憩い

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566 名前:6月22日(土)[saga] 投稿日:2014/03/13(木) 20:50:25.46 ID:WO++2te6o  重い。  頭が、瞼が、目が、肩が、腕が、足が。  重い。  体中に鉛を括りつけられたような気だるさだ。  そんな加減で迎えた三度目の遠征だった。 京太郎「はよーす……」 玄「あ、おはよう京太郎くん!」 宥「今日も冷えるねぇ……」 穏乃「じめじめ蒸し暑いよ!?」 レジェンド「こりゃ今日も一雨来るかなー」 灼「昨日てるてるこけし吊るしてたのにね」 憧「なにそれ……」  皆はいつも通りだ。 571 名前:6月22日(土)[saga] 投稿日:2014/03/13(木) 21:18:07.25 ID:WO++2te6o 憧「ていうか珍しく時間ギリじゃない。どうしたのよ?」 京太郎「ん……ちょっとな。持ち帰りの牌譜整理が溜まってて」 憧「……え? アンタ、家でもマネージャーの仕事してんの?」 京太郎「そうでもしねーと追い付かねーんだよー」 憧「だからって……」 レジェンド「私もさ、そこまでしなくていいって言ってはいるんだよ?」 玄「大丈夫、京太郎くん?」 宥「無理しないでね……」 京太郎「へーきっすよ。ご心配どうも」 穏乃「ほんとに平気? 怪我とか気を付けてね?」 京太郎「へーきへーき。大体、気を付けるのはみんなの方だろ?」 灼「どゆこと?」 京太郎「これですよ、これ」バサッ 憧「……! それって」 京太郎「ああ」  荷物から取り出したのは牌譜だった。  朝まで掛かって最優先で纏めた、今日の対戦校――そのエース。 穏乃「荒川憩……!」 574 名前:6月22日(土)[saga] 投稿日:2014/03/13(木) 21:44:39.80 ID:WO++2te6o  穏乃が口にした名に、部員全員の表情が強張った。  その緊張は俺にも分かる。  素人目にも彼女の牌譜は異常だった。  昨年度インターハイ、個人戦第二位。  日本で二番目に強い高校生雀士と、今日これから戦うのだ。 憧「……ま、なんとかなるでしょ!」 京太郎「へっ?」  慎重派の憧から意外な言葉が飛び出した。 憧「あたしらだって奈良一位なんだよ? しずも順調に仕上がってきてるし、簡単には負けないって!」  穏乃も、というのは、長野での練習試合のことを言っているのだろう。  二日目の天江さんとの対局で見せた穏乃の真価。その片鱗。  実際に通用するかどうかは分からないが、最初から諦めるよりマシか。 レジェンド「憧の言う通り、ポジティブシンキングは大事だよ! 公式戦じゃなくても、本番を見据えて気を引き締めるように!」 「「「「「「はい!!」」」」」」 レジェンド「ん、いい返事だ。じゃあ気を引き締めて――」サッ #size(15){#aa{{{              __________             /   ___  S.A.作/|           /   /     `l    /  |          /    ヽ.____/  ./    |         /________/      .|        |   r‐- _        .|       |        i   l ヽ  \ ̄` ヽ  .|      |        |  /川 `\_ 丶  `l |      |        | /∥イ从仆〟. ヽ_. l |      |        | l∥;.l 佗i   冫´フ  l.|     /        | │l.」''`´ _ '⌒` y\ト|    /        |  l l ヽ. ー  '' 仆川. |  /        |   ヽ  仆 - イク    |/         ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ }}}} レジェンド「席決めの時間だああああああああああっ!!!」 京太郎「台無しじゃねーか!!!」 581 名前:6月22日(土)[saga] 投稿日:2014/03/13(木) 21:56:33.94 ID:WO++2te6o レジェンド「えー? 席替えって緊張しない?」 憧「確かにするけど、それとこれとは違う緊張でしょ」 京太郎「そうですよ。切れちゃいけない方の緊張の糸が切れちまいましたよ」 レジェンド「なんだよぅ……そんなら今回はやめとく? 前回と同じ席順になるけど」 宥「ぁ……わ、私はそれでも」 憧「却・下!」 穏乃「えーくじ引きしたいー!」 玄「で、ですのだ!」 灼「はよ! 助手席はよ!!!」 宥「ぇぇぇ……」プルプル レジェンド「せやろーしたいやろー? だったらホラ、引いて引いて!」 京太郎「しょーがねーなー……」  結局、過去二回に倣ってくじを引く。  引いて、 レジェンド「そんじゃー元気な声で番号を言ってね。いくよ? いっせーの――」 「「「「「「――せっ!」」」」」」バッ 642 名前:6月22日(土)[saga] 投稿日:2014/03/14(金) 22:02:03.27 ID:mQbIkd83o ◆  で、 #bold(){#size(12){#aa{{{ 穏○レ ○玄憧 宥灼京 □□□ }}}}}  こう。 穏乃「おぉ~助手席だ!」 玄「私、ずっとこの席だなぁ……」アハハ 灼「……」ビュオオオ 宥「灼ちゃん、吹雪かせないでぇぇぇ」ガタガタ 京太郎「ウゥーン」  やや混沌。  その一方、 憧「…………………………いっこまえ」パァ 京太郎「憧?」 憧「!」ハッ 憧「か、勘違いしないでよね! 別に嬉しくなんかないんだからねっ!!」ツーンッ 京太郎「ハァ」  何も言ってないんだけど。 647 名前:6月22日(土)[saga] 投稿日:2014/03/14(金) 22:20:41.69 ID:mQbIkd83o レジェンド「隣はしずかー。これは退屈せずに済みそうだね!」 穏乃「任せてよ先生! ガンガン盛り上げちゃうからねっ!」グッ レジェンド「おお! その意気だしず!!」 穏乃「先生!!」 レジェンド「しずゥ!!!」 穏乃「せんせェ!!!」 レジェンド「シィイイズァアアアアアアアアアア!!!!!」 穏乃「ワキャドスェンスウェェェエエエエエイィ!!!!!」 シズ!センセー!シズ!センセー!シズ!センセー!ユキムラァ!オヤカタサマァ! 京太郎「なんだあれ」  どうやったらあそこまでテンションを上げられるのだろう。  またその一方、 灼「………………こんな思いをするのなら花や草に生まれたかった………………」  どうやったらここまでテンションを下げられるのだろう。 654 名前:6月22日(土)[saga] 投稿日:2014/03/14(金) 22:41:58.56 ID:mQbIkd83o  しかし、だ。  思い返して見れば、鷺森部長は助手席は愚か二列目にすら座ったことがない。  三回目で三列目の三座席を総ナメである。  流石に同情する。  部員としてフォローせずにはいられない。 京太郎「げ、元気出してください鷺森部長!」 灼「須賀くん……」 京太郎「助手席に座れなかったのは残念でしょうけど、気持ちを切り替えましょうよ! そうだ、なんなら俺のことを監督だと思って――」 #size(20){#aa{{{          _z| ::::::::ヽヽ;;;;;;;;;|   ' ^ l:::  |''7;;;:::;::::: |ム,,       ,,_z'''  |ヽ、;;;;;;-'''''''             '''''~~L,,<_,,       >'''   从'''                     ><,    ,,,-彡                           ''>\,,    >'''                              ''\<_,,   彡'''                               ''\,,<  彡::                     , ,           ミ \ >:::     彡               ;; ;;     ,,,;      \ ミ ::::::..:    从::          ` 、   '' `  ,,/´ ,,     ト <_,, :::::::::: .  从::::::     ,,ヽヽヽ、  ヽ、 ( ) ノ  ノ''/^|   ヾ  < ::::::::::彡  /::::::::::::   ''、\((n\   ), )/ ( /、n))/    ミ;;,, ミ ::::::::彡 ..::и/:::::::::::....::::::::::::::...ミ三\'''' ':;;ノ;;;;ゞ `´//彡⌒   ヾ  ミ :::::::/イ::::::::^从:::::::::::/⌒ヽ:::::::_ ̄\ ヾヽ,,(//ン;;;;、     ミ 、从 ::::::::7;:::::::::::::::::'''w::::::::::::(⌒::::::::::::: ̄>   V ' //,-ー;;  '´):. 从  ヽ ,| :::::::7::::::::::::::::::::::::::'''z::::::::::::::,i,::::::::::⌒   \   / -^   lll.:::从   | | ::::彡::::::::::::::::::::::::::::::''''z;;;;;;、:'lii:::::::::  ,   )::、(  ,..、  lll::w^::|   N | :::从::::::::::::::::::::/::::::::::::::::::::''\:|::::;:::::::... 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678 名前:6月22日(土)[saga] 投稿日:2014/03/15(土) 01:00:30.32 ID:mJDtNqjgo  今、何をされてもって言ったよね?  それはつまり、その豊かなブツを好き放題してもいいと――んなワケあるか。  流れからして髪限定だろ。  分かってますよ分かってますよ。  それでも身に余る光栄だ。  信頼を裏切らないよう、謹んで受けよう。 京太郎「じゃあ、失礼して……」スッ 玄「う、うん」ドキドキ ナデナデ 玄「ふぁぁ……///」トローン 京太郎「どうでしょう、痛くないですか?」サラサラ 玄「うん……これすごいよぉ/// 憧ちゃんもしてもらいなよー///」フニャーン 憧「いっ!? い、いぃい、いいっ! やんない!」ブンブン 玄「そう? じゃあ京太郎くん、もっとー///」フニャンフニャン 京太郎「お安い御用っす」ナデナデ 穏乃「あー玄さんいいなー」パタパタ 玄「えへへへへへへ///」フニャンニャニャンニャニャン 憧「…………………………ふんっ!」プイッ  レジェン号は大阪に入っていた。 716 名前:6月22日(土)[saga] 投稿日:2014/03/15(土) 21:03:54.08 ID:mJDtNqjgo …… ………… ……………… 灼「焼き肉は全面的にタレ派」 灼「家で食べる時は磨ったゴマをたっぷり入れてドロリとさせる」 灼「カルビをメインとして、サブにはタン・ハラミ・ホルモン辺りがうちではメジャー」 灼「ちなみに鳥や豚は焼かない。我が家の焼き肉は牛を食らうもの」 灼「野菜はピーマンと玉ねぎにキャベツ。キャベツはほんのちょっぴり火が通った程度で十分」 灼「それと厚揚げなんかも焼き目がつくまで焼いて食べると美味し……」 灼「ホルモンは油が跳ねるからトリに回す」 灼「空っぽにしたホットプレートの上に一パックまるごと放り込む」 灼「個人的にはホルモンは歯ごたえを楽しむものだから、お店のよりスーパーで売ってるのが好みかな」 灼「あ、もちろんご飯も忘れてない。焼き肉と言ったら白い飯」 京太郎「…………………………あの、鷺森部長?」 灼「なに」 京太郎「なんで急に焼き肉の話を一人で延々とし始めたんですか」 灼「食べたくなったから」 京太郎「俺まで食べたくなっちまったでしょうが」 725 名前:6月22日(土)[saga] 投稿日:2014/03/15(土) 21:26:53.77 ID:mJDtNqjgo  そんなこんなで――どんなこんなだ。  まあいい。  そんなこんなで北大阪だ。  が、 レジェンド「迷ったー!」 穏乃「えぇー!?」  前の席が騒がしかった。 憧「ちょ、本気で言ってるのハルエ!?」 玄「カーナビはつけてないんですか?」 ハルエ「点けなくても着きそうな気がするんだよ」 京太郎「うわぁ~こういう人いるぅ~」  アカンやつや。  着かんやつや。  車内が葬式ムードに包まれる。 レジェンド「失礼な……ん? あれ三箇牧の制服じゃない?」 京太郎「ドレェ?」 727 名前:6月22日(土)[saga] 投稿日:2014/03/15(土) 21:50:44.17 ID:mJDtNqjgo レジェンド「ほらあそこ」 京太郎「あ、ほんとっすね」  歩道に目を遣ると、そこには一人の女子高生の後ろ姿があった。  外ハネ気味の赤みがかった茶髪。  白いシャツにブルーのラインが入った制服。  そして、そのスカートは驚くほど短かった。  歩いているだけでも中身が見えてしまいそうで…… 憧「……京太郎、窓にくっつきすぎ」ジトー 京太郎「ハッ!?」ベター レジェンド「ちょうどいいや。須賀くん、あの子に道を訊いてきてもらえる?」 京太郎「わっかりましたぁ!」ガタッ 憧「はやっ!? ちょ、あ、あたしも行くから!」ガタッ  俺と、俺を追う憧がレジェン号から降りた。 京太郎「なんだよ、俺一人でも道ぐらい訊けるぞ?」 憧「どーだか。奈良でダメなら大阪でナンパしようとか考えてそう」ジトッ 京太郎「考えてねーよ!」  ていうか奈良を諦めてねーよ!  今は雑用で手一杯だけど、いつかは両手に花の濡れ手に粟ってなもんよ。 733 名前:6月22日(土)[saga] 投稿日:2014/03/15(土) 22:01:08.62 ID:mJDtNqjgo  そんなことを考えながら、 京太郎「すみませーん、ちょっといいですか?」 #size(15){#aa{{{                       . .-――-. .                    . . ´: : : : : : : : : : : : .`: .                       /: : : : : : : : :::::::::::::::::::::: : : : :ヽ                 . . : : : :/:::::/::::::::::::::::l:::::::ヽ::::: :ヽ: :.                     /: :/: : :/::::/ l:::l:::::::::::::l:::::::::::::::::::: : : ::.                  ′ . . . ′/  |:ハ::::::::::::ト、::::::::::ヘ::::: :i: : :l               |. :|: :::::: 1:|   .|{ ‘.::::::::::ヽ\_::::;::::::|: : :|               |: :|: ::::::| |:|-―.lハ{\::::::::fヾ\`::i:::: l: : |l               |: :|: ::::::| |:|   |{ ヽ \::{ \ \:::::|: :八               |: :|: ::::::| レ _ 、     `r==ミx }::∧:: : :     「はいー?」               .: :八:ヽ::| r㌃⌒`            ムイ }:::: : :ヽ              /: : ::::\ヾ  ,,,,,,,,    ,   ''''''''  | ノ:::: : : : :\              /: ::::::::八 ハ         ....  、    「::::::::::::::::::ヽ: : >            /: : ::/:::::::::>-、    (    ノ   イ:::::l::::l:::::::::ヾ:\         -=≦: : ::/::::::::::::::::::::::ゝ      ー '  <::::l::::∧::|` ー---`             ∠::::  イ::∧:::::::ト、:::≧=r--  1:::::::::/レ' .V                    /  \:{ ヾr‐ァ'     トヘ/                   ___/  \ __ /   \_____                /      \  /ー一ヘ   /     ハ                ハ        \/     }/ ̄}    /                  i  ヽ                }      }                 |   У                 } ∨   .|                  ′ /                   }  }::..   { .                 /   {                  }  }:::.                |   |                  } ,.:::::  i                 i    ハ                 } '::::::::.  | }}}} 京太郎「僕と結婚を前提にお付き合いしてください」  プロポーズした。 744 名前:6月22日(土)[saga] 投稿日:2014/03/15(土) 22:31:48.82 ID:mJDtNqjgo ???「ほぇ」キョトン 憧「イヤーッ!」バキィッ 京太郎「グワーッ!」ドサァッ  すかさず横合いからグーパンが飛んできた。 憧「ねえ京太郎……? アンタ、ついさっき自分がなんて言ったか覚えてる……?」ズモモ... 京太郎「ぼ、僕と結婚を前提にお付き合いしてください」キリッ 憧「ふきゅ……っその前!///」 京太郎「絶対ナンパなんてしないなんて言わないよ絶対!」 憧「改竄すな!!」 京太郎「仕方ないだろ! 出会い頭にあんな笑顔見せられたら!! 恋しちゃうだろ!!!」クワッ 憧「しないわよ馬鹿ぁ! どんだけチョロいのよアンタ!」 ギャーギャー ???「……えーと、旅の漫才師さん?」 憧「違います!」 京太郎「愛の放浪者です!」 憧「ぶっ殺されたいの!?」 753 名前:6月22日(土)[saga] 投稿日:2014/03/15(土) 23:09:39.18 ID:mJDtNqjgo ???「盛り上がってるとこ悪いんやけど、ウチちょっと急いでるんですよーぅ」 憧「あ、ちょっと待ってください!」 京太郎「せめてお名前だけでも!」 憧「しつこい!! あのっ、実はお願いがあっ……て……って」ピタッ ???「?」 憧「……」 京太郎「憧? どうした?」 憧「……あなた、もしかして………………荒川憩、さん?」 京太郎「えっ!?」 ???「そうですーぅ」ニコッ 京太郎「ええっ!?」  この人が。  この笑顔の素敵なミニスカJKが。  荒川憩。  昨年度インターハイ個人戦――準優勝。 758 名前:6月22日(土)[saga] 投稿日:2014/03/15(土) 23:46:25.24 ID:mJDtNqjgo 憩「でも、どうしてウチの名前を?」ハテ 憧「実はあたし達、奈良の阿知賀学院から来たんです」 憩「へーぇ、奈良から……あれ? 阿知賀って、もしかして……」 憧「麻雀部一年の新子憧です。今日の練習試合、よろしくお願いします」ペッコリン 京太郎「同じく一年でマネージャーの須賀京太郎です。自己紹介が遅れてすいません」ペッコリン 憩「やっぱり! 今日の対戦相手さんやったんやねーぇ」 憧「はい。でも道に迷ってしまって……迷惑でなければ行き方を教えてもらえませんか?」 憩「お安い御用ですよーぅ。ウチも今から行くとこやったし」 京太郎「あ、だったらうちの車で送りましょうか?」 憩「ほゎ、ええの?」 京太郎「直接ナビしてもらった方が確実ですし、お礼ってことで」 憩「わー、そやったらえらい助かるわーぁ。ほなお言葉に甘えさしてもらおかな」ニコッ 京太郎「どうぞどうぞ」 憧「………………下心は?」ボソッ 京太郎「ありません(震え声)」 769 名前:6月22日(土)[saga] 投稿日:2014/03/16(日) 00:41:58.62 ID:/evVKWzdo 憧「ふぅん……? ま、いっか。行きましょう荒川さん」 憩「はーい。でもその前に」 憧「どうかしました?」 憩「そっちの彼。マネージャーの須賀くん……やったっけ?」 京太郎「オレェ?」 憩「うん、ちょっと動かんといてなー」スッ  そう言った荒川さんの手が、俺の顔に向かって伸びてくる。  え? え? 何?  もしかしてキスされちゃうの?  やっぱり目とか瞑るべきなの? ピトッ 京太郎「!?」 憩「んー」サワサワ  なんて考えている内に、手は頬へ到着。  何かを確かめるように撫で回される。 775 名前:6月22日(土)[saga] 投稿日:2014/03/16(日) 01:02:55.50 ID:/evVKWzdo 憧「な、な、なぁっ……何してるんですか!?」 憩「だって、さっき殴られてはったでしょーぅ? 大丈夫?」 京太郎「え、あ、だ、大丈夫っす。鍛えてますから」 憩「でも顔色も悪いで?」 京太郎「ちょっと寝不足で……」 憩「そらあかんなー。睡眠はしっかり取らんと」 京太郎「き、気を付けます」ドキドキ  やべえときめく。  まるで白衣の天使だ。  制服も白っぽいから尚更そう見える。  しかし外見だけでなく、中身もナース服が似合いそうな人だと思った。 憧「………………荒川さん。そいつなら人一倍頑丈なんで心配いりませんから」 憩「そうなん?」 憧「はい。ですから早く行きましょう、向こうも待ってるでしょうし」 憩「んー……せやね、急ごか」 京太郎「はいっ! 分かりました!」 憧「……デレデレしちゃって」ボソッ 京太郎「ん?」 憧「」プイッ  こうして三箇牧までの道行きに荒川さんが加わった。 785 名前:6月22日(土)[saga] 投稿日:2014/03/16(日) 01:31:18.18 ID:/evVKWzdo ◆  で、 レジェンド「いやー悪いね荒川さん。相手校のエース選手に道案内まで任せちゃって」 憩「いえいえー、雀士は助け合いですから。あ、そこでインド人を右ですーぅ」  運転席にはレジェンド。依然変わりなく。  助手席にはナビゲーターとして荒川さん。  では問題です。  今まで助手席にいた穏乃はどこにいるでしょう。  正解は、 憧「……なんでしずが京太郎の膝に座るのよ」  越後製菓! レジェンド「仕方ないでしょー? 一番大きいのと一番小さいのを一緒にするのが合理的な考えってもんよ」 憧「だからって……」ブツブツ 穏乃「京太郎、重くない?」 京太郎「ヒくほど軽い」 穏乃「そっか、ならよかった!」 京太郎「よくないだろ。もうちょっと肉つけろ肉」サワサワ 穏乃「ほひゃあっ!? お、おなか触んないで、っくすぐった……っ///」プルプル 憧「……だからって!!」  今度こそ迷わず三箇牧高校を目指すレジェン号だった。 842 名前:6月22日(土)[saga] 投稿日:2014/03/16(日) 21:52:02.43 ID:/evVKWzdo …… ………… ………………  荒川さんの案内のお陰で、俺達阿知賀学院麻雀部一同は無事に三箇牧高校へと辿り着くことが出来た。  駐車場にレジェン号を停め、連れ立って部室に向かう。 憩「それにしても、遠いところから大変やったでしょーぅ」 京太郎「いやぁ、このくらいどうってことありませんよ」 穏乃「この前は長野まで行きましたから!」 憩「長野!? ほぇー、そらまた長旅やんなーぁ」 玄「でも楽しかったですよ! メイドさんになったり!」 憩「なんで?」  談笑しながら廊下を歩く。  それにしても、短時間ですっかり打ち解けたなぁ。  これも荒川さんの笑顔と人当たりの良さが成せる業か。 憩「あ、着いたでー」  と、立ち止まった荒川さんが目の前の扉を開けた。 憩「お疲れ様ですーぅ」ガラッ 「あーーーらーーーかーーーわーーー!!」ワシィッ 憩「わひゃあああああっ!?」 845 名前:6月22日(土)[saga] 投稿日:2014/03/16(日) 22:25:31.90 ID:/evVKWzdo 京太郎「!?」  一瞬の出来事だった。  扉を開けた途端、中にいた何者かが荒川さんの背後に回り込み――その胸を鷲掴みにしたのだ。 「アンタなぁ、今何時や思てんねん!」モミモミ 憩「せ、先輩!? ちょ、くすぐった、あははっ!」 「二年坊が重役出勤とはええ度胸やんか、ああん?」フニフニ 憩「す、すみませ……んっ///」ピクンッ 「人助けは、立派な、ことやけどっ。たまには、自分のことも優先、させんかいっ」ムニムニ 憩「わ、分かりっ、はぁ、ました、からぁ……んっ……か、堪忍して、ください……///」 「あかん! 今日という今日はCカップになるまで離さへんで!」クニクニ 憩「むりですよぉ~///」  Bなのか……  確かに服の上から見る分には大きくなさそうだ。  それでも問答無用で揉みしだかれる様には計り知れないエロスが―― 憩「ぁ……っ///」パチッ  やべ、目が合った。  くすぐったいのか恥ずかしいのか、あるいは両方か。  うっすらと目に涙を浮かべた荒川さんは赤らんだ顔で、 憩「み、見んといてくださ……ぃ///」グスッ  エロい(確信)。 853 名前:6月22日(土)[saga] 投稿日:2014/03/16(日) 23:00:27.79 ID:/evVKWzdo 憧「ハッ!? な、なにガン見してんの!」バッ 京太郎「うおっまぶしくなさすぎる!」  つまり暗い。 憩「先輩も、ほんまにやめてくださいよぅ……お客さんがおるんですよ……?///」ビビクンッ 「お客ぅ~? そんなんどこに……」チラッ 「「「「「「……」」」」」」 「おるやんけ!!」ガーン 憩「そ、そちらは奈良から来た阿知賀学院の皆さんです……」イソイソ  紹介してくれながら、荒川さんは乱れた着衣を整えている。  エロい(確認)。 「あー……、………………先生呼んでくるわ!」ドヒューン 灼「逃げた……」 憩「ご、ごめんなー? その、お見苦しいものをお見せしてもーて……」モジッ 京太郎「とんでもない。大変結構なものを――」 憧「ふんッ」ズンッ 京太郎「足が!!」 865 名前:6月22日(土)[saga] 投稿日:2014/03/17(月) 00:01:11.74 ID:outZB5sbo 玄「あの、今の人は……?」 憩「麻雀部の先輩で、今年レギュラーやった人です」 宥「じゃあ、三年生……」 憩「……ですね。せやから、ほんまはもう引退なんですよ」 灼「あ……そっか」  団体としての三箇牧は県予選で敗退している。  だから、個人戦に出場しない選手の夏は、もう既に終わっているのだ。  決して他人事ではないと、改めて実感した。 憩「ほんまは団体戦でも全国に行きたかったんやけどなー」アハハ 憧「荒川さん……」 穏乃「ッ……あのっ! お互い、頑張りましょう!」グッ 憩「もちろん! 先輩達も応援してくれはるし、頑張りますよーぅ!」グッ  団体戦と個人戦。  戦う舞台は違えど、俺達阿知賀と三箇牧を背負う荒川さんの気持ちは同じだった。 憩「……さっきみたいに胸の発育まで応援されるんは、ちょっと困るけど」ボソリ 玄「………………???」ヘケッ  玄さん、いい場面なんですから「どうして好き好んで小さな胸を触りたがるんだろう」みたいな顔しないでください。 874 名前:6月22日(土)[saga] 投稿日:2014/03/17(月) 00:39:38.47 ID:outZB5sbo 京太郎「荒川さん、俺も応援してます! 短い間ですけど出来る限り力になりますから!」 憩「須賀くんもありがとうなー。でも無茶は禁物やで?」ニコッ 京太郎「いやぁお気遣いどうもっす」  うわー癒されるなー。  マイナスイオンとか出てるんじゃないかな(情弱)。 憧「……」ゲシッ 京太郎「いてっ。なんだよ憧?」 憧「アンタ、ちょっとデレデレしすぎじゃないの?」 京太郎「そうかぁ?」 憧「そうよ。アンタだって阿知賀の一員なんだから、対外試合で恥ずかしいマネしないでよね」 京太郎「恥ずかしいって……」 憧「事実でしょ」ツーン  なんか今日の憧は一段と厳しい。  思えば行きの車内から機嫌が悪かったような。  冗談でも髪を触らせてなんて言うべきではなかったかな。 876 名前:6月22日(土)[saga] 投稿日:2014/03/17(月) 01:08:46.09 ID:outZB5sbo ガラッ 「先生のお出ましやでー!」 憩「あ、先輩」  そんなタイミングで、荒川さんの先輩さんが戻ってきた。  後ろには顧問と思われる女性を伴っている。 憩「そろそろ始まるみたいやねー」 穏乃「ですね! うおお燃えてきたぁー!」 レジェンド「よし、それじゃあ私も顧問として先方に挨拶を……あっ」 京太郎「どうしました?」 レジェンド「ごめん須賀くん、車にファイル置いてきちゃった。取ってきてくれない?」 京太郎「いいっすよ」 レジェンド「悪いね」 憩「お仕事頑張ってやー」フリフリ 憧「今度はナンパするんじゃないわよ」 京太郎「しねーっての!」  信用ないなぁ。  そりゃ自業自得な部分も多いかもしれないけど。  ちょっと沈んだ気持ちで三箇牧の部室を出た。  覚えていたのはそこまでだった。 880 名前:6月22日(土)[saga] 投稿日:2014/03/17(月) 01:11:16.25 ID:outZB5sbo 京太郎「あ、れ――、――――――」フラッ ドサッ 【TO BE CONTINUED...】
566 名前:6月22日(土)[saga] 投稿日:2014/03/13(木) 20:50:25.46 ID:WO++2te6o  重い。  頭が、瞼が、目が、肩が、腕が、足が。  重い。  体中に鉛を括りつけられたような気だるさだ。  そんな加減で迎えた三度目の遠征だった。 京太郎「はよーす……」 玄「あ、おはよう京太郎くん!」 宥「今日も冷えるねぇ……」 穏乃「じめじめ蒸し暑いよ!?」 レジェンド「こりゃ今日も一雨来るかなー」 灼「昨日てるてるこけし吊るしてたのにね」 憧「なにそれ……」  皆はいつも通りだ。 571 名前:6月22日(土)[saga] 投稿日:2014/03/13(木) 21:18:07.25 ID:WO++2te6o 憧「ていうか珍しく時間ギリじゃない。どうしたのよ?」 京太郎「ん……ちょっとな。持ち帰りの牌譜整理が溜まってて」 憧「……え? アンタ、家でもマネージャーの仕事してんの?」 京太郎「そうでもしねーと追い付かねーんだよー」 憧「だからって……」 レジェンド「私もさ、そこまでしなくていいって言ってはいるんだよ?」 玄「大丈夫、京太郎くん?」 宥「無理しないでね……」 京太郎「へーきっすよ。ご心配どうも」 穏乃「ほんとに平気? 怪我とか気を付けてね?」 京太郎「へーきへーき。大体、気を付けるのはみんなの方だろ?」 灼「どゆこと?」 京太郎「これですよ、これ」バサッ 憧「……! それって」 京太郎「ああ」  荷物から取り出したのは牌譜だった。  朝まで掛かって最優先で纏めた、今日の対戦校――そのエース。 穏乃「荒川憩……!」 574 名前:6月22日(土)[saga] 投稿日:2014/03/13(木) 21:44:39.80 ID:WO++2te6o  穏乃が口にした名に、部員全員の表情が強張った。  その緊張は俺にも分かる。  素人目にも彼女の牌譜は異常だった。  昨年度インターハイ、個人戦第二位。  日本で二番目に強い高校生雀士と、今日これから戦うのだ。 憧「……ま、なんとかなるでしょ!」 京太郎「へっ?」  慎重派の憧から意外な言葉が飛び出した。 憧「あたしらだって奈良一位なんだよ? しずも順調に仕上がってきてるし、簡単には負けないって!」  穏乃も、というのは、長野での練習試合のことを言っているのだろう。  二日目の天江さんとの対局で見せた穏乃の真価。その片鱗。  実際に通用するかどうかは分からないが、最初から諦めるよりマシか。 レジェンド「憧の言う通り、ポジティブシンキングは大事だよ! 公式戦じゃなくても、本番を見据えて気を引き締めるように!」 「「「「「「はい!!」」」」」」 レジェンド「ん、いい返事だ。じゃあ気を引き締めて――」サッ #size(15){#aa{{{              __________             /   ___  S.A.作/|           /   /     `l    /  |          /    ヽ.____/  ./    |         /________/      .|        |   r‐- _        .|       |        i   l ヽ  \ ̄` ヽ  .|      |        |  /川 `\_ 丶  `l |      |        | /∥イ从仆〟. ヽ_. l |      |        | l∥;.l 佗i   冫´フ  l.|     /        | │l.」''`´ _ '⌒` y\ト|    /        |  l l ヽ. ー  '' 仆川. |  /        |   ヽ  仆 - イク    |/         ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ }}}} レジェンド「席決めの時間だああああああああああっ!!!」 京太郎「台無しじゃねーか!!!」 581 名前:6月22日(土)[saga] 投稿日:2014/03/13(木) 21:56:33.94 ID:WO++2te6o レジェンド「えー? 席替えって緊張しない?」 憧「確かにするけど、それとこれとは違う緊張でしょ」 京太郎「そうですよ。切れちゃいけない方の緊張の糸が切れちまいましたよ」 レジェンド「なんだよぅ……そんなら今回はやめとく? 前回と同じ席順になるけど」 宥「ぁ……わ、私はそれでも」 憧「却・下!」 穏乃「えークジ引きしたいー!」 玄「で、ですのだ!」 灼「はよ! 助手席はよ!!!」 宥「ぇぇぇ……」プルプル レジェンド「せやろーしたいやろー? だったらホラ、引いて引いて!」 京太郎「しょーがねーなー……」  結局、過去二回に倣ってクジを引く。  引いて、 レジェンド「そんじゃー元気な声で番号を言ってね。いくよ? いっせーの――」 「「「「「「――せっ!」」」」」」バッ 642 名前:6月22日(土)[saga] 投稿日:2014/03/14(金) 22:02:03.27 ID:mQbIkd83o ◆  で、 #bold(){#size(12){#aa{{{ 穏○レ ○玄憧 宥灼京 □□□ }}}}}  こう。 穏乃「おぉ~助手席だ!」 玄「私、ずっとこの席だなぁ……」アハハ 灼「……」ビュオオオ 宥「灼ちゃん、吹雪かせないでぇぇぇ」ガタガタ 京太郎「ウゥーン」  やや混沌。  その一方、 憧「…………………………いっこまえ」パァ 京太郎「憧?」 憧「!」ハッ 憧「か、勘違いしないでよね! 別に嬉しくなんかないんだからねっ!!」ツーンッ 京太郎「ハァ」  何も言ってないんだけど。 647 名前:6月22日(土)[saga] 投稿日:2014/03/14(金) 22:20:41.69 ID:mQbIkd83o レジェンド「隣はしずかー。これは退屈せずに済みそうだね!」 穏乃「任せてよ先生! ガンガン盛り上げちゃうからねっ!」グッ レジェンド「おお! その意気だしず!!」 穏乃「先生!!」 レジェンド「しずゥ!!!」 穏乃「せんせェ!!!」 レジェンド「シィイイズァアアアアアアアアアア!!!!!」 穏乃「ワキャドスェンスウェェェエエエエエイィ!!!!!」 シズ!センセー!シズ!センセー!シズ!センセー!ユキムラァ!オヤカタサマァ! 京太郎「なんだあれ」  どうやったらあそこまでテンションを上げられるのだろう。  またその一方、 灼「………………こんな思いをするのなら花や草に生まれたかった………………」  どうやったらここまでテンションを下げられるのだろう。 654 名前:6月22日(土)[saga] 投稿日:2014/03/14(金) 22:41:58.56 ID:mQbIkd83o  しかし、だ。  思い返して見れば、鷺森部長は助手席は愚か二列目にすら座ったことがない。  三回目で三列目の三座席を総ナメである。  流石に同情する。  部員としてフォローせずにはいられない。 京太郎「げ、元気出してください鷺森部長!」 灼「須賀くん……」 京太郎「助手席に座れなかったのは残念でしょうけど、気持ちを切り替えましょうよ! そうだ、なんなら俺のことを監督だと思って――」 #size(20){#aa{{{          _z| ::::::::ヽヽ;;;;;;;;;|   ' ^ l:::  |''7;;;:::;::::: |ム,,       ,,_z'''  |ヽ、;;;;;;-'''''''             '''''~~L,,<_,,       >'''   从'''                     ><,    ,,,-彡                           ''>\,,    >'''                              ''\<_,,   彡'''                               ''\,,<  彡::                     , ,           ミ \ >:::     彡               ;; ;;     ,,,;      \ ミ ::::::..:    从::          ` 、   '' `  ,,/´ ,,     ト <_,, :::::::::: .  从::::::     ,,ヽヽヽ、  ヽ、 ( ) ノ  ノ''/^|   ヾ  < ::::::::::彡  /::::::::::::   ''、\((n\   ), )/ ( /、n))/    ミ;;,, ミ ::::::::彡 ..::и/:::::::::::....::::::::::::::...ミ三\'''' ':;;ノ;;;;ゞ `´//彡⌒   ヾ  ミ :::::::/イ::::::::^从:::::::::::/⌒ヽ:::::::_ ̄\ ヾヽ,,(//ン;;;;、     ミ 、从 ::::::::7;:::::::::::::::::'''w::::::::::::(⌒::::::::::::: ̄>   V ' //,-ー;;  '´):. 从  ヽ ,| :::::::7::::::::::::::::::::::::::'''z::::::::::::::,i,::::::::::⌒   \   / -^   lll.:::从   | | ::::彡::::::::::::::::::::::::::::::''''z;;;;;;、:'lii:::::::::  ,   )::、(  ,..、  lll::w^::|   N | :::从::::::::::::::::::::/::::::::::::::::::::''\:|::::;:::::::... 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678 名前:6月22日(土)[saga] 投稿日:2014/03/15(土) 01:00:30.32 ID:mJDtNqjgo  今、何をされてもって言ったよね?  それはつまり、その豊かなブツを好き放題してもいいと――んなワケあるか。  流れからして髪限定だろ。  分かってますよ分かってますよ。  それでも身に余る光栄だ。  信頼を裏切らないよう、謹んで受けよう。 京太郎「じゃあ、失礼して……」スッ 玄「う、うん」ドキドキ ナデナデ 玄「ふぁぁ……///」トローン 京太郎「どうでしょう、痛くないですか?」サラサラ 玄「うん……これすごいよぉ/// 憧ちゃんもしてもらいなよー///」フニャーン 憧「いっ!? い、いぃい、いいっ! やんない!」ブンブン 玄「そう? じゃあ京太郎くん、もっとー///」フニャンフニャン 京太郎「お安い御用っす」ナデナデ 穏乃「あー玄さんいいなー」パタパタ 玄「えへへへへへへ///」フニャンニャニャンニャニャン 憧「…………………………ふんっ!」プイッ  レジェン号は大阪に入っていた。 716 名前:6月22日(土)[saga] 投稿日:2014/03/15(土) 21:03:54.08 ID:mJDtNqjgo …… ………… ……………… 灼「焼き肉は全面的にタレ派」 灼「家で食べる時は磨ったゴマをたっぷり入れてドロリとさせる」 灼「カルビをメインとして、サブにはタン・ハラミ・ホルモン辺りがうちではメジャー」 灼「ちなみに鳥や豚は焼かない。我が家の焼き肉は牛を食らうもの」 灼「野菜はピーマンと玉ねぎにキャベツ。キャベツはほんのちょっぴり火が通った程度で十分」 灼「それと厚揚げなんかも焼き目がつくまで焼いて食べると美味し……」 灼「ホルモンは油が跳ねるからトリに回す」 灼「空っぽにしたホットプレートの上に一パックまるごと放り込む」 灼「個人的にはホルモンは歯ごたえを楽しむものだから、お店のよりスーパーで売ってるのが好みかな」 灼「あ、もちろんご飯も忘れてない。焼き肉と言ったら白い飯」 京太郎「…………………………あの、鷺森部長?」 灼「なに」 京太郎「なんで急に焼き肉の話を一人で延々とし始めたんですか」 灼「食べたくなったから」 京太郎「俺まで食べたくなっちまったでしょうが」 725 名前:6月22日(土)[saga] 投稿日:2014/03/15(土) 21:26:53.77 ID:mJDtNqjgo  そんなこんなで――どんなこんなだ。  まあいい。  そんなこんなで北大阪だ。  が、 レジェンド「迷ったー!」 穏乃「えぇー!?」  前の席が騒がしかった。 憧「ちょ、本気で言ってるのハルエ!?」 玄「カーナビはつけてないんですか?」 ハルエ「点けなくても着きそうな気がするんだよ」 京太郎「うわぁ~こういう人いるぅ~」  アカンやつや。  着かんやつや。  車内が葬式ムードに包まれる。 レジェンド「失礼な……ん? あれ三箇牧の制服じゃない?」 京太郎「ドレェ?」 727 名前:6月22日(土)[saga] 投稿日:2014/03/15(土) 21:50:44.17 ID:mJDtNqjgo レジェンド「ほらあそこ」 京太郎「あ、ほんとっすね」  歩道に目を遣ると、そこには一人の女子高生の後ろ姿があった。  外ハネ気味の赤みがかった茶髪。  白いシャツにブルーのラインが入った制服。  そして、そのスカートは驚くほど短かった。  歩いているだけでも中身が見えてしまいそうで…… 憧「……京太郎、窓にくっつきすぎ」ジトー 京太郎「ハッ!?」ベター レジェンド「ちょうどいいや。須賀くん、あの子に道を訊いてきてもらえる?」 京太郎「わっかりましたぁ!」ガタッ 憧「はやっ!? ちょ、あ、あたしも行くから!」ガタッ  俺と、俺を追う憧がレジェン号から降りた。 京太郎「なんだよ、俺一人でも道ぐらい訊けるぞ?」 憧「どーだか。奈良でダメなら大阪でナンパしようとか考えてそう」ジトッ 京太郎「考えてねーよ!」  ていうか奈良を諦めてねーよ!  今は雑用で手一杯だけど、いつかは両手に花の濡れ手に粟ってなもんよ。 733 名前:6月22日(土)[saga] 投稿日:2014/03/15(土) 22:01:08.62 ID:mJDtNqjgo  そんなことを考えながら、 京太郎「すみませーん、ちょっといいですか?」 #size(15){#aa{{{                       . .-――-. .                    . . ´: : : : : : : : : : : : .`: .                       /: : : : : : : : :::::::::::::::::::::: : : : :ヽ                 . . : : : :/:::::/::::::::::::::::l:::::::ヽ::::: :ヽ: :.                     /: :/: : :/::::/ l:::l:::::::::::::l:::::::::::::::::::: : : ::.                  ′ . . . ′/  |:ハ::::::::::::ト、::::::::::ヘ::::: :i: : :l               |. :|: :::::: 1:|   .|{ ‘.::::::::::ヽ\_::::;::::::|: : :|               |: :|: ::::::| |:|-―.lハ{\::::::::fヾ\`::i:::: l: : |l               |: :|: ::::::| |:|   |{ ヽ \::{ \ \:::::|: :八               |: :|: ::::::| レ _ 、     `r==ミx }::∧:: : :     「はいー?」               .: :八:ヽ::| r㌃⌒`            ムイ }:::: : :ヽ              /: : ::::\ヾ  ,,,,,,,,    ,   ''''''''  | ノ:::: : : : :\              /: ::::::::八 ハ         ....  、    「::::::::::::::::::ヽ: : >            /: : ::/:::::::::>-、    (    ノ   イ:::::l::::l:::::::::ヾ:\         -=≦: : ::/::::::::::::::::::::::ゝ      ー '  <::::l::::∧::|` ー---`             ∠::::  イ::∧:::::::ト、:::≧=r--  1:::::::::/レ' .V                    /  \:{ ヾr‐ァ'     トヘ/                   ___/  \ __ /   \_____                /      \  /ー一ヘ   /     ハ                ハ        \/     }/ ̄}    /                  i  ヽ                }      }                 |   У                 } ∨   .|                  ′ /                   }  }::..   { .                 /   {                  }  }:::.                |   |                  } ,.:::::  i                 i    ハ                 } '::::::::.  | }}}} 京太郎「僕と結婚を前提にお付き合いしてください」  プロポーズした。 744 名前:6月22日(土)[saga] 投稿日:2014/03/15(土) 22:31:48.82 ID:mJDtNqjgo ???「ほぇ」キョトン 憧「イヤーッ!」バキィッ 京太郎「グワーッ!」ドサァッ  すかさず横合いからグーパンが飛んできた。 憧「ねえ京太郎……? アンタ、ついさっき自分がなんて言ったか覚えてる……?」ズモモ... 京太郎「ぼ、僕と結婚を前提にお付き合いしてください」キリッ 憧「ふきゅ……っその前!///」 京太郎「絶対ナンパなんてしないなんて言わないよ絶対!」 憧「改竄すな!!」 京太郎「仕方ないだろ! 出会い頭にあんな笑顔見せられたら!! 恋しちゃうだろ!!!」クワッ 憧「しないわよ馬鹿ぁ! どんだけチョロいのよアンタ!」 ギャーギャー ???「……えーと、旅の漫才師さん?」 憧「違います!」 京太郎「愛の放浪者です!」 憧「ぶっ殺されたいの!?」 753 名前:6月22日(土)[saga] 投稿日:2014/03/15(土) 23:09:39.18 ID:mJDtNqjgo ???「盛り上がってるとこ悪いんやけど、ウチちょっと急いでるんですよーぅ」 憧「あ、ちょっと待ってください!」 京太郎「せめてお名前だけでも!」 憧「しつこい!! あのっ、実はお願いがあっ……て……って」ピタッ ???「?」 憧「……」 京太郎「憧? どうした?」 憧「……あなた、もしかして………………荒川憩、さん?」 京太郎「えっ!?」 ???「そうですーぅ」ニコッ 京太郎「ええっ!?」  この人が。  この笑顔の素敵なミニスカJKが。  荒川憩。  昨年度インターハイ個人戦――準優勝。 758 名前:6月22日(土)[saga] 投稿日:2014/03/15(土) 23:46:25.24 ID:mJDtNqjgo 憩「でも、どうしてウチの名前を?」ハテ 憧「実はあたし達、奈良の阿知賀学院から来たんです」 憩「へーぇ、奈良から……あれ? 阿知賀って、もしかして……」 憧「麻雀部一年の新子憧です。今日の練習試合、よろしくお願いします」ペッコリン 京太郎「同じく一年でマネージャーの須賀京太郎です。自己紹介が遅れてすいません」ペッコリン 憩「やっぱり! 今日の対戦相手さんやったんやねーぇ」 憧「はい。でも道に迷ってしまって……迷惑でなければ行き方を教えてもらえませんか?」 憩「お安い御用ですよーぅ。ウチも今から行くとこやったし」 京太郎「あ、だったらうちの車で送りましょうか?」 憩「ほゎ、ええの?」 京太郎「直接ナビしてもらった方が確実ですし、お礼ってことで」 憩「わー、そやったらえらい助かるわーぁ。ほなお言葉に甘えさしてもらおかな」ニコッ 京太郎「どうぞどうぞ」 憧「………………下心は?」ボソッ 京太郎「ありません(震え声)」 769 名前:6月22日(土)[saga] 投稿日:2014/03/16(日) 00:41:58.62 ID:/evVKWzdo 憧「ふぅん……? ま、いっか。行きましょう荒川さん」 憩「はーい。でもその前に」 憧「どうかしました?」 憩「そっちの彼。マネージャーの須賀くん……やったっけ?」 京太郎「オレェ?」 憩「うん、ちょっと動かんといてなー」スッ  そう言った荒川さんの手が、俺の顔に向かって伸びてくる。  え? え? 何?  もしかしてキスされちゃうの?  やっぱり目とか瞑るべきなの? ピトッ 京太郎「!?」 憩「んー」サワサワ  なんて考えている内に、手は頬へ到着。  何かを確かめるように撫で回される。 775 名前:6月22日(土)[saga] 投稿日:2014/03/16(日) 01:02:55.50 ID:/evVKWzdo 憧「な、な、なぁっ……何してるんですか!?」 憩「だって、さっき殴られてはったでしょーぅ? 大丈夫?」 京太郎「え、あ、だ、大丈夫っす。鍛えてますから」 憩「でも顔色も悪いで?」 京太郎「ちょっと寝不足で……」 憩「そらあかんなー。睡眠はしっかり取らんと」 京太郎「き、気を付けます」ドキドキ  やべえときめく。  まるで白衣の天使だ。  制服も白っぽいから尚更そう見える。  しかし外見だけでなく、中身もナース服が似合いそうな人だと思った。 憧「………………荒川さん。そいつなら人一倍頑丈なんで心配いりませんから」 憩「そうなん?」 憧「はい。ですから早く行きましょう、向こうも待ってるでしょうし」 憩「んー……せやね、急ごか」 京太郎「はいっ! 分かりました!」 憧「……デレデレしちゃって」ボソッ 京太郎「ん?」 憧「」プイッ  こうして三箇牧までの道行きに荒川さんが加わった。 785 名前:6月22日(土)[saga] 投稿日:2014/03/16(日) 01:31:18.18 ID:/evVKWzdo ◆  で、 レジェンド「いやー悪いね荒川さん。相手校のエース選手に道案内まで任せちゃって」 憩「いえいえー、雀士は助け合いですから。あ、そこでインド人を右ですーぅ」  運転席にはレジェンド。依然変わりなく。  助手席にはナビゲーターとして荒川さん。  では問題です。  今まで助手席にいた穏乃はどこにいるでしょう。  正解は、 憧「……なんでしずが京太郎の膝に座るのよ」  越後製菓! レジェンド「仕方ないでしょー? 一番大きいのと一番小さいのを一緒にするのが合理的な考えってもんよ」 憧「だからって……」ブツブツ 穏乃「京太郎、重くない?」 京太郎「ヒくほど軽い」 穏乃「そっか、ならよかった!」 京太郎「よくないだろ。もうちょっと肉つけろ肉」サワサワ 穏乃「ほひゃあっ!? お、おなか触んないで、っくすぐった……っ///」プルプル 憧「……だからって!!」  今度こそ迷わず三箇牧高校を目指すレジェン号だった。 842 名前:6月22日(土)[saga] 投稿日:2014/03/16(日) 21:52:02.43 ID:/evVKWzdo …… ………… ………………  荒川さんの案内のお陰で、俺達阿知賀学院麻雀部一同は無事に三箇牧高校へと辿り着くことが出来た。  駐車場にレジェン号を停め、連れ立って部室に向かう。 憩「それにしても、遠いところから大変やったでしょーぅ」 京太郎「いやぁ、このくらいどうってことありませんよ」 穏乃「この前は長野まで行きましたから!」 憩「長野!? ほぇー、そらまた長旅やんなーぁ」 玄「でも楽しかったですよ! メイドさんになったり!」 憩「なんで?」  談笑しながら廊下を歩く。  それにしても、短時間ですっかり打ち解けたなぁ。  これも荒川さんの笑顔と人当たりの良さが成せる業か。 憩「あ、着いたでー」  と、立ち止まった荒川さんが目の前の扉を開けた。 憩「お疲れ様ですーぅ」ガラッ 「あーーーらーーーかーーーわーーー!!」ワシィッ 憩「わひゃあああああっ!?」 845 名前:6月22日(土)[saga] 投稿日:2014/03/16(日) 22:25:31.90 ID:/evVKWzdo 京太郎「!?」  一瞬の出来事だった。  扉を開けた途端、中にいた何者かが荒川さんの背後に回り込み――その胸を鷲掴みにしたのだ。 「アンタなぁ、今何時や思てんねん!」モミモミ 憩「せ、先輩!? ちょ、くすぐった、あははっ!」 「二年坊が重役出勤とはええ度胸やんか、ああん?」フニフニ 憩「す、すみませ……んっ///」ピクンッ 「人助けは、立派な、ことやけどっ。たまには、自分のことも優先、させんかいっ」ムニムニ 憩「わ、分かりっ、はぁ、ました、からぁ……んっ……か、堪忍して、ください……///」 「あかん! 今日という今日はCカップになるまで離さへんで!」クニクニ 憩「むりですよぉ~///」  Bなのか……  確かに服の上から見る分には大きくなさそうだ。  それでも問答無用で揉みしだかれる様には計り知れないエロスが―― 憩「ぁ……っ///」パチッ  やべ、目が合った。  くすぐったいのか恥ずかしいのか、あるいは両方か。  うっすらと目に涙を浮かべた荒川さんは赤らんだ顔で、 憩「み、見んといてくださ……ぃ///」グスッ  エロい(確信)。 853 名前:6月22日(土)[saga] 投稿日:2014/03/16(日) 23:00:27.79 ID:/evVKWzdo 憧「ハッ!? な、なにガン見してんの!」バッ 京太郎「うおっまぶしくなさすぎる!」  つまり暗い。 憩「先輩も、ほんまにやめてくださいよぅ……お客さんがおるんですよ……?///」ビビクンッ 「お客ぅ~? そんなんどこに……」チラッ 「「「「「「……」」」」」」 「おるやんけ!!」ガーン 憩「そ、そちらは奈良から来た阿知賀学院の皆さんです……」イソイソ  紹介してくれながら、荒川さんは乱れた着衣を整えている。  エロい(確認)。 「あー……、………………先生呼んでくるわ!」ドヒューン 灼「逃げた……」 憩「ご、ごめんなー? その、お見苦しいものをお見せしてもーて……」モジッ 京太郎「とんでもない。大変結構なものを――」 憧「ふんッ」ズンッ 京太郎「足が!!」 865 名前:6月22日(土)[saga] 投稿日:2014/03/17(月) 00:01:11.74 ID:outZB5sbo 玄「あの、今の人は……?」 憩「麻雀部の先輩で、今年レギュラーやった人です」 宥「じゃあ、三年生……」 憩「……ですね。せやから、ほんまはもう引退なんですよ」 灼「あ……そっか」  団体としての三箇牧は県予選で敗退している。  だから、個人戦に出場しない選手の夏は、もう既に終わっているのだ。  決して他人事ではないと、改めて実感した。 憩「ほんまは団体戦でも全国に行きたかったんやけどなー」アハハ 憧「荒川さん……」 穏乃「ッ……あのっ! お互い、頑張りましょう!」グッ 憩「もちろん! 先輩達も応援してくれはるし、頑張りますよーぅ!」グッ  団体戦と個人戦。  戦う舞台は違えど、俺達阿知賀と三箇牧を背負う荒川さんの気持ちは同じだった。 憩「……さっきみたいに胸の発育まで応援されるんは、ちょっと困るけど」ボソリ 玄「………………???」ヘケッ  玄さん、いい場面なんですから「どうして好き好んで小さな胸を触りたがるんだろう」みたいな顔しないでください。 874 名前:6月22日(土)[saga] 投稿日:2014/03/17(月) 00:39:38.47 ID:outZB5sbo 京太郎「荒川さん、俺も応援してます! 短い間ですけど出来る限り力になりますから!」 憩「須賀くんもありがとうなー。でも無茶は禁物やで?」ニコッ 京太郎「いやぁお気遣いどうもっす」  うわー癒されるなー。  マイナスイオンとか出てるんじゃないかな(情弱)。 憧「……」ゲシッ 京太郎「いてっ。なんだよ憧?」 憧「アンタ、ちょっとデレデレしすぎじゃないの?」 京太郎「そうかぁ?」 憧「そうよ。アンタだって阿知賀の一員なんだから、対外試合で恥ずかしいマネしないでよね」 京太郎「恥ずかしいって……」 憧「事実でしょ」ツーン  なんか今日の憧は一段と厳しい。  思えば行きの車内から機嫌が悪かったような。  冗談でも髪を触らせてなんて言うべきではなかったかな。 876 名前:6月22日(土)[saga] 投稿日:2014/03/17(月) 01:08:46.09 ID:outZB5sbo ガラッ 「先生のお出ましやでー!」 憩「あ、先輩」  そんなタイミングで、荒川さんの先輩さんが戻ってきた。  後ろには顧問と思われる女性を伴っている。 憩「そろそろ始まるみたいやねー」 穏乃「ですね! うおお燃えてきたぁー!」 レジェンド「よし、それじゃあ私も顧問として先方に挨拶を……あっ」 京太郎「どうしました?」 レジェンド「ごめん須賀くん、車にファイル置いてきちゃった。取ってきてくれない?」 京太郎「いいっすよ」 レジェンド「悪いね」 憩「お仕事頑張ってやー」フリフリ 憧「今度はナンパするんじゃないわよ」 京太郎「しねーっての!」  信用ないなぁ。  そりゃ自業自得な部分も多いかもしれないけど。  ちょっと沈んだ気持ちで三箇牧の部室を出た。  覚えていたのはそこまでだった。 880 名前:6月22日(土)[saga] 投稿日:2014/03/17(月) 01:11:16.25 ID:outZB5sbo 京太郎「あ、れ――、――――――」フラッ ドサッ 【TO BE CONTINUED...】

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