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悲しい夢を見た。


全てを無に帰す欲望。
紫の恐竜のコアメダル。
世界の終末を望む男。


少しずつ、しかし確実に進行していくグリード化。
赤い腕の男との敵対。
激化していく戦い。暴走する意識。
助けを求める人たちの叫び声。

暴走する力を制御するべく、「彼」は自分の欲望を思い出す。

「どこまでも届く自分の腕」、自分が人を助けるためにそれに見合う「力」
自身の「欲」を思い出した「彼」は、終末を阻止するため「紫のコアメダル」や「無限のセルメダル」を貪欲に欲した。


自身がグリードになるという恐怖に震えながらそれでも彼は、戦いを止めなかった。
自分ひとりで全てを背負い込み己の命さえ顧みないその姿勢に、あるものは危険視し、ある者は心配し心を痛めた。
その強すぎる自己犠牲の精神を見ていた「彼女」は、いまの私と同じように…悲しい顔をしていた―――








「あ、もう起きて大丈夫こなたちゃん?」

目を覚ますと同時に様子を見に来た映司から水を貰い意識を覚醒させる。

「気分はどうこなたちゃん?」
「あ…うん、もう大丈夫だよ。他の皆は?」
「ルルーシュ君とガウェインさんは居間にいるよ。陽介くんは庭で特訓してる。起きれるなら食事にしようこなたちゃん」
「うん、そうだね。お腹ぺこぺこだよ」

思えば昨日の宴会から何も食べていない。
空腹を感じると同時に、もうここにいない仲間たちの事を思い出す。

「…行こうかこなたちゃん」

そんなこなたの心情を感じ取ったのか、どこか無理に空気を変えるように振舞う映司に感謝しながら、先ほど見た夢を思い出した。

「映司さん、あの……」
「ん、どうかしたこなたちゃん?」
「あのさ、映司さんはその…大丈夫?」
「…っ、もちろん大丈夫だよ。陽介くんのお陰で傷はすっかり治ったから。さ、行こう」

そういって誤魔化すように笑い先に部屋を出た。

「映司さん、やっぱり…それにさっきの夢は…」



先ほど浮かべた安心させるように笑う笑顔は、夢に見た、痛みを堪えて振舞う笑顔だった。










再び居間に集まった一同は先ほど話し合った内容をこなたに伝え、出前が届くまで思い思いにすごしていた。
なおこなたをここにおいて行くという案もあったが、足手まといとは解っているけれど最後まで一緒に戦いというこなたの強い希望により一緒に行くこととなった。
ギルガメッシュほどの英霊が直接マスターを狙う可能性が低いこと、令呪の援護がとり易いよう近くにいたほうがいいという考えもあった。(もちろん戦闘が始まれば離れてもらうが)


大量に届けられた出前をたえらげ、映司は見張りに出ると出て行った。
続いて特訓の続きをしようと部屋を出ようとした陽介を呼び止め、ルルーシュ、ガウェイン全員に先ほど夢を見たこと。
映司の様子がおかしかったことを話した。


「夢ですか…。マスターとサーヴァントとの間に強い結びつきがあればそのような事があるとは聞きますが、そのような夢を見るという事はオーズ殿の精神が夢に見た状況に近いのかも知れません」
「まずいな、この状況で精神的に追い詰められていたら絶望的な状況がさらに悪化する」
「やっぱ火野さんも皆のこと気にしてるんだよな…」
「気にしてないものなどいないだろうな。ここにいる全員が感じていることだ」

今はもうここにいない仲間に思いを馳せ、胸を痛めたが感傷に浸るのは後だとすぐに思考を切り替えた。

「どのみちこのままではまずいな。責任を感じて無謀な行動を起こしかねん」
「そうだな、俺も覚えがあるからわかるよ。大切な人や親しい人を亡くした奴ってさ、何かできたんじゃないかとかこうするべきだったって思い悩んじまうんだよなぁ」

仄かに恋心を抱いていた先輩。
相棒が大切に思っていた妹。
嫌われ者の担任教師。
彼女たちの死は、自分や仲間に大きな影を落とした。
特に菜々子の死は大きな影響を及ぼし、自分たちが視野狭窄に陥った原因である。


「だからさ泉さん。火野さんとちゃんと向き合ってほしい。じゃないと火野さんはずっと苦しいまんまだ」
「陽介くん…。でも、私なんかじゃ―――」
「頼む…俺は、俺たちは向き合えなかった。だから悠はこの戦争に参加して命を落とした。そんな後悔は絶対にダメだ」

それは、花村陽介だからこそわかる苦しみ。
自分と相棒が味わった苦しみを目の前の仲間にしてほしくなかった。
両肩に手を置かれ向けられた言葉に戸惑い、迷い、そして決意を固めたこなたは勢いよく飛び出した。

「がんばれよ、泉さん…」
「俺たちも行くぞ花村。何を一人で思い悩んでいるのか知らんが、ここまできて一人で背負い込もうとしているのなら殴ってでも止める」
「…お前って意外と直情型だよな」














私…甘えてた。
映司さんの優しさに甘えてた。
映司さんは都合のいい神様なんかじゃない、そんなこと解ってたはずなのに…
相棒の苦しみに気づかなくて何が対等なパートナーだ。
今度は私が、私が映司さんを守る番なんだ!


「映司さんっ!」


山門の階段で空を見上げ佇んでいた映司は驚いたように振り返った。

「こなたちゃん?そんなに慌てていったい何が―――」
「ごめんなさい映司さん。映司さんの苦しみに気づいてなかった。私、自分のことばっかりで…本当にごめんなさい」
「ちょっと…どうしたのこなたちゃん、なんで急にそんなことを?」
「私、夢で見ちゃったの、映司さんの過去を…映司さん夢の中でとっても傷ついてた。傷ついてるのに無理して笑って苦しんで…」
「こなたちゃん……」

こなたの話す過去に覚えがある映司は、思わず口を閉ざす。
おそらく紫のコアメダルが体内に取り込まれ精神的に追い詰められていた時期を指しているのだろう。
夢に見たことで当時の映司の精神状態を知ってしまい、今ここに来ているのなら……隠し通そうとしてきたことの全てをこなたに知られてしまった事を意味する。


「お願い映司さん、全部一人で背負わないで。
私じゃ陽介くんやルルーシュくんみたいに隣で戦えないけど、つらい時にそばにいることならできるから。
手を握ることならできるから…だから……っ」
「……俺なら大丈夫だよこなたちゃん。無理なんてしてない。なにも心配なんていらないよ」
「そんな明らかに無理してますよーって顔で言っても説得力ないぜ火野さん」
「まったくだな」

いつの間にかやってきたルルーシュと陽介がこなたの後ろから現れた。近くにガウェインも控えていて軽くこちらに会釈をする。

「今の火野さんさ、菜々子ちゃんが入院してたときの悠みたいな顔してるぜ。辛いのに周りに心配かけないように必死に取り繕って内側に溜め込んで…見ていてすっげえ心配になってくる」
「もっとも、泉が一番に異変に気づいたからこそ俺たちも気づけたのだがな。たいしたポーカーフェイスだよ」

少しずつ近づき映司の目の前にたったルルーシュ達は、静かに、だが強い視線を向ける。

「ひとつ言っておくぞライダー。もしも衛宮達の事でお前が責任を感じているのならそれはお門違いというものだ」

強い口調でハッキリと告げられた言葉に動揺というよりも困惑を顔に浮かべる。

「お門違いって…それは違うよルルーシュ君。俺が判断を誤ったから凛ちゃんが…それにディケイドを抑えられないうえにDIOさんの援護を許したせいで士郎君もセイバーさんも、それに鉄之介くんやキャスターさんだって―――」

仲間の死は、少なくとも映司自身は自分の選択や判断を誤ったために起こったことだと確信していた。だからこそ、あの悪夢を見たのだ。

「判断を誤ったと言うがなライダー。そもそも作戦を立てたのは俺だぞ。責を問うならまず俺が一番に受けなければならないことだろう」

今思い返しても自身の犯した失態に後悔がよぎる。

「天海陸とセイバーの嘘を見抜けず、衛宮切嗣とディケイドの策略で金田一とライダーを失いガウェインには仲間殺しの罪を負わせ、その後も使い物にならず衛宮切嗣を取り押さえる機会を逃し、あまつさえ敵の戦力を見誤り衛宮とセイバーを死なせた。これ以上の責任がどこにある」

もしも仮に金田一とライダーの主従が生きていれば、あるいは衛宮とセイバーが無事だったならば、宝具殺しの宝具をもつ太公望、アヴァロンの加護を持つアルトリアがいればギルガメッシュとの戦いに大きな勝率が増し、それ以前の決戦でDIOとディケイドに完封を収めることも出来た。
彼らは最優先で守るべき者たちだった。それが分かっていただけに余計に自分の失態に苛立つ。

「俺にだって罪があるぜ火野さん。もしも悠に襲われたとき気絶せずに取り押さえられていたら、そのとき肉の芽を解除出来ていたらもしかしたら一緒に戦う未来があったかもしれない。それに決戦のときアレックスの相手をDIOじゃなくてディケイドを選んでいたら、アサシンの毒を喰らっても令呪ですぐに回復できた。
そしたらディケイドとうまく戦えていただろうし、火野さんと一緒ならそのまま倒すことも不可能じゃ無かった」

陽介もまた自分が犯してしまったミスを悔いていた。
鳴上悠とクー・フーリンの主従。
DIOに敗北こそしたものの、彼らは決して弱くはない。
むしろ全体を見ても上位に属するマスターとサーヴァントだった。
もしも最初の会合で肉の芽を解除できていたら、一緒に戦うとは限らなかったが可能性は大いにあった。
彼らが加わっていた場合こちらのサーヴァントは六人。
人数の有利を取れていたし彼らの実力、正確にはランサーの宝具、「刺し穿つ死棘の槍」ならばディケイドが如何なる速さと手数を持とうと、因果逆転の呪いを回避する幸運もなければ防御手段も持っていないライダーを討ち取る事が出来た。
あるいは最初からDIOの相手をセイバーに任せていた場合、アレックスの防御と再生能力ならばディケイドとランスロットのどちらが相手でも有利に戦闘を進めることが出来た。
またアサシンが打ち込んだ毒も余分な令呪を使えばすぐさま戦線に復帰することが可能で、セイバーとライダーがアレックスの護衛に必要がなくなったので相当戦いやすかったはずだ。
それを友の敵討ちという極めて個人的な勝手で台無しにしてしまった。
そのせいで衛宮とセイバーが死に、ライダーとアレックスも危険な状態に陥り、さらには名無とキャスターの死ぬ原因を作ってしまった。

「私なんか初めからずっと足手まといだったよ。そのせいで皆に迷惑かけて…。それに凛ちゃんが死んだ時だって、ほんとなら私が令呪を使って火野さんを呼び戻さなきゃけなかったのに気絶して…。
他のサーヴァントの知識だって、私がいなくても事前の情報や鳴上君の残したデータがあればDIOの時間停止だってわかったはずだし。
むしろ私の知識が裏目に出てセイバーさんが死んじゃった…アレックスさんだって私のせいで…」
「違うっ!皆は悪くない、俺がうまくやれていれば―――」
「オーズ殿…」

そんなことは無いと、自分がうまくやれていれば皆が傷つかなかったのだと言いたかった映司の言葉をガウェインが遮った。

「主や仲間を大切に思う貴方の心は素晴らしくとても嬉しい。けれど同時に、ルルーシュ達もまた同じ気持ちなのをわかってください。
皆オーズ殿を心配し、助けたいと願っています」

それに…っと少し間を置いてガウェインの心を告げる。

「誰もが責任を感じ、後悔し、傷を負った。それを一人で背負おうとしないでください。この傷は、この痛みは此処にいる皆が背負うものです」
「ガウェインさん…」
「そうだぜ火野さん。気にするなって言われても無理だろうけど、俺が背負わなきゃいけない事まで引き受けないでほしい。俺は、死んでいった仲間達の想いや意思を受け継いで戦うと決めたんだから…」
「陽介君…」
「困ったときは仲間を頼れ。苦しいときは肩を借りろ。それを俺に教えてくれたのはお前達だぞ。
あまり一人で気張るな。俺たちを頼れ。それがチームなのだろう?ライダー…」
「ルルーシュくん…」
「映司さん……」


こなたはそっと映司の右手を両の手のひらで包み込み額をつける。

「私には、こんな事しか出来ないけど…。映司さんを一人にしないって誓うよ。映司さんが傷ついたら何度だって、こうして手を握るから…」
「こなたちゃん…どうしてそこまで?」
「そんなの決まってるじゃん」

顔を上げ、強い意志を宿した瞳でまっすぐ映司を見つめ微笑む。

「私達はパートナーなんだから!お互い困ったら助け合わなくちゃ!」

その言葉に、映司は目を見開いた。
それは、出会って間もないころのこなたの言葉。
自分は一人で戦っているのでは無いことを教えてくれた大切な言葉。

自分は間違えていた。
支えられていたのは、自分だったのだ。
彼女の笑顔と前向きさに、自分の心は救われていたのだ。


「ありがとう。こなたちゃん……」


握り締められた手の暖かさに、心の中の澱みが払われていく気がした――――












幾分かすっきりとした顔に戻った映司に安心したのもつかの間、何があったのか改めて詳細を聞いたこなたと陽介は、自爆覚悟だった映司に怒りを露にし、絶対にしないことを半ば無理やり約束させた。

「まったくもう映司さんはっ!次そんなこと考えたら許さないからね!」
「ごめんってこなたちゃん。もう心配かけるようなことしないから」

ご機嫌取りに躍起になるライダーに苦笑しながら、陽介は他に有効策が無いかを考えた…が

「あーーだめだ!まともじゃない案なんてやっぱそう簡単に浮かばねえよ」
「正攻法では苦戦は必至。しかし小細工でどうこうなる相手じゃなし。やはり正面突破か…泉、お前も何か案はあるか?」
「無いこともないけど…」
「え、まじかよ泉!」

半ば期待していなかったところに帰ってきた返答に思わず身を乗り出す陽介。
対するこなたはどこか歯切れが悪い。

「案っていうか思いつきみたいな物なんだけどね。ある意味お約束っていうか…」
「それは何なのです泉殿?」
「えっと、アニメとかだったら合体攻撃とか新しい力に目覚めるなぁって思っただけで、具体的なことは何も思いついてないんだよ」

あはは…っと明後日の方をむいて笑うこなた。

「ま、確かに俺のペルソナとルルーシュのコードキャスト、それに火野さんのコンボを全部ガウェインさんの攻撃に上乗せできればちょっとは勝ち目見えてくるかもな」
「お前はともかく俺のコードキャストでは出力不足だがな。最低でもお前のペルソナレベルの能力がなければ大した足しにはならん」

どの道現状では出来ることは少ない。

「そんじゃ、ぎりぎりまで出来ることをしますかね。おれちょっと横になって休んでくるから何かあったら起こしてくれ」
「あ、うん。オヤスミ陽介くん」


そういって居間から出る陽介をきっかけに会議はお開きとなった。










ベルベットルーム






眼を開けると視界いっぱいに広がる青い世界
どこからか聞こえる音楽
豪華なリムジンの車内
美人なお姉さん
妖怪じじい

再び訪れたベルベットルームで目的の人物に声をかける。

「ども!イゴールさんにマーガレットさん、さっきぶりっす!」
「これはこれは、ようこそ我がベルベットルームへ。お待ちしておりましたぞ花村陽介殿」

相変わらず血走った眼をぎょろりと向け出迎えるイゴール。
マーガレットは考えの読めない笑みを浮かべたままこちらに会釈をした。

「実はお二人に相談があってきたんっすよ」
「ほう、なんでございましょう」
「ええ、ちょっと俺を鍛えてもらえません?」

ちょっと買い物行ってきてと同じくらいの軽さでとんでもない頼みごとをしてきた客人に、わずかに目を細めるマーガレット。
イゴールは興味深そうに先を促した。

「とんでもなくやばい相手と戦わなきゃいけないんっすけど、絶対に負けられないんですよ。けど今の俺だと力不足なんで、ちょっと鍛えに来ました」

あっけらかんと、しかし本気だとわかる口調と表情で告げる陽介。

「ふふふ、これは実におもしろい。私も様々な客人を見てまいりましたが、貴方のような客人は初めてでございます」
「はあ、どうも…。いや俺も悩んだんっすよ。此処は外と時間の影響を受けないって前に言ってたけどさすがにどうなのかなと。けど他に手はないし?泉の言葉を借りるなら修行パートのレベル上げしかないなって思って…」
「いえいえ少し驚いただけですとも。我々のような存在にそんな頼みごとをされたのは初めてでございますから。我々はお客人の旅の手助けをするもの、謹んでお受けいたしましょう」

そして、ゆっくりと停車するリムジン。イゴールはドアのほうへ手を向け降りるよう促す。
降りるとそこは木も建物も何も無い広場のような場所だった。
いつの間に降りたのか、マーガレットが立ち本を開いて佇んでいる。
見惚れる笑みを浮かべながら、とんでもないプレッシャーを感じ反射的に戦闘態勢をとった。


「これから貴方にはマーガレットと戦っていただきます。
ここは精神と物質の狭間の世界。この場所ならばより効果的に戦いを経てあなた魂と精神は強靭に鍛えられるでしょう。
生と死の狭間にて、人の魂は輝きを増し奇跡を起こされます。
ただしご注意ください。マーガレットはとてつもなく強い。油断されると……塵に消えますぞ」

洒落にならない事をあっさりと話し、今度はこちらの顔が引きつる。

「改めましてご挨拶をさせてもらうわ。私の名はマーガレット。“力を司る者”として、敬意をもってお相手するわ」

挨拶と同時に途方も無い魔力が渦巻き、吹き荒れ、マーガレットの体を宙に浮かす。右手にはペルソナ全書を、周囲にはカードが浮かび上がりこちらを楽しげに見据える。

「おいおいなんだよこれ…。この威圧感、アシュナードやDIOなんかとは比べ物にならないぞ…!」
「お止めになられますか?」
「まさか!強くならなきゃいけねえんだ、絶対に皆で帰るために!」

アレックスを召喚し封印の剣を持たせ、自身は干将・莫邪を手に持ち身構える。

「準備は万全かしら?さあ、始めましょう―――私を失望させないでちょうだい!」

カードが射出され迫り来る。アレックスを前に出しその全てを封印の剣で弾き飛ばす。

「自称特別捜査隊参謀、花村陽介!いくぜぇ―――!」

自らを鼓舞すると共にアレックスが飛び出す。一気にマーガレットに近づくと封印の剣を振り下ろすが、ヒラリとかわされカウンターを叩き込まれる。
直撃する直前に体を硬化させガードし、腕を異形に変化させなぎ払う―――――

「ジークフリード」

瞬間、赤い皮膚の剣士のペルソナがその大剣で異形の爪を防ぎ弾き返す。返す刀で剣を振るうが、封印の剣を盾代わりにし凌ぐ。

「ジークフリード―――ラグナロク」


炎熱系単体最強の魔法がアレックスを包み込み、熱気が陽介の体をチリチリと炙る。
しかし次の瞬間異形の爪が再び襲い掛かり、ジークフリードの体を引き裂いた。
すぐさま後退するジークフリードに追撃をかけるアレックス。

「ジークフリード―――プロミネンス」

次の瞬間、先ほどの炎とは比べ物にならない威力と範囲の魔法があたり一面を焼き払う。
陽介は巻き込まれていないものの、ペルソナであるアレックスに回避も防御も出来ないタイミングでの攻撃。
しかし――――

「撃ち抜け!ブリューナグの槍!」

爆炎の中から現れたアレックスは大した傷を負わず反撃に出た。
このアレックス、サーヴァントとしての能力を一部とはいえ受け継いでいる。
タマモとの戦いで得た呪術に対する耐性の一部も当然引き継がれている。
また元となったペルソナの片方はスサノオ。荒れ狂う嵐の神の一面をもつこのペルソナは、炎と風に対する強い耐性を持っている。
結果、いかに最強クラスの攻撃であろうとアレックス相手に炎は有効とは決していえない。
しかし―――

「ふふふ、やるわね…じゃあこれはどうかしら?」

次に現れたのは国造りの神、オオクニヌシ。
相棒が一時期使っていたペルソナをみて陽介は思わず顔を引きつらせる。

「真理の雷!」

極大の雷にすぐさま防御体勢をとるアレックスと陽介。
次の瞬間、脳天を突き抜けるようなダメージが襲った。

そう、耐性を引き継ぐことは、弱点を引き継いでしまうことも意味する。
アレックスの宝具『帽子屋』、というよりもARMS全般にいえる弱点―――
ナノマシンという細胞レベルの機械であるそれは、電気に弱いという弱点がある。
英霊はそういった逸話による弱点を突かれればひどく脆い。またスサノオも同じく電撃に弱いという弱点があった。
イザナギには逆に電撃に対する弱点は持たなかったが、単純にペルソナとしての格の問題と二重の弱点により電撃を克服出来なかった。

「ぐうぅうっ!!」
「休んでる暇なんかないわよ。エル・ジハード!」

先ほどと同じく広範囲、最高威力の魔法がアレックスと陽介二人にめがけて襲い掛かる。

「なめんな、アレックス!」

が、弱点が分かっていて何も対策を考えないわけがない。
実際の封印の剣の持ち主、ゼフィール。
この剣を使いガウェインを追い詰めたランスロット。
ふたりの歴戦の戦士の戦いからこの剣の使い方を知った陽介は、それを使えるよう訓練を忘れなかった。
封印の剣を掲げ、避雷針代わりに雷を剣に巻きつかせ、そのままマーガレット向けて跳ね返す。
陽介は持ち前のスピードと反射神経を活かし、アレックスが作った僅かな穴に飛び込み回避する。

「ふう、この高揚感…いつ以来かしら。
悪く思わないで、ますますあなたを倒したくなってきたわ!」
「俺だって同じっすよ。あなたを倒して、俺は先にいく!」

オベロンへとペルソナを変えたマーガレットは、魔力を練り上げ、肥大化させていく。
回避は不可能と判断した陽介はアレックスの両手に魔力を集め、荷電粒子の槍を作り上げる。

「これが、俺に出来る最強の攻撃…風と雷の合わせ技!」

泉の言う合体攻撃を自分なりにイメージした、一人合体魔法
暴風を纏ったブリューナグの槍は、マーガレット目掛けて放たれた。

「いっけええええ!」


「オベロン――――メギドラオン」











柳洞寺の一室





「話とはなんだ泉?」
「ごめんすっかり忘れてたんだけど、これ何かに役に立てないかな?」

部屋の一室で何か書き物をしていたルルーシュの元にこなたとライダーが尋ねてきた。
こなたの手には壊れた拳銃が乗っている。

「これは…」
「切嗣さんが持っていたやつをカンドロイドで回収してたんだ。持ってこれたのはこれだけで残りは大空洞の崩落に巻き込まれたんだよ」

渡された拳銃の中に入っていた弾丸を見分し、なぜこれを持ってきたのか納得する。

「衛宮切嗣の起源弾か…ガウィン、これは使えるか?」
「申し訳ありませんルルーシュ、普通の礼装ならば問題無いでしょうがその魔術師専用に作られたならば私には判りかねます…」

あくまで騎士であるガウェインには専門の知識は無い。
魔術師である衛宮かリインフォースがいればまた話が違っていたが、今いるメンバーでは死んだマスターの礼装が使えるかどうかなど分かりようが無い。

「ふむ、しかし消去されていないところを見ると何かに使えるかもしれんな。弾は…2発だけか。泉、これはお前が持っていろ」

そう言って壊れた拳銃から弾丸を取り出し手渡す。
そして懐から念のため取りに戻ったニューナンブを予備の弾薬と共に渡した。

「使い方は分かるな?カンドロイドだけでは対処できないことがあるかもしれない。念のため持っておけ」
「…わかったよ。私が預かっとくね」

サバゲーの知識やシューティングゲームで鍛えたとはいえ実物の銃には僅かに恐怖感が宿る。
しかしもう守られるだけで甘えたくないと決意し、せめて自分の身だけでも自力で守れるようにと覚悟を決めた。

「ところでルルーシュ君は何をしてるんだい?」
「時間稼ぎと宣戦布告といったところか…。ライダー、カンドロイドを貸してくれ。タカのやつだ」

手渡されたタカカンドロイドに手紙を括り付け飛ばるルルーシュ。タカは教会の方角に飛んでいった。

「今日の12時にそちらに出向くといった内容が書かれていてな。あのプライドの高いギルガメッシュだ、こんな挑発をされたら向こうから出向くことはしまい」

その間の時間を作戦と休息に使い、僅かでも勝率を上げるべく行動する。
向こうから奇襲をされればこちらはそれだけで詰む。

「少し休む。ガウェイン、1時間経ったら起こせ。泉も今のうちに休むなりしておけ」
「うん、じゃあ私もそれくらいに起こしてもらえる映司さん」

そしてマスターたちは部屋から出て行きサーヴァントだけが残された。

「なにか言いたい事があるのですかオーズ殿?」
「…ガウェインさん。さっきこなたちゃんたちにはああいいましたけど、もしも他に手段が無くなったときは俺、やります」

それは先ほど言ってた自爆行為、ブロークンサーヴァントの事だとわかった。
無論追い詰められたゆえの行動では無い。しかしこのままでは全滅が確定している現状に変わりは無い。
先ほど伸ばされた腕は、とても嬉しかった。
だからこそ、彼らを死なせるわけにはいかない。

「安心してください。死ぬつもりはありません。俺の持ってる宝具のすべてに『壊れた幻想』をすれば、ガウェインさんをギルガメッシュさんとところまで道を切り開いてみせます」
「それは犠牲の心ですかオーズ殿」
「いいえ、覚悟です。捨てる覚悟じゃない、皆を守るために俺に出来ることをやる覚悟。
もう迷いません。あのときアンクがしたのと同じようにきっとそれは、必要なことだと思うから」

文字通りオーズの持つ全てを捨てギルガメッシュに挑む決意。
そんなことをすればただの一般人程度の強さに成り下がり、残る敵戦力はすべてガウェインが引き受けることになる。

「…わかりました。必ず私の剣を英雄王に届かせてみせましょう。
ただしオーズ殿、それは本当に最後の手段です」
「ええ、わかってます。だからもしもその時がきたら、後のことはお願いします」

そういってこなたの元へ向かい部屋を出た映司。残されたガウェインはルルーシュに話すべきか迷い、部屋を出た。








再びのベルベットルーム




「お目覚めになりましたかな?」

だんだん見慣れてきた青い天井。
何処かへと向かっているらしいリムジンの中で陽介は目を覚ました。

「……あーそっか…負けたんすね俺…」
「いえいえ、なかなか見応えのある戦いでございました」
「なかなか楽しめたわ。もう少し強くなってまた出直しなさい」


結局のところ一撃しか入れることの出来なかった相手の言葉に頬を引きつらせる。

「さて花村様。鍛えてもらいたいと言うあなた様の要望、それをお手伝いする次の場所に向かっております。
しかしどうやら、他にもお客様がお乗りになられる様だ。その方たちと協力して頑張っていただきたい」

次の瞬間、突如車内に現れたルルーシュと泉。
急に現れた二人にに驚いたが、二人はそれ以上に驚いていた。
眠りについたと思ったら見知らぬ場所にいれば誰だってそうなるだろう。
混乱する二人に陽介が説明し、もとより一度この場所について話をしていたのもあって早い段階で落ち着きを取り戻した。

「で、なぜ俺と泉もここにいるんだ?それ以前に俺たちはここにはこれないんじゃなかったのか?」
「はい、本来ここは契約者以外は来ることは出来ません。しかしあなた方全員は契約をすでに交わしていらっしゃる。故に、ここへお招きすることが出来ました」
「契約だと?サーヴァントの契約の事か?」
「いいえ、契約といえばわかり難いかもしれませんが、約束と考えてもらっても結構です。覚えがありませんか?」
「……もしかしてお母さん?あのとき生きて絶対に帰るって―――」

ポツリと呟いたこなたの言葉にルルーシュの脳裏に親友の顔が浮かぶ。
あの時スザクは最後の令呪を託し、生きてくれと願い消えていった。
もしあれが契約というならば確かに自分にも覚えがある。
同様に花村もまたアレックスに生きて帰るという約束―――契約を正式に交わしたといえる。

「納得されましたかな?これから皆様にはある場所に行ってもらいます。
此度の聖杯戦争のマスターたちの抑圧された願望が形となったシャドウの巣窟。
あなた方風にいうならばダンジョンといった所でしょうか」
「どういうことだ。まさかここはムーンセルの中とでもいうつもりか」
「いいえ、ここはあくまでも心の世界とでも表現する場所。いってみればどこにでもある場所でございます。
よってムーンセルによる関与は一切行われておりませんが…
ムーンセルというひとつの大きな器に集められた魂は、そのままこの場所に大きな抑圧された願望を投影しました」

叶えたい願いという名の欲望。其れの裏側にある願望。
例えば、間桐の家に引き取られた桜を救いたいと願い、その心の奥底で葵を手に入れたいと願っていた間桐雁夜
例えば、世界平和を願い、自身の犯した罪を清算したいと願った枢木スザク
その他大勢のマスターたちの抑圧された心が混ざり合い、肥大化した迷宮を作り出した。

「もっとも、大多数のマスターが脱落され、主のいなくなった迷宮はただのシャドウの巣窟へとなっただけですが…危険な事には変わりありません。
それでもお行きになりますかな?」
「俺は行くけど…ルルーシュと泉は止めといたほうがよくないか?」
「私もいくよ陽介君。もう守られるばかりはいやだ。強くなって、私も皆のこと助けたいよ」
「このまま戻っても何も変わらんだろう。それにマスターの力量が底上げされればサーヴァントの強化に繋がるはずだ」
「結構。おお、ちょうど着いたようだ。ではどうぞお降りください」

リムジンからでるとそこには、天高く聳え立つ建造物があった。
家や公園や学校や城などゴチャゴチャと詰め合わせたような、まるで塔のような歪なオブジェの構造をしている。
車から降りたマーガレットは臆することなく入り口まで歩いていき「最上階で待ってるわ」と言葉を残し先に進んでいった。
続いて向かおうとすると―――

「お待ちなさい泉様。あなた様の勇気と覚悟には敬服いたしますが今のままではお辛いでしょう。
どうぞこれを持っておいきなさい」
「なにこれ。モノクルに水晶玉に、マフラー?」
「下級の礼装でございます。どうかお役立てください」

一礼し、車内に戻ったイゴールに感謝しながらこなたは礼装を身に着ける。
そして三人は、高く聳え立つ塔を仰ぎ見て、最上階を目指して進んでいった。



青よりも青いベルベットルーム。
一人イゴールは、三人の旅路の果ての結末を黙したまま待ち続ける。


「痛みを共有し、絆を手に入れる事で人はそれを強さに変える。
 正と死の狭間にて、人はその魂の輝きを増す。
彼らの道のりは苦難を歩むでしょう。しかし…」

手には三枚タロットカード。眠っていた花村陽介が気づかない内に所持していたもの―――
それは彼がつかんだ絆の証。
それぞれ愚者、審判、世界のカードが描かれている。

「すでに鍵は持っておられます。彼らには『無限の可能性』を秘めている……
きっと、彼らは乗り越えていけるでしょう―――
お客様達の旅路の果てが、素晴らしい結末を迎えんことを……」




【精神世界/???】

【花村陽介@ペルソナ4】
[令呪]:1画
[状態]:疲労(小)、精神力消費(中)、強い覚悟と決意
[装備]:“干将・莫邪”@Fate/staynight、封印の剣@ファイアーエムブレム 覇者の剣
[道具]:契約者の鍵@ペルソナ4
※スサノオとイザナギを合体させ、アレックスをペルソナとして召喚しました。
 ペルソナのスキルとアレックスの能力を一部引き継いでいますが、会話はできません。
※愚者―遠坂邸同盟・審判―聖杯を砕くもの・世界―鳴上悠のコミュニティが解禁されましたが本人は気づいていません。
また他の人物(例ルルーシュ、こなた、アレックスなど)のコミュが解禁しているかは次の書き手にお任せします。 

【泉こなた@らき☆すた】
[令呪]:2画
[状態]:魔力消費(小)、強い覚悟と決意
[装備]:鳳凰のマフラー @Fate/EXTRA、聖者のモノクル@Fate/EXTRA
[道具]携帯電話、ニューナンブ@現実 予備の弾薬@現実 起源弾×2@Fate/zero 
   遠見の水晶玉@Fate/EXTRA
※礼装を装備することで、コードキャストを発動できます。
また、僅かながら魔力の総量が上昇しました。
heal(16);   効果:HPを小回復
view_status() 効果: 敵対者の情報を表示
view_map() アリーナの階層データを全表示
※礼装が現実に持ち帰れるかは次の書き手にお任せします。
※起源弾が効果を発揮するかは不明です。

【ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア@コードギアス反逆のルルーシュ】
[令呪]:2画
[状態]: 魔力消費(小)、強い覚悟と決意
[装備]:槍王イルバーン
[道具]:携帯電話
※槍王イルバーンを装備することで、コードキャストを発動できます。
  hadron(R2) 両眼から放つ魔力砲。収束・拡散発射が可能。      効果:ダメージ+スタン。
  絶対守護領域 決着術式“聖剣集う絢爛の城”をデチューンした術式。 効果:小ダメージを無効化。
※冬木教会に向けて果たし状を送りました。ただし実際にギルガメッシュたちがどう動くかは不明です。

【深山町・柳洞寺/日中】

【セイバー(ガウェイン)@Fate/extra】
[状態]:疲労(小)、魔力消費(中)
※『聖者の数字』発動不可
※ライダーの行動をルルーシュに報告するかは次の書き手にお任せします。

【ライダー(火野映司)@仮面ライダーOOO/オーズ】
[状態]:魔力消費(小)、強い決意
※スーパータトバメダルは消滅しました。
※ギルガメッシュに対してスキル心眼・真は発動しません。
※無謀な行動は起こしませんが、他に手段が無いと判断した場合「壊れた幻想」を使うことも視野に入れています。


※心の世界にサーヴァントが行けるかは不明です。ただし行くとしても眠るなどの行動が必要です。
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