太郎。

 宥さんは今泣いているんだ。

 ならば助けるのもまた今だろう。

京太郎「失礼します」

宥「あっ……」

 一度ショールを取り去り、空いた肩に手を回す。

 そのまま、やや強引に引き寄せてから改めてショールを羽織った。

宥「わっ。わぁ……」ポワ

京太郎「苦しくありませんか?」

宥「うん、だいじょうぶ……あったかぁい」ポワーン

京太郎「良かった」

 本当に良かった。

 おもちの感触が。

 とてつもない存在感である。

661 名前:6月15日(土)[saga] 投稿日:2014/02/08(土) 03:43:37.24 ID:2IU9oZePo

 こうしていると、お互いの体温が上がっていくのが分かる。

 上がった分だけ、均等に分け合うような感覚。

 まるで二人だけの世界だった。

玄「ん……あれっ!? お、おねーちゃん何してるの!?」クルッ

 気のせいだった。

穏乃「わっ! ほんとだ、京太郎となんかしてる!」クルッ

憧「え、宥姉が!? 京太郎と!?」クルッ

 芋蔓式でバレたし。

 傍目から見れば、俺が宥さんの肩を抱いてショールにくるまっているという状況である。

 誤解不可避。

京太郎「あのそのこれはえっとですね……」

宥「あったか~い」ムニュン

京太郎「おもちが!!」

玄「おもちが!! っじゃなくて、ダメだよおねーちゃん! そんな風に抱きついたりしたら!」

宥「どうして……?」

玄「ふえ゛っ、そ、それは……///」モジモジ

穏乃「おしくらまんじゅう楽しそう! 私もそっち行っていい?」

灼「流石に狭……だから変わろ。私と変わろ。ハルちゃんの後ろと今すぐ変わろ……!」

憧「ちょっ、みんな立ったら見えないんだけど!? ねえ、ちょっとー! 何してるのよー!?」

レジェンド「走ってる時に立ったら危ないよー」

 賑やかな声と共に、レジェン号は雨の中をひた走る。

……
…………
………………

689 名前:6月15日(土)[saga] 投稿日:2014/02/08(土) 21:22:46.88 ID:2IU9oZePo



   _
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     ヘ ::.
    r‐、ヘ. ヽ
  ,-マ ,廴__ \                        γ==‐
  入. \ーュ、 ̄`ヽ                  ム - : : `
  { \_ く.| ̄`  V                    ´: : : : : : : ` 、: \
.  `寸‐二八    ト、            /: : : :/: : : : : : : : : \: \
    \   ヽ   // 勹ュ          ′ : : /: : : : /: : : :,ィ: : : ヽ: :\
     ヽ__   // /./二\         /|: :\/:/: : :/ : : : / ハ: : : : :ヘ: : :` ー-_- __
       `寸ニ/ノ /二二ハ.     |λ:!: ,l:/: :\|: i: ;.イ / | : : : : : ヾー- 、: : : ` 、-- _‐-、
        守三ヲ二二二入      lハ:|:ハト、i: |_|ヽ: | |/ ||: :|:ト、:\  ` 、: : : ヽ  `ヾ、
         マ二二二二二ニヽュ_  V´.|:l ,ィ示心ト、ハ| -┼|: :|:| |トヽー-- \: : : \   `
.            `寺二二二二二ヘ\八 ハヘ. 弋_ツ   ヽン芯ムイ:./|: | j! ヾ.    \: : : \
.              `寸二二二二ヽニマ.迅ヘハ ""    .辷ツ/|_j厶レ'二≧、ヾ     ヽ: : : ハ     「いっけぇー! マグナーーーーーム!!!」
                   ` 二二二二{ニ.ハ、ヾ、| Y`ー、_ '  ∧:|二/ムァ‐ 、二ヽ\、    }: : : |
                   \二二ニ./ニヘヽ.|ト、`ー_'_ ィニ∧、〈 { / / /ヽニ{       ノ: : :/
                   \二/二二二リ「} ̄二ニ/ニ/ニ.ヾ、>ニュ{_ム}‐'    _/: : /
                   |_/二二二二 ||二二ニレニ.厶ィ´ }:|        ー―‐z/
                   |二二二二二ニ||二二ニ厂    リ
                   |二二二二二ニ||二二./
                   |二二二二二ニ||二ニ./
                   λ二二二二ニ ||ニニ./
                  ハ.}二二二二ニ/'二 /\
                  二二二二二./'二 /ト、ニヽ
                   |二二二二二.{{二ニノ ヾュニ}
                    |二二二二二.ハヤ二二二ノタ
                     |二 「l二二二二ヾ二ニ/.,イ
                     |二 |.|二二二二ニ}} /./ '
                八二l」二二二二_ム' /   ト、
                  }二二≦==‐rヘ´     .|ヾュ、



「ぐわあああァァーーーーーッ!!」



698 名前:6月15日(土)[saga] 投稿日:2014/02/08(土) 21:44:15.10 ID:2IU9oZePo

……
…………
………………

京太郎「ふぃー」ボスン

 泉水女子との顔合わせ&初日の練習試合が終わり、夜。

 全身から脱力し、ベッドに横たわる俺だった。

 ビジネスホテルである。一人部屋である。

 他は憧&穏乃、玄さん&宥さん、鷺森部長&レジェンドの二人部屋である。

 女所帯に男が一人なのだから当然の措置ではあるものの、やはり寂しい。

 GW合宿で全員同室を経験してしまったせいだろうか。縛られてたけど。

 もっと喋ったり遊んだりしたいが、皆は明日も集中的に麻雀を打つんだ。

 ゆっくり休んで英気を養わなければいけいない。もちろん俺も。

 だから今日のところは大人しく、

京太郎「お試し時間ギリギリまでペイチャンネルでも見るか……」

コンコン

京太郎「お?」

701 名前:6月15日(土)[saga] 投稿日:2014/02/08(土) 22:08:19.89 ID:2IU9oZePo

 ノックだ。

 誰だろう。

 レジェンドが用事でも思い出したのだろうか。

 それならメールで呼び出してくれれば俺の方から行くのに。

 なんてことを考えながら入り口に向かう。

京太郎「はーい、どちらさん?」ガチャッ

               /. : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : .\
             /. : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : .ヽ
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           /. : . :i: .,' . : . ,':/! . : . : . : |. : . : . : . :.:i .|: イ:|
          .,' /: . :| :| ./: . |/ | |:ノ: .ヽ、 |: . : . : . : .:.|: |r:{: .|
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          !:| | :i . :!:.∧.斗匕 圦 : . ト : | ヽ`{:十t}: } :|: !: i |
         |:!|:| . |.:|:{x示㍉xミヽ\:{ ヽ{xテヤ示xV!: :!,'.: .| |  「こ、こんばんは……」
         {! .|∧: :! 圦 {トイ_刈`    ´{トイ_刈 灯:.:| : . :| |
           |:i :ヾ|: :{ 乂こソ      乂こソ |: :!|. : . :l |
           |.| . : |:从 :xx //////xx  | :|ノ . : . |:.|
           |l.|: . : |:.{ム "゙    '     ""゙  | :|: . : . : |: |
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          l|:.:| : . : | :|: .|: > .  ´ `   イ:.:..!.:|: | . : . : . |: |
         l|: . !.: . :..|: :i:.:|: . : r‐|`  -‐ ´ |入.:.|:.| :|. : . : . : l: |
         l|: : |: : . : !_ l:_| _/ \    /   \j :!: . : . : . :|: |
         |: : ,:|. : . : |ヽ{ |     /`Yバ      ノ/|. : . : . : . l: :|
        |:, イl: . : . .|   ヽr──ミ、__彡──y'  |. : . : . : :/ヽ:!
       /  /. : . : .j    {    { }     } |: . : . :./   \


京太郎「憧!?」

 更にその後ろには、

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.  !::|::::l:::::|、レ卞弌ミ.ヽ| ヽ\:l:::{ ∨::::::::l:::::::::::::::::|::::::::::::::::::::::::::|
  |ヽ::::::\バ' ∨:::::|     ‐〒==弌::::l::::::::::::::::::|::::::::::::::::::::::::::|  「や」
  |::::::::::::::::::|  辷ソ       「 |:::::::::iヽ|::::::::::::::::::|:::::::::::::::: :::::::::|
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  l|ヽ|l::|::::::|:: \    n        」:::::::::::::::::l:::::::::::::|:::|:|::/ l|
   `l」l:::::lー‐' \        _   イ|:::::: /::::::::|:::::::::::/|ィ/レ /
      ̄     `  ーァァl´   /|::::::/|::: くー― '
               / { | -‐ ' ´  ̄    \

京太郎「鷺森部長まで!?」

 挙句にその手には、

             __________
            /   ___  S.A.作/|
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京太郎「あっ……」

 (察し)

706 名前:6月15日(土)[saga] 投稿日:2014/02/08(土) 22:26:17.46 ID:2IU9oZePo

灼「ま、お察しの通りだから……」

京太郎「はあ」

灼「お邪魔してい?」

京太郎「あ、どぞ」

 ドアを全開させ、二人が通れるようにする。

 が、

憧「ぅう……」カチコチ

灼「……憧?」

憧「や、やっぱりあたし帰」クルッ

灼「てい」

憧「る゛ン゛!」ドテッ

 早業だった。

 逃げ帰ろうとした憧の足を鷺森部長が払った。

 憧は無様にもホテルの廊下に倒れた。

灼「手間かけさせないでほし……」ズルズル

憧「ぃゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……」ジタジタ

 大声で叫ばない憧は時間と場所を弁えているなぁと思いました。

バタム

708 名前:6月15日(土)[saga] 投稿日:2014/02/08(土) 22:44:44.86 ID:2IU9oZePo

京太郎「……で、指令っすか」

灼「そゆこと」

京太郎「何も遠征先でまでやらなくていいのに……」

灼「まぁ、箱持ってきちゃったから」

憧「置いてくればいいじゃないですかぁ……」

 と、ベッドにうつ伏せて泣き言を漏らす憧。

 着ているのはパジャマで、それも夏用だから生地が薄い。

 そんな格好で寝そべるものだから、自慢の(?)小尻がくっきりだ。

 ちなみに鷺森部長もベッドに腰掛けていて、俺は椅子に座っている。

京太郎「なんでもいいけど憧、枕に涙のシミとか残すなよな」

憧「ふきゅっ!?///」ガバァッ

 あ、起きた。

憧「~~~~~っ!///」ワタワタ

 右見て左見て、

憧「え、えいっ!」ボフッ

 枕をひっくり返した。

憧「ふぅ……よーし!///」

京太郎「何がだ」

712 名前:6月15日(土)[saga] 投稿日:2014/02/08(土) 23:30:53.65 ID:2IU9oZePo

灼「続けてもいいかな……私も早くハルちゃんとこに戻りた……」

京太郎「あ、はい。どーぞ」

憧「すみません……」

灼「ん。要するに、どうせ夜は暇してるんだから指令で楽しく思い出を作ろう……だって」

憧「ぜんっぜん楽しくないんですけど!?」

京太郎「すまん、俺はちょっと楽しい」

 修学旅行みたいで。

 修学旅行と言えば、自分の部屋が分からなくなった咲が俺の部屋に迷い込んだことがあったな。

 ちょうど同室の男子達と女子の部屋に忍び込む流れだったのに、俺だけ咲と留守番を命じられたのだ。

 部屋を空にしては怪しまれるからと、一応は女子である咲までもを囮にしようと企んだ外道どもだった。

 まあ、冒険に出た勇者達は一人残らず教師に返り討ちに遭って正座&反省文の刑に処されたのだが。

 俺的には二人で他愛もない話をしながらトランプなんかで時間を潰したという、なんとも冴えない思い出である。

憧「嘘、こんなのが楽しいとかありえない! 男子が泊まってる部屋に自分から行くとか……!///」カァァッ

灼「だから私が付いてきたんでしょ。生娘じゃあるまいしピーピーうるさ……」

憧「生娘ですけど!?……あっ///」

 いや知ってるし。

灼「まあ私も生娘だけどね」ズバァッ

憧「ふきゅっ!?」

 いや知らんし。

 リアクションに困るからそういう被せボケはやめていただきたい。

720 名前:6月15日(土)[saga] 投稿日:2014/02/09(日) 00:00:07.15 ID:ZgajpVAMo

灼「さて……とりあえず」サッ

京太郎「あー、はい」

 差し出された指令ボックス。

 慣れた動きで手を突っ込む。

京太郎「鷺森部長も大変っすねえ」ゴソゴソ

灼「ハルちゃんの為ならえんやこら」

 愛されてんなぁ。

京太郎「っと。はい、引きましたよ」スッ

灼「ん」

憧「ちょっと待って! いつの間にクジ引いてんのよ!?」

 お前がふきゅふきゅ言いながらベッドの上を転がっている間にだよ。

灼「んじゃ発表しま……」

憧「待っ、まだ心の準備が――!」

                ____
               ´:i:i:i:i:i:i:i:i:i〕iト.
            ./i:i:i:i:i:i/i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:\
            /:i:i:i:i:i:i:i/|i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:iヽ
           ./:i:i:i:i:i:i:イ |i:i:i:i:i:i:i:|i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:゚,
           ':i:i:i:i:i:i/ |l |i:i:i:i:i:i:i:||i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i
         |:i:i:i:i:i:|厂|l` |i:i:i:i:i:i:i廾ト:i:i:i:i:i|i:i:i|
         |i:i:i:i:i: ≧=ォ Ⅵi:i:i:i:i{\i:i:|i:i:i:i|i:i:i|
         |i:i:i:i:i:i| V)ソ   ¨¨≧=ォヾ|i:i:i:i|i:i:i|  「今回の指令は、『相手の良いところを10コ挙げる』」
         |i:i:i:i:i:i|' ' '       V)ソ /|i:i:i:i|i:i:i|
          乂i:i:i:iト        ' ' ' /メ|i:i:i:i|i:i:i|
          \i|父ト ‘'___  イi:i:i:|i:i:i:i|i刈
              .イ \  / \¨7i:i:i:i:/
           -‐=彡 :| /Чト   } 〕iド¨¨
          /       ¨|:.|  /∧ /    \

憧「――、へ?」

753 名前:6月15日(土)[saga] 投稿日:2014/02/09(日) 14:26:29.10 ID:ZgajpVAMo

京太郎「相手の良いところ、って……」

 直球のようで変わり種だ。

 いや、今までの指令がブッ飛んでただけか。

 どちらにしろ、珍しいなという感想だった。

憧「なんか、割と簡単そうじゃない? これなら出来そう」ホッ

京太郎「だな」

 楽勝ムードの憧に同調する。

 いつも発表直後は暴れて大変だから一入である。

灼「……そう言ってられるのも今の内だと思……」ボソッ

京太郎「え?」

灼「なんでもな……じゃあ私が判定するから、お好きにどぞ」

 どぞって。

 言われてしまったら始めるしかないと、椅子とベッドで向かい合う。

 が、

京太郎「……」

憧「……」

 始まらん。

757 名前:6月15日(土)[saga] 投稿日:2014/02/09(日) 14:40:04.26 ID:ZgajpVAMo

京太郎「……おい」

憧「……何よ」

京太郎「相手の良いところを十個だぞ、分かってるか?」

憧「わ、分かってるわよ」

京太郎「そうか、分かってるならいいけど」

憧「……」

京太郎「……」

憧「あ、アンタから言いなさいよ」

京太郎「なんでだよ」

憧「こういう時は男から言うものじゃないの?」

京太郎「いいや、この場合はレディーファーストだ」

憧「なにそれ!?」

京太郎「なんでもいいから言えって。あんまり長引くと睡眠時間が減るぞ」

憧「う゛……きょ、京太郎の良いところ、ね……」ウーン

京太郎「……」

憧「……」



憧「や、優しいところ……とか?」

京太郎「それ最後の手段じゃねえの!?」

758 名前:6月15日(土)[saga] 投稿日:2014/02/09(日) 15:03:10.89 ID:ZgajpVAMo

 特徴らしい特徴のない人を褒める時の常套句。

 それが『優しい人』。

 まさかの一発目だった。

憧「し、仕方ないじゃない! 他に思いつかなかったんだから!」

京太郎「えぇー……流石にもっとこう……えぇ~……」

 普通にショックだ。

憧「なによ、ちゃんと褒めてるでしょ!? それに……ちゃんと本心、だし」モジッ

京太郎「あー……まあ、うん。素直に受け取っとくか」

憧「それでいーの。いちいち食い下がってたらキリがないわ」

京太郎「だな。そういうことなら、憧だって優しいよ」

憧「はあ!? 一発目が『優しい』って、他に思いつかなかったわけ!?」クワッ

京太郎「えええ今お前なんつったっけ!?」

憧「それとこれとは話が別! ていうか同じ答えってアリなんですか灼さん!?」

灼「中身次第だけど、これはアリかな」

京太郎「よっしゃ!」ガッツポ

憧「納得いかなーい!」ウガー

761 名前:6月15日(土)[saga] 投稿日:2014/02/09(日) 15:29:57.37 ID:ZgajpVAMo

灼「でも次は須賀くんから言ってね」

京太郎「えー」

憧「当たり前でしょ! 最悪あたしの真似してれば済むとか許さないんだから!」

京太郎「へいへい。憧の良いところね……」ウーン

憧「……」ドキドキ

 正面で身を固くする憧を見ながら一考。

 そうしてまず思いつくのは、

京太郎「やっぱ可愛いよなぁ」

憧「ふきゅっ!?///」ボンッ

京太郎「それにオシャレだし、あと頭もいい」

憧「ふきゅきゅっ……ちょ、ストップ! すとーーーっぷ!///」カァァッ

京太郎「なんだよ、止めんなよ」

憧「と、止めるわよっ! なに、なんでそんなにポンポン出ちゃうの!? 感情を失った機械なの!?」ヒェェ

京太郎「バカ言うなよ、俺みたいにハートフルな機械がいるかよ」

憧「黙れ!!」

 ひどい。

766 名前:6月15日(土)[saga] 投稿日:2014/02/09(日) 15:50:24.06 ID:ZgajpVAMo

灼「ちなみに今のは全部有効。須賀くん3ポインツ獲得」

京太郎「やったぜ」

憧「ず、ずるい!」

京太郎「ずるいってなんだよ」

憧「本当のことじゃない! 京太郎ばっかり先に言っちゃって、あたしはまだ全然……」

京太郎「だったら言えばいいだろ!(筋肉論破)」

憧「言うわよっ! 言うけど……恥ずかしいんだもん……」カァー

京太郎「大袈裟に考えすぎなんじゃないか?」

憧「むっ……京太郎、余裕ぶっててムカつく」ムスッ

京太郎「そんなー」

憧「いいわ、だったらあたしだって言ってやるんだから! か、覚悟しなさいよねっ!」ゴッ

京太郎「お、おう」タジッ

憧「――」



憧「きょ、京太郎、だって……かっ、かっこいい、よ……?///」



770 名前:6月15日(土)[saga] 投稿日:2014/02/09(日) 16:15:46.75 ID:ZgajpVAMo

京太郎「んなっ……!?」

 不意打ちだった。

 詰まりがちの、どもりながらの言葉だった。

 だからこそと言うべきか、余計に真剣味が増して聞こえた。

憧「あっ……ちょ、ちょっとだけだからね!? 悪くないってだけだから、調子に乗らないでよねっ!///」

京太郎「ぉ、おお」

 後付けの憎まれ口も上滑りしてしまう。

 目の前の茹でダコ程ではないにしろ、今の俺の顔も、きっと赤い。

憧「っ……ど、どう? 恥ずかしいもんでしょ」

京太郎「だな……甘く見てた」

憧「はあ、もうやめたい……」

灼「まだ2点だよ」

憧「ぅぁぁぁぁぁぁ……」ボスン

 またベッドに身体を投げ出す憧だった。

 その拍子に長い髪がばさりと広がって――あ。

京太郎「髪も綺麗だよな」

憧「ふきゅうううっ!!///」ビクンッ

780 名前:6月15日(土)[saga] 投稿日:2014/02/09(日) 16:58:41.65 ID:ZgajpVAMo

 憧が跳ね、反動で起き上がった。

 器用な奴めと思ったのも束の間、

憧「アンタねえっっ!!」ガシッ

 胸ぐらを掴まれた。

憧「どうしてこの流れでそんなこと言えるのよ!? やっぱり感情を失った機械でしょ!? そうなんでしょ!?」ユッサユッサ

京太郎「は、はい! すみません! 軽率でした、今のは確かに感情を失った機械でした!」ガックガック

憧「本当よ、まったく……!」

 呆れたように言い、手を離す憧。

 そのまま自分の髪を一房摘んで、

憧「大体、あたしの髪なんて褒めるようなもんじゃないのにさ……」

京太郎「む。待った、俺は点数稼ぎで言ったんじゃないぞ。本当に綺麗だと思ってる」

憧「っふぎゅ!?」

京太郎「普段の髪型も可愛いけど、結んでないのも大人っぽくて新鮮だよ」

憧「で、でもでも、玄とかに比べたらツヤとか全然……」

京太郎「もちろん玄さんの髪も綺麗だけどさ。今はお前を褒めてんだから素直に喜べよ」

憧「ぅ……お、おまえってゆーなぁ……///」フニャ





灼「まだ5点と2点なんだけど、終わらせる気あるの……」ウンザリ

789 名前:6月15日(土)[saga] 投稿日:2014/02/09(日) 17:25:29.89 ID:ZgajpVAMo

憧「うわっ、ごめんなさいっ!///」

灼「……別にいーけど。私のことは部屋の置物だとでも思って気楽にしてほし……」

 こけしかな?

憧「じゃ、じゃあ今度はあたしから言うわね」

京太郎「大丈夫か?」

憧「……心配されすぎるのも複雑よね。平気だから、ちゃんと聞いてなさい」

憧「すぅー、はぁー……」

 深呼吸て。

 やはり心配するなという方が難しい。

憧「京太郎は……背が高いよね」

京太郎「はい」

憧「それに、力持ちだし」

京太郎「はい」

憧「……」

京太郎「……」

憧「……判定は!?」

京太郎「おい」

灼「2ポインツ」

京太郎「おい!」

794 名前:6月15日(土)[saga] 投稿日:2014/02/09(日) 17:49:09.87 ID:ZgajpVAMo

憧「うし、これで4点!」グッ

京太郎「納得いかねえ! あんま褒められた気しないぞ!?」

憧「なによー、男で高身長って立派な長所でしょ?」

京太郎「デカすぎるのも考えものなんだよなぁ……一気に5cmも伸びたせいでバランス狂うし」

憧「それに関しては知らないわよ……あの執事さんに文句言ったら?」

京太郎「ハギヨシさんは最高だろうが! バカも休み休み言え!!」ガー

憧「なんであたしが怒られなきゃいけないのよ!!」シャー

京太郎「それと! 力持ちってなんだよ。別にパワーファイターじゃないぞ俺」

憧「え、あんな(↓)姿になっといて言う……?」

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             レ' }::::∨ニi三ニ   三三L          /ニ/ ∧:|
             ト、::::「ニi三ニ   ト三ニニ}         /三「   リ
                 Ⅵ三∧三     ニナ         ≠三 |
                 lニニ∧三  ,-===-、    ≠三, |
               i三ニニ∧三   =┬≧、    /ニi彡  ト、
           -―¬"|三ニニ',ニ\三三三{      /三/    l ン-、_
      ,..‐''"       l三三三、三\三三レ、_  /三/     ト    ー- 、
     /    ≦三三|三三三ヽニ三\三三ニ∨三/     |三ニ=   `'‐、
   /    ≦三三三三三三三ヘニニ三三三ニニ/   ∧  |三三三三≧   ヽ
  /     三三三三三三三三三三三三三ニニ/    にi   i三三三三三三   \

京太郎「いやあれ(↑)は別だろ」

憧「うっさいなぁ……いいじゃない力持ち。こないだみたいに、お……お姫様抱っことかも出来るんだしさ……///」ポッ

京太郎「うーん……あー、だったら俺も言うけど、いいか?」

憧「ん、いいわよ?」



京太郎「抱きやすい」



憧「」

814 名前:6月15日(土)[saga] 投稿日:2014/02/09(日) 20:57:11.10 ID:ZgajpVAMo

京太郎「ほら、指令とか事故とかでお前を抱き締めたことが何度かあったろ?」

京太郎「その度に、こう、なんつーのかな……しっくりするなあって思ってたんだよ」

憧「っ……、………………そ」

京太郎「ん?」

憧「そそっ、そ、それ、それっ、て……あたしだけ特別、ってこと……?///」ドキドキ



京太郎「いや違うけど」



憧「」

京太郎「憧って身長150ぐらいだろ? で、俺が182な」

京太郎「興味本位で調べてみたら、ギュッとしやすい身長差ってのが32cmらしくてさ」

京太郎「ちょうど俺達にピッタリで、なるほどなーって」

 まあ、眉唾物である。

 ちなみにキスしやすい身長差が12cmで、理想のカップル身長差が15cm。

 そして抱きやすい(意味深)身長差が22cmらしい。

 つくづくマユツバだ。

 キスやハグの理想とされる身長差と、カップルの理想とされる身長差が違うのはどういう訳なのか。

 単に並び立った状態での見栄えの問題なのだろうか。

京太郎「確か玄さんと……そうだ、綾ちゃんも憧ぐらいの背丈だったよな。二人も、抱いてみたらいい具合なんだろうなー」

憧「……………………………………………………」

京太郎「憧?」

憧「もがきくるしんでしね」

京太郎「憧!?」ビクッ

818 名前:6月15日(土)[saga] 投稿日:2014/02/09(日) 21:22:41.54 ID:ZgajpVAMo

灼「はい、須賀くん6ポイント目……で、次も須賀くんね」

京太郎「何故に!?」

灼「いいから。さっさと褒めた方がい……」

京太郎「はあ……」

 そう言われても、連チャンは辛いものがある。

 髪が綺麗とか抱きやすいってのは見た目や主観の話だし、そろそろ内面を褒めるべきか。

京太郎「……あ、そうだ! 綾ちゃんで思い出したけど、憧って子供に好かれてるよな」

灼「確かに、面倒見はいい方だと思……1点」

京太郎「あざっす!」

灼「じゃ、次は憧ね」

憧「………………京太郎も、子供に好かれるタイプよね」

京太郎「え、そうか?」

憧「そうよ。綾とか、凛とかひなとか桜子とか。あと綾とか」

京太郎「綾ちゃん二回目だぞ」

憧「綾とか綾とか綾とか綾とか……」ブツブツ

京太郎「あ、憧? 綾ちゃんが無限増殖してるぞ? バグか?」ビクビク

憧「ッ――うっさい! 子供に好かれすぎなのよアンタは! この駆逐艦マニア!!」

京太郎「えぇ!?」

灼「1ポインッ!」

京太郎「えぇえええ!?」

828 名前:6月15日(土)[saga] 投稿日:2014/02/09(日) 22:01:00.45 ID:ZgajpVAMo

憧「バカ! 京太郎のバカ! 料理上手! バカ! いい匂いバカ!!」

灼「更に2ポインツ! 新子選手、須賀選手に並んだ!」

京太郎「待てやコラ!! バカバカ言いながら褒められても嬉しくねーよ!」

憧「ふんっ! 京太郎にはこのくらいでちょうどいいのよ!」プイッ

京太郎「んだとォ……なんでそう素直じゃねーんだ、友達想いのくせして!」

憧「なによ! アンタだって本当は気配りが出来るくせに奇行で台無しにしてるじゃない!」

京太郎「誰が奇行種だ! そうやって生意気な態度じゃ折角の女の子らしさを気付いてもらえねーぞ!」

憧「あたしをこんなに怒らせるのなんてアンタだけよ! 手先に比べて口先が不器用すぎるのよっ!」

京太郎「ん、なっ……! 口が減らねー奴だな! これじゃあ麻雀以外に嫁の貰い手はないな!」

憧「はぁ!? 大きなお世話なんですけど! 人の心配してる暇があったらその無駄に有り余ってる行動力でさっさと彼女でも作ったらどうなの!」

「「ぐぬぬぬぬぬぬ!」」



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    |.:.::::::i| ト--==ゥ^   ____   V:::::::: i::::::: |
    |:::::::::{} V辷 ノ    ´丁l 厂「ア У:::: i::::::: !  「はい、ミッションコンプリート」
.    ,′::::从 、、、         ゝ辷 ノ / }:::::: |:::::::::
    {::::::::::::l i     ゙       、、、   / j::::::::i::::::: l
.    、:::::::::::込             ィ::::/:::::::::i::::/::|
     ヽ:::::::::r >  <ヽ     <:::j::/::::::::::/::/ リ
      ` ̄`   八>- <八   〈::::::::::/::/イ
            /  ヽ  ./  \  ー--‐'
    __,. '7     几ハ     7 ー-
   /     {   /   ヽ   /     `ヽ
.  ∧      乂/{ i   / へ/         ハ



「「へっ?」」

837 名前:6月15日(土)[saga] 投稿日:2014/02/09(日) 22:35:53.27 ID:ZgajpVAMo

 白熱する俺と憧に投げられた鷺森部長の言葉。

 その意味を理解するより早く彼女は立ち上がる。

灼「じゃ、私はハルちゃんの待ってる部屋に帰るから。お疲れ」ドヒューン

京太郎「ちょっ!?」

憧「灼さん!?」

 もういない。

「「……」」

憧「ミッションコンプリートだって」

京太郎「ああ、いつの間に終わってたんだろうな……」

憧「さあ……とにかく疲れたぁ。良いとこ探しって大変なのね」

京太郎「こっちのセリフだっつーの」

「「………………」」










京太郎「ちなみに俺の悪いところを十個挙げろって言われたら?」

憧「誰にでも優しいところヤンキーみたいな見た目デカすぎて首が痛くなる駆逐艦マニア周りに気を遣いすぎ女心が分かってないエッチ馬鹿スケベ変態」

京太郎「テメェ半分以上良いところと被ってんじゃねえかよやぁ!!」ガバァッ

 このあと滅茶苦茶ベッドの上で取っ組み合った。

【TO BE CONTINUED...】
最終更新:2014年02月10日 01:04