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「あなた断ち」(2014/06/17 (火) 23:12:39) の最新版変更点
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849 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/11(水) 21:36:16.45 ID:PmKrt7+Uo
京太郎「なあなあ」
憧「んー?」
京太郎「お前ってコンビニのおにぎり温める派? 温めない派?」
憧「いきなり変なこと訊くわね……常温ならそのままかしら。海苔がふやけちゃうし」
京太郎「だっよなぁ!? あのパリパリがいいのになぁ!」
憧「おにぎりはやっぱセブンよねー。ハズレがないわ」
京太郎「でもこの前いかめしおこわおむすび食ったらスゲー固かった……」
憧「失敗談の流れだったの!?」
京太郎「味は良かったんだよ……ただただおこわが固かったんだ……」
憧「それは……まあ、ご愁傷様」
京太郎「でも卵かけご飯風おにぎりは美味かったぞ!」
憧「何それ!? 卵かけご飯でおにぎり!?」
京太郎「おう。いい感じに醤油の味が感じられて個人的には大ヒットだった」
憧「へー……今度見かけたら買ってみよ」
858 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/11(水) 22:15:20.76 ID:PmKrt7+Uo
「須賀ニキー」
京太郎「あん?」
憧「ッ!」キュッ
「これ、数学のノート。係だろ?」スッ
京太郎「あー。憧がな。ほれ」スッ
憧「う、うん……」
京太郎「ちなみに俺は忘れた。見せて!」
憧「甘えない!」ベシッ
「憧ちゃーん」
憧「なに?」クルッ
「ちょっと須賀くん借りてもいい?」
憧「え、いいけど……な、なんであたしに訊くの?」
「だって憧ちゃんから須賀くん取り上げるの悪いし」
憧「取り上げるって何!? 別にあたしは京太郎がいなくたって――」
「さっきから須賀くんのシャツ摘んでるよね」
憧「ふきゅ」
866 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/11(水) 22:56:44.63 ID:PmKrt7+Uo
京太郎「おわマジだ。全然気付かなかった」
「気付けよ。俺が話し掛けたのと同時に掴んでたぞ」
京太郎「そうなのか?」
憧「うっさいばかぁ!///」
「怒る前にシャツ離そうよ憧ちゃん」
憧「っ///」パッ
京太郎「で、俺に用だっけ?」
「そうそう。新聞紙で野球してたんだけどさー」
京太郎「男子かよ」
「打球が思ったより伸びて黒板の上に乗っちゃって」
京太郎「バットもあるのかよ」
「グラブもあるよ?」
京太郎「折ったのか!? すげーな!」
871 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/11(水) 23:28:10.75 ID:PmKrt7+Uo
「でね、私らじゃ届かないから須賀くんに手伝ってほしいんだけど」
京太郎「いいぜ。どこに跪く?」
「立って届くよね!?」
「そうだぞ須賀ニキ! 跪くなら俺にだって出きらあ!!」
「うん、キミはスケベそうだから却下」
「」
憧「いや、それなら京太郎もアウトでしょ。滅茶苦茶スケベよこいつ」
「えー? 紳士そうに見えるけどなー」
京太郎「うんうん」
憧「ないないないないないないないないないないないない」
京太郎「そんなに!?」
憧「そんなに。一番の被害者のあたしが言うんだから間違いないわ」
「へぇー、被害者なんだぁー」ニヤニヤ
憧「ハッ!?」
875 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/12(木) 00:12:47.97 ID:cXtTv1kto
「なになに? ナニされちゃったの憧ちゃん?」ズイッ
憧「さ、されてない! されたけどされてない!///」
「やーん真っ赤になっちゃって~。もう須賀くんナシじゃ生きていけない身体にされちゃったんだね」
憧「ふっぎゅ……そんなことない!! 別に、こんなのいなくたって平気だから!」
「ほほぉう? 言ったね小娘」
憧「い、言ったけど……ていうか同い年なのに小娘って――」
「みんなー! 須賀くん解禁! かーいーきーんー!!」
憧「!?」
「マジ、須賀くん解禁?」ワラワラ
「須賀さん解禁と聞いて」ワラワラ
「喋ってみたかったんだよねぇ」ワラワラ
「おしゃべり解禁? おさわり解禁?」ワラワラ
憧「!!?」
京太郎「何だァーーーーーッ!?」
883 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/12(木) 00:47:23.23 ID:cXtTv1kto
「ふーむ、これは1995年以来の出来ですなー」サスサス
「上々で申し分ない仕上がりだよね」ペタペタ
「柔らかく果実味と程よい酸味が調和してます」モゾモゾ
「今年は天候が良かった為、昨年並の仕上がり。爽やかでバランスが良い」ニギニギ
「ボジョレー史上最悪の不作」ゲシゲシ
京太郎「やめろ擦るな触るな潜るな握るな蹴るな! まずワイン扱いすんな!!」
憧「……」
「ごめんごめん。今まであんまり話す機会なかったからつい」
京太郎「ああ、まあ確かに」
「いつも憧ちゃんとベッタリだからねー」
京太郎「そんなつもりはなかったけどなぁ」
「無意識だったの!?」
「重症ですね……」
「これは治療が必要だねぇ。とりあえず隅っこで固まってると狭いから向こう行こ?」グイッ
京太郎「お、おう」
憧「――!」
キュッ
892 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/12(木) 01:24:30.30 ID:cXtTv1kto
京太郎「おっ?」ヨロッ
憧「ぁ……」
「憧ちゃん?」
「あらまぁ」
「これはこれは」
憧「や、違っ……///」パッ
「何が違うんですかね(ゲス顔)」
「もう堕ちてるじゃないか!(憤怒)」
憧「違うったら! あの、その……ノート!」
京太郎「ノート?」
憧「そう、ノート! 忘れたんでしょ? 特別に見せてあげるから!」スッ
京太郎「マジで!? サンキュー!」
「誤魔化した」
「誤魔化したねぇ」
「誤魔化せてないけどね」
憧「うるさいそこ! いいから解散する!」シッシッ
「はーい」
「いいけど黒板の上の新聞紙は取ってね」
京太郎「ウィッス」
憧「~~~っ……///」
899 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/12(木) 01:48:59.79 ID:cXtTv1kto
テクテク
ヒョイッ ワーアリガトー ナンノコレシキ
テクテク
京太郎「ただいまーっと」ストン
憧「……」
京太郎「憧?」
憧「……」
京太郎「頭抱えて突っ伏してどうした。避難訓練か?」
憧「……」
京太郎「憧?」
憧「決めた」ボソッ
京太郎「え?」
ガタッ
憧「……」
京太郎「憧? 一体どうし――」
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. xァ′ / | ヽ {__j__
' / ′ / | | . :, `丶 \
/ / / i | i | | | i | i :, \ \
/ / | | ‐-L_ | | | j |i | | | \ \
. | |:八 人j ト八 i |斗匕|「 | | | l: ., ヽ
/ | | Ⅳj]xぅ妝斥 \ i/≫ぅ妝ミxV| | |: .′ ,
. ′ 八 :{ | |坏´_)「:::ハ \ ∨ _)「:::ハⅥ | |: . ′
; \乂_| |八 rヘしi::::} \ rヘしi::::} オ | . .|: . i ;
| i l .⌒| | 乂__/ソ 乂__/ソ | | . .|: . | i | 「京太郎断ちをします!!!」
| | | . . .| | ,,, , ,,, | | . .|: . | | |
| | /:| . . .| |\i | | . .|: . | | |
| | | . . .| |:::八 r'ア ̄`ヽ /::| | . .|: . | | |
| | i | . . :| {::::::个:... ∨ ノ イ:::::} | . .|: . | | |
| | | | . .八 V斗ri:i:i:〕ト ィ:〔:i:i:iTV 八 .|: . | | |
| | | | . . . :\ Vi:i:i:i:i:i:i:|. : j>--<. : .{: |:i:i:i:iV // 廴_| | |
| | r七i| . . . . : |\i:i:i:i:i:i:i:|: . : . : . : . : . : . :|:i:i:i:/i:i/ // /i:\ | |
| | ∧ Ⅵ. . . . . :|:i:i:\i:i:i:i:|─-. : . : . : .-─|:/i:i:i:/ // /:i:i:i:i∧ | |
}}}}
京太郎「俺断たれるの!?」
939 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/12(木) 21:46:33.70 ID:cXtTv1kto
……
…………
………………
そんな宣言があった朝――そうです、朝だったんです――から一時間。
一限目の授業が終わった休み時間。
憧「でさーくさくってさー」
エーホントニー? ヤダー キャッキャウフフ
京太郎「……」ボケー
「お? 珍しいな須賀ニキ、一人なんて」
「新子さんと一緒にいなくていいのか?」
「それがよ、こいつ新子さんからフラれたんだぜウケる!!!」
「マジかよ超ウケるな!!!」
「須賀! ウケずにはいられないッ!」
京太郎「うるせえ!!! フラれてねーし、そもそも付き合ってもねーよ!!」
「マジかよ俺ちょっと告ってくるわ!」ガタッ
#aa{{{
_ -‐' ヽ | __ -ヽ
_ -─  ̄ __ -─ヘ キニ-─  ̄ヽ
___, -─── フ ̄ , -─ニ -──  ̄ ̄ヽヽ
/ / /_ - ニ 三-ニ-──────---ヽ├- 、_
/ /二-‐_ニ-‐" ___ ` ヽ ヽ \ ̄
_, -ァ / ̄_ -‐" ,-‐ ヽ、 `\、 \
-‐ァ /_ニ-‐´ /、, -‐  ̄ ‐- ヽ 冫 /
/ /,.ァ/ / >、\ >イ ヽ / /
./ /" / / / \\ // ヽ ヽ / /
/ /. | .| \ヾ::::ソ/ | | / 「座ってろ」
/ | .| /〈 〉ヽ .| |
- 、 | ヽ \`´/ / /
ヽ ヽ ヽ `´ / / /
`ヽ、 \ `ー _ -' / / ,
`ー 、 `ー __ -‐' , -‐'/" ̄
`ー- ____ -─  ̄ _
_ -─  ̄
__ -─  ̄
}}}
「はい」ストン
945 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/12(木) 22:37:11.44 ID:cXtTv1kto
京太郎「憧のやつ、俺にべったりだーって女子にからかわれてな。意地張ってんだよ」
「ほーん」
「まあ確かにあの依存っぷりはな」
京太郎「依存て」
「俺まだ須賀ニキの仲介なしで新子さんと喋ったことないぞ」
「僕も」
「我も」
「朕も」
京太郎「本人にはよく言って聞かせておきます」ペッコリン
「いやだからお前が言ったらダメだろうがよ」
京太郎「」ハッ
「思うんだけどさ、須賀も大概新子さんのこと甘やかしてるよな」
京太郎「オレェ? ないない、別に甘やかしてなんて」
「ところで提出し忘れてたノートがここに」スッ
京太郎「テメェ俺がいる時に出しとけよやぁ!!」ガタァッ
「ダダ甘じゃねーか」
京太郎「」ハッ
950 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/12(木) 23:06:33.68 ID:cXtTv1kto
「落ち着け須賀、これはチャンスかもしれないぞ」
京太郎「チャンスだあ? 俺がいない隙に憧に粉かけようって魂胆かよこの粉吹き芋どもがあああああ」ゴッ
「あて身」ドスッ
京太郎「れーべっ!」ドサッ
「落ち着けっての……お前、同じ部のよしみで新子さんの世話焼いてんだろ?」
京太郎「あ、ああ」ヨロヨロ
「だったら見守ってやろうぜ。ノート手渡しするだけじゃねーか」
京太郎「ぐっ……まあ……いや……でも……」ウゴゴゴ
「滅茶苦茶悩んでんぞ」
「やっぱ過保護だわ」
「もういいや、今の内に行ってこい」
「あくまで紳士的にな」
「須賀は俺らで押さえとくから」
「了解! トランザム!」ドヒューン
京太郎「………………あっ!? おい待ッなんだお前ら!? 離せ! 俺は須賀だぞ!!」ギャース
954 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/12(木) 23:43:36.91 ID:cXtTv1kto
拘束された。うごご動けん。
唯一自由な首を回して奴を追う。
奴――便宜上モブえもんと呼ぶ――あまり便利じゃないな――は、憧を含めた談笑する女子の一団に近付いていく。
……ただでさえマイノリティな男が一人で女子の群れに突っ込むって、それはそれで結構勇気が要るんじゃないか。
いやそんなことはどうでもよくて。
憧だ。
大丈夫か。気付いてるか。男が近付いてるぞ。
憧「!」ピクッ
気付いた!
流石の男嫌いだ、過敏に察知したな。
そして即座に手を伸ばし……
憧「!!」スカッ
空振った!!
そこに俺はいないぞ憧!
そうか、第三者からはこう見えていたのか。
新鮮な視点ではあるが、それより女子の只中にいながらも孤立無援な雰囲気をビンビン発している憧が不憫だ。
961 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/13(金) 00:23:16.36 ID:sgxbOrioo
憧「」オロオロ
「うろたえてるぞ」
「うろたえてるな」
京太郎「うろたえてるじゃねーか! 行かなきゃ!!(使命感)」
「落ち着けっての」
「別に取って食おうってわけじゃねーんだから」
「でもスゲー悪いことしてる気分になるのはなんだろうなこれ」
やがて周りの女子も気付きだす。
モブえもんもビビりだす。
無駄に一触即発なムードの中、ノートを前に突き出して無害アピール。
そのままトラかライオンの餌やり体験みたいな及び腰で憧の前へ。
憧「」チラッチラッ
「こっち見てるぞ」
「こっち見てるな」
「どう見ても須賀に助けを求めてるな」
「可愛い」
「須賀爆発しろ」
966 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/13(金) 01:01:48.44 ID:sgxbOrioo
京太郎「憧……!」ウゴゴゴ
歯がゆい。
憧が俺に助けを求めているのに。
こんな野郎どもに纏わりつかれただけで動けないなんて。
――本当に?
本当に動けないのか、須賀京太郎。
否。
本当は動ける筈だ。
男子高校生五人程度、容易く振り払える筈だ。
――もうこれで終わってもいい。
その覚悟があれば――
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レ' |:::::::::::::::::::/ニ∨::::::::`'‐.、ト、::::::::::::::|三,.-':::\|ヽ::::::::::::::::::::::::::::::| i
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|:::::::∧ニレ、}三 ム三ニニ| ヽ三/ 三∨::::|ス::∨
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レ' }::::∨ニi三ニ 三三L /ニ/ ∧:|
ト、::::「ニi三ニ ト三ニニ} /三「 リ
}}}}
「あ、新子さん。これ、ノートっす」スッ
憧「ぅ、う、う、ぅん……・あり、がと……」プルプル
「おー受け渡し成功」
「新子さんめっちゃ震えてんぞ」
「拍手だ拍手だ」
「謎の感動があるな」
「映画化決定」
京太郎「――ウウウゥゥン」プシューッ
973 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/13(金) 01:26:55.12 ID:sgxbOrioo
「アイムバーック!!」ヒャッハー
「おめでとう!」
「おめでとう!」
「でも死ね!」
「新子さんと喋りやがって死ね!」
「俺もノート忘れりゃ良かった死ね!」
京太郎「憧……」
視線の先で、憧は女子に囲まれて笑っていた。
良かった。無事にノートを受け取ることが出来て。
離れて見守ってこそ分かる成長か。胸が熱くなるな。
「あー、恐らくモノローグに浸っているであろうところ悪いがな、須賀」
京太郎「なんだよ」
「協議の結果が出たんだよ」
京太郎「協議ぃ?」
「ああ。全会一致で決定したことだが――」
「お前も」「かなり」「ヤバい」
京太郎「!?」
978 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/13(金) 01:39:52.39 ID:sgxbOrioo
キーンコーン カーンコーン
キーンコーン カーンコーン
憧「」ストン
京太郎「」ストン
憧「……」
京太郎「……」
憧「」チラッ
京太郎「憧」
憧「!」ビクッ
京太郎「そのままでいい。返事はしなくていいから、聞いてくれ」
憧「……?」
京太郎「……俺は――」
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/ _,/:.:..| ::| \ ! j/ ′/:.:|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.
/ :.:.:.:.:{ ::|\ハ_, ノ ,___/{:.:.|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.∧ 「憧断ちをする!!!」
. /:.:.:.:.:.:.:.::′ ::|:.:.|\圦 / j/l/.:.:′:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.∧
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}}}}
憧「!!?」
38 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/13(金) 22:26:07.03 ID:sgxbOrioo
……
…………
………………
~食堂~
玄「ふぅ~む、なるほどなるほど、なるほど~」
宥「そんなことがあったんだぁ……」
灼「それで二人とも離れて座ってるんだ」
#bold(){#size(12){#aa{{{
憧□宥
穏□玄
灼□京
}}}}}
穏乃「そうなんですよー。休み時間に遊びに行ってビックリしました」
玄「ケンカしてるわけじゃないんだよね?」
京太郎「もちろん。あくまで個人個人の問題です」
宥「憧ちゃんは?」
憧「あ、あたしだって。むしろケンカしてた方が気楽だったわよ……」ゴニョゴニョ
44 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/13(金) 23:05:50.27 ID:sgxbOrioo
灼「まァ、ケンカじゃないなら問題ないと思……」
穏乃「ないんですか?」
灼「二人がお互いべったりなのは事実だし」
憧「事実じゃ!……なぃ……」
灼「うん、自覚があるだけマシかな。とにかく、たまには距離を置くのも大事」ウンウン
京太郎「ちなみに鷺森部長は監督と距離を置いたりすることは」
灼「は?」ギロッ
京太郎「なんでもないっす」
穏乃「んー、仲が良いのはいいことだと思うんだけどなー」
宥「あったかいのにねぇ……」
玄「京太郎くんは寂しかったりしないの?」
京太郎「よゆーっす」
憧「」ムッ
京太郎「クラスも一緒で席も隣で、ただ世話を焼いたり焼かれたりしないってだけですから。あ、醤油取ってくれ憧」
憧「え?」
京太郎「え?」
51 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/13(金) 23:49:49.20 ID:sgxbOrioo
玄「京太郎くん……」
京太郎「?」キョトン
京太郎「……」フム
京太郎「………………あっ!?」ズガーン
穏乃「」ジー
宥「」ジィー
灼「」ジトー
京太郎「違っ、今のは間違いです! 言い間違えただけ! だからノーカンなんです、ノーカン!」
憧「ノーカンねぇ」ニヤニヤ
京太郎「笑うなそこ! ゆ、宥さん。醤油取ってください」
宥「あ、うん。はい」スッ
京太郎「どーも……」
憧「まったく、言ってる傍からこれ? アンタってあたしがいなきゃ駄目なわけ?」ニマニマ
京太郎「ぐッ……うっせえ、言葉の綾ちゃんだよ! つかニヤけすぎだろお前!」
憧「だって~」フフン
京太郎「…………………………あっ! 憧の後ろに筋肉モリモリマッチョマンの変態が!!」ビシッ
憧「ふきゅっ!?」ガタッ
#bold(){#size(12){#aa{{{
□宥
穏□玄
灼□京憧
}}}}}
憧「ど、どこ!? やだ、助けて京太郎っ!」ビクビク
69 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/14(土) 00:32:37.80 ID:m9jNicsSo
玄「あ、憧ちゃん……」
憧「へ? な、なに――」チラッ
穏乃「」ジー
宥「」ジィー
灼「」ジトー
憧「――………………ああぁあっ!?///」
京太郎「おンやぁ~? 言ってる傍からこれですか~~~ァ?」
憧「あ、アンタ……騙したの!? しょーもない嘘なんてついて!」
京太郎「へっ、そのしょーもない嘘に引っかかる方が悪いんだよ!」
憧「なにそれ!? 人の弱みに漬け込んで……もう頭きた!!」
京太郎「こっちのセリフだ!!」
玄「はわわわわ……」
宥「あったかくない……」
灼「やっぱりこうなったか……」
穏乃「二人とも喧嘩はダメだってば!」
71 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/14(土) 01:15:11.96 ID:m9jNicsSo
京太郎「安心しろ穏乃、これは喧嘩じゃない」
穏乃「そ、そうなの?」
憧「そうよ。これは単なる決意表明」
穏乃「けついひょうめい……?」
京太郎「もう憧には頼らないし頼られない。だから俺は――玄さんにあーんしてもらう!!」クワッ
玄「ふえ゛っ!?///」
憧「ちょっと、あたしそんなことしてないんだけど!?」ガタッ
京太郎「え? なんですか? 関係ない人は口を出さないでもらえます?」
憧「こンの……! 玄、嫌なら嫌だってハッキリ言いなさいよ!」
玄「わ、私は別にいいけど……///」テレテレ
憧「いいの!? それならあたしはしずに……くっ、全然嬉しくない!」
穏乃「ひどい!」
玄「きょ、京太郎くん、あーん///」
京太郎「あーん」パクッ
憧「ぐぬぬ……!」ギリッ
穏乃「仲良くしようよ~……」
95 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/14(土) 21:13:24.48 ID:m9jNicsSo
……
…………
………………
~部室~
それから――
午後の授業をどうにかこうにかやり過ごして、放課後。
部活の時間だ。
京太郎「……」
憧「……」
穏乃「」オロオロ
玄「」オロオロ
宥「」オロオロ
灼「」モキュモキュ
空気は最悪だった。
107 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/14(土) 22:56:19.13 ID:m9jNicsSo
原因は、言うまでもなく俺と憧のお互い断ちだ。
午後に入って一度も口を利いていない。
それでいて同じクラス。隣の席。嫌でも目に付く。
目に付く範囲に居られると、どうしても気になる。
結果的にストレスが溜まるばかりだった。
その空気を部活に持ち込んでしまった。
オロオロするばかりの穏乃、玄さん、宥さんには申し訳ないと思っている。
鷺森部長はおむすびを食っている。
そして更に間の悪いことに、レジェンドが来ない。
何度目だナウシカ。
会議か何かが長引いているのだろうが、よりにもよって今日か。
おかげで部活も始められず、談笑ムードでもなく、ひたすら重苦しい沈黙が続いていた。
京太郎「……」
なんとかしなければ。
原因の片棒を担ぐ者として、そう決心する。
110 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/14(土) 23:33:18.49 ID:m9jNicsSo
差し当たって、
京太郎「穏乃ー」カムカム
穏乃「!」
憧「!!」
手招きしつつ穏乃を呼んだ。
穏乃「なに?」トテテ
と、素直に応じて近付いてきた穏乃を、
京太郎「うりゃ」ダキッ
穏乃「!?」
憧「!!?」
正面から抱き締めた。
穏乃「きょ、京太郎っ!?」アワワ
京太郎「はー落ち着く……悪い、ちょっとの間こうさせてくれ」
穏乃「そっ……い、いいけどさ……」ギュッ
憧「……」
120 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/15(日) 00:27:49.64 ID:mJxXjGeWo
京太郎「癒やされるわー」ムギュムギュ
穏乃「ぅー……」ソワソワ
どうだ。
穏乃を可愛がることで発生する和やかムードを部室中に充満させる。
それによって皆ニッコニコって寸法よ。
これぞ我が『逃走経路』だ。
が、
憧「……しず~」
穏乃「ッ! ご、ごめん京太郎、憧が呼んでるから!」パッ
京太郎「穏乃!?」
なんということだ。
穏乃を憧に取られてしまった。
走り去る背中に、未練がましく視線を送る。
穏乃「お待たせ! どしたの憧?」
憧「んー? 別にどうってわけじゃないけど……うりゃっ!」ダキッ
穏乃「わふっ!?」
京太郎「!!?」
125 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/15(日) 01:01:34.17 ID:mJxXjGeWo
穏乃「きゅ、急にどうしたの?」
憧「だからどうもしないってばー。そうだ、髪梳いてあげよっか!」
穏乃「なんで!?」
憧「なんでもいいじゃーん。たまには女の子らしいスキンシップしようよー。ささ、座って座って」
穏乃「ぅー……いいけど……」ストン
憧「髪下ろすね」スルッ
言うが早いか、穏乃のポニテを解く憧。
栗色の髪がぱさりと肩に落ちる。
憧「相変わらず手入れとかしてない割には綺麗よね……」スッスッ
穏乃「うぇひひ、くすぐったいー」
憧「羨ましいぞーこのー」ワシャワシャ
穏乃「きゃー♪」
京太郎「……」
138 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/15(日) 15:09:54.84 ID:mJxXjGeWo
なんか。
面白くない。
対抗心が立ち上がる。
京太郎「……穏乃ー」
穏乃「!」
憧「!!」
京太郎「しーずーのー」カムカム
穏乃「え……っと」チラッ
憧「……別に? 行けばいいんじゃない? あたしのことなんて気にしないでさ」
穏乃「ぁう……じゃ、じゃあ」
トテテ
穏乃「きたよー」
京太郎「よーしよく来たな。お菓子をやろう」
穏乃「わーい♪」
141 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/15(日) 15:57:08.25 ID:mJxXjGeWo
京太郎「この季節はチョコ菓子だと厳しいからプリッツだ。平気か?」
穏乃「もーまんたい!」
京太郎「よかった。んじゃ、あーん」
穏乃「あーん♪」パクッ
と、口で受け取ったプリッツを嬉しそうに齧る穏乃。
その髪は未だ下ろしたままだった。
京太郎「……」ジー
穏乃「ぅ? 京太郎、どうかした?」
京太郎「いや、髪下ろしてるの珍しいなって」
確か河水浴以来かな。
穏乃「あー。……へ、変?」
京太郎「ん? 別に変じゃあないぞ。新鮮ってだけで、普通に可愛いよ」
穏乃「かわっ……え、えへへ……///」テレテレ
憧「……」
144 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/15(日) 16:41:11.07 ID:mJxXjGeWo
京太郎「プリッツもう一本どうだ?」
穏乃「食べる食べる!」
京太郎「よしきた。あー――」
憧「……し~ず~」
またか。
なんて、俺が言えた義理ではないが。
京太郎「……」
穏乃「きょ、京太郎……」
上目遣いで俺の反応を窺う穏乃。
ここで引き止めては俺の底意地が悪いようだ。
自分から始めたことで自分の首を絞めていた。
京太郎「……いーよ、行ってこい」
穏乃「う、うん……」トテテ
不承不承、笑顔で待ち構える憧の下へ走る穏乃を見送った。
147 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/15(日) 17:23:28.41 ID:mJxXjGeWo
穏乃「あこー」
憧「いらっしゃーい。さて、続きしよっか!」
穏乃「続き?」
憧「髪いじりの。どんな髪型にする?」
穏乃「そんな話だっけ!?」
憧「違うけど。でも折角だから、ね?」
穏乃「何が折角……?」
憧「いーからいーから。さーて何が似合うかなー? 何でも似合いそうだなー♪」ルンルン
穏乃「ぁぅぅ……」
困惑する穏乃の髪を握って束ねて遊ぶ憧。
憧「ねー玄、どんな髪型がいいと思うー?」
玄「わ、私? んと……ツインテールとか可愛いんじゃないかな?」
憧「いいねー。他には?」
宥「三つ編みとか……」
灼「昇天ペガサスMIX盛り」
憧「それは長さが足りないってー」アハハ
足りたら盛れるのかお前。
152 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/15(日) 18:16:22.87 ID:mJxXjGeWo
憧「ま、ここは定番のツインテでいきますか」
穏乃「定番なの?」
疑問符を浮かべる穏乃。
お構いなしで髪を整えだす憧。
それを離れた位置から眺める俺。
なんとも据わりが悪い。
気まずいムードも払拭出来ずにいる。
どうして穏乃を取り合うような形になってしまったのだろう。
憧「でーきたっ」
京太郎「!」
考えている間に、穏乃はすっかりツインテールになっていた。
短めのしっぽが穏乃の活発な雰囲気とよくマッチしている。
玄「わっ、穏乃ちゃんかわいー!」
穏乃「そ、そうですか? どうなってるのか自分じゃわかんない……」
憧「ほい鏡」スッ
穏乃「ありがと……って何これ! まるで女の子じゃん!!」ギャース
憧「いや女の子だからアンタ」
168 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/15(日) 21:48:58.55 ID:mJxXjGeWo
穏乃「な、なんか落ち着かない……」ソワソワ
憧「自信作なのになー。あ、写メ撮っていい?」
穏乃「絶対ダメ!」
京太郎「……穏乃!」
声は。
自分で思ったよりも大きな音で出てしまった。
皆の視線が集まる。
京太郎「あー……こっち。来てくれるか?」
穏乃「ぅ、ん。分かった……」タッ
ふたつに増えたしっぽを揺らし、穏乃が俺の前に立った。
穏乃「ど、どうかな……?」
京太郎「ん、可愛いぞ」
穏乃「………………それだけ?」
京太郎「え?」
穏乃「あの、頭……撫でてくれないのかなって」モジモジ
173 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/15(日) 22:14:31.34 ID:mJxXjGeWo
京太郎「あ、ああ。悪い悪い……ほら」
ワソッ
穏乃「――!」
京太郎「ん? どうした?」ワソンワソン
穏乃「……」
京太郎「穏乃?」
穏乃「……がう」ボソッ
京太郎「なんだって?」
穏乃「違う。こんなの京太郎じゃない」
京太郎「なっ……おい、一体何を――」
穏乃「こんなの、ぞんざいななでなでだよ!!!」
京太郎「ぞんざいななでなで!?」
177 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/15(日) 22:47:02.67 ID:mJxXjGeWo
穏乃「いつもはふんわりやわらかな手つきで頭のツボを的確に抑えたなでなでなのに……!」
京太郎「お、おう……そんなに高く評価してくれてたんだな」
穏乃「でも今のは全然ダメだった! いつもの京太郎らしくなかったよ!」
京太郎「っ」
穏乃「ねえ、やっぱり憧と仲直りしようよ」
京太郎「だ、だから別に喧嘩してる訳じゃ……」
穏乃「それなら仲良く出来るよね?」
京太郎「う」
憧「……しず……」
別に――
好きで素っ気なくしている訳じゃない。
憧だって同じ筈だ。
ただ、お互いに必要なことだと考えたから。
だからこうして、無理を押してでも距離を置いているんだ。
けど、
それが、もし、間違いだとしたら――?
ガラッ
#aa{{{
--……--
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//: :/ : : \:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`:.o。:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. :i: ゚
. /イ /: :.:.:.イ:.:. ー┬---:.:.:.:__:.`:.:.o。:.:.:.:.:.|.:..。
i{ | ′:.:.'{_|_:.:.:.:| リV:.:.:.:.:.:.:}:.>匕、: :\j--i 「ごっめーん、遅レジェンド☆」
|| |/: :.:.:∧}リ≫┘o。v――'’xr示=ミト、:.:.\}、
リ {: :.:.:.:.|!:‘, ィ芹≧ュ ’|イi//| 》、:。:.:.:.ぃ、
|:.:.:.:.:.「`ヽ《乂_゚ツ ゞ= '゚ :リ/リ゚。:.:.ト、i
|:.:.:.:.小 , , ' , , : /:.:.:.∧:.} リ
l.:.:.:.:.:| }ゝ-! jハ:.:.:.:j/}:.|
:。.:.:.:{ {:j:八 -==ァ イ }/ j:ノ
゚:。.リ \{≧ュ。. ィ:jソ ″ /
ゞ イニ} ` ´ {ニヽ
ィニ// ゝ|ニ\_
┬==≦ニ/ニ7____ __,.|ニニムニニニニニlヽ
/ニ|ニニニ/ニニニ|`-―――‐一´|ニニニムニニニニ|ニム
. /ニニ:|ニ7ニニニニニ| |ニニニニ}ニニニ=|ニム
}}}
182 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/15(日) 23:14:20.85 ID:mJxXjGeWo
穏乃「あ」
玄「あー……」
宥「あぁ……」
灼「きた! メインハルちゃんきた!!」
レジェンド「あれ? なんか灼以外リアクション冷たくない?」
京太郎「き、気のせいじゃないっすかね」
憧「そうそう、気のせい気のせい……」
レジェンド「そぉ? まーいいや、それより遅れてごめんね!」
京太郎「会議ですか?」
レジェンド「いや私用」
京太郎「おい」
レジェンド「アーンド……これっ!」サッ
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__________
/ ___ S.A.作/|
/ / `l / |
/ ヽ.____/ ./ |
/________/ .|
| r‐- _ .| |
i l ヽ \ ̄` ヽ .| |
| /川 `\_ 丶 `l | |
| /∥イ从仆〟. ヽ_. l | |
| l∥;.l 佗i 冫´フ l.| /
| │l.」''`´ _ '⌒` y\ト| /
| l l ヽ. ー '' 仆川. | /
| ヽ 仆 - イク |/
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
}}}}
憧「!?」
京太郎「コレェ!?」
188 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/16(月) 00:07:01.90 ID:tY68zMbZo
レジェンド「また前から10日近く空いてたよね? ここらでサクッとやっちゃおうかと思ってさ」
京太郎「サクッとやらされるのは俺達なんですけど」
レジェンド「いーじゃんいーじゃん。もう慣れたっしょ?」
京太郎「いや、でも、今日は……」チラッ
憧「……」
レジェンド「なに、乗り気じゃない?」
京太郎「まあ……その」
レジェンド「じゃあ私が引こう!」ゴソゴソ
京太郎「流れガン無視っすか!?」
レジェンド「これだっ!」スポッ
即断即決だった。
抜き取ったクジを開くレジェンド。
レジェンド「って、ありゃま」
灼「どうしたのハルちゃん?」
レジェンド「これ前にやったやつだ。紛れ込んでたんだねー」
穏乃「え、どれですか?」
レジェンド「うん――」
#aa{{{
--……--
r―‐⌒ヾ : : : : : : : : : : : : : : : \
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. /イ /: :.:.:.イ:.:. ー┬---:.:.:.:__:.`:.:.o。:.:.:.:.:.|.:..。
i{ | ′:.:.'{_|_:.:.:.:| リV:.:.:.:.:.:.:}:.>匕、: :\j--i 「『接触る(さわる)』ってやつ」
|| |/: :.:.:∧}リ≫┘o。v――'’xr示=ミト、:.:.\}、
リ {: :.:.:.:.|!:‘, ィ芹≧ュ ’|イi//| 》、:。:.:.:.ぃ、
|:.:.:.:.:.「`ヽ《乂_゚ツ ゞ= '゚ :リ/リ゚。:.:.ト、i
|:.:.:.:.小 , , ' , , : /:.:.:.∧:.} リ
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ゞ イニ} ` ´ {ニヽ
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}}}
「「!!」」
192 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/16(月) 00:40:08.75 ID:tY68zMbZo
玄「そ、それって確か……」
レジェンド「そうだね、須賀くんが憧をペタペタ触りまくるやつだね」
宥「あったかそう……///」
穏乃「でも今は……」チラッ
京太郎「……」
憧「……」
灼「ちょっとマズ……」
レジェンド「なんかそうらしいねー。どーしよ、引き直す? 今日はやめとく?」
京太郎「俺は……」
憧「……」
京太郎「……俺は、」
憧「――あ、あたしはっ」
京太郎「!」
#size(17){#aa{{{
_/: : : : : :/ : : : : : : : : : : : \
. : :´_],,] : : /: : : : : : : : : : : : : : : ヽ
. /:// /: :|: : : :| : /: : : : : : : : : : : : : : : :.
. /: :/ /: :| : :|: :\|: :|: :// : : : :/::│:: : : : :.
/: :/ : : | : :|: : : :|: :|_/_ムイ/ 八:/|: : |: : : |
. .': / | : : | : :|:/⌒|: :{⌒刃ト/ /: :/`ト : |: : : |
': :| | : : | : :|{{ `|: :| ヒン 厶イ刄|/│/: ′ 「あたしは、やってもいい……かな」
|: :| |: :.;゙|: : i ゝ |: :|/;/;/ ヒン'イ |乂/
|: :| | : : |: : :i:. :.~|: :|. ' /;/.:.:|.:|ヽ∧
|: :| /:.: __V..:〈:._ノ|: :|\ ~ _ ィ.:. .:.|.:| .}:.|
|: :| /:./ V.:.:∨ |: :|  ̄{≧s。:L:i:ノ |:│
}}}}
212 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/16(月) 22:07:47.76 ID:tY68zMbZo
京太郎「あ、憧……!?」
憧が。
「やってもいい」と、そう言った。
照れ臭そうに、ばつが悪そうに。
そう言って、俺とレジェンドに歩み寄ってくる。
レジェンド「憧、いいの? なんか都合悪そうな感じだけど」
憧「うん……」チラッ
京太郎「!」
隣に立って視線を寄越す。
こちらの表情を確かめるようにして、
憧「……もう、大丈夫だよね?」
京太郎「……ああ。もういいよな」
お互いを許し合った。
レジェンド「ふーん? ま、当人同士に問題がないなら始めよっか」
「「はい!」」
216 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/16(月) 23:00:34.45 ID:tY68zMbZo
向かい合う。
半日ぶりに真正面から間近に憧を見た。
憧も、まっすぐ俺を見上げている。
京太郎「触るぞ」
憧「うん」
言葉での遣り取りは最小限に、まずは手に触れる。
相変わらず白くて、小さくて、マメの感触が残る憧の手。
努力の結晶とも呼べるその手が、とても愛おしかった。
そうしていると、憧の方からも反応があった。
恐る恐る、弱い力できゅっと握り返される。
くすぐったさを覚えながら、俺もまた握り返す。
その応酬が続く。
ちらりと視線を上げると、繋いだ手に夢中になってる憧の顔があった。
俺が見下ろしていることには気付いていない。
それがおかしくて、バレないように笑った。
222 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/16(月) 23:52:28.58 ID:tY68zMbZo
京太郎「」パッ
憧「ぁ……」
若干の名残惜しさを感じながらも、一旦手を離す。
次は――顔だ。
スッ
憧「っ」
ほんの一瞬だけ身構えた憧だったが、その警戒はすぐに解かれた。
無遠慮に伸びた手を、静かに受け入れてくれる。
手はそのまま憧の髪を掬った。
憧「ん……」
くすぐったそうに身動ぎをする憧。
気に留めず髪を撫でていく。
普段とは異なる、許可されていない触れ方だ。
怒られるだろうか。
一抹の不安はあったが、心地よさそうな憧の表情を見れば、杞憂だと知れた。
228 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/17(火) 00:47:48.35 ID:OWjUflqHo
憧「……♪」
目を細め、口元を緩め。
憧はされるがままになっていた。
俺に身を委ねてくれていた。
それが無性に嬉しかった。
この手の届く距離にいてくれることが、堪らなく嬉しかった。
京太郎「――」
手を、頬へ。
添えるだけ。ただそれだけをする。
柔らかさと、暖かさが伝わった。
波立っていた心が静けさを取り戻す。
幼稚な意地を張っていたのが馬鹿みたいだ。
多分、憧も同じことを感じている。
顔を見れば分かる。
多分、俺も同じ顔をしている。
236 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/17(火) 01:37:57.75 ID:OWjUflqHo
憧「――」スッ
京太郎「え」
ぴとっ。
憧の手も、俺の頬に。
両手で包み込むように。
そこにいることを確かめるように。
何をするでもなく、ただ触れ合っていた。
ふと、自分の片手が遊んでいることに気付いた。
どこか、どこでもいいから憧に触れていたいと思った。
行き先も決めないまま持ち上げた手を――憧の肩に乗せた。
憧は嫌がる素振りも見せず穏やかに微笑むと、俺を見上げて言った。
憧「京太郎だ……」
京太郎「……ああ、憧だ」
それだけで良かった。
レジェンド「おーい、お二人さーん」
良くなかった。
241 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/17(火) 02:17:48.00 ID:OWjUflqHo
「「ッッッッッ!!!」」ヒュババッ
光の速さで距離を取る。
それでもハッキリ分かる程に、憧の顔が赤くなっていく。
俺の顔も、急速に茹だっていくのが分かった。
レジェンド「やー、邪魔しちゃって悪いんだけどさ。流石にそれ以上は人目もあるし……ねぇ?」
京太郎「ひ、人目?」
憧「……あ゛っ!///」
穏乃「ふ、二人とも、なんだか……///」ジー
玄「うん……なんだか……///」ジー
宥「すごく、あったかい……///」
灼「ちくわ大接近」
見られてた。
がっつり、一部始終。
そりゃそうだ。
そのことに気付けないのは間抜けだけで、俺達は不幸にも二人とも間抜けだったのだ。
レジェンド「ここらで指令達成ってことにして部活始めたいんだけど、いいかな?」
京太郎「………………ハイ」
憧「………………オカマイナク」
ばくばくうるさい心臓を、いっそ止めてしまいたい気分だった。
244 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/17(火) 02:51:46.57 ID:OWjUflqHo
……
…………
………………
レジェンド「で? 話って?」
部活が終わって。
俺と、憧と、レジェンドが部室に残った。
他の皆には――鷺森部長にさえ――先に帰ってもらっている。
憧が言い出したことだった。
憧「……うん」
俺とレジェンドに大事な話がある、らしい。
だが言い辛いことなのだろうか、中々言葉が続かない。
俺達を交互に見ては、床へ視線を落とすことを繰り返していた。
しかし、やがて、
憧「――」
顔を上げ、
憧「あのね――ハルエ」
俺を見て、
憧「あたし、もう指令やめたい」
最後に、レジェンドに向けてそう言った。
246 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/17(火) 03:46:57.42 ID:OWjUflqHo
京太郎「なっ……!?」
レジェンド「……理由を聞かせてもらえる?」
憧「今日、恥ずかしい目に遭ったから……じゃ、ダメ?」
レジェンド「んー、いまいち説得力に欠けるかなー」
憧「お願い! もう指令がなくても頑張れるから」
レジェンド「確かに前より積極的にはなってるけどねぇ。須賀くんはどう?」
京太郎「お、俺ですか?」
レジェンド「“憧係”だもんね。発言権は当然あるよ」
京太郎「俺は……」チラッ
憧「……」
京太郎「……俺は、元々憧の意思を尊重する方針ですから」
レジェンド「だったね。ということは、指令廃止に賛成?」
京太郎「そう、なりますかね。もちろん、憧が言ったように普段から努力が必要になりますけど……」
レジェンド「うん。私は今の二人なら大丈夫だと思う」
憧「だったら――」
レジェンドが頷く。
こうして、俺と憧が三ヶ月に亘って挑み続けた指令が終わった。
あまりにも唐突で、呆気ない幕切れだった。
【TO BE CONTINUED...】
----
#bold(){
【須賀京太郎のステータスが更新されました!】
称号:憧断ちぬ&font(red){(new!)}
憧への印象:..→翌日は憧の顔が見れなかった
→ &font(red){(new!)}
【新子憧のステータスが更新されました!】
称号:京太郎断ちぬ&font(red){(new!)}
京太郎への印象:...→翌日は京太郎の顔が見れなかった
→ &font(red){(new!)}
}
849 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/11(水) 21:36:16.45 ID:PmKrt7+Uo
京太郎「なあなあ」
憧「んー?」
京太郎「お前ってコンビニのおにぎり温める派? 温めない派?」
憧「いきなり変なこと訊くわね……常温ならそのままかしら。海苔がふやけちゃうし」
京太郎「だっよなぁ!? あのパリパリがいいのになぁ!」
憧「おにぎりはやっぱセブンよねー。ハズレがないわ」
京太郎「でもこの前いかめしおこわおむすび食ったらスゲー固かった……」
憧「失敗談の流れだったの!?」
京太郎「味は良かったんだよ……ただただおこわが固かったんだ……」
憧「それは……まあ、ご愁傷様」
京太郎「でも卵かけご飯風おにぎりは美味かったぞ!」
憧「何それ!? 卵かけご飯でおにぎり!?」
京太郎「おう。いい感じに醤油の味が感じられて個人的には大ヒットだった」
憧「へー……今度見かけたら買ってみよ」
858 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/11(水) 22:15:20.76 ID:PmKrt7+Uo
「須賀ニキー」
京太郎「あん?」
憧「ッ!」キュッ
「これ、数学のノート。係だろ?」スッ
京太郎「あー。憧がな。ほれ」スッ
憧「う、うん……」
京太郎「ちなみに俺は忘れた。見せて!」
憧「甘えない!」ベシッ
「憧ちゃーん」
憧「なに?」クルッ
「ちょっと須賀くん借りてもいい?」
憧「え、いいけど……な、なんであたしに訊くの?」
「だって憧ちゃんから須賀くん取り上げるの悪いし」
憧「取り上げるって何!? 別にあたしは京太郎がいなくたって――」
「さっきから須賀くんのシャツ摘んでるよね」
憧「ふきゅ」
866 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/11(水) 22:56:44.63 ID:PmKrt7+Uo
京太郎「おわマジだ。全然気付かなかった」
「気付けよ。俺が話し掛けたのと同時に掴んでたぞ」
京太郎「そうなのか?」
憧「うっさいばかぁ!///」
「怒る前にシャツ離そうよ憧ちゃん」
憧「っ///」パッ
京太郎「で、俺に用だっけ?」
「そうそう。新聞紙で野球してたんだけどさー」
京太郎「男子かよ」
「打球が思ったより伸びて黒板の上に乗っちゃって」
京太郎「バットもあるのかよ」
「グラブもあるよ?」
京太郎「折ったのか!? すげーな!」
871 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/11(水) 23:28:10.75 ID:PmKrt7+Uo
「でね、私らじゃ届かないから須賀くんに手伝ってほしいんだけど」
京太郎「いいぜ。どこに跪く?」
「立って届くよね!?」
「そうだぞ須賀ニキ! 跪くなら俺にだって出きらあ!!」
「うん、キミはスケベそうだから却下」
「」
憧「いや、それなら京太郎もアウトでしょ。滅茶苦茶スケベよこいつ」
「えー? 紳士そうに見えるけどなー」
京太郎「うんうん」
憧「ないないないないないないないないないないないない」
京太郎「そんなに!?」
憧「そんなに。一番の被害者のあたしが言うんだから間違いないわ」
「へぇー、被害者なんだぁー」ニヤニヤ
憧「ハッ!?」
875 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/12(木) 00:12:47.97 ID:cXtTv1kto
「なになに? ナニされちゃったの憧ちゃん?」ズイッ
憧「さ、されてない! されたけどされてない!///」
「やーん真っ赤になっちゃって~。もう須賀くんナシじゃ生きていけない身体にされちゃったんだね」
憧「ふっぎゅ……そんなことない!! 別に、こんなのいなくたって平気だから!」
「ほほぉう? 言ったね小娘」
憧「い、言ったけど……ていうか同い年なのに小娘って――」
「みんなー! 須賀くん解禁! かーいーきーんー!!」
憧「!?」
「マジ、須賀くん解禁?」ワラワラ
「須賀さん解禁と聞いて」ワラワラ
「喋ってみたかったんだよねぇ」ワラワラ
「おしゃべり解禁? おさわり解禁?」ワラワラ
憧「!!?」
京太郎「何だァーーーーーッ!?」
883 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/12(木) 00:47:23.23 ID:cXtTv1kto
「ふーむ、これは1995年以来の出来ですなー」サスサス
「上々で申し分ない仕上がりだよね」ペタペタ
「柔らかく果実味と程よい酸味が調和してます」モゾモゾ
「今年は天候が良かった為、昨年並の仕上がり。爽やかでバランスが良い」ニギニギ
「ボジョレー史上最悪の不作」ゲシゲシ
京太郎「やめろ擦るな触るな潜るな握るな蹴るな! まずワイン扱いすんな!!」
憧「……」
「ごめんごめん。今まであんまり話す機会なかったからつい」
京太郎「ああ、まあ確かに」
「いつも憧ちゃんとベッタリだからねー」
京太郎「そんなつもりはなかったけどなぁ」
「無意識だったの!?」
「重症ですね……」
「これは治療が必要だねぇ。とりあえず隅っこで固まってると狭いから向こう行こ?」グイッ
京太郎「お、おう」
憧「――!」
キュッ
892 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/12(木) 01:24:30.30 ID:cXtTv1kto
京太郎「おっ?」ヨロッ
憧「ぁ……」
「憧ちゃん?」
「あらまぁ」
「これはこれは」
憧「や、違っ……///」パッ
「何が違うんですかね(ゲス顔)」
「もう堕ちてるじゃないか!(憤怒)」
憧「違うったら! あの、その……ノート!」
京太郎「ノート?」
憧「そう、ノート! 忘れたんでしょ? 特別に見せてあげるから!」スッ
京太郎「マジで!? サンキュー!」
「誤魔化した」
「誤魔化したねぇ」
「誤魔化せてないけどね」
憧「うるさいそこ! いいから解散する!」シッシッ
「はーい」
「いいけど黒板の上の新聞紙は取ってね」
京太郎「ウィッス」
憧「~~~っ……///」
899 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/12(木) 01:48:59.79 ID:cXtTv1kto
テクテク
ヒョイッ ワーアリガトー ナンノコレシキ
テクテク
京太郎「ただいまーっと」ストン
憧「……」
京太郎「憧?」
憧「……」
京太郎「頭抱えて突っ伏してどうした。避難訓練か?」
憧「……」
京太郎「憧?」
憧「決めた」ボソッ
京太郎「え?」
ガタッ
憧「……」
京太郎「憧? 一体どうし――」
#size(15){#aa{{{
. xァ′ / | ヽ {__j__
' / ′ / | | . :, `丶 \
/ / / i | i | | | i | i :, \ \
/ / | | ‐-L_ | | | j |i | | | \ \
. | |:八 人j ト八 i |斗匕|「 | | | l: ., ヽ
/ | | Ⅳj]xぅ妝斥 \ i/≫ぅ妝ミxV| | |: .′ ,
. ′ 八 :{ | |坏´_)「:::ハ \ ∨ _)「:::ハⅥ | |: . ′
; \乂_| |八 rヘしi::::} \ rヘしi::::} オ | . .|: . i ;
| i l .⌒| | 乂__/ソ 乂__/ソ | | . .|: . | i | 「京太郎断ちをします!!!」
| | | . . .| | ,,, , ,,, | | . .|: . | | |
| | /:| . . .| |\i | | . .|: . | | |
| | | . . .| |:::八 r'ア ̄`ヽ /::| | . .|: . | | |
| | i | . . :| {::::::个:... ∨ ノ イ:::::} | . .|: . | | |
| | | | . .八 V斗ri:i:i:〕ト ィ:〔:i:i:iTV 八 .|: . | | |
| | | | . . . :\ Vi:i:i:i:i:i:i:|. : j>--<. : .{: |:i:i:i:iV // 廴_| | |
| | r七i| . . . . : |\i:i:i:i:i:i:i:|: . : . : . : . : . : . :|:i:i:i:/i:i/ // /i:\ | |
| | ∧ Ⅵ. . . . . :|:i:i:\i:i:i:i:|─-. : . : . : .-─|:/i:i:i:/ // /:i:i:i:i∧ | |
}}}}
京太郎「俺断たれるの!?」
939 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/12(木) 21:46:33.70 ID:cXtTv1kto
……
…………
………………
そんな宣言があった朝――そうです、朝だったんです――から一時間。
一限目の授業が終わった休み時間。
憧「でさーくさくってさー」
エーホントニー? ヤダー キャッキャウフフ
京太郎「……」ボケー
「お? 珍しいな須賀ニキ、一人なんて」
「新子さんと一緒にいなくていいのか?」
「それがよ、こいつ新子さんからフラれたんだぜウケる!!!」
「マジかよ超ウケるな!!!」
「須賀! ウケずにはいられないッ!」
京太郎「うるせえ!!! フラれてねーし、そもそも付き合ってもねーよ!!」
「マジかよ俺ちょっと告ってくるわ!」ガタッ
#aa{{{
_ -‐' ヽ | __ -ヽ
_ -─  ̄ __ -─ヘ キニ-─  ̄ヽ
___, -─── フ ̄ , -─ニ -──  ̄ ̄ヽヽ
/ / /_ - ニ 三-ニ-──────---ヽ├- 、_
/ /二-‐_ニ-‐" ___ ` ヽ ヽ \ ̄
_, -ァ / ̄_ -‐" ,-‐ ヽ、 `\、 \
-‐ァ /_ニ-‐´ /、, -‐  ̄ ‐- ヽ 冫 /
/ /,.ァ/ / >、\ >イ ヽ / /
./ /" / / / \\ // ヽ ヽ / /
/ /. | .| \ヾ::::ソ/ | | / 「座ってろ」
/ | .| /〈 〉ヽ .| |
- 、 | ヽ \`´/ / /
ヽ ヽ ヽ `´ / / /
`ヽ、 \ `ー _ -' / / ,
`ー 、 `ー __ -‐' , -‐'/" ̄
`ー- ____ -─  ̄ _
_ -─  ̄
__ -─  ̄
}}}
「はい」ストン
945 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/12(木) 22:37:11.44 ID:cXtTv1kto
京太郎「憧のやつ、俺にべったりだーって女子にからかわれてな。意地張ってんだよ」
「ほーん」
「まあ確かにあの依存っぷりはな」
京太郎「依存て」
「俺まだ須賀ニキの仲介なしで新子さんと喋ったことないぞ」
「僕も」
「我も」
「朕も」
京太郎「本人にはよく言って聞かせておきます」ペッコリン
「いやだからお前が言ったらダメだろうがよ」
京太郎「」ハッ
「思うんだけどさ、須賀も大概新子さんのこと甘やかしてるよな」
京太郎「オレェ? ないない、別に甘やかしてなんて」
「ところで提出し忘れてたノートがここに」スッ
京太郎「テメェ俺がいる時に出しとけよやぁ!!」ガタァッ
「ダダ甘じゃねーか」
京太郎「」ハッ
950 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/12(木) 23:06:33.68 ID:cXtTv1kto
「落ち着け須賀、これはチャンスかもしれないぞ」
京太郎「チャンスだあ? 俺がいない隙に憧に粉かけようって魂胆かよこの粉吹き芋どもがあああああ」ゴッ
「あて身」ドスッ
京太郎「れーべっ!」ドサッ
「落ち着けっての……お前、同じ部のよしみで新子さんの世話焼いてんだろ?」
京太郎「あ、ああ」ヨロヨロ
「だったら見守ってやろうぜ。ノート手渡しするだけじゃねーか」
京太郎「ぐっ……まあ……いや……でも……」ウゴゴゴ
「滅茶苦茶悩んでんぞ」
「やっぱ過保護だわ」
「もういいや、今の内に行ってこい」
「あくまで紳士的にな」
「須賀は俺らで押さえとくから」
「了解! トランザム!」ドヒューン
京太郎「………………あっ!? おい待ッなんだお前ら!? 離せ! 俺は須賀だぞ!!」ギャース
954 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/12(木) 23:43:36.91 ID:cXtTv1kto
拘束された。うごご動けん。
唯一自由な首を回して奴を追う。
奴――便宜上モブえもんと呼ぶ――あまり便利じゃないな――は、憧を含めた談笑する女子の一団に近付いていく。
……ただでさえマイノリティな男が一人で女子の群れに突っ込むって、それはそれで結構勇気が要るんじゃないか。
いやそんなことはどうでもよくて。
憧だ。
大丈夫か。気付いてるか。男が近付いてるぞ。
憧「!」ピクッ
気付いた!
流石の男嫌いだ、過敏に察知したな。
そして即座に手を伸ばし……
憧「!!」スカッ
空振った!!
そこに俺はいないぞ憧!
そうか、第三者からはこう見えていたのか。
新鮮な視点ではあるが、それより女子の只中にいながらも孤立無援な雰囲気をビンビン発している憧が不憫だ。
961 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/13(金) 00:23:16.36 ID:sgxbOrioo
憧「」オロオロ
「うろたえてるぞ」
「うろたえてるな」
京太郎「うろたえてるじゃねーか! 行かなきゃ!!(使命感)」
「落ち着けっての」
「別に取って食おうってわけじゃねーんだから」
「でもスゲー悪いことしてる気分になるのはなんだろうなこれ」
やがて周りの女子も気付きだす。
モブえもんもビビりだす。
無駄に一触即発なムードの中、ノートを前に突き出して無害アピール。
そのままトラかライオンの餌やり体験みたいな及び腰で憧の前へ。
憧「」チラッチラッ
「こっち見てるぞ」
「こっち見てるな」
「どう見ても須賀に助けを求めてるな」
「可愛い」
「須賀爆発しろ」
966 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/13(金) 01:01:48.44 ID:sgxbOrioo
京太郎「憧……!」ウゴゴゴ
歯がゆい。
憧が俺に助けを求めているのに。
こんな野郎どもに纏わりつかれただけで動けないなんて。
――本当に?
本当に動けないのか、須賀京太郎。
否。
本当は動ける筈だ。
男子高校生五人程度、容易く振り払える筈だ。
――もうこれで終わってもいい。
その覚悟があれば――
#size(17){#aa{{{
|::::/ l:::::::::::::::::::::∧:::/ニ、ニ\|::::::::::::::::::l三ニ\:::::',::::::::::::::::::::::::::::::::::| ヽ|
レ' |:::::::::::::::::::/ニ∨::::::::`'‐.、ト、::::::::::::::|三,.-':::\|ヽ::::::::::::::::::::::::::::::| i
|:::::::::::::::::/::lニニ三 `'‐、::::≧、::::::::::「:::::::/ニヽニ∨:::::::::::::::::::::::::}
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|:::::::::::∧:::::|三 三三三三l三ヽ::|三三「 三∨:::::::::::::::∨ 「――ヌゥウウウウウウウウウウ!!!」
|:::::::∧ニレ、}三 ム三ニニ| ヽ三/ 三∨::::|ス::∨
l::::∧:∨三l三 \ニニニ| \ /三∨::l ∨
レ' }::::∨ニi三ニ 三三L /ニ/ ∧:|
ト、::::「ニi三ニ ト三ニニ} /三「 リ
}}}}
「あ、新子さん。これ、ノートっす」スッ
憧「ぅ、う、う、ぅん……・あり、がと……」プルプル
「おー受け渡し成功」
「新子さんめっちゃ震えてんぞ」
「拍手だ拍手だ」
「謎の感動があるな」
「映画化決定」
京太郎「――ウウウゥゥン」プシューッ
973 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/13(金) 01:26:55.12 ID:sgxbOrioo
「アイムバーック!!」ヒャッハー
「おめでとう!」
「おめでとう!」
「でも死ね!」
「新子さんと喋りやがって死ね!」
「俺もノート忘れりゃ良かった死ね!」
京太郎「憧……」
視線の先で、憧は女子に囲まれて笑っていた。
良かった。無事にノートを受け取ることが出来て。
離れて見守ってこそ分かる成長か。胸が熱くなるな。
「あー、恐らくモノローグに浸っているであろうところ悪いがな、須賀」
京太郎「なんだよ」
「協議の結果が出たんだよ」
京太郎「協議ぃ?」
「ああ。全会一致で決定したことだが――」
「お前も」「かなり」「ヤバい」
京太郎「!?」
978 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/13(金) 01:39:52.39 ID:sgxbOrioo
キーンコーン カーンコーン
キーンコーン カーンコーン
憧「」ストン
京太郎「」ストン
憧「……」
京太郎「……」
憧「」チラッ
京太郎「憧」
憧「!」ビクッ
京太郎「そのままでいい。返事はしなくていいから、聞いてくれ」
憧「……?」
京太郎「……俺は――」
#size(15){#aa{{{
/ / | | | | | : l :l | | :| | |
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. /// | |\ |‐\八 | | | |__,l /-|‐ :リ リ | |
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/ | :.八 _/ {::{:::刈`| | l: /´{::{:::刈\,_| イ /ー―‐ ..__
. / / :| ::|/ \{^ヽ 乂辷ツ八 |\| /' 乂辷ソ ノ^l/ } :/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: `「⌒:.
. // /| ::l、 : ー‐ \{ | / ー‐ j/ /}/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.
/ _,/:.:..| ::| \ ! j/ ′/:.:|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.
/ :.:.:.:.:{ ::|\ハ_, ノ ,___/{:.:.|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.∧ 「憧断ちをする!!!」
. /:.:.:.:.:.:.:.::′ ::|:.:.|\圦 / j/l/.:.:′:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.∧
. /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:′_,ノ⌒ヽ::| 、 、 _ -‐' /:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./:.:/:.:.::/:.:
/\:.:.:.:.:.:.:r‐ ' ´ ∨\/ ̄ )  ̄ ̄ / /.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. /:.:/:.:.:./:.:.:
/:.:.:.:.:.:.\:.:.ノ ----- 、 ∨/ / 、 / ,/:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. /:.:/:.:/:.:.:.:.:
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:.:.:.:/:.:.:.:.:.{ ---- 、 ‘, } /:.:.:} ̄ \ ̄ ̄ ̄/ ̄ /:.{/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:-<⌒:.:.:.:.:
:.:./:.:.:.:.:./ ‘, ‘,「l /⌒^\________/}/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/´ \:.:.:.:.:
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:.:.:.:.:.:.:.: }: : : :--:/\: . ノ:r/ / .: .:.:.:.:.|:.:.:.:\ ,/:.:.:. |:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./
}}}}
憧「!!?」
38 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/13(金) 22:26:07.03 ID:sgxbOrioo
……
…………
………………
~食堂~
玄「ふぅ~む、なるほどなるほど、なるほど~」
宥「そんなことがあったんだぁ……」
灼「それで二人とも離れて座ってるんだ」
#bold(){#size(12){#aa{{{
憧□宥
穏□玄
灼□京
}}}}}
穏乃「そうなんですよー。休み時間に遊びに行ってビックリしました」
玄「ケンカしてるわけじゃないんだよね?」
京太郎「もちろん。あくまで個人個人の問題です」
宥「憧ちゃんは?」
憧「あ、あたしだって。むしろケンカしてた方が気楽だったわよ……」ゴニョゴニョ
44 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/13(金) 23:05:50.27 ID:sgxbOrioo
灼「まァ、ケンカじゃないなら問題ないと思……」
穏乃「ないんですか?」
灼「二人がお互いべったりなのは事実だし」
憧「事実じゃ!……なぃ……」
灼「うん、自覚があるだけマシかな。とにかく、たまには距離を置くのも大事」ウンウン
京太郎「ちなみに鷺森部長は監督と距離を置いたりすることは」
灼「は?」ギロッ
京太郎「なんでもないっす」
穏乃「んー、仲が良いのはいいことだと思うんだけどなー」
宥「あったかいのにねぇ……」
玄「京太郎くんは寂しかったりしないの?」
京太郎「よゆーっす」
憧「」ムッ
京太郎「クラスも一緒で席も隣で、ただ世話を焼いたり焼かれたりしないってだけですから。あ、醤油取ってくれ憧」
憧「え?」
京太郎「え?」
51 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/13(金) 23:49:49.20 ID:sgxbOrioo
玄「京太郎くん……」
京太郎「?」キョトン
京太郎「……」フム
京太郎「………………あっ!?」ズガーン
穏乃「」ジー
宥「」ジィー
灼「」ジトー
京太郎「違っ、今のは間違いです! 言い間違えただけ! だからノーカンなんです、ノーカン!」
憧「ノーカンねぇ」ニヤニヤ
京太郎「笑うなそこ! ゆ、宥さん。醤油取ってください」
宥「あ、うん。はい」スッ
京太郎「どーも……」
憧「まったく、言ってる傍からこれ? アンタってあたしがいなきゃ駄目なわけ?」ニマニマ
京太郎「ぐッ……うっせえ、言葉の綾ちゃんだよ! つかニヤけすぎだろお前!」
憧「だって~」フフン
京太郎「…………………………あっ! 憧の後ろに筋肉モリモリマッチョマンの変態が!!」ビシッ
憧「ふきゅっ!?」ガタッ
#bold(){#size(12){#aa{{{
□宥
穏□玄
灼□京憧
}}}}}
憧「ど、どこ!? やだ、助けて京太郎っ!」ビクビク
69 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/14(土) 00:32:37.80 ID:m9jNicsSo
玄「あ、憧ちゃん……」
憧「へ? な、なに――」チラッ
穏乃「」ジー
宥「」ジィー
灼「」ジトー
憧「――………………ああぁあっ!?///」
京太郎「おンやぁ~? 言ってる傍からこれですか~~~ァ?」
憧「あ、アンタ……騙したの!? しょーもない嘘なんてついて!」
京太郎「へっ、そのしょーもない嘘に引っかかる方が悪いんだよ!」
憧「なにそれ!? 人の弱みに漬け込んで……もう頭きた!!」
京太郎「こっちのセリフだ!!」
玄「はわわわわ……」
宥「あったかくない……」
灼「やっぱりこうなったか……」
穏乃「二人とも喧嘩はダメだってば!」
71 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/14(土) 01:15:11.96 ID:m9jNicsSo
京太郎「安心しろ穏乃、これは喧嘩じゃない」
穏乃「そ、そうなの?」
憧「そうよ。これは単なる決意表明」
穏乃「けついひょうめい……?」
京太郎「もう憧には頼らないし頼られない。だから俺は――玄さんにあーんしてもらう!!」クワッ
玄「ふえ゛っ!?///」
憧「ちょっと、あたしそんなことしてないんだけど!?」ガタッ
京太郎「え? なんですか? 関係ない人は口を出さないでもらえます?」
憧「こンの……! 玄、嫌なら嫌だってハッキリ言いなさいよ!」
玄「わ、私は別にいいけど……///」テレテレ
憧「いいの!? それならあたしはしずに……くっ、全然嬉しくない!」
穏乃「ひどい!」
玄「きょ、京太郎くん、あーん///」
京太郎「あーん」パクッ
憧「ぐぬぬ……!」ギリッ
穏乃「仲良くしようよ~……」
95 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/14(土) 21:13:24.48 ID:m9jNicsSo
……
…………
………………
~部室~
それから――
午後の授業をどうにかこうにかやり過ごして、放課後。
部活の時間だ。
京太郎「……」
憧「……」
穏乃「」オロオロ
玄「」オロオロ
宥「」オロオロ
灼「」モキュモキュ
空気は最悪だった。
107 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/14(土) 22:56:19.13 ID:m9jNicsSo
原因は、言うまでもなく俺と憧のお互い断ちだ。
午後に入って一度も口を利いていない。
それでいて同じクラス。隣の席。嫌でも目に付く。
目に付く範囲に居られると、どうしても気になる。
結果的にストレスが溜まるばかりだった。
その空気を部活に持ち込んでしまった。
オロオロするばかりの穏乃、玄さん、宥さんには申し訳ないと思っている。
鷺森部長はおむすびを食っている。
そして更に間の悪いことに、レジェンドが来ない。
何度目だナウシカ。
会議か何かが長引いているのだろうが、よりにもよって今日か。
おかげで部活も始められず、談笑ムードでもなく、ひたすら重苦しい沈黙が続いていた。
京太郎「……」
なんとかしなければ。
原因の片棒を担ぐ者として、そう決心する。
110 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/14(土) 23:33:18.49 ID:m9jNicsSo
差し当たって、
京太郎「穏乃ー」カムカム
穏乃「!」
憧「!!」
手招きしつつ穏乃を呼んだ。
穏乃「なに?」トテテ
と、素直に応じて近付いてきた穏乃を、
京太郎「うりゃ」ダキッ
穏乃「!?」
憧「!!?」
正面から抱き締めた。
穏乃「きょ、京太郎っ!?」アワワ
京太郎「はー落ち着く……悪い、ちょっとの間こうさせてくれ」
穏乃「そっ……い、いいけどさ……」ギュッ
憧「……」
120 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/15(日) 00:27:49.64 ID:mJxXjGeWo
京太郎「癒やされるわー」ムギュムギュ
穏乃「ぅー……」ソワソワ
どうだ。
穏乃を可愛がることで発生する和やかムードを部室中に充満させる。
それによって皆ニッコニコって寸法よ。
これぞ我が『逃走経路』だ。
が、
憧「……しず~」
穏乃「ッ! ご、ごめん京太郎、憧が呼んでるから!」パッ
京太郎「穏乃!?」
なんということだ。
穏乃を憧に取られてしまった。
走り去る背中に、未練がましく視線を送る。
穏乃「お待たせ! どしたの憧?」
憧「んー? 別にどうってわけじゃないけど……うりゃっ!」ダキッ
穏乃「わふっ!?」
京太郎「!!?」
125 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/15(日) 01:01:34.17 ID:mJxXjGeWo
穏乃「きゅ、急にどうしたの?」
憧「だからどうもしないってばー。そうだ、髪梳いてあげよっか!」
穏乃「なんで!?」
憧「なんでもいいじゃーん。たまには女の子らしいスキンシップしようよー。ささ、座って座って」
穏乃「ぅー……いいけど……」ストン
憧「髪下ろすね」スルッ
言うが早いか、穏乃のポニテを解く憧。
栗色の髪がぱさりと肩に落ちる。
憧「相変わらず手入れとかしてない割には綺麗よね……」スッスッ
穏乃「うぇひひ、くすぐったいー」
憧「羨ましいぞーこのー」ワシャワシャ
穏乃「きゃー♪」
京太郎「……」
138 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/15(日) 15:09:54.84 ID:mJxXjGeWo
なんか。
面白くない。
対抗心が立ち上がる。
京太郎「……穏乃ー」
穏乃「!」
憧「!!」
京太郎「しーずーのー」カムカム
穏乃「え……っと」チラッ
憧「……別に? 行けばいいんじゃない? あたしのことなんて気にしないでさ」
穏乃「ぁう……じゃ、じゃあ」
トテテ
穏乃「きたよー」
京太郎「よーしよく来たな。お菓子をやろう」
穏乃「わーい♪」
141 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/15(日) 15:57:08.25 ID:mJxXjGeWo
京太郎「この季節はチョコ菓子だと厳しいからプリッツだ。平気か?」
穏乃「もーまんたい!」
京太郎「よかった。んじゃ、あーん」
穏乃「あーん♪」パクッ
と、口で受け取ったプリッツを嬉しそうに齧る穏乃。
その髪は未だ下ろしたままだった。
京太郎「……」ジー
穏乃「ぅ? 京太郎、どうかした?」
京太郎「いや、髪下ろしてるの珍しいなって」
確か河水浴以来かな。
穏乃「あー。……へ、変?」
京太郎「ん? 別に変じゃあないぞ。新鮮ってだけで、普通に可愛いよ」
穏乃「かわっ……え、えへへ……///」テレテレ
憧「……」
144 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/15(日) 16:41:11.07 ID:mJxXjGeWo
京太郎「プリッツもう一本どうだ?」
穏乃「食べる食べる!」
京太郎「よしきた。あー――」
憧「……し~ず~」
またか。
なんて、俺が言えた義理ではないが。
京太郎「……」
穏乃「きょ、京太郎……」
上目遣いで俺の反応を窺う穏乃。
ここで引き止めては俺の底意地が悪いようだ。
自分から始めたことで自分の首を絞めていた。
京太郎「……いーよ、行ってこい」
穏乃「う、うん……」トテテ
不承不承、笑顔で待ち構える憧の下へ走る穏乃を見送った。
147 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/15(日) 17:23:28.41 ID:mJxXjGeWo
穏乃「あこー」
憧「いらっしゃーい。さて、続きしよっか!」
穏乃「続き?」
憧「髪いじりの。どんな髪型にする?」
穏乃「そんな話だっけ!?」
憧「違うけど。でも折角だから、ね?」
穏乃「何が折角……?」
憧「いーからいーから。さーて何が似合うかなー? 何でも似合いそうだなー♪」ルンルン
穏乃「ぁぅぅ……」
困惑する穏乃の髪を握って束ねて遊ぶ憧。
憧「ねー玄、どんな髪型がいいと思うー?」
玄「わ、私? んと……ツインテールとか可愛いんじゃないかな?」
憧「いいねー。他には?」
宥「三つ編みとか……」
灼「昇天ペガサスMIX盛り」
憧「それは長さが足りないってー」アハハ
足りたら盛れるのかお前。
152 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/15(日) 18:16:22.87 ID:mJxXjGeWo
憧「ま、ここは定番のツインテでいきますか」
穏乃「定番なの?」
疑問符を浮かべる穏乃。
お構いなしで髪を整えだす憧。
それを離れた位置から眺める俺。
なんとも据わりが悪い。
気まずいムードも払拭出来ずにいる。
どうして穏乃を取り合うような形になってしまったのだろう。
憧「でーきたっ」
京太郎「!」
考えている間に、穏乃はすっかりツインテールになっていた。
短めのしっぽが穏乃の活発な雰囲気とよくマッチしている。
玄「わっ、穏乃ちゃんかわいー!」
穏乃「そ、そうですか? どうなってるのか自分じゃわかんない……」
憧「ほい鏡」スッ
穏乃「ありがと……って何これ! まるで女の子じゃん!!」ギャース
憧「いや女の子だからアンタ」
168 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/15(日) 21:48:58.55 ID:mJxXjGeWo
穏乃「な、なんか落ち着かない……」ソワソワ
憧「自信作なのになー。あ、写メ撮っていい?」
穏乃「絶対ダメ!」
京太郎「……穏乃!」
声は。
自分で思ったよりも大きな音で出てしまった。
皆の視線が集まる。
京太郎「あー……こっち。来てくれるか?」
穏乃「ぅ、ん。分かった……」タッ
ふたつに増えたしっぽを揺らし、穏乃が俺の前に立った。
穏乃「ど、どうかな……?」
京太郎「ん、可愛いぞ」
穏乃「………………それだけ?」
京太郎「え?」
穏乃「あの、頭……撫でてくれないのかなって」モジモジ
173 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/15(日) 22:14:31.34 ID:mJxXjGeWo
京太郎「あ、ああ。悪い悪い……ほら」
ワソッ
穏乃「――!」
京太郎「ん? どうした?」ワソンワソン
穏乃「……」
京太郎「穏乃?」
穏乃「……がう」ボソッ
京太郎「なんだって?」
穏乃「違う。こんなの京太郎じゃない」
京太郎「なっ……おい、一体何を――」
穏乃「こんなの、ぞんざいななでなでだよ!!!」
京太郎「ぞんざいななでなで!?」
177 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/15(日) 22:47:02.67 ID:mJxXjGeWo
穏乃「いつもはふんわりやわらかな手つきで頭のツボを的確に抑えたなでなでなのに……!」
京太郎「お、おう……そんなに高く評価してくれてたんだな」
穏乃「でも今のは全然ダメだった! いつもの京太郎らしくなかったよ!」
京太郎「っ」
穏乃「ねえ、やっぱり憧と仲直りしようよ」
京太郎「だ、だから別に喧嘩してる訳じゃ……」
穏乃「それなら仲良く出来るよね?」
京太郎「う」
憧「……しず……」
別に――
好きで素っ気なくしている訳じゃない。
憧だって同じ筈だ。
ただ、お互いに必要なことだと考えたから。
だからこうして、無理を押してでも距離を置いているんだ。
けど、
それが、もし、間違いだとしたら――?
ガラッ
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リ {: :.:.:.:.|!:‘, ィ芹≧ュ ’|イi//| 》、:。:.:.:.ぃ、
|:.:.:.:.:.「`ヽ《乂_゚ツ ゞ= '゚ :リ/リ゚。:.:.ト、i
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ゞ イニ} ` ´ {ニヽ
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}}}
182 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/15(日) 23:14:20.85 ID:mJxXjGeWo
穏乃「あ」
玄「あー……」
宥「あぁ……」
灼「きた! メインハルちゃんきた!!」
レジェンド「あれ? なんか灼以外リアクション冷たくない?」
京太郎「き、気のせいじゃないっすかね」
憧「そうそう、気のせい気のせい……」
レジェンド「そぉ? まーいいや、それより遅れてごめんね!」
京太郎「会議ですか?」
レジェンド「いや私用」
京太郎「おい」
レジェンド「アーンド……これっ!」サッ
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__________
/ ___ S.A.作/|
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/ ヽ.____/ ./ |
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| r‐- _ .| |
i l ヽ \ ̄` ヽ .| |
| /川 `\_ 丶 `l | |
| /∥イ从仆〟. ヽ_. l | |
| l∥;.l 佗i 冫´フ l.| /
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| l l ヽ. ー '' 仆川. | /
| ヽ 仆 - イク |/
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
}}}}
憧「!?」
京太郎「コレェ!?」
188 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/16(月) 00:07:01.90 ID:tY68zMbZo
レジェンド「また前から10日近く空いてたよね? ここらでサクッとやっちゃおうかと思ってさ」
京太郎「サクッとやらされるのは俺達なんですけど」
レジェンド「いーじゃんいーじゃん。もう慣れたっしょ?」
京太郎「いや、でも、今日は……」チラッ
憧「……」
レジェンド「なに、乗り気じゃない?」
京太郎「まあ……その」
レジェンド「じゃあ私が引こう!」ゴソゴソ
京太郎「流れガン無視っすか!?」
レジェンド「これだっ!」スポッ
即断即決だった。
抜き取ったクジを開くレジェンド。
レジェンド「って、ありゃま」
灼「どうしたのハルちゃん?」
レジェンド「これ前にやったやつだ。紛れ込んでたんだねー」
穏乃「え、どれですか?」
レジェンド「うん――」
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--……--
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i{ | ′:.:.'{_|_:.:.:.:| リV:.:.:.:.:.:.:}:.>匕、: :\j--i 「『接触る(さわる)』ってやつ」
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リ {: :.:.:.:.|!:‘, ィ芹≧ュ ’|イi//| 》、:。:.:.:.ぃ、
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ゞ イニ} ` ´ {ニヽ
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}}}
「「!!」」
192 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/16(月) 00:40:08.75 ID:tY68zMbZo
玄「そ、それって確か……」
レジェンド「そうだね、須賀くんが憧をペタペタ触りまくるやつだね」
宥「あったかそう……///」
穏乃「でも今は……」チラッ
京太郎「……」
憧「……」
灼「ちょっとマズ……」
レジェンド「なんかそうらしいねー。どーしよ、引き直す? 今日はやめとく?」
京太郎「俺は……」
憧「……」
京太郎「……俺は、」
憧「――あ、あたしはっ」
京太郎「!」
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_/: : : : : :/ : : : : : : : : : : : \
. : :´_],,] : : /: : : : : : : : : : : : : : : ヽ
. /:// /: :|: : : :| : /: : : : : : : : : : : : : : : :.
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. .': / | : : | : :|:/⌒|: :{⌒刃ト/ /: :/`ト : |: : : |
': :| | : : | : :|{{ `|: :| ヒン 厶イ刄|/│/: ′ 「あたしは、やってもいい……かな」
|: :| |: :.;゙|: : i ゝ |: :|/;/;/ ヒン'イ |乂/
|: :| | : : |: : :i:. :.~|: :|. ' /;/.:.:|.:|ヽ∧
|: :| /:.: __V..:〈:._ノ|: :|\ ~ _ ィ.:. .:.|.:| .}:.|
|: :| /:./ V.:.:∨ |: :|  ̄{≧s。:L:i:ノ |:│
}}}}
212 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/16(月) 22:07:47.76 ID:tY68zMbZo
京太郎「あ、憧……!?」
憧が。
「やってもいい」と、そう言った。
照れ臭そうに、ばつが悪そうに。
そう言って、俺とレジェンドに歩み寄ってくる。
レジェンド「憧、いいの? なんか都合悪そうな感じだけど」
憧「うん……」チラッ
京太郎「!」
隣に立って視線を寄越す。
こちらの表情を確かめるようにして、
憧「……もう、大丈夫だよね?」
京太郎「……ああ。もういいよな」
お互いを許し合った。
レジェンド「ふーん? ま、当人同士に問題がないなら始めよっか」
「「はい!」」
216 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/16(月) 23:00:34.45 ID:tY68zMbZo
向かい合う。
半日ぶりに真正面から間近に憧を見た。
憧も、まっすぐ俺を見上げている。
京太郎「触るぞ」
憧「うん」
言葉での遣り取りは最小限に、まずは手に触れる。
相変わらず白くて、小さくて、マメの感触が残る憧の手。
努力の結晶とも呼べるその手が、とても愛おしかった。
そうしていると、憧の方からも反応があった。
恐る恐る、弱い力できゅっと握り返される。
くすぐったさを覚えながら、俺もまた握り返す。
その応酬が続く。
ちらりと視線を上げると、繋いだ手に夢中になってる憧の顔があった。
俺が見下ろしていることには気付いていない。
それがおかしくて、バレないように笑った。
222 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/16(月) 23:52:28.58 ID:tY68zMbZo
京太郎「」パッ
憧「ぁ……」
若干の名残惜しさを感じながらも、一旦手を離す。
次は――顔だ。
スッ
憧「っ」
ほんの一瞬だけ身構えた憧だったが、その警戒はすぐに解かれた。
無遠慮に伸びた手を、静かに受け入れてくれる。
手はそのまま憧の髪を掬った。
憧「ん……」
くすぐったそうに身動ぎをする憧。
気に留めず髪を撫でていく。
普段とは異なる、許可されていない触れ方だ。
怒られるだろうか。
一抹の不安はあったが、心地よさそうな憧の表情を見れば、杞憂だと知れた。
228 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/17(火) 00:47:48.35 ID:OWjUflqHo
憧「……♪」
目を細め、口元を緩め。
憧はされるがままになっていた。
俺に身を委ねてくれていた。
それが無性に嬉しかった。
この手の届く距離にいてくれることが、堪らなく嬉しかった。
京太郎「――」
手を、頬へ。
添えるだけ。ただそれだけをする。
柔らかさと、暖かさが伝わった。
波立っていた心が静けさを取り戻す。
幼稚な意地を張っていたのが馬鹿みたいだ。
多分、憧も同じことを感じている。
顔を見れば分かる。
多分、俺も同じ顔をしている。
236 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/17(火) 01:37:57.75 ID:OWjUflqHo
憧「――」スッ
京太郎「え」
ぴとっ。
憧の手も、俺の頬に。
両手で包み込むように。
そこにいることを確かめるように。
何をするでもなく、ただ触れ合っていた。
ふと、自分の片手が遊んでいることに気付いた。
どこか、どこでもいいから憧に触れていたいと思った。
行き先も決めないまま持ち上げた手を――憧の肩に乗せた。
憧は嫌がる素振りも見せず穏やかに微笑むと、俺を見上げて言った。
憧「京太郎だ……」
京太郎「……ああ、憧だ」
それだけで良かった。
レジェンド「おーい、お二人さーん」
良くなかった。
241 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/17(火) 02:17:48.00 ID:OWjUflqHo
「「ッッッッッ!!!」」ヒュババッ
光の速さで距離を取る。
それでもハッキリ分かる程に、憧の顔が赤くなっていく。
俺の顔も、急速に茹だっていくのが分かった。
レジェンド「やー、邪魔しちゃって悪いんだけどさ。流石にそれ以上は人目もあるし……ねぇ?」
京太郎「ひ、人目?」
憧「……あ゛っ!///」
穏乃「ふ、二人とも、なんだか……///」ジー
玄「うん……なんだか……///」ジー
宥「すごく、あったかい……///」
灼「ちくわ大接近」
見られてた。
がっつり、一部始終。
そりゃそうだ。
そのことに気付けないのは間抜けだけで、俺達は不幸にも二人とも間抜けだったのだ。
レジェンド「ここらで指令達成ってことにして部活始めたいんだけど、いいかな?」
京太郎「………………ハイ」
憧「………………オカマイナク」
ばくばくうるさい心臓を、いっそ止めてしまいたい気分だった。
244 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/17(火) 02:51:46.57 ID:OWjUflqHo
……
…………
………………
レジェンド「で? 話って?」
部活が終わって。
俺と、憧と、レジェンドが部室に残った。
他の皆には――鷺森部長にさえ――先に帰ってもらっている。
憧が言い出したことだった。
憧「……うん」
俺とレジェンドに大事な話がある、らしい。
だが言い辛いことなのだろうか、中々言葉が続かない。
俺達を交互に見ては、床へ視線を落とすことを繰り返していた。
しかし、やがて、
憧「――」
顔を上げ、
憧「あのね――ハルエ」
俺を見て、
憧「あたし、もう指令やめたい」
最後に、レジェンドに向けてそう言った。
246 名前:7月17日(水)[saga] 投稿日:2014/06/17(火) 03:46:57.42 ID:OWjUflqHo
京太郎「なっ……!?」
レジェンド「……理由を聞かせてもらえる?」
憧「今日、恥ずかしい目に遭ったから……じゃ、ダメ?」
レジェンド「んー、いまいち説得力に欠けるかなー」
憧「お願い! もう指令がなくても頑張れるから」
レジェンド「確かに前より積極的にはなってるけどねぇ。須賀くんはどう?」
京太郎「お、俺ですか?」
レジェンド「“憧係”だもんね。発言権は当然あるよ」
京太郎「俺は……」チラッ
憧「……」
京太郎「……俺は、元々憧の意思を尊重する方針ですから」
レジェンド「だったね。ということは、指令廃止に賛成?」
京太郎「そう、なりますかね。もちろん、憧が言ったように普段から努力が必要になりますけど……」
レジェンド「うん。私は今の二人なら大丈夫だと思う」
憧「だったら――」
レジェンドが頷く。
こうして、俺と憧が三ヶ月に亘って挑み続けた指令が終わった。
あまりにも唐突で、呆気ない幕切れだった。
【TO BE CONTINUED...】
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#bold(){
【須賀京太郎のステータスが更新されました!】
称号:憧断ちぬ&font(red){(new!)}
憧への印象:..→翌日は憧の顔が見れなかった
→傍にいてやりたい&font(red){(new!)}
【新子憧のステータスが更新されました!】
称号:京太郎断ちぬ&font(red){(new!)}
京太郎への印象:...→翌日は京太郎の顔が見れなかった
→目を離さないでほしい&font(red){(new!)}
}