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Night of The Round


ガウェインとの契約を交わし、今後の行動を決めようと思案していた時、
ルルーシュは不意に眩暈を覚える。

「……ッ!?」

不意に襲われた不快感に頭を抱え、
もう一度頭を上げた時、
そこには思いもよらない光景が目に入る。

「なっ…!?」

先程までの宮殿のような光景は消滅し、
窓から月の光が差し込む長い廊下の真ん中に
いつの間にか自分は立っている。

『ムーンセルによる移動が行われたようですね』

傍から白銀の騎士の声だけが響く。

「ガウェインか? 何処にいる?」

ルルーシュの声に反応するように光が集約し、
人の形を成していく。
ものの数秒で始めからそこに居たかのように
ルルーシュの傍らに白銀の騎士が現れる。

「常にお傍に」

サーヴァントの霊体からの実体化を初めて目の当りにし、
若干腰が引けているが、それをガウェインに悟らせない様に
咳払いを一つし、ガウェインに目を向ける。

「……ムーンセルとはどういう事だ?」

ルルーシュの質問にガウェインは暫し沈黙した後、
周辺に目を向け、何事かを閃く。

「丁度良い場所に飛ばされたようです。
 着いて来て下さい、口で説明するよりも
 分かりやすいものが有りますので」

そういって彼は暗い廊下を先行していく。
それを訝しみつつもルルーシュも後に続いていく。

「こちらです」

そう言って彼が指し示したのは一つの個室。
扉の上に貼り付けられたプレートには
『図書室』と書かれている。

「ここは……図書室?
 何の冗談のつもりだ、ガウェイン?」

眉間に皺を寄せ、詰問するような口調のルルーシュを
微笑んで軽く流し、ガウェインは引き戸を開けて中へ入っていく。
顔を顰めつつ、ルルーシュも中へ入ろうとして
今までの暗い廊下とは違い、
明かりの点いた室内に一瞬、目を細める。

「あっ、いらっしゃい!
 あなたがマスターさん?」

図書室の受付に座る黒い学生服を着た少女が
明るく声をかけてくる。
その傍ではガウェインがにこやかに
ルルーシュに手招きしている。

「説明をしろ、ガウェイン!
 この女は誰だ? 何故、俺がマスターだと知っている!」

声を荒げるルルーシュを宥め、
隣の女性を示して、

「彼女は間目 智識(まめ ちしき)さん。
 我々のサポートをしてくれるNPCです」

ガウェインに紹介された少女がルルーシュに手を振る。
だが、その少女を無視し、
ルルーシュはつかつかと歩を進めると
ガウェインに詰め寄る。

「それで、この馬鹿みたいな名前の女が
 何の役に立つというんだ?」

「バッ!? き、気にしているのに……」

ルルーシュの言葉に凹む少女を「まぁまぁ」と宥めつつ、
にこやかなままガウェインはルルーシュに向き直る。

「落ち着いてください、ルルーシュ。
 ここにはムーンセルに集められた
 全ての情報が記録されています。
 彼女はここの管理人です」

エッヘンと胸を張る少女を不審そうな目で眺め、
疑念は晴れはしないままに仕方無さそうに
ルルーシュが口を開く。

「……取り敢えず、ムーンセルと聖杯戦争に
 ついての記録を出して貰おうか?」

「あいあい」と軽く返事をして少女がPCに向かい、
キーボードを軽快に叩いていく。
すぐにPCのディスプレイに映った文字列を眺め、
少女は一瞬、困った表情を浮かべると

「はい、これだよ」

と、一冊の書籍を取り出す。
その本を手に取り、ぱらぱらと捲り
ルルーシュが首を捻る。

「……如何いう事だ?
 俺は『ムーンセル』と『聖杯戦争』についてと言ったのだが、
 これには『聖杯戦争』についてしか記載されていないが?」

ルルーシュの質問に少女は「あはは~」と
困り顔をしつつ、言い訳を始める。

「いやですね、私も出来れば協力したいんだけど
 『始めから答えを与える様な甘えは許さん』って、
 どっかの神父さんから通達が来てましてね」

「本当にごめんなさい!」と両手を合わせる少女に
舌打ちこそしたが、それ以上の追求はせずに
ルルーシュは渡された本に目を落とす。

「……随分と断片的な記録だな。
 過去のものに到っては行われた回数と日付のみか…
 ん? この第5次聖杯戦争というのは
 最近行われたものなんだな?」

それまでは断片的だった記録が
その部分に関してだけは詳細に記載されている。

「勝者は衛宮士郎…イレブンか。
 待て、そういえば此処は何処だ?」

唐突な移動により頭から抜けていた疑問が
「イレブン」という単語で急に頭を過ぎる。

「此処は冬木市。
 貴方の世界で言う所のエリア11の
 一つの街ですよ、ルルーシュ」

疑問に対してすかさずガウェインが答えを返す。
その隣では少女が仕事を取られたような
情けない顔をしていたが。

「……エリア11。
 日本だったのか、此処は」

自分にとっては因縁深い場所である事に対してか、
ルルーシュの表情に蔭りが差す。
だが、一つの疑問が頭を過ぎり、
頭を上げてガウェインに視線を向ける。

「いや待て。今、お前は『貴方の世界』と言ったな。
 それはお前が過去の人物だから言った事か?」

ルルーシュの質問にガウェインは驚いた様に目を丸くした後、
その行為が無礼に値すると感じたのか恥じ入るように
少しだけ俯いた後、すぐに顔を上げて真剣な表情でルルーシュを見つめる。

「いいえ、言葉の通りです、ルルーシュ。
 貴方は『この世界とは異なる世界』から
 聖杯によって選ばれたのです」

ガウェインの言葉や表情に偽る様なものは無い。
俄かには信じがたい話だが、
ルルーシュの明晰な頭脳はこれまでの経緯も含めて
その可能性を素直に受け入れる。

「平行世界(パラレルワールド)か・・・
 そうすると聖杯というものは
 確かに願望器と呼ぶに相応しいな」

顎に手を当て、呟く様に答えを導くルルーシュに
ガウェインが微笑んで言葉を続ける。

「聖杯は情報の収集を主としております。
 いえ、正確にはそれしかしないんです。
 ですがそれは同時にあらゆる可能性にまで及んでいます。
 その情報量は私には想像も及びません」

「それが何故願いを叶える事に繋がる?」

「私に分かるのは其処までです。
 何故それが願いを叶えるのに繋がるのか
 それを知る事が出来るのは
 最後に勝ち残った勝者だけですから」

「あわわわ……な、何この人、いきなり核心にまで迫った!?
 ルルーシュ、恐ろしい子ッ!」

一人、驚愕の表情を浮かべている少女を尻目に
ルルーシュは足早に出口へと歩いていく。

「どちらへ?」

ガウェインが首を傾げてルルーシュの後を追う。

「取り敢えず、ここが何処なのかという事と
 聖杯戦争と言うものについては知る事が出来た。
 当面はここに来る用も無ければ、
 ここに長居する必要もない。
 ここで情報が閲覧できる以上、
 ここに来る者は全て、
 他のマスターという事になるだろうからな」

口元に少しだけ笑みを作り、さっさと扉を開けて
一人先に外に出て行ってしまう。
やれやれといった様子でガウェインも後に続き、
出口の前で少女に深々と一礼した後、
その姿を霊体化させて、その場から消えた。

「……さて、誰か来る前に仮眠しとこ」

取り残された少女は寝袋を取り出して、
いそいそと仮眠の準備に勤しむのであった。


「ガウェイン、そこに居るんだろう?」

見向きもせずに声だけで確認する。

『ハイ、こちらに居ります』

今度は実体化せずにこちらも返事をするだけに留めている。

「さっきの書籍に気になる名前があった。
 第5次聖杯戦争の勝者、衛宮士郎。
 会ってみる価値はあるだろう」


――――――――――――――――――――――――――

コンロに火を点けて、薬缶を温める。
その間に台所の戸を開けて、茶葉を探す。

「えぇっと、あぁ有った。
 セイバーは緑茶で良いか?」

「えぇ、私は何でも構いません」

台所からセイバーの姿に目をやる。
キチっとした姿勢で正座し、
穏やかな表情で自分の方に目を向けている。
目が合い、何だか気恥ずかしくなって
慌てて薬缶に向き直る。
程よく暖まったお湯を急須に注ぎ、
湯飲みにお茶を淹れる。
ほんのりと渋い匂いに少しホッとする。

「出来たぞ、セイバー」

「ありがとうございます、シロウ」

机に向かい合う形で座り、
お互いの湯飲みを置く。
お茶を少しだけ啜る。
熱めに沸かしたお茶が逆に心地良い。
気分が落ち着いてきたのでそろそろ本題に切り込む。

「セイバー、今回の聖杯戦争についてなんだが
 セイバーも気づいてるよな?
 今回の聖杯戦争はおかしいって事」

セイバーも湯飲みを置き、士郎の言葉に続く。

「えぇ、理解しています、シロウ。
 7騎ではなく25騎にも及ぶサーヴァント。
 これは明らかに異常です」

その言葉にうんと頷き、そして首を傾げる。

「セイバーは聖杯の事は分かんないんだよな?
 柳堂寺の地下の大聖杯はもう無いんだ、
 じゃあ、今回の聖杯は一体何処から現れたんだ?」

「すみません、シロウ。
 聖杯の所存については私も分かりません」

しゅんとしょげかえるセイバーに慌ててフォローをいれる。

「いや、別にセイバーを責めてる訳じゃないんだ!
 ただ、今回の事は分からない事だらけで
 俺も如何したら良いか分かってないんだし」

気分を落ち着ける為にお茶を一気に流し込む。
まだ少し熱かったが気分は少し落ち着いた。

「そ、それでだな、セイバー。
 今回も夜の見回りをしようかと思ってる」

提案としては愚直も良い所である。
しかし、自分にはここから手を付けるしかない事を
分かっているからこその提案である。
セイバーは机に置いておいた湯飲みを持ち、それを一口啜る。
コトリと湯飲みが置かれ、セイバーが真剣な表情で
シロウの顔を見つめる。

「分かっています、シロウ。
 ですが、約束して下さい。
 決して一人では無茶な行動はしないと」

「あぁ、俺もあの頃よりは理解出来てるよ。
 セイバーを心配させるような真似はしない」

お互いに真剣に見つめあい、意識を確かめる。
後は空になった湯飲みを持ち、台所へと向かう。
湯飲みを洗いながら後方のセイバーへと声を掛ける。

「そうだ、セイバー。
 俺もただぼんやりと過ごしてたって訳じゃないんだ。
 一緒に道場の方まで来てくれないか?」

――――――――――――――――――――――――――

乾いた竹刀の音が響く。
だが、それは打ち合いと言うにはあまりにも一方的で、
指導と言った方が的確な状態である。
振るわれた竹刀が腕に当り、
思わず竹刀を取りこぼす。

「……いてて、やっぱりセイバーには敵わないか」

「確かに以前よりは上達したようですが、
 まだまだですね、シロウ」

ご満悦と言った表情でセイバーが胸を張る。
そういえば、前から気になっていた事があるから、
ご満悦ついでに聞いておこう。

「そういやさ、セイバーは剣の腕で誰かに負けた事はあるのか?」

その言葉にセイバーがムッとする。

「何を言いますか、シロウ。
 私はセイバーの名を冠するサーヴァント。
 剣に於いて他に遅れを取ることなどありません!」

誇らしげに話すセイバーだが、ちょっと引っかかる事があるな。

「いや、でもセイバーって確か伝承じゃ――」

その言葉を途中で遮られる。
セイバーの顔は真剣で何かに集中している。
この感覚は――まさか!

「シロウ、近くにマスターが来ています!
 かなりの魔力を感じます、間違いありません」

セイバーの周りに風が集まり、
瞬時に礼装に包まれる。
セイバーの様子からして、相手も相当やばい奴だ。

「シロウはここに!」

言うや否や、セイバーが一人で外に飛び出してしまう。
慌てて続こうとして前にもこんな事があったのを思い出す。
あの時はセイバーがアーチャーの奴を切り伏せちゃったから、
とんでもないことになってしまったんだった。

「…とと、こんな事考えてる暇はないぞ。
 セイバーを追わないと!」

急いで表門から飛び出し、周囲に目をやり、
セイバーの姿を探す。

「居た!」

意外と近くに居たセイバーに安堵すると同時に疑問が起こる。
遠くに見えるセイバーは明らかに動きを止めている。
相手の反撃にあったような感じでもない。
何かに驚いているといった様子だ。

「セイバー!!」

走りながら意識を集中させる。
『―――同調、開始(トレース オン)』
一番、意識しやすい二振りの剣を投影する。

<干将・莫耶>

陰陽二振りの短剣。
アイツが使っていたのは気に食わないが、
瞬時に投影できるのはこれくらいなのだから
いちいち選り好みはしてられない。

短剣を構えて、セイバーの横に並ぶ。
セイバーの姿にはやはり何処にも外傷は見当たらない。
ならば、セイバーは『何』に対して
ここまで驚いているのだろう?

セイバーの視線の先に目を向ける。
そこに白銀の騎士が立っていた。

「お久しぶりです、アーサー王。
 いえ、今はお互いにサーヴァントの身。
 叔父上と呼んだ方が宜しいですかね」

白銀の騎士が構えていた剣を収める。

「あなたは……ガウェイン」

固まっていたセイバーが口を開く。

ガウェイン?
ガウェインって、確か円卓の騎士で
アーサー王の片腕とまで言われた騎士の事か?
剣を収めたと言う事は少なくとも
向こうに今は敵意は無いみたいだが。

「フン……いきなり飛び掛る番犬とはな。
 前回の勝者とやらはその無節操さで
 他の者に勝利したのか?」

悪態をつきながら白銀の騎士の影から一人の青年が姿を現す。
細身で黒髪だが瞳の色が日本人ではない事を証明している。

「……誰だよ、お前!」

セイバーはまだガウェインと呼ばれた騎士に驚き、固まったまま。
いくら相手が知り合いだったからと言って油断が出来ない事は
前回の経験から充分に身に沁みている。

警戒心を解かない俺を青年は鼻で哂い、

「俺の名前はルルーシュ・ヴィ・ブリタニア。
 貴様に用があって此処に来た。
 セイバー「ガウェイン」のマスターだ」

そう言って、右手に刻まれた令呪を翳した。

【深山町・衛宮邸前/深夜】
【衛宮士郎@Fate/stay night】
[状態]:健康(残令呪使用回数:3)
【セイバー(アルトリア)@Fate/stay night】
[状態]:健康

【ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア@コードギアス】
[状態]:健康(残令呪使用回数:3)
【セイバー(ガウェイン)@Fate/Extra】
[状態]:健康



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