No.24


「ふ、聖杯戦争か……面白い」

彼――金城優は<<魔導士(ウィザード)>>と呼ばれる存在である。
あまりに強く、まるで魔法のような強さからつけられた己の二つ名。
だが時折、誇らしく思うと同時にそれを疎ましく思うようにもなった。
彼はあまりにも強く、敵がいなかった。
かのオオカバマダラが引退してからはさらに敵はなくなった。
自身の後継と目される<<氷結の魔女>>もその成長著しいものの未だ自分に及んでいない。

そう、彼は退屈していた。

海外留学も間近と迫り少し彼は焦っていた。
ここを離れる前に何かが欲しい。何かがしたい。
何かを――自分を育ててくれたこの場所に残したい。
そんな時に聖杯戦争の噂を聞きつけた。
あらゆる願いがかなう万能の願望器。
それがあればこの胸に吹く虚無なる風を止ませることができるかと。

狼として彼を猛らせることができるかと。

いつものとは趣向が違うが、聖杯もまた彼の獲物と定まった。
聖杯を獲るまでは決して彼の腹が満ちることはない、そう自縛する。
後は腹の虫の加護が彼を前へと突き進ませる。

彼はその明晰なる頭脳をもって情報を収集し、ついに聖杯戦争への参加条件の入手に成功したのだった。

「さぁ、出でよ我がサーヴァントよ!!」

ウィザードの声に応じ、鶏の血によって描かれた魔法陣から光が溢れだす。

「く、ククク、クハハハハ、フゥーーーハッハッハッハッハッハッハッハ!!!」

知れず、金城優は笑いだしていた。
信じていなかった訳ではないが、現実に超常現象を目の前にして自分の中でスイッチが入ったのだ。
昨日までの日常は全て過去のものとなった。
それが実感となって全身に漲るのを感じる。
これからは、彼の腹を満たす狩場ではなく、自身の命さえ危うい戦場が舞台となる。

溢れだす光の奔流が収まった時、そこには一人の女性が跪いていた。
腰まである流れるような金色の髪。その先端は二股に結えられていた。
その背には白く透き通るような美しい水鳥の羽。
その右手には剣を、左腕には盾を携え、俯いたその貌はまさしくこの世ならざる美貌と見えた。
その姿はまさしく伝承にある天使だった。

その天使はゆっくりと貌を上げ、優を見る。

「私の名はアストレア。セイバーのクラスをもって顕現したエンジェロイド・タイプデルター、アストレアよ
 あなたが……私のマスター?」

「その通りだセイバー。我が名は金城優。人は俺のことをウィザードと呼ぶ」

そういうと彼は颯爽とコートを翻し、セイバーに背を向けて歩き出した。

「行くぞ」
「何処へ?」

彼は振り向きもせずに答えた。

「知れたこと。我が戦場<<フィールド>>へ……獲物を狩りにさ」
「あ、ちょっと待っ……うぴゃあ!」

膝を付いた状態から慌てて立ち上がったセイバーは足をもつれさせて盛大に転んだ。
その様子を背後に感じながら金城優は一筋の汗を流す。

(これは……外れを引いたか?)

興奮して乗りに乗っていたテンションが急速に冷めていくのを感じる。
振り向くとセイバーは誇りにまみれた羽をはたいて涙目で歯を食いしばっていた。

「あーもー! え、ちょっと疑いの目で見ないでよ! 私は強いんだからね!!
 他のサーヴァントなんてぎっちょんぎっちょんなんだから!!」

彼と彼女の聖杯戦争が始まる。
しかし行く先は暗雲が広がっていた。

【参加者NO.24 金城優@ベン・トー】
【サーヴァント・セイバー エンジェロイド・タイプデルター アストレア】




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