バーサーカーが駆ける。
無人の深山町の中心へと、凄まじい速度で侵入していく。
瞬間、狂戦士の目前の何もない空間が歪み、銀に輝くスフィア盤が出現。同時に外敵たるバーサーカーへと迎撃の魔法を叩き込む。
その砲撃の威力は決して侮れる物ではない。並のサーヴァントが無防備で受け続ければ深手も負うだろう。
だが、ここにいるのは円卓の騎士随一と呼ばれた騎士。
バーサーカーが両手に構えた剣を竜巻の如く旋回させると、四方から放たれた魔力砲撃はひとつ残らず弾き散らされた。

「……見えたか、アーチャー」
「フン、誰に言っているのだアサシン」

そこから遥か彼方、バーサーカーの侵攻を眺めていた三つの影――アーチャーとアサシン、そしてキャスター。
理性なきバーサーカーと歩調は合わせられないため、まずバーサーカーを先行させ敵の手の内を見る作戦だ。

「自動迎撃用のトラップを兼ねた結界魔法の子機ですね。我々の侵攻は予測されていましたか」
「敵にもキャスターがいるからな。そうそう先手は取れんだろう」

敵の本陣を監視していたアサシンの分身から、深山町の異変は報告されていた。
突如NPCの姿が消え、町は動く者のない時の止まったような世界と化したと。
NPCを用いた策を考えていたキャスターに対し、この一手は妙手であると言えた。

「……いけませんね、私が細工をしたNPCも反応が掴めません。破壊された訳ではないようですが」
「敵のキャスターは転移魔法の使い手だ。という事は空間操作にも精通していてもおかしくはない。NPCを根こそぎ移動させたか、あるいは……」
「我々に認識できなくしているか、だな。小癪な事だが、打つ手はないでもない」

バーサーカーを砲撃したスフィア盤はステルス性を付加されていたようだが、砲撃を行えばその位置は丸裸だ。
そしてその隙を見逃すアーチャーではない。

「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァッ!」

キャスターが瞬時に錬成した手のひら大の砲弾をアーチャーに投げ渡し、スタンド“世界”が剛力を込め天に放り投げた。
砲弾は放物線を描いて落下、何もない空間を擦過し――“視覚的に隠蔽されているが実体としてはそこに在る”スフィア盤を貫いた。
次の瞬間、ナイフは内側から爆散する。“紅蓮の錬金術”の真髄。
ある程度の耐久力を持つスフィア盤といえど、ナイフによる物理破壊と爆発による魔力破壊、二面同時攻撃を受けては一溜まりもない。
バーサーカーを砲撃したスフィア盤はひとつ残らず撃ち落とされ、駆逐された。

「……NPCが戻らんな。結界はまだ解けていない……他にまだ隠蔽された迎撃魔法があるという事か」
「結界が機能している限りは私の策は使えませんねぇ。何せ起爆剤となるNPCがいないのでは」
「先程のバーサーカーのように、指定したエリアを通過した者を自動で砲撃する魔法が設置されているようだな。
 順当に考えるなら他にも我らの足止めをするトラップがあると見るべきか」
「小賢しい真似をする。私やアサシンはともかく、キャスター。お前達はあの罠の中に踏み込むのはやめておけ」
「言われずとも。なに、せっかくああやってバーサーカーが敵の罠を露出させてくれているのです。私は暫く、彼が暴いた罠を掃除する事にしますよ。
 あの子機がNPCを隠蔽する結界を維持しているのなら、ある程度破壊すれば敗れるでしょう」
「待て、私のマスターから連絡だ。ほう……ご丁寧な事だ。
 ライダーがこの周辺をサーチしてくれたらしい。隠れているトラップの位置がざっとだがわかったぞ」

同じく異変を察したライダー――ディケイドが、ペガサスフォームへと変身して深山町をサーチした結果、無数のスフィア盤がそこかしこに設置されているのがわかった。
判明した限りの位置をマスターである衛宮切嗣に伝え、切嗣がジョン・バックスに連絡し、市長からアサシンへ。
流れるような情報伝達が軍を有効に機能させる。

「ふむ、これだけわかれば十分でしょう。トラップは私に任せてください」
「では私は予定通り敵の本陣へ赴く。ランサーは別の私が担当するが、切り札を打ち込む隙を作るのはアーチャー、そちらの役割だぞ」
「理解している。フフフ……では、始めようではないか!」

ライダーに示されたスフィア盤を片っ端からアーチャーが狙い撃つ。
これが開戦の狼煙となった。
キャスターは下準備のために町内を回り、ライダーは用は済んだとばかりに上空を突撃していく。
気配を遮断しゆっくりと進軍するアサシンは不敵に笑う。

「さて……」
『始まったか、大統領?』
「ああ、市長。全ては予定通りだ」

新都から深山町に移動する間、既に令呪を使って別世界のディエゴ・ブランドーは確保しておいた。
別に生かしておく必要はないので、発見と同時に殺害してスタンドを使う暇も与えなかったが。
その死体は新都を捜索していた七人目の自分に持たせ、後方に控えさせている。

「ディエゴの死体を使う時が正念場だ。市長、君には何度も念話を中継してもらう事になる。頼むぞ」
「ああ、わかっている。我々が聖杯を獲るために、何としてもこの戦いで邪魔者を一掃しなければな」
「そう、遺体に代わる“”尊いもの――聖杯は誰にも渡してはならない」

漆黒の殺意を胸に、D4Cを持つ四人目のアサシンが深山町を進む。五人目のアサシンが監視する敵の本陣、遠坂邸を目指して。


              ◆



「来た……奴らだ!」

スフィア盤の破壊を感知したキャスターが、戦いの始まりを告げる。
サーチャーが戦場の光景を映し出す。
まっすぐにこの遠坂邸へと向かってくるのは数時間前に交戦したバーサーカーだ。
だがあの時とは違う。手にした二刀は宝具であり、操るバーサーカーの力強さも段違いだ。あの時与えた傷も全快している。

「バーサーカー……ランスロット卿!」
「な、なあ。なんかあいつ、さっき戦った時よりめちゃくちゃ強そうじゃね?」
「おそらく……今までの彼は私と同じように十分な魔力が供給されていなかったのでしょう。
 それが何らかの方法で魔力を確保し、十全に力を発揮できる状態になったと……」
「でもあいつの宝具はこっちにあるんだろ? じゃあそんなにビビる事もないんじゃ」
「いえ、彼の宝具“無毀なる湖光”は確かに強力な宝具ですが、ランスロット卿の強さとはその剣に頼ったものではありません。
 狂化していてもあの武芸の冴えは全く衰えていない……そしてあの宝具。
 十分な魔力の供給が成されているのならば、むしろ魔力の消費を抑え長期戦に対応できる今の状態の方が脅威であると言えます」

立ち上がったセイバーは、戦意を漲らせ屋敷を出ていこうとする。
その前にガウェインが立ち塞がった。



「叔父上、彼は私が引き受けます。貴方は予定通りディケイドを討ってください」
「ガウェイン。しかし……」
「わかっています。ランスロット卿の手に“無毀なる湖光”がないとはいえ、私もまた“聖者の数字”を発動できない。
 おそらく勝つ事はできないでしょう。しかし“負けない”だけならばやりようはあります」

生前、ガウェインはランスロットと戦った。
その時のガウェインは“聖者の数字”を発動し、ランスロットも“無毀なる湖光”を手にしていた。
結果はしかし、ガウェインの敗北だ。
能力では圧倒的に勝っていたが、ランスロットの巧みな戦術と挑発によりガウェインは翻弄され、やがて日が落ちるとともに弱体化してランスロットに打ち倒された。

「あの時とは立場が逆になりましたが、彼の攻撃をひたすら凌ぎ続けるだけならば今の私でも可能です。
 その間に叔父上、ランサー。あなた達がアーチャーやディケイドを討ち取れば、我々の勝利です」

今のランスロットは能力の増したセイバーとて容易な相手ではない。
特に彼の手に竜種を害する剣が二つもある以上、一瞬の油断もできないアルトリアが対するよりはまだ、防戦に集中したガウェインの方が余裕はある。

「じゃあ、俺も手伝いますよ。タジャドルコンボで空から援護すれば牽制になりますし」
「叔父上とランサー、貴方達はアーチャーの時間停止に対抗する切り札だ。露払いは私とライダー……いえ、オーズ殿が努めましょう」

ライダー――仮面ライダーオーズがガウェインに賛同し、セイバーもそれならばと矛を収める。
ガウェインとオーズがランスロットを抑え、その間にセイバーがディケイドを、アレックスがDIOを倒す。
マスター達は今回地下室で状況を見つつ援護。
士郎や鉄之介、陽介など戦闘能力が高い者が揃っているとはいえ、敵には“魔術師殺し”衛宮切嗣と枢木スザクがいる。
衛宮切嗣の脅威はもはや周知の事であるし、スザクの身体能力についてもルルーシュが事細かに説明している。
発射された銃弾を魔術やペルソナ、13騎士で受け止めるのはこの三人でも可能だろう。
しかし、生身で機関砲を避け切るほどの身体能力は誰も持ち得ない。
唯一、陽介が敏捷性を上昇させる魔法を使えば可能かもしれないが、スザクはそれを素の状態でやってのけるのだ。

(加えて、もしあいつが俺の掛けたギアスを制御できる状態なら……いくらこいつらでも打ち倒される可能性は否定出来ない)

かつてルルーシュがスザクに命じた“生きろ”というギアスの呪縛。
本人の意志に関係なく死を許さないギアスは幾度もスザクを救い、また苦しめてきた。
そして苦難の果てにスザクはギアスの制御に成功する。
ギアスを強靭な精神力で抑えこみ、自我を保ったまま潜在能力を極限まで引き出す力へと昇華させたのだ。
あの状態のスザクはコンマ0.4秒という刹那の見極めすらもやってのけた。
異能の力を持たずとも、戦闘能力は今生き残っているどのマスターにも引けは取らないはずだ。

「この地下室なら衛宮切嗣の狙撃は心配ない。アサシンについても、屋敷の周囲は結界を重点的に張り巡らせている。
 対軍宝具でも叩き込まれない限り、隠密の侵入は不可能だ。
 だが……敵は何らかの方法でスフィア盤の位置を探知したようだな。罠が凄まじい勢いで破壊されている。この分だとそう長くは保たないぞ」
「もし状況が不利ならそのまま柳洞寺まで退くことになる。各々、深追いはしないでくれ」
「セイバー、令呪を使っておくか?」
「ええ、お願いしますシロウ。早い内にディケイドを倒せればそれだけ他の戦線にを援護できる」

残り二画の令呪をひとつ消費し、セイバーのスペックを上げて臨む。これもまた作戦通り。
士郎が令呪を開放し、セイバーへの魔力供給を強化する。

「……凄まじいものだな。これが最優のクラスと言われるセイバーたる所以か」
「叔父上が特別なのですよ。私ではこうは行きません」
「いや、ガウェインさんも日中は手がつけられないと思うけど」

広い地下室を満たすセイバーの潤沢な魔力に、そこに集まるほぼ全員が驚愕する。
驚いていないのは生前の彼女を知るガウェインくらいのものだ。
これならば“約束された勝利の剣”、“全て遠き理想郷”といった規格外の超宝具の連続使用も苦ではない。

「時間を止められても、スタンドの攻撃が打撃である以上一度くらいなら耐えられる。マスター、令呪を使うのはその時だ」
「わかったぜ、アレックス。任せてくれ」

陽介は常にアレックスとリンクし、彼の状態をチェックする。
もし突然アレックスが負傷すれば、その瞬間に時間を止められて攻撃を叩き込まれたという事だ。
幸い、アーチャーの攻撃能力そのものはさほど高くない。一撃でアレックスが殺害されない限り、即座の令呪で時間停止に対抗できるはずだ。

「では……ガウェイン、ランサー、オーズ。征きましょう!」

セイバーの号令を鬨の声に、サーヴァント達が出陣する。
騎士王のカリスマが集団戦の能力を高め、士気も高い。
敵を打ち破り、必ず帰還する。誰もがその想いを強く抱いて、夜の戦場へと飛び込んでいった。


              ◆


賢者の石から供給される有り余る魔力がバーサーカーの全身を駆け巡る。
人間数百人分の錬成から成る魔力の結晶は、生粋の魂喰らいであるバーサーカーを以ってしても生半には喰らい尽くせないほどの膨大な魔力を保有する。
これだけの魔力があれば、マスターの回復魔術に頼らずとも強引に傷を癒やす事も可能だ。
そしてその腕には二振りの剣。
片や身の丈以上の大剣、“神将器エッケザックス”。
片や現存する聖遺物、“封印の剣”。
共に、ひとつの世界において頂点を極めた剣であると言える。
英霊の所有する宝具ではないとしても、決してサーヴァントの宝具に見劣りする物ではない。
その二つの宝剣を、十分な魔力を供給された万全な状態のバーサーカーが振るうという事が何を意味するのか。

「■■■■■■■■――ッ!」
「ぐうっ……!」

その答えが、これだ。
同じ円卓の騎士であるガウェインが、一方的に翻弄されている。
ランスロットの魔力により漆黒に染まった竜殺しの双剣は、一撃一撃が必殺の威力を秘めて襲い掛かってくる。

「うおおおおっ!」

タジャドルコンボへと変身したオーズが、上空から火球の雨を降らせた。
ランスロットの闘志に呼応した封印の剣が黒き炎を纏い、叩き付けられた火球をそよ風のごとく吹き散らす。
ランスロットが片手で振るうエッケザックスを、ガウェインは両手で構えたガラティーンで何とか受け止めた。
腕一本の差があるとは思えない剛力が剣から伝わってくる。

「さすがに強いな、友よ……!」

元々のステータスの高さに加え、狂化で一段階強さが増し、そして狂化していてもその武技の冴えは衰える事はない。
生前と何ら変わらぬその技量に敬意すら感じる。

「しかし……私も負けられんのだ!」
「……ga……i……」

ランスロットは狂化していても尚、アーサー王――アルトリアに憎悪を向けた。
狂化という軛を超えるほどに強い想いは、決して打ち消せる物ではない。
そしてランスロットにとっては、ガウェインもまた、心に刻まれた盟友であり強敵でもある。

「Gaw……in……ッ!」

ガウェインが打ち込む度、その意志を叩き付ける度、ランスロットもまた呼応するように剣戟を返していく。
理性ではなく本能で察している。目の前の騎士が、己にとって決して逃げてはならない試練なのだと。
ガウェインにとっても同様だ。
憎んでいる訳ではない。今はただ、正しき願いを持つマスター達の障害を、排除するのみ。
少なくともアルトリアが姿を見せなければ、こうしてランスロットを釘付けにしていられる。

「ガウェインさん!」

タジャドルでは埒が明かないと、よりパワーのあるサゴーゾコンボに変身したオーズが降下してきた。
サゴーゾの特性・重力操作を用いランスロットの動きを封じるべく、重力波を放つ。
寸前で離脱したガウェインを追って跳ぼうとしたランスロットの脚が地表を抉る。何百倍にも増した質量が狂戦士の自由を奪った。

「……よし!」

キャスターが指示したらしく、拘束されたランスロットへと砲撃が集中して放たれる。
同時に発動した拘束用の魔法が一瞬とはたしかにランスロットの足を止め、隙が生まれた。
ガウェインは今が好機と手にした剣――“転輪する勝利の剣”の真名を開放するべく距離を取る。
目的はランスロットの足止めだが、討てる機会を逃す必要もない。
剣戟戦で勝機が見えないなら、宝具を用いて一気に決着させる――しかしガウェインの思惑は、視界の外から突っ込んできた飛行物体により打ち砕かれる。

「あれは、ディケイドの!」

ランスロットの不利を察知したディケイドが、ファイナルフォームライドのカードでクウガを変形させこちらに寄越してきたのだ。
変形したクウガ――クウガゴウラムはスフィア盤を蹴散らしながら前進、そのカブトムシの如き顎で重力波に囚われたランスロットへと激突して、手荒に救出した。
ランスロットがクウガゴウラムの身体を掴むと、瞬時に“騎士は徒手にして死せず”のスキルが発動し、ランスロットの支配下に落ちる。
クウガゴウラムの上でくるりと体勢を整えたランスロットが、封印の剣を腰へと差してエッケザックスを構え一直線にオーズへと突っ込んでいく。
大剣が竜巻のように旋回、遠心力に加え縦横に飛行するクウガゴウラムの速度を上乗せした一撃は、動きの鈍いサゴーゾのオーズを容易く両断するだろう。
ガウェインの決断は一瞬だった。

「“転輪する勝利の剣”!」

オーズを救うため、ランスロットの進路上に向けて十分な魔力を供給しないまま“転輪する勝利の剣”を解放する。
柄に埋め込まれた擬似太陽が活性化し、小規模ながらも確かに太陽の灼熱を生み出し濁流となって奔る。

「■■■■■■■■――ッ!」

だが苦し紛れの一撃はランスロットに読み切られていた。
寸前でランスロットがクウガゴウラムの角先を天へ向け、ガラティーンの閃光をギリギリですり抜けていく。
クウガゴウラムが回頭し、再び突撃をかけてくる。

「オーズ殿。今のは援護は助かりましたが、もう使わない方がいい。同じ手は彼には二度も通じない」

再度重力波を放とうとしたオーズを、ガウェインが止める。
サゴーゾの重力波は確かに敵の動きを阻害できるが、今のランスロットは外付けのスラスターを得ている状態だ。
ディケイドのクロックアップには、超加速状態といえどあくまでディケイド一人だけの速さだったから通じた。
仮に重力の檻に封じたとしても、クウガゴウラムを足場に跳躍――自身の脚力を全力で炸裂させるランスロットの勢いは殺しきれる物ではない。
そしてランスロットが鈍重なサゴーゾコンボのオーズに接近して叩き斬るにはその一瞬で十分なのだ。
万能型の仮面ライダーと言えど、接近戦の技量はセイバーなどの専門クラスには遠く及ばない事はアルトリアが既に証明している。

「参りましたね。あれが本気のランスロットさんですか!」
「機会があれば仕留める気でいましたが、そう甘くはないようだ。さすが、と言わざるを得ませんね」

親友の尋常ではない力量は嫌というほど知っていたのに、こうしてまた思い知らされる。
しかし同時に、彼の変わらぬ武芸の冴えを騎士として嬉しく思う心も決して否定出来ないでいた。

(友よ、私はもうあなたを憎んではいない。今はただ、こうして再び剣を交わせる事をただ喜ぼう。
 だがあなたに栄光を掴ませる事は出来ない……この戦は私が、私達が勝つ!)

決意も新たにガラティーンを握り直し、迫るランスロットを迎え撃つ。
隣に肩を並べるのは速度に優れたラトラーターコンボへと変異したオーズ。
いつ果てるともしれない高速域での激突が開始された。


              ◆


「僕に釣られてみる?」
「結構だ!」

口上を述べ上げると同時、青い鬼の姿をした人型は真っ二つに断ち割られた。
即席の盾を潰し、本丸を狙おうとした時にはもう遠く離れた所にいる。

「ディケイド……!」
「ウラタロスまでやられた、か。これで電王の力も半減……やってくれるな、騎士王様よ」

ランスロットをガウェインとオーズに任せたセイバー――アルトリアは、因縁あるディケイドと対峙していた。
最初に出会ったのは昼間、天海陸に謀られていた時だ。
セイバーがディケイドによって抑えられている間に、衛宮切嗣の奇策によってガウェインが操られ、仲間である金田一一とライダーを殺されている。
二度目は午後、柳洞寺にて。
襲撃してきた切嗣とディケイドを、マスターである士郎の援護を得て何とか撃退した。
二度の交戦を経てお互いの手の内はほとんど曝け出されている。
容易な相手ではないと理解していたが、やはり――

(一筋縄ではいかない、か)

コンプリートフォーム、いわゆる強化形態に変身したディケイドのスペックは全体的に高いとはいえ、セイバーを上回るほどではない。
さらに令呪で魔力供給を強化した今のセイバーなら、正面からぶつかれば優勢に戦いを進められるはずだったが、

「もうお前とまともにやりあうつもりはないんでな。悪く思うなよ」

ディケイドは徹底してセイバーと打ち合う事を避けている。
どれだけ強力になろうとも、セイバーの取れる戦術は基本的には少ない。
接近しての斬撃、“風王結界”解放による一度きりの超加速あるいは暴風の遠距離攻撃、そして光の斬撃たる“約束された勝利の剣”。
セイバーのクラスが示す通り、すべての攻撃が剣を起点に始動する物ばかりだ。
しかしディケイドは違う。
ファイナルフォームライドという召喚能力を筆頭に、カブトやファイズの超加速、狙撃、霊格への直接攻撃など。
龍騎・キバ・電王の二つの力を失っているのは確認できているが、それでも取れる戦術はセイバーとは段違いの多さだ。
特にコンプリートフォームに変身している今は、各ライダーのカードを使用しても姿を変えずその力だけを再現できる。
ディケイドが異なる力を発現させているとセイバーが認識するのは、彼の胸部のヒストリーオーナメントが全て塗り替えられた後。
タイムラグなく様々な能力を発動させるため、純粋に攻めにくいのだ。
そして今のディケイドはその能力の全てを攻撃ではなく回避に傾けている。
セイバーの間合いに入ったと思った瞬間クロックアップで違う時間流に突入してするりとこちらの手の中から去っていく。
接近戦で勝てないのは柳洞寺での戦いから明らかなため、ディケイドは一度としてセイバーに接近するリスクを犯さない。
どれだけ加速していても、ただの一撃でセイバーを仕留められないのなら無意味な事だと割りきっているかのように。
キャスターが設置したトラップも、クウガペガサスというサーチに特化した力で既に見破られていたらしく、戦いながら次々に撃墜されている。

「おっと、宝具は撃たせないぜ」

埒が明かないとセイバーが“約束された勝利の剣”を放とうとすれば、ディケイドは超加速を利用し射線上にガウェインやアレックスがいる位置に立つ。
“約束された勝利の剣”は威力が大きすぎて、ディケイドを消し飛ばしてもさほど減衰しないまま突き進んでいくだろう。
その余波が万一仲間達に当たるかもと考えると、迂闊には放てない。
ディケイドの位置より下から空に向けて使おうにも、ディケイドはそのような状況になる前に離脱してしまう。
ガウェインがランスロットに対して用いている戦術を、ディケイドはより効率的な形で実践できるのだ。

「何のつもりです、ディケイド。時間を稼げばあなたの仲間が勝つと?」
「奴らを仲間と思った事はないが、まあその通りだ。どうせもうアーチャーの能力は知ってるんだろ。
 あいつにぶつけたのはランサーだろうが……悪いな。俺達には奴を仕留める切り札がある」
「何……?」

動揺させるブラフか? そう思ったが、直感的に違うと否定する。
今の戦況はそれぞれのサーヴァントが分断された形だ。
先ほどディケイドが力のひとつをランスロットの援護に向かわせた例外はあるものの、どこにもすぐに駆けつけられるという距離ではない。

「一対一のこの状況を望んだのは、お前らだけじゃない。俺達もそうさ」

ディケイドが新たなカードを取り出し、ひらひらとセイバーをからかうように弄ぶ。
その時、ランサーがアーチャーと戦っているはずの方角に、凄まじい魔力の塊が出現した。
さほど探知能力に優れている訳でもないセイバーでもわかる、夜闇を切り裂く閃光を伴う圧倒的な魔力の放出。
対軍宝具の解放に匹敵する、この出力は――

「ランサー……!」

アーチャーでもアサシンでもランスロットでもディケイドでもない。
これだけの大出力を出せるのは、キャスター、ガウェイン、自分、そして――ランサー、この四人しか該当しない。
敵のキャスターという可能性も否定出来ないが、ディケイドの言葉と合わせて考えるにその線は薄いように思えた。

「さあ、どうする騎士王様。このままここで俺と遊ぶか?」

揶揄するようなディケイドの軽口を、もはや問答は無用と神速の踏み込みによって黙らせる。
一閃、天も裂けよと振るわれた聖剣は果たして何者も凪ぐ事はなかった。
インビジブル――透明化のカードで寸前に回避したのだ。
しかしセイバーはそれ以上ディケイドに構わず、“風王結界”を展開、即座に解放して暴風を放ち、自身を天へと打ち上げた。
一度きりだがクロックアップやアクセルフォームに並ぶ超加速を用い、全速でランサーの安否の確認に向かう。

「行ったか。やれやれ、きついもんだな」

インビジブルの効果が切れたディケイドは、溜息を付きながらそれを見送った。
口ではああ言ったが、正直生きた心地のしない数分間だったとディケイドはひとりごちる。
コンプリートフォームの力があっても、今のセイバーの相手は容易ではない。
時間を稼ぐだけだから何とかなったものの、正面から戦ってはまず太刀打ち出来ないだろう。

「……まあ、そのための策なんだがな。さて、俺も行くか」

ここからが本番なのだ。メインイベントに遅れる訳にはいかない。
クウガをランスロットに貸し、龍騎が破壊されたため、残る騎乗フォームライドはアギトとカブトだけだ。
カブトがクロックアップという命綱を司るカードである以上、軽々には使えない。
アギトトルネイダーを召喚し、ディケイドもセイバーの後を追ってアーチャー対ランサーの戦場へ飛んでいった。


              ◆


「ほう。貴様が私の相手をしてくれるのか、ランサーよ」
「そうだ、そして俺が最後の相手だ。お前はここで滅びろ」

一人町を闊歩するアーチャーの前に現れたのは、堂々たる体躯を持つ軍服姿の男――アレックス。
キャスターに頼むまでもなく、こうして望み通りの一対一の状況ができた。
アレックスの腕が異形に変形し、魔獣の如き爪を生やす。ARMS“帽子屋”第一段階の発現だ。

「挨拶代わりだ、受け取るがいい……我がブリューナクの槍を!」

圧縮された荷電粒子を放つ。
一直線に伸びていく光線は、進路上の全てを融解させ薙ぎ払う死のラインだ。
光線は確かにアーチャーを捉え――次の瞬間、その姿は掻き消えていた。

「驚いたな……大した威力だ。いや、さすがのこの私も少しだけヒヤッとしたぞ……。
 これだけの熱量、直撃すれば半身は軽く持って行かれそうだ」

その声はランサーの後方、寸前までのアーチャーの位置からは180度反対の場所から聞こえてきた。
ゆっくりと振り向く。そこにいたアーチャーはやはり無傷だ。

「なるほど、光の槍……故にランサー。これほど型に嵌まらないサーヴァントがいたとはな」
「それはこちらの台詞だ、アーチャー。今、時間を止めたな?」
「フフフ……さすがに調べていたか。いかにも、これが世界を支配する我が能力よ」

アーチャーの隣に現れた、筋肉質な人型の像。
ARMSの生物的な意匠とは違う、人の形をしていながらどこか非人間的な印象を受けるシルエットだ。

「時間を止めてまで避けるという事は、貴様の再生能力を以ってしても我がブリューナクの槍は脅威という訳か。底が見えるな」
「ふん、言ってくれるではないか。手心を加えてやったのがわからんか? 私がその気ならお前の首はとうにすっ飛んでいるのだぞ」
「ならばやってみるがいい。その前に俺のARMSで貴様を灼き尽くしてやろう」

挑発というほどのものでもないが、どうやらアーチャーは乗ってくるようだ。
無傷で最初の時間停止を切り抜けられた事は大きい。

(マスター、令呪の準備はいいか?)
(いつでもいいぜ、アレックス)

令呪によって“帽子屋”に無理やり時間停止の耐性を付けさせる――それがアレックスの策。
正直、成功するかどうのか確信はない。何と言ってもアーチャーの宝具はEXランク、規格外の神秘だ。
それを、令呪のブーストがあるとはいえ、Aランク止まりの“帽子屋”が凌駕できるか。

(いいや……できる。できると信じる。迷いなき確信こそが、俺のARMSを動かす力となるのだから……!)

アーチャーが両腕を広げ、魔力を高めていく。
スタンド“世界”の全身に魔力が凝縮され、今にも解き放たれようとしている。
針のように鋭くなった意識でアーチャーを観察していたアレックスの本能が、ここが勝負時だと告げた。
荷電粒子砲を発射。回避しようとしたアーチャーが時を止めるタイミングをこちらで限定させる。

(今だ! マスター、令呪を!)
(よし……令呪に命じる! “アレックス、お前の時間を止められるな”!)

その瞬間、確かに世界は止まり――



――止まった時の中、アレックスの時間は確かに動き続けていた。


              ◆



キャスター、本名ゾルフ・J・キンブリー。
彼は生前、ホムンクルスに食われて死んだ。
魂を力として保有する賢者の石の中に取り込まれ、彼は色々な物を見続けてきた。
鋼の錬金術師を始めとする人間達と、お父様と呼ばれるフラスコの中の小人の生存競争。
中でも錬金術士として興味を惹かれたのが、自身も多少関わった超巨大な錬成陣の構築――国土錬成陣である。
国土をひとつまるごと使った錬成陣を敷き、その上で暮らす人々の魂を余すところなく蒐集、集めた巨大な力で“真理の扉”をこじ開けるための物だった。
国家錬金術師に選出されるほどの練達の錬金術士であるキンブリーだが、さすがにこの巨大な錬成陣を独力で再現するのは不可能だ
しかし、発想とイメージだけ盗んで他に流用する事は、決して難しくはない。

錬成陣を巨大化させて、効果を及ぼす範囲を拡大。
人間の魂を人の起点に用いる事で効果を増幅。
円状に魂を配置する事で力を循環させる。

キンブリーが新都の会合で同盟者達に語った、血の紋を刻むという言葉の意味――それは、この冬木市に国土錬成陣を模した巨大な錬成陣を敷くという事。
NPC達にした細工とはつまり、彼らの時限爆弾化。
キンブリーが合図を送る事で彼らは一斉に起爆し、その魂の氾濫はひとつの陣を描き出す。
すなわち――キンブリーの二つ名、紅蓮の錬金術の超巨大な増幅回路とする。

「さて……あらかた、敵のキャスターの細工は一掃できましたね」

キンブリーはライダーによって判明した敵のスフィア盤を潰して回っていた。
およそ半数を潰したのだろうか、各所で結界の綻びが見られるようになってきた。
残ったスフィア盤が結界の負担を引き受けているが、さすがに処理能力の限界を迎えつつあるのだろう。
丹念にそのほころびを見て回った結果、位相をずらして保護されていたNPCを発見する。

「おや、いましたね。ふむ、アクセスは……可能ですね。ここはもう空間の境界が曖昧なのでしょう」

キンブリー自身は転移などの空間魔法には精通していないが、壊れかけの結界の内側に入れば干渉は可能となる。
そこにいたNPC達に仕込んだ時限爆弾化のスイッチを確かめ、問題なく稼働する事を確認した。
しかし、未だ空間の向こうに隠されているNPCが多すぎる。
円で循環するとはいえ、利用できるのはおよそ半数ほどか。

「当初の予定ではこの都市錬成陣で敵の本陣を一気に潰すはずでしたが、このNPCの数ではもう望めそうもありませんね。
 ふむ……ならば目標を変えましょう。結界の綻びの中にいるNPCを起爆させ、結界そのものを破壊する」

ふと焔の錬金術師を思い出し、キンブリーが指を鳴らす。
それを合図に、キンブリーの目の前にいたNPC達が次々に爆弾化・炸裂していき――爆発は連鎖していく。
閉ざされた空間の内部からの、連鎖する自壊。

「これで結界は破壊できるでしょう。仕事は果たしましたので、後は頑張ってください、皆さん」

呟き、キンブリーは踵を返す。
後は誰が生き残るのか、高みの見物をするだけでいい。
錬金術士は、紅蓮の炎の中にゆっくりと歩み去っていく。


              ◆



「……ほう。驚いたな……我が時の止まった世界に入門してくるとは」

全てが静止した世界で、ただ一人アーチャーだけが自由に動ける。アーチャーはコツコツとこちらに歩いてくる。
アレックスは時間の止まった世界を知覚している事を実感し、左腕の荷電粒子砲を向けようとした。
だが――動かない。
意識は鮮明に活動しているのに、身体は指一本も動かせなかった。

「令呪を使ったか? 大したものだ、よもやそこまで強力な耐性を備えているとはな。
 だが惜しい……届いていない。お前は時の止まった世界を知覚できるようになっただけだ。
 この世界の中で動く事を、まだ許されていない……」

ARMSとはナノマシンの集合体。
耐性を創りだすという事はつまり、ナノマシンがその攻撃の組成を分析し免疫を作るという事。
質量や熱などの物理に作用する攻撃には抜群の反応を示す。
しかし、物理法則の外にあるもの――時間という“概念”あるいは“法則”は、令呪を用いたとはいえ一度で分析しきれはしなかった。
かつて空条承太郎が時を止める能力に目覚めた際、最初は少しずつしか動けなかったように。
アレックスが時の止まった世界を完全に打ち破るには、ナノマシンの経験が圧倒的に不足している。

「もう一度やればわからんがな。だが、私はそんな機会を与えるほどマヌケじゃあない……」

アーチャーは懐から大振りのナイフを引き抜いた。
なまじ知覚だけができてしまうので、時の止まった世界でこれからあのナイフに刺されるとわかっていも、見ている事しかできない。

「アーチャーッ……!」
「無駄ァッ!」

アレックスの胸板に、大型のナイフが叩き込まれる。
同時に時間停止が解除――衝撃が一気に襲ってきて、アレックスは吹っ飛ばされた。

「ぐうっ、これしき……!」
(アレックス! どうした、大丈夫か!?)

時が止まっている間の事は、アレックスしか知覚できていない。
突然負傷し這いつくばったアレックスの姿に、令呪を用いたカウンターが失敗したのかと陽介が焦っている。

「マスター、もう一度だ! もう一度やれば、完全な耐性を作り出せるはずだ……!」
(大丈夫なのか、アレックス!?)
「致命傷ではない、すぐに治る。それよりも令呪を……!」

パスン、と小さな音がした。
アーチャーではない。奴はまだ前方でにやにやとアレックスの醜態を眺めている。
顔だけ振り返らせると、そこには学園で交戦したあのアサシンがいた。

「……ッ!」

本能的に“帽子屋”を起動させ、荷電粒子をそのアサシンに浴びせ掛ける。
そいつは何の対抗もなく、至極あっさりと光の束に呑み込まれて、消えた。
天を裂く一筋の光。直撃すれば消滅は免れない、凄まじい力を秘めた光だ。

「やれやれ……大したものだな。まるで太陽の如き凄まじき力だ」

そこに音もなく忍び寄ってきたのは、今し方灰にしたばかりのアサシンと瓜二つの男だ。
あれが“D4C”で生み出された分身ならば、この男もまたそうだということになるか。

「何体いるのか知らんが、その程度の力で勝てると思ったか? この俺に舐められたものだな、アサシン」
「勝てるとは思っていないさ。そう……お前が勝手に負けるだけだ」

アーチャーを睨みながら、もう片方の腕をアサシンにつきつける。
“死”そのものである荷電粒子弾ける砲口を向けられて尚、現れた新たなアサシンは怯まない。
ならばこいつもまた分身であるのか。

「構わん、何体出てこようと消し飛ばすのみ」

アーチャーがいる以上脅威度の低いアサシンとそれ以上の問答をする気もなく、アレックスは“帽子屋”の力をに叩きつけようとした。
だが、次の瞬間――アレックスの意思に反し、荷電粒子は収束せず、拡散していく。
それだけではない。全身を構成するナノマシンが一斉にエラーを吐き出してくる!
エラーの発生源は、先ほど撃破したアサシンに撃たれた拳銃の着弾点。

「なっ、何だ……?」
「効いてきたようだな。さすがだよ、市長」

感嘆の混じるアサシンの声に、アレックスは自身が敵の策に落ちたことを理解する。
ARMSが、魔力で構成されているとはいえ生前のそれをほぼ100%再現されたARMSが体内で軋んでいく。

「これは……っ!」
「堪能してくれ、ランサー。お前のために我がマスターが手ずから作成した特別製の毒だ」

そのアサシンがまた手にした銃でアレックスに銃弾を撃ち込む。途端、エラーの発生箇所が倍増した。
思い返せば先ほど、最初のアサシンは一体何をしたのか。
肌に何か当たる感触はしたが、ダメージというほどの物はなかった。
攻撃ではないのならば、一体何を――その瞬間、アレックスの脳裏に生前の記憶が閃いた。
かつてエグリゴリの尖兵となったガウス・ゴールがオリジナルARMS“ジャバウォック”に対し使用したとされる対ARMS用コンピュータウイルス!
埋め込まれたAIに干渉し、ナノマシンを侵食し破壊する、いわばもう一つのARMS殺しと呼べるモノ。
無限に進化・再生する“帽子屋”のその特性自体を無効化する、ARMS限定の必殺の矢だ。
かつて同じARMSである“ジャバウォック”を追い詰めた、謂わば逸話の再現。
起源を同じくする“帽子屋”にも、通用しない道理はない。

「ぐっ……ぐおおおおお……!」
「ほう、抑えこもうとしているか。強靭な精神力だが、ではこれでどうかな?」

未だ胸に刺さったままのナイフへと、アーチャーが別のスローイングナイフを投擲する。
ナイフ同士が衝突した瞬間、激しい爆発がアレックスの胸元で炸裂した。

「があっ……!」

大きく胸元が抉られた。とはいえ、これはただの爆発だ。
ARMSを以ってすればすぐに再生できる類のダメージである。ARMSが正常に稼働しているならば――の話だが。
突然ダメージを受けナノマシンは、とにかく損傷箇所を再生しようとする。
しかし“帽子屋”は今、まともに制御できていない状態である。
アレックスの全身を包む軍服が弾け飛んだ。意図していない“帽子屋”の最大稼働――完全体への変態が始まったのだ。

「アレックス……何を思って真名を秘匿せずにいたのかは知らないが、おかげで対策は容易に取れた。
 お前がどれだけ強かろうとも、こうなっては形無しだな」

今やアレックスにはアサシンの言葉など届かない。否、その存在すら気に留めている余裕が無い。
ウイルスの影響で体内のナノマシンが一斉に誤作動を起こしている。
暴れ狂う“力”を全身で押さえつける。そうせねば、今にも“帽子屋”が暴走を開始してしまうのだ。
自身の意志で制御できるはずのARMSが、まるで別物にすり替えられたような錯覚さえ覚える。
アレックスは今、内側から自身を食い破ろうとする己の力そのものに必死に抗っていた。

「弱点を突いたとはいえ、脆いものだな。だが好機は好機だ。殺らせてもらうぞ、ランサー」

ゆっくりとアーチャーが近づいてくる。実体化するスタンド“世界”。
本来ならば、如何に強力であっても単純な打撃ならARMSには通じはしない。
だが、今のアレックスの状態ではどんな攻撃も防げない。
死が迫り来る。それがわかっていても――アレックスは動けない。

(鎮まれ、“帽子屋”……! 俺に……従え! 今戦えねば、何のために二度目の生を拾ったというのだ!)

もし少しでもアレックスが“帽子屋”の手綱を離せば、暴走はあっという間に頂点に達するだろう。
行き着く先はあの闘争の丘――“ジャバウォック”に敗れた時と同じ、際限なくエネルギーが上昇するメルトダウン。
果ては地殻に沈みミニサイズの恒星と化し、アーチャーとアサシンのみならずこの冬木市そのものを消滅させる。
無論、そうなる前にムーンセルによる介入があるだろうが、果たして間に合うかどうか。
間に合わなければ、敵も味方も全員が吹き飛ぶ。マスターである花村陽介も、目的を同じくする仲間達も。

「それ……だけは……!」

高まる熱を抑え続けるアレックスだが、自分だけではとても抗しきれない。
アーチャーが“世界”をアレックスに向け疾走させる。

「終わりだ、ランサーッ!」

“世界”の強靭な拳を以ってすれば、ARMSの稼働していないアレックスの頭蓋など簡単に砕き割られる。
そうなれば再生どころではない。過度のダメージで一気に死んでしまうと、再生のための魔力などどこからも湧いてこないからだ。
二度目の死を覚悟したアレックスだったが、“世界”の拳が着弾する寸前、突如アレックスの視界を遮る者が現れた。
それは、白銀の鎧と青の衣を纏い、黄金の剣を振りかざす騎士達の王。

「はああああッ!」
「な……なにィッッ!?」

放たれた“世界”の拳を真っ向から受け止め、弾き返す。
小柄な少女が、驚愕に立ち尽くす吸血鬼とその屈強なスタンドへ真っ向から挑みかかる。
数あるスタンドでも随一のパンチの速さを誇る“世界”が左右の拳を速射砲のように繰り出す。
目にも留まらぬ――アレックスですら目で追えない超高速のラッシュを、令呪で強化されたセイバーはことごとく受け止め、躱す。
もはや隠す意味無しとその刀身を晒した“約束された勝利の剣”が夜闇に閃く。
吹き上がる鮮血は確かに敵手であるアーチャーのものであり、セイバーが接近戦を信条とする近接パワー型スタンドに正面から打ち勝った証だった。

「チィッ……、セイバーか!」

アーチャーが後方へ飛び、間合いを取る。
肩口から袈裟懸けに切り下ろされた傷口からはシューシューと湯気が立ち、再生が始まっていた。
時刻は未明、夜の中。アーチャーの吸血鬼の特性が最も強く発揮されるこの時間、多少の傷は致命傷足り得ない。

「ランサー、無事ですか!」
「セイバー……か。すまん、助かった……」
「一体どうしたのです、その姿は?」
「奴らにウイルスを打ち込まれた……俺のARMSを……っ、暴走、させる気だろう」
「……退いてください、ランサー。キャスターに転移してもらえば」

一目でアレックスが戦える状態ではないと判断したセイバーは、彼を逃がす事を考えた。

「駄目だ……今の俺の状態では、マスターの側に戻るわけにはいかん」

しかし、それはランサー自身が拒否した。
メルトダウン寸前の“帽子屋”を沈静化させずに生身の人間であるマスター達の元へ戻る訳にはいかない。
サーヴァントであるセイバーやアーチャー、アサシンだからこそ近くにいても耐えられるが、人間ならば放たれる熱波で死んでもおかしくはないのだ。

「では、私があなたを連れて……」
「楽しそうじゃないか。俺も混ぜろよ」
「セイバーさん、アレックスさん!」

そこに、サーフボードのように変形したアギトトルネイダーを駆ったディケイドと、タジャドルコンボへ変身したオーズが現れる。
オーズはこなたより状況を伝えられ、ディケイドはセイバーの後を追ってきたのだ。
アーチャーが周囲を見回すと、いつの間にかアサシンが消えている。状況を不利と見てさっさと撤退したのだろう。

「ライダー、あなたが来たということはガウェインは?」
「今、キャスターさんの迎撃魔法を使って何とか押し留めてます!」

その時、突然に地面が揺れたような錯覚を感じた。
地震など起こっていない。だが気のせいではない。
オーズもディケイドもアーチャーも、誰もが今の奇妙な感覚を感じていたようで、辺りを見回している。

(セイバー、まずい! 結界が破られた!)
「シロウ!? どういう事です?」
(わからない、急にキャスターの放ったスフィア盤が全部破壊され……  ……)
「シロウ? ……シロウ!」

士郎との念話が、急に断たれた。
結界が破られたという事は、本陣である遠坂邸の地下へも侵入が可能になったという事を意味する。
この場にいない敵は、キャスターとアサシン。
キャスターが結界を破ったとすれば――本陣を強襲するのは、暗殺者たるアサシンを置いて他にない。
向こうは念話もする余裕も無いほど逼迫しているのか。
まずい状況だと、セイバーは歯噛みする。
何を置いても迅速に帰還するべきだ。だが目の前には敵がいる。
キャスターの転移を頼ろうにも、おそらくアサシンが接敵している状況ではおいそれと転移魔法を行使する隙も与えてくれないだろう。
オーズならこなたの令呪を使えば転移で戻れるかもしれないが、そうすると今度は動けないランサーが危険だ。セイバー一人では護りきれない。
加えてガウェインも、いつまでもランスロットを足止めしていられないだろう。
これ以上どこかが崩される前に、敵を突破して状況を覆さなければ――

「……オーズ、援護してください。アーチャーを仕留めます」
「セイバーさん!? でも、こなたちゃん達が」
「私達のマスターと、キャスターを信じましょう。本当に危険なら令呪で貴方を呼び戻しているはずです。
 目前にアーチャーがいる、今しかありません。撤退するにも一度彼らを叩いて、追撃の余力を削いでおかなくては。
 あなたはディケイドを抑えてほしい……頼みます」

アーチャーさえ速攻で倒してしまえば、ディケイドもオーズとの二人がかりで対処できる。
そうでなくてもオーズが本陣に戻る余裕が生まれる。
オーズを狙っているディケイドに向かわせるのには大きな危険が伴うが、逆に言えばオーズだけがディケイドの注意を惹きつけられるとも言える。
もう選択肢は他にない。

「……わかりました、ディケイドは俺が止めてみせます!」
「待ってたぜ、この時を……かかってきな、仮面ライダーオーズ!」

強化フォームとなったディケイドに対抗するために最適なのは、やはりオーズ最強のコンボであるプトティラだろう。
しかしプトティラコンボはオーズ自身の意志で発動させる事はできない。
オーズが絶対的な命の危機に瀕するか、令呪の強制がなければ使えない力なのだ。
悩んだ末、オーズが選んだコンボは機動性に優れたタジャドルコンボ。
火野映司が最も信頼する相棒、アンクの力を具現化させた形態だ。

「行くよ、アンク……おおおおっ!」

専用武器タジャスピナーにセットしたコアメダルから力を吸収し、全身に炎を纏ってディケイドへと突撃していく。
ディケイドもまたカードをライド。呼び出したライダーはブレイド。
ファイナルフォームライドでブレイドを変形させ、巨大な剣・ブレイドブレードとして構える。

「さあ、来なオーズ! お前もこいつのように破壊してやるよ!

オーズとディケイドが戦闘を開始したのを見て、セイバーは改めてアーチャーへと向き直る。
アーチャーは悠然と構えている。胸の傷は既にほぼ癒えており、吸血鬼の再生能力の高さを物語っていた。

「クー・フーリンの次はアーサー王か。つくづく私は母国の英雄と縁があるものだな」
「ランサー、あの誇り高い戦士を葬ったのは貴様だったな、アーチャー。敵討などと言うつもりはないが、覚悟してもらおう。貴様の首は私が穫る」
「やれやれ、ランサーにも言ったのだがな。あいにく誰にもこの首はやれん。
 首を落とされたくらいで死ぬ事はないが……このボディは永遠に、我が未来であり続けるものだからな」
「戯言を……!」
「そこのランサーは私の世界に押し入り、あのザマだ。私は無粋な訪問者を許さない……さあ、貴様もだセイバー。我が“世界”の前に屈するがいい!」

ランサーの時間停止破りは失敗に終わった。
だからなのか、アーチャーは自分の宝具の絶対性を微塵も疑っていない。
ならばその傲慢を打ち砕くのが、セイバーのやるべき事だ。

「“世界”! 時よ……」
「遅いッ!」

アーチャーが時を止める直前、残像すら残す勢いで踏み込んだセイバーの斬撃が奔る。
寸前でスタンドの防御が間に合ったものの、アーチャーの前髪が数本裁ち落とされた。

「時間を止める暇など与えるものか!」

余裕を見せて近距離まで接近したのは間違いなくアーチャーの失策だ。
連続して畳み掛ける事で時間を停止させるタイミングを与えない。身体能力でアーチャーを大きく上回るセイバーだからこそできる芸当だ。
縦横無尽に振り回される聖剣の軌跡に、リーチで劣るスタンドの拳はやがて追いつけなくなっていく。

「ぬうう……調子に乗るなよ、セイバー!」

追い詰められたアーチャーが、スタンドは防御させたまま自身の顔に魔力を集中させる。

「喰らえいッ!」

“空裂眼刺驚”――吸血鬼だった時代、宿敵であるジョナサンをも葬った吸血鬼ディオ・ブランドー最後の切り札。
眼球内の体液をそのまま射出、視線がそのまま死線となる吸血鬼ならではの技。
しかしセイバーは、軽く首を傾けてこれを躱す。
元よりわざと隙を作って撃たせたのだから、余裕を持って回避できた。
返す刀で“世界”の片腕を肘から斬り上げる。
高く宙を舞い、遠くに落ちる音がする。

「GUAAAAAAAAAAAッ! き、貴様……この俺の腕を!」
「幕引きだ、アーチャー!」

時間を止めさせずに倒せるのなら、それが一番いい。
だが――

「……ッ!」

アーチャーを両断しようと振り上げた剣は、横合いから飛んできた光弾を弾くために動く。
ディケイドが押し負けそうなアーチャーを見かねて援護してきたのだ。

「今だ、アーチャー! 時を止めろ!」

その一瞬の隙だけで十分だった。
アーチャーが魔力を練り上げ、片腕のない“世界”へと注ぎ込んでいく――

「……ここだッ!」

セイバーもまた、令呪によって増幅された膨大な魔力を余すところなく聖剣の鞘へと流し込む。
魔力量ではセイバーに軍配が上がる。始動が遅れても十分に取り戻せる!
発動はほぼ同時――否、セイバーの方が僅かに、早い。

「“全て遠き理想郷”!」
「“世界”! 時よ止まれ!」



空白の時間――
“世界”は発動し、時は止まった。



「は……ははは、どうだセイバー。ランサーと同じだ、所詮お前は我が世界では……!?」

いつも通りの世界。
勝ち誇ろうとしたアーチャーだが、ゆっくりと剣を構えたセイバーを見てその笑みは凍りつく。

「アーチャー、貴様に私の時間は止められない!」

全てが静止した世界――アーチャーだけが動く事を許される世界。
しかし今、セイバーはその世界に入門を果たした――否、“自身の世界を保ったまま押し入ってきた”のだ。
これが“全て遠き理想郷”、妖精郷に自身を置きあらゆる干渉を遮断する、この世界最強の護り。
同じEXランクの神秘であるゆえ、“世界”の時間停止さえも受け付けない、セイバーの切り札。

「馬鹿な……何の制約もなく、我が世界の中を動けるだと……!?」

アーチャー、DIOを葬った空条承太郎でさえ、時間を止められるのは数秒というところだ。
しかしセイバーはアヴァロンを展開する事で一切の干渉を撥ね退ける。
誰も傷つけられない最強の防壁――その中にセイバーはいる。
そしてその効果時間は“世界”が時を止めていられる時間よりも長い。
やがて限界を迎え、“世界”が止めた時が動き出す。

「獲ったぞ、アーチャー!」

一度時を止めれば次に止められるまで数秒の呼吸が必要となる。
しかしセイバーはその隙を与えるつもりはない。
いくら斬っても再生し、首を落としても死なないのならば、全身を消し飛ばせばいい。
セイバーの誇るもうひとつの宝具――星に鍛えられた神造兵装、騎士達の王のみが振るう事を許される、最強の幻想。
もはや躊躇う理由はない。
アーチャーの背後には友はおらず、一度時間停止を破った今、隙を突かれる心配もない。
ディケイドはオーズが抑えてくれている。
“全て遠き理想郷”の開放を収め、全ての魔力を手の中の聖剣に叩き込む。

「“約束された――”」

過去現在未来を通じ、戦場に散っていく全ての兵達が最期に抱く、“栄光”という名の祈りの結晶。
魔力を光と変えて、前に立つあらゆる全てを薙ぎ払う極光の剣。

「“勝利の――”」















三度、時は止まる。















振り上げた聖剣に束ねられた光もそのままに、セイバーの時間は完全に停止していた。
アーチャーがゆっくりと立ち上がり、怒りに満ちた視線を巡らせる。
その先にいるのは――仮面ライダーディケイド。

「何とか、間に合ったようだな」

“約束された勝利の剣”が放たれるより一瞬早く――ディケイドが、アタックライド・タイムを発動させた。

「セイバーさん!?」
「聞こえてないぜ、オーズ。あいつの時間は完全に止まったからな」

仮面ライダーブレイドが持つ、アンデッドの力のひとつ――タイムスカラベ。
任意の範囲の時間を停止させる、ディケイドがここまで切り札の中の切り札として隠し続けてきたジョーカーだ。

「ふん、話には聞いていたが……忌々しいな、私と同じ時間を操る能力とは」
「お前のほど便利じゃないんだがな」

これが、東の陣営が西の陣営を撃破するために練り上げた必殺の策。
時間停止をあえて破らせ、その後再度時間停止を仕掛ける二段構えの作戦。
ランサーには耐性を作ってしまうため通じないが、宝具の恩恵で時間停止を回避するセイバーには必ず効くと確信してディケイド達はこの戦場を作り上げた。
アーチャーが時間停止を使ったのは、あえて一度破らせるため。
時間停止を破ったその時こそ、もう一つの時間停止を仕掛ける好機。
セイバーは予想通り、アーチャーを完全に葬るべく“全て遠き理想郷”を解除して“約束された勝利の剣”を使おうとした。
どれだけの魔力供給があろうと、これほどの宝具を同時に行使する事は不可能だ。
その隙を狙ったディケイドの作戦は、これ以上もなくうまく炸裂した。

「ディケイドォッ!」

無論、オーズと戦いながらスカラベタイムを発動させたディケイドもまた無傷ではない。
タジャドルコンボの火炎をまともに喰らい、その左腕は焼け焦げている。
だがこの負傷と引き換えにしただけの成果はあった。

「アーチャー、もういいか?」
「構わん、動かすがいい」

ディケイドからブレイドブレードを受け取り、アーチャーがセイバーの背後に回る。
アーチャーの時間停止と違い、スカラベタイムによって停止した対象には触れる事はできない。
完全に時が止まっているため、変質を齎すあらゆる行動はその対象には届かないのだ。
ディケイドが今までスカラベタイムを使わなかった理由もここにある。
時を止めても攻撃できないのでは意味がない。ただ単にこちらが消費するだけだからだ。
しかし、ディケイドに味方がいるなら話は別だ。
時を止められ無防備になったところを、万全の状態の味方が狙い撃つ――

「させない……!」
「無駄だライダー、無駄無駄……」

オーズがアーチャーを止めようと迫る。
だが、一歩遅い――ディケイドが止めた時が動き出す。

「――“剣”ッ!」
「“世界”ッ! 時よ止まれッ!」

そして、時が動き出した瞬間――ディケイドがスカラベタイムを解除した瞬間――アーチャーが四度、時間を止めた。
既に十分なインターバルは得た。“世界”の発動条件は満たされている。
そして今度こそ、アーチャーの他に動く者はいない。
一瞬だけ発動したセイバーの“約束された勝利の剣”は、もはや誰もいない場所へと向けられている。

「哀れなものだな、セイバー。しかし容赦はせん。このDIOの腕を奪った罪……その生命で贖うがいいッ!」

アーチャーは“世界に”構えさせたブレイドブレードを、セイバーの背後から心臓へ向けて全力で突き刺した。
刀身が鎧を砕き、セイバーの肉体へ侵入してもまだ終わらない。

「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァッ――――――――!!」

残った片腕で柄頭をひたすらに殴りつけ、剣を埋めていく――
時を止めていられる限界まで剣を殴り続け、ブレイドブレードは完全にセイバーの胴体を貫いた。
そして時は動き出す――


              ◆


――ルルーシュ達に、誤算があったとするならば。
彼らが月海原学園で調べ上げたディケイドの能力は、“ディケイド単体の能力”だったということになる。
もちろん、門矢士――仮面ライダーディケイドが他の仮面ライダーの力を我がものとして使えるということはわかっていた。
カブトのクロックアップやファイズのアクセルフォームなどの超加速、フォームライドによる召喚・変形など。
だがそれらはあくまでルルーシュ達が実際に交戦し、見て取った情報から得た物にほかならない。
泉こなたは何故か例外的にそれらの知識を保有していたが、それも自在に引き出せるものではなかった。

ギルガメッシュ、という英霊がいる。
古代ウルクの王、万夫不当の英雄王。
彼が所有する財宝の蔵には、やがて世界中に散逸し英雄達の無二の宝具となる武具・道具の数々が収められてきた。
その“宝具になる以前の武具”を自在に取り出し、あるいは弾丸として発射するのがギルガメッシュの闘法である。
だが――彼がいかに無数の宝具を所有していようとも、ギルガメッシュは決してそれら宝具の“担い手”ではない。
故に、喩えクー・フーリンの“刺し穿つ死棘の槍”やアルトリアの“勝利すべき黄金の剣”の元となる武器が蔵にあっても、ギルガメッシュはそれらをただの武器以上には活用できない。
その原典たる武器を宝具として昇華したのは、それらを用いて己が時代を生き抜いた英雄のみ。
だからこそ、ギルガメッシュの宝具は“王の財宝”というそれらを総称した呼び名で示される物であり、一つ一つの武具の名前ではない。

同じ事が、門矢士――仮面ライダーディケイドにも言える。
仮面ライダーディケイドとは、“ディケイド”という一人のライダーが九人の異なる仮面ライダーと絆を結び、あるいは破壊して力を取り込んだ存在。
自身に加え九人の仮面ライダーの力を自在に操る規格外のライダーである。
だが、宝具の原典を所有すれど担い手ではないギルガメッシュと同じく、ディケイドもまたその九人の仮面ライダーと同質の存在ではない。
あくまで力を借りている、あるいは奪っているだけ。クロックアップやアクセルフォームなどは“ディケイド固有の能力ではない”。
だからこそ、ディケイドが未だ伏せている“九人の仮面ライダーの力”に関して、ルルーシュ達は知り得る事ができなかった。
それを知りたいのならば、改めてそのライダー達の真名を調べ、図書館にアクセスする――“ディケイドとは別個のサーヴァントとして他のライダーを調べる”、この方法しかなかったのだ。

ただし、それが可能かというとまた話は違う。
かつて火野映司、仮面ライダーオーズはディケイドや他のライダーと協力して戦った事がある。
クウガ、アギトなどのディケイドの力の源となるライダー達も当然知っているが、彼らと出会ったのは戦場での事。
戦士としてのライダーの名前は聞いていても、彼らの本名や素性を詳しく知っている訳ではない。
同じ事はこなたにも言えた。こなたの知識の範疇に、確かに彼らは存在している。
しかし思い出せたのは実際にディケイドが見せたファイズやキバの姿や名称と、おおまかな能力のみ。そのライダー達の真名まで引き出せた訳ではないのだ。
クウガやアギトは複数の形態に変身する、龍騎やブレイドはカードを使って能力を発揮する、など、本質を捉えてはいても全てではない。
こなたが彼らの能力を知ったある方法で、彼らが能力を全て曝け出していないのならば――こなたが知る道理も、思い出せる道理もない。

もしルルーシュ達がディケイドの持つ力、九人の仮面ライダーの力を隅々まで知っていたならば、決してディケイド達を迎撃しようなどとは考えなかっただろう。
何故なら敵にはアーチャー――時間を止める脅威のスタンド使いがいる。
ただでさえ彼に対抗できると断言できるのは“全て遠き理想郷”のあるセイバーだけなのに、さらにディケイドまで時間を止められるのならば、勝算は限りなく低くなる。
アーチャーの正体がDIO、吸血鬼という事はわかっているのだから日の出まで逃げ回ればいい。それだけでDIOは無力化できるのだから。
時間を止められるのがディケイド一人だけなら対処は容易だ。セイバーが適切な機に宝具を開放するだけでいい。
そうしなかったのは偏に、彼らが敵の能力の見積もりを誤ったからだ。

結果――

「がっ……!」

“全て遠き理想郷”、そして“約束された勝利の剣”。
二つの超宝具を連続して放つという、並の英霊では消し飛ぶ以外道はない荒業を披露しようとしたセイバーは、背後から真っ直ぐに心臓を貫かれていた。
アーチャーを確実に葬るために、持てる全ての力を“約束された勝利の剣”に注ぎ込んでいたのだ。
時間を止められ、背後から心臓を狙われてはいかに力を増したセイバーといえども防げるはずもなかった。

「せ……セイバーさん!」

心臓を貫かれれば、再生を強化する宝具やスキルでも持っていない限りはどんなサーヴァントでも即死するだろう。
セイバーがまだ死なずにいたのは、偏に強靭な生命力を有する竜の因子を保有していたからに他ならない。

「まだ息があるとはな。アーチャー、とどめを刺せ……」

そういうディケイドの息も荒い。
オーズから負わされたダメージに加え、時間停止という強力な手札を切った代償だ。
特にそういった逸話を持たないディケイドが時間を止めるには、カードの力を借りたとしてもかなりの消耗を強いられる。
そしてアーチャーがセイバーを葬るためにブレイドブレードを酷使した結果、ブレイドもまた砕かれていた。
消耗の度合いで言えばセイバーの次に大きい。

「わかっている。だが……」
「させるか!」

そうはさせじとオーズがディケイド、アーチャーへと向かっていく。
誰もが消耗しているため、すぐには決着がつかない。
そんな中、死に瀕したセイバーは、ただ己のマスターに想った。

(シロウ……どうか、私に……)

ただ一つの願いを、成し遂げさせて欲しい。


              ◆


四人目のアサシン、D4Cを持つ本体は、遠坂邸を監視していた五人目の大統領と合流した。
持っていた対ランサー用の弾丸を渡し、六人目の援護に向かわせた。
弾丸は一発で十分な効果を持つはずが、念を入れるに越した事はない。
屋敷の間で待つこと、しばし。

「……結界が解除された。キャスターがやったか」

ならばとアサシンは地下室に侵入していく。
キャスターの監視も、結界を破壊した直後の今なら恐れることはない。
堂々と地下室に入室したアサシンは、五人のマスター、そして一人のサーヴァントと対面を果たした。

「てめえ……アサシン!」
「数時間ぶりだな、キャスターのマスター。しかし残念だが話している暇はない……」

アサシンは今しがた入ってきたばかりのドアを閉め、また開く。その行為が意味するものは――

アサシンの宝具、“D4C”。平行世界にいる自分、もしくは他人をこの世界に連れてくる能力。
違う世界の同じ人物を接触させれば、存在の矛盾によりその人物の殺害も可能だ。
しかしこの聖杯戦争において、この戦術は今まで行使できていない。
その理由はひとえに、“サーヴァントを連れてくることが不可能”だからだ。
仮に違う世界のセイバーやランサーと接触したとして、貧弱なアサシンの能力ではこちらの世界に引きずり込む事は難しい。
その場で殺されるのが落ちだ。そうなれば、敗退しなかったとしても魔力の浪費でしか無い。
マスターならば強引に拉致してくる事も可能だが、それならそれでそのマスターの詳しい情報を知らねばならない。
ディエゴ・ブランドーのように、アサシンが素性や性格を詳しく理解している人間であれば存在する世界の座標が特定できる。
だがサーヴァントと違い、マスターの情報を知る事は中々に難しい。そのため、この聖杯戦争ではD4Cの真の力は発揮できないでいた。

だが、この場にはただ一人、アサシンが素性や性格、能力を詳細に把握できる人間がいた。
それは誰あろう、ガウェインのマスターであるルルーシュ・ヴィ・ブリタニアである。
親友、枢木スザクはルルーシュにまつわるほぼ全ての情報を保有している。
年齢、体格、出身、嗜好、そしてギアスという能力。
それだけの情報があれば、D4Cでルルーシュがいる世界を特定し連れて来ることは令呪を使わずとも容易だった。

今、その成果が曝き出される。
アサシンがドアに挟んだ手から引っ張りだしたもの――それは紛れもなくルルーシュ・ヴィ・ブリタニア。
ただしそれは、別世界のルルーシュであると誰もが認識している。
アサシンに乱暴に突き飛ばされた別世界のルルーシュは、冷たい床に投げ出されて目を白黒させる。

「痛っ! なんだ、一体何が……」

平然としているのはその行為を行ったアサシンただ一人。
アサシンの能力は既に開示されている。つまり別世界のルルーシュ以外の全員が、彼がこの場に存在することの意味を知っている。
“ひとつの世界に同じ人物は存在できない”。
花村、名無、士郎、こなた、そしてキャスターが一斉に振り返る。
視線の先にいるのは――もうひとりの自分に向かって拳銃を構えたルルーシュ。

「ルルーシュ!?」
「自分を撃つ事になるとはな……!」

連続する銃撃音。
ルルーシュは躊躇いなくもうひとりの自分に向かって銃を乱射した。

「が……は……!?」

別世界のルルーシュも、基本的には生身の人間だ。
魔術師でもペルソナ使いでも13騎士の使い手でもない彼は、ただの銃弾であっさりと死に至る。
かつてゼロレクイエムの仕上げとして自分を枢木スザク扮するゼロに討たせたルルーシュではあったが、今度は自分で自分を殺す事になってしまった。
崩れ落ちたもう一人のルルーシュが果たして何を考え、何を願っていたのか。知る術はもうない。
それほどまでに一瞬の――誰も何も口を挟む暇もない、一瞬の自殺劇。

(だが、俺がやらねばならなかった事だ……)

喩え別世界の、今の自分とは異なる自分といえど、優しい仲間達はきっとそのルルーシュを殺せない。
ならば幕を引くのは他でもない、この世界の自分だけだとルルーシュは判断し、撃った。
考えてみればこの聖杯戦争が始まって、ガウェインに令呪で命じた事を除けば人に手を下したのは初めてだ。
それも相手は別世界の自分。誰かが誂えたような皮肉な展開だ。

「ほう、まさか自分で自分を始末するとはな。この状況を予測していたか?
 ……だが、残念だな。我が“D4C”の能力は、“殺したくらいでは収まらんぞ”」

しかし、必殺の策をあっさりと破られた側であるアサシンは寸毫も動じていない。
別世界のルルーシュを呼び込んだ目的は、彼らを動揺させるためというのが一つ。
もう一つは――

「ぐ……ぐあぁぁぁあああああっ!」

絶叫が地下室に谺する。
ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアを構成する人体の各所から、手のひら大の四角い肉片が続々とせり出されていく。
“細切れのスポンジのように崩れていって”いるのだ。

「違う世界のルルーシュが死んでも、アサシンの能力は解除できないのか!?」
「ルルーシュっ! まだだ、スサノオ……ディアラマ!」

陽介が、進化したペルソナでであるスサノオを召喚し、回復魔法をルルーシュへとかける。
押し出されてきた肉塊が再び体内へと押し込まれていき――すぐにまた、ぐいぐいと引きずり出されてくる。

「がああああ……!」
「回復しない? なんでだよ!」
「肉体が崩壊するスピードの方が早いんだ! これではいくら回復魔法を掛けても……!」
「“同じ世界”に“同じ二人”が存在する事はどんな者だろうと出来ない……この私のスタンド能力以外はな」

陽介に続き、キャスターもルルーシュへと回復魔法を連続して掛ける。
だが、一時的に肉体の損傷が回復してもすぐに何処か別の部位が崩れていく。
その度にルルーシュは激痛で絶叫し、のたうち回る。噴き出る鮮血にこなたが思わず顔を覆った。
別世界のルルーシュの“死体”をアサシンが拾い上げ、スタンドの手刀でその首を切断――尊い物を得たかのように頭上へと掲げる。

「ガウェインのマスター、お前に敬服を示そう。この状況で瞬時に自分を撃てるお前には、確かに“覚悟”があった。
 撃っていいのは撃たれる覚悟がある者だけだ。だが、“射殺する”のでは足りなかった。
 知っているのだろう? 我が“D4C”の能力を解除する、たったひとつの方法を」
「別世界の人間を、殺すのではなく“元の世界に送り返す”……!」

アサシンの言葉を士郎が引き継ぐ。
殺すのではなく、この世界から追い出す。それこそが確実な死を齎すパラドックスから逃れるたった一つの方法だ。

「さあ、どうする。前線で戦っているサーヴァント共を呼び戻すか? それともキャスター、お前が私と戦うか?
 どちらでも構わんぞ。だが……今サーヴァントを呼び戻せば、我らの勝利が確定するだけだがな」

告げるアサシンの言葉に、ルルーシュの回復にかかりきりのキャスターと陽介以外のマスター達がそれぞれのサーヴァントの状態を確認する。
陽介が時間停止に対抗する令呪を行使した瞬間にアサシンが突入してきたため、確認している暇がなかったのだ。

こなたのサーヴァント、オーズから前線の状況が詳しく伝えられる。
アサシンの攻撃によりアレックスのARMSが暴走し、ほぼ無力化された。
アレックスを護るためセイバーが駆け付け、同じくディケイドとオーズも集結した。
ガウェインは離れた所でバーサーカーを引き付けているため、現地にはアレックス、セイバー、オーズ、ディケイド、アーチャーが入り乱れている事になる。

「キャスター、転移でランサーをこっちに戻せないのか!?」
「駄目だ! あんな魔力と熱量を放射している状態でここに転移させれば、お前達が耐えられない!」
「じゃあどうすれば……!」

ディケイドとアーチャーは動けないアレックスを狙って攻撃を仕掛けているため、セイバーとオーズは彼らへの攻撃よりもアレックスの護衛を優先せざるを得ない。
この状況でアサシン迎撃のためにどれかのサーヴァントを呼び戻せば、残った者が蹂躙されるだけだ。

「……リインちゃん、さっきのユニゾン……確か俺以外のマスター相手でも出来るって言ったよな?」

その時、静かに名無がキャスターに向けて問いかけた。
彼の手には槍がある。13騎士のひとつ、槍王イルバーン――宝具にすら匹敵する、名無鉄之介の“力”が。

「あ、ああ……可能だが」
「じゃあ、リインちゃん! ほんとはさせたくないしむしろ俺がやりたいんだけどそうも言ってられないし悔しいけど涙を呑んで命令するぜ……“ルルーシュとユニゾンしろ”!
 身体が内側から崩れていくって言うなら、融合したリインちゃんなら内側から崩壊を押し留められるはずだ!」


叫び、名無自身は槍王イルバーンを振りかざしてアサシンへと向かっていく。
キャスターにルルーシュとユニゾンさせるという事は、キャスターの援護なしでアサシンに立ち向かうという事だ。
だがルルーシュを救うには、アサシンが持つルルーシュの首を何とかして別世界に送り返さねばならない――ルルーシュが死亡する前に。
名無は躊躇いなくその死線へと飛び込んでいく。そうしなければルルーシュは助からないのならば。
大切な友を救うために身体を張る、それが名無鉄之介という男。

「うおおおおイケメンなんて死ねって思ってたけど実際死なれると寝覚め悪いだろコンチクショーがああああ!」

槍王イルバーンによる一撃は、サーヴァントすら傷つけ得る。
さすがにまともに受けてはいられないと、アサシンが後退する。

「……キャスター、名無は俺が援護する! ルルーシュを助けてやってくれ!」

士郎が双剣を投影し、名無の後を追う。
だが如何に戦闘に向いた魔術師と槍王を持つ者といえど、サーヴァントと直接戦闘するのは危険すぎる。

「俺からも頼む! ルルーシュが回復すれば、俺も手が離せる……アレックスを令呪で援護できる! だから、キャスターッ!」

この場は一刻も早くルルーシュを救い、状況を好転させねばならない。
ルルーシュが回復すれば陽介が令呪でアレックスを暴走状態から復帰させ、前線の状況を五分に戻す事ができる。
あるいはそのまま彼らを帰還させ、この場から転移で撤退する事も可能だ。

「ルルーシュの意識が混濁している今、私が主導するしかない……やれるか?」

這いつくばるルルーシュの手を取り、キャスターが真名開放の呪言を唱えていく。
本来は装着する本体側からのアクセスが必要だが、正当な夜天の書の主以外とのユニゾンを想定して術式を改良したため不可能ではない。

「我が名は祝福の風、リインフォース――セットアップ!」

瞬間、キャスターを構成する魔力が解けて渦となり、ルルーシュを包み込む。
渦巻く魔力光がルルーシュの身体に吸い込まれ、物質化し、外敵を払う鎧――騎士甲冑となる。
かつてのゼロを彷彿とさせる漆黒の衣。
夜に溶け込む黒いマントが棚引き、魔術師然とした印象を与える。
しかしゼロとの違いは明白だ。その顔を飾るものは偽りの仮面ではなく、白銀に輝く髪。

「こ……これは……?」
「意識を保て、ルルーシュ! これよりお前の肉体の修復を始める!」

何とか意識を取り戻したルルーシュへ、融合したリインフォースが治療を開始する。
先ほどまでとは段違いのスピードでルルーシュの肉体が再構成されていく。
これでひとまずルルーシュは安心だと、陽介は自身のペルソナを一旦解除し、令呪を解放してアレックスへと願いをかけた。

「令呪に命じる、アレックス……負けるな! 頑張れ!」


              ◆


――令呪に命じる、アレックス……負けるな! 頑張れ!



遠く離れていても、令呪は効果を発揮する。
具体的な命令ではない、ただの願い。
それでもその願いは、確かにアレックスへと届いた。
全ての可能性は願う事よりまず生まれる。
そして、その純粋な願いこそ――ARMSを動かす原動力。

「……う、む……?」

全身を苛んでいた痛みが嘘のように引いていく。
ナノマシンがアレックスの制御下に戻る。
令呪を用いた花村の願いによって強化された“帽子屋”が、ウイルスを克服したのだ。

「マスター、世話を掛けたな……俺がこのザマでは、申し訳が立たん……!」

ARMSの暴走によるメルトダウンは回避された。だが――

「くそ……身体が動かん」

今のアレックスは体内の魔力を全て放出しきってしまっていた。
高まり続ける“帽子屋”の熱量、それを抑えるために必死に魔力を体表の冷却に回し、結果、魔力が枯渇してしまっていたのだ。
これではしばらくは魔力消費の大きい荷電粒子砲はおろか、完全体への変態も不可能だ。
令呪も既に二度行使してしまい、回復は望めそうにない。
アレックスはただ、目前で行われる戦闘を見守るしかなかった。

やがて――アレックスはセイバーが討たれた瞬間を目の当たりにする。
ディケイドとアーチャー、二人の強敵を前に――騎士王は崩れ落ちた。

「……そんな……」

しかし、そこで戦いは終わらなかった。
アレックスは確かに見た。
心臓を貫かれ、崩折れていたセイバーが――聖剣を支えにしっかりと立ち上がり、走り出していく姿を。


              ◆


士郎が投擲した双剣は“D4C”が叩き落としたが、同時に名無もイルバーンを振り下ろしていた。
さすがにこれは片手では防げないと、アサシンが別世界のルルーシュの頭部を放り出して防御の体勢を取る。
放り出された頭部は士郎が受け止める。
しかし、そのためにイルバーンを受け止めたアサシンの横を、ひとつの影が通りすぎたのに気付かなかった。
影は、アサシンの影に隠れ奇襲の機会を伺っていた枢木スザク。

「てめっ……!」

イルバーンで迎撃しようにも、がっちりとアサシンの“D4C”に掴まれていて動かない。
瞬時に回転したて遠心力を載せたスザクの脚が閃き、名無の腹に深く打ち込まれる。

「げっ……!」
「マスター!?」

動きの止まった名無を、さらにアサシンのスタンドが殴打。完全に意識を奪い去った。

「よし、退くぞ枢木」
「わかってる」
「ま……待て、スザク!」

意識のない名無を担ぎ上げ、スザクが地下室を出ていこうとする。
まだキャスターはルルーシュの治療から離れられない。

「ルルーシュ……追ってくるといい。僕らのサーヴァントと一緒に、決着を着けよう」

そう言い残し、スザクとアサシンは姿を消した。
陽介がはっと我に返り、

「……そうだ、まずはルルーシュだ! 衛宮、ルルーシュの頭部を……?」

士郎に促す。
が、士郎は呆然と、別世界のルルーシュの頭部を抱えたまま、自らの手を見詰めていた。

「悪い、花村……お前がやってくれないか」

その手は既に黒く染まり始めている。
サーヴァントを失ったマスターに執行される、ムーンセルのデータ消去だ。

「ま……まさかセイバーが……?」
「そうらしい……今、念話で頼まれたんだ。最後の令呪を、使ってくれって……」

心臓を破壊されては、如何に“全て遠き理想郷”があっても十分な魔力を供給できず使用できない。
今から士郎が“全て遠き理想郷”を投影して、戦場に届けるのも――もう間に合わない。
セイバーの命はあと数秒、あるかどうかだ。

「悪い、陽介、泉。名無とルルーシュの事、頼んだ」
「おい、待て衛宮!」

陽介が必死に制止してくる。
当然だ、目の前で友人が死にかけているのだから。
申し訳ないとは思う――しかし、それ以上に、セイバーの最期の願いを果たしてやりたいという想いの方が強かった。

(じいさん……悪いな。俺、最期までじいさんと、わかりあえなかったよ……)

衛宮切嗣、そしてディケイド。
彼らを止めるのは自分達の役目だと、セイバーは願った。
ならば――

「令呪を以って命じる。セイバー――立ち上がり、ディケイドを討て」

この命令だけは、士郎が下さねばならないものだ。


              ◆


「……何?」

間の抜けた声は、ディケイドが漏らしたものだった。
オーズの猛攻を何とか凌ぎ、アーチャーとともに反撃に転じようとした所――ディケイドの身体は、背後から聖剣によって貫かれていた。
何とか後ろへ首を回すと、そこには全身のデータを黒く消去されながらも聖剣を構え、身体ごとディケイドに体当りしてきたセイバーの姿があった。

「きさ……ま……!」
「シロウ……ありがとう」

反撃の必要もない。少し身じろぎしただけで、令呪で強引に動いたセイバーの身体は魔力となって霧散した。
ディケイドは倒れ伏す。霊核を貫かれている――致命傷だ。
再生能力を持たないディケイドは、セイバーと同じくもう助かる術はない。

「ディケイド……?」
「ほう、これは意外な展開だ。まさかライダー、お前もここで脱落とはな」

呆然とするオーズと対照的に、アーチャーは愉快そうに笑っている。
あれほどに強力で底知れない力を持つサーヴァントが、一瞬の油断でこうもあっさりと死に瀕している。
目の前で起こったことが信じられないのは、ディケイドも同様だ。
セイバーを討ったと思ったら、そのセイバーの最期のあがきで致命傷を負わされた。

「くそ……こんな……俺が……こんな事で……!」
「苦しかろう、ライダー。では私がとどめを刺してやろう」

組んでいても、決して信頼できる味方ではない。
ディケイドが弱ったと見るや、好機と見たアーチャーはすぐさま牙を剥こうとした。

「時を支配する存在はただ一人でいい……この私だけでな! “世界”……む、何だ!?」

しかし――アーチャーの拳がディケイドへ振り下ろされる事はなかった。
アーチャーの姿は一瞬で消え去ったからだ。

「消えた……なんで?」

残されたのは、オーズと消え行くディケイドのみ。
灼熱の戦場は、一転して静寂に包まれた。

「……ディケイド」
「くっ……これが俺の旅の、終わりかよ……」
「ディケイド、君は何を求めて戦っていたんだ?」

オーズ――火野映司はディケイドとは一度話してみたいと思っていた。
その願いが叶うのがこんな状況だとは思いもしなかったが。
しかし、どうしても知りたかった。ディケイドを突き動かしていたものが何だったのか。

「……さあな。忘れちまったよ……俺は世界を破壊して旅をする、そんな存在なんだからな……」
「旅……?」
「とどめを刺せよ、オーズ……これ以上、お前にこんな姿を見られるのは屈辱だ。俺を破壊して……さっさと前に進めよ」

ぶっきらぼうに言うディケイドを、オーズはしばし眺めていた。
それ以上の会話を拒否する姿は、痛ましいものだ。

(旅……か。君も、何かを探して流離い続ける……なんだ、やっぱり)

似ているじゃないか。自分と、彼は。
ただ単に“仮面ライダー”というだけじゃない。
求め、願い、欲望を叶えるために旅を続ける、そんな存在――

「ディケイド」

オーズはディケイドの側にしゃがみ込み、消えかけている手を取った。

「いつか……いつかまた、どこかで。旅の途中で出会う事があったなら」

力ないディケイドの手を、オーズは力強く掴む。
今回は届かなかったかもしれない。
でもいつか――この手が、彼に届く事を信じたい。

「その時は、一緒に戦おう」

何度だって、手を伸ばす。
オーズ――火野映司はかつて、ライダーは助け合いだと言った。
その想いは今も変わる事はない。
たとえ敵として出会い、幾度もぶつかり合ったとしても。
同じ仮面ライダーならば、いつか必ず、肩を並べて戦えるはずだ。

「オーズ、お前……」

ディケイド、門矢士はその言葉に目を瞬かせる。不意に懐かしさを感じた。
かつて共にいた、仲間と呼んだ者達を思い出させられ――ディケイドは小さく笑った。

「これだから、仮面ライダーってやつは……馬鹿ばっかりだ、まったく」
「かもね。でも、君もそうだろう?」
「……ああ、そうだな」

薄れ、消えてゆく自分の手を見つめたディケイドは、もう片方の手でおもむろにカードを引き抜いた。
しかしオーズは動かない。攻撃のためにカードを抜いたのではないと直感的に悟ったからだ。
果たして、ディケイドが指先をくるりと回し見せたカードの絵柄は――誰あろうオーズ自身の姿が刻印されている。

「俺?」
「最後の最後で……こんなカタチで、お前の力を得るとはな。まあ、それも悪くない……」

仮面の奥で門矢士がどんな表情をしているのか、火野映司にはわからない。
だけどきっと、それは暖かいものだろうと――

「ちょっと……くすぐったいぞ」

ディケイドが、オーズのカードをオーズ自身へと触れ合わせる。
瞬間、カードを通じてディケイドの力がオーズに流れ込んできた。
他のライダーの力を取り込み、融合し、時に高め合う。
“世界の破壊者”仮面ライダーディケイド、全てを破壊し全てを繋ぐ存在――その起源が、オーズの眠れる力を呼び覚ます。

「これは……!」
「はあ……俺もヤキが回ったな」

ディケイドへの変身が解け、門矢士の生身の肉体が露となった。
最後の力をオーズへと受け渡し、今度こそ“仮面ライダーディケイド”は消滅するのだ。

「あのアーチャーは強いぜ……せいぜい、気をつけるんだな。最後の……仮面、ライ……ダ……」

握った手を最期の瞬間まで離さず――門矢士は消えていった。
仇敵であるはずのオーズに何かを託して逝った。
オーズは、寸前までディケイドの手を握りしめていた掌をゆっくりと開く。
そこにあったのは、本来ありえるはずのない、オーズ最強にして究極のコンボを発動させるメダル――未来で開発された三枚のスーパーメダル。
他の仮面ライダーを最強フォームへと進化させるディケイドの能力が、オーズの欠けていた力を補ったのだ。
これこそが、門矢士が旅路の果てに得た力――破壊するのではなく、絆を繋ぐ事で新たな力とする。

「……受け取ったよ、ディケイド。俺はこの力で、俺の護りたいものを護る……必ず」

戦い、憎み合い、一度も共に戦う事のなかったディケイドという仮面ライダー。
それでも最後に絆は結べたのだと。火野映司はそう、信じる事にした。
手にしたメダルは、炎のように熱い――まるでかつての、相棒のメダルのように。


              ◆


「……っ、なんだ、一体何が……」

ディケイドとオーズにとどめを刺そうとしていたアーチャー――DIOは、瞬間的な転移で移動させられた。
彼が目にしたもの、それはマスターである鹿目まどかと自分によく似た顔の死体、そして――這いつくばっているのはキャスターのマスター、名無鉄之介だった。

「何だ……マドカ? 一体どういう事なんだこれは」
「DIOさん……」

顔を上げたまどかの瞳には、DIOに対する強い怒りが現れていた。

「約束、したのに……聖杯を壊すために一緒に戦ってくれるって約束したのに……私に嘘、ついてたんですね……?」
「何を言っているんだ、マドカ。そのマスターに何か吹きこまれたのか?」
「ふざけんな、まどかちゃん騙してたのはテメーの方だろ!」

そもそも何故このマスターがここにいる?
こいつはアサシンが始末しに行ったはず――

「……そうか、アサシンの仕業か。私を始末するためにマドカをおびき寄せ……こいつに引き合わせたと」

ただまどかを殺すだけでは、単独行動スキルを持つDIOを即死させるには至らない。
だからこそ、マスターであるまどか自身に行動の方針を転換させ、令呪で死を命じる――その辺りだろうか。

「マドカ、アサシンやそいつに何を言われたか知らないが、私は」
「この人達も聖杯を壊すために戦ってるって……そのために手を取り合ってるって、そう聞きました。
 DIOさん、それを知ってて……知ってて、私を騙したんですね?」

まどかの語気は強い。同じ思いを抱いた者達と敵対した、しかもDIOに騙されて……という事が許せないようだ。
アサシンの思惑通りにまどかは誘導されたようだ。そのためにキャスターのマスターを攫ってきたのだとしたら大した策謀家である。

「……そうだ、だったらどうする? どの道私は彼らの仲間を殺害していたのだ。そんな私を従える君を、彼らが受け入れたと思うのか?」
「わかりません、わかりません……けど、こんな風に戦う事はなかったじゃないですか! 誰かが死ぬなんて事……」
「マドカ、ならばどうする。今からでもそいつに頭を下げて許しを請うのか?
 私はついさっき、そいつの仲間を一人殺したぞ。それでも受け入れられると思うか?
 ……無理だ、マドカ。こうなってはもう、私達が勝ち残るしか道はないんだ」
「……いいえ、まだ選べる道はあります」

と、まどかは最後に残った令呪をDIOへと突きつける。

「ちょ、まどかちゃん? 何する気……ちょ、ちょっと落ち着いて!」
「名無さん、本当にごめんなさい……でも、私があなた達にできる償いはもう、これしかないって思うんです。
 こんな事頼める立場じゃないのはわかってるけど、どうか……聖杯を壊してください。お願いします」
「待て、マドカ! 何をする気だ!?」

決意に満ちたまどかの瞳に、言い知れない恐怖を感じる。
あれは、覚悟を決めた眼だ――かつて何度も見た、ジョースターの血統もまたああいう目をしてDIOの前に立ち塞がったのだ。

「最後の令呪で、DIOさん……あなたを殺します」
「正気か、マドカ! 私が死ねばお前もまた死ぬのだぞ!?」
「わかってます。でもこれDIOさんが生きていたら、きっともっと悲しい事が起こる。
 それは半分、私のせいでもあるんです。だから……!」
「ま、まどかちゃん! 待つんだ、それは駄目だ!」
「名無さん、ごめんなさい。こんな事で責任が取れるとは思わないけど……それでも私は……!」

DIOがまどかへと走り寄ろうとする。
度重なる戦闘を経て、まどかの側から完全に魔力供給を絶たれたこの状況で時間を止める事は出来なかった。
スザクとD4Cに攻撃された名無もまだ回復しておらず、まどかを止める力はなかった。

「お願い、私の令呪……DIOさんを」

殺して。
最後の、たった四文字の言葉は、紡がれる前に塗り潰された。
甲高く鳴り響いた、一発の銃声に。

「……マドカ?」

死を齎す令呪は発動しなかった。
命令が下される前に、まどかの頭は吹き飛ばされていたからだ。
振り向く。遥か彼方のビルの上、そこには一人の男がいた。
その男の名は衛宮切嗣。
まどかの頭を狙撃してふっ飛ばした、ライダーのマスター――衛宮切嗣!

「聞こえるな、アーチャー!」

いつの間にか舞い降りてきた、一羽の鴉がその男の声を中継する。魔術師の使い魔だ。

「お前のマスターは死んだ――僕と契約しろ! 急げ!」

見れば、切嗣の全身は黒く染まり、消去されかかっている。
アーチャーは一瞬まどかの亡骸を見やり――

「ここにいればアサシンが迫ってくる。迷っている時間はないか……!」

名無にとどめを刺す暇もなく、アーチャーは跳躍した。
切嗣のもとに辿り着くなり、

「お前は今、はぐれサーヴァントだ。僕がライダーとの契約を破棄すれば、問題なく契約できる。そうだな?」
「……ええい、マドカを殺したことは後だ! ライダーが死んで貴様がムーンセルに消去される前に……急げ!」

まくし立てられる。
単独行動スキルの恩恵で数時間は現界していられるDIOと違い、切嗣はサーヴァントが死亡すればその瞬間に消去されるからだ。
DIOが転移した後、ディケイドはどうやらとどめを刺されずにいるらしいが、一刻の猶予もない事には変わりない。
切嗣は今回、前線はサーヴァント達に任せサポートに徹していた。
新たに放った使い魔で周囲の索敵をしていたため、アサシンがキャスターのマスターと幼い少女を出会わせる所も観測していたのだ。

そしてセイバーの不意打ちを受けた瞬間、切嗣はディケイドを切り捨てる事を決意した。
令呪がもう一画あればディケイドを回復させる事もできたが、一画ではそうもいかない。
死に際にオーズを道連れにさせる事もできず、八方塞がりと歯噛みした切嗣は、しかしまだここで終わる運命ではなかったらしい。
前線にいたアーチャーが突如転移し、先ほどの少女の前に現れたのだ。
頭で考えるよりも早く、本能が彼女をアーチャーのマスターだと断定し、切嗣は撃った。
そして――賭けに勝った。
切嗣はまだ生きていたらしいディケイドとの契約を一方的に破棄し、DIOとの再契約を果たした。

「……言いたいことは色々あるだろう。僕もそうだ。だが今は」
「わかっている。まずはあのキャスターのマスター、そしてアサシンを始末する。話はその後だ」

それ以上言葉を交わすこともなく、切嗣とDIOは再び跳躍していった。
無駄に時を浪費する場面ではない。今動けば後何体かのサーヴァントを狩る事ができ、聖杯に大きく近づける。
戦いはまだ、終わってはいない。


              ◆


ガウェインとランスロットはいつ果てるともなく戦い続けている。
二人はまだ、共に王と仰いだ者の死を知らない。

アレックスは一人、己の無力を噛み締めている。

オーズはディケイドから託された力を手に、仲間の元へと急ぐ。

スザクは名無をアサシンに預けた後、ランスロットの元へと急ぐ。
ガウェインと戦っている以上、ルルーシュも必ずここに来るはずだと信じて。

キンブリーはスザクの行末を見届けるため、前線より離れた。

ルルーシュは頭部を陽介がドアに挟んで送り還した事により、何とか一命を取り留めた。
陽介とこなたは、目前で士郎が死んだ衝撃からまだ立ち直れていない。

大統領は、やや予定が狂ったが、名無にキャスターを呼ばせて再契約を果たしたアーチャーとぶつけさせるつもりでいた。
ジョンは一人離れた所にいるが、魔力の消費にのたうち回りながらもアサシン達を指揮し続けている。

名無はまどかの遺体を沈痛な面持ちで眺め、唇を引き結んでいる。
リインフォースは連れ去られたマスターを奪還すべく、サーチャーを飛ばして索敵を急いでいた。

切嗣は再契約の感慨など何もなく、切り捨てたディケイドの事もただの損害一として片付けていた。
DIOはある意味厄介なマスターを交代できたと、新たなマスターを値踏みしながら内心ではやや安堵していた。


脱落者は四名。
戦いはまだ、終わっていない。
この戦いは、聖杯戦争の趨勢を決める、聖杯大戦――その序章に過ぎないのだから。





【衛宮士郎@Fate/stay night  死亡】
【セイバー(アルトリア・ペンドラゴン)@Fate/stay night  死亡】

【ライダー(門矢司)@仮面ライダーディケイド  死亡】

【鹿目まどか@魔法少女まどか☆マギカ  死亡】

【アサシン(ファニー・ヴァレンタイン 5人目)@ジョジョの奇妙な冒険  死亡】




【深山町・遠坂邸地下/黎明】

【ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア@コードギアス反逆のルルーシュ】
[令呪]:1画
[状態]:疲労(極大)
[装備]:携帯電話、ニューナンブ

【花村陽介@ペルソナ4】
[令呪]:1画
[状態]:健康、強い覚悟と決意
[装備]:スパナ@現実、“無毀なる湖光”@Fate/zero
[道具]:ミネラルウォーター、カロリーメイト、医薬品一式、大学ノート、筆記用具、電池式充電器、電池、予備の服、食料@現実
     契約者の鍵@ペルソナ4
※携帯電話には名無鉄之介の名前が登録されています
※聖杯戦争のルールと仕組みを言峰神父から聞きました(意図的に隠された情報があるかもしれません)。
※ジライヤがスサノオに転生しました。

【泉こなた@らき☆すた】
[令呪]:3画
[状態]:健康
[装備]:携帯電話

【キャスター(リインフォース)@魔法少女リリカルなのはA's】
[状態]:魔力消費(小)、ルルーシュとユニゾン状態
※肉の芽の解除が可能です。ただし全力でやって誰にも邪魔されないのが条件です
※遠坂邸に工房を作成しました 。特別な防衛効果はありませんが土地の魔力をそのまま取り込めます
※深山町の各地にステルス性を高めたサーチャーを複数飛ばしています。主に遠坂邸、柳洞寺周辺、月海原学園、柳洞寺地下大空洞前を中心に索敵しています
※ガウェインから依頼された術式が完成しました
※転送魔術の術式を改造しました。5回までなら戦闘に支障を出さずに使用できます



【深山町/黎明】

【セイバー(ガウェイン)@Fate/extra】
[状態]:疲労(中)、魔力消費(小)
 ※リインフォースにある術式の改良を依頼しました

【バーサーカー(ランスロット)@Fate/zero】
[状態]:疲労(中)、賢者の石の魔力残量残り80%
[装備]:エッケザックス、封印の剣@ファイアーエムブレム 覇者の剣


【ライダー(火野映司)@仮面ライダーOOO/オーズ】
[状態]:疲労(中)、魔力消費(中)
[装備]:スーパータカメダル、スーパートラメダル、スーパーバッタメダル
 ※ディケイドのファイナルフォームライドにより、スーパータトバコンボ解放。


【ランサー(アレックス)@ARMS】
[状態]:疲労(極大)、魔力消費(極大)、ARMSの進化(進行度・中)
 ※対ARMSウイルスプログラムへの耐性を獲得。
 ※時間停止への耐性を僅かに獲得。時が止まった事を認識できますが、まだ動く事はできません。


【キャスター(ゾルフ・J・キンブリー)@鋼の錬金術師】
[状態]:疲労(中)、魔力消費(大)
[装備]:羽瀬川小鳩を練成した賢者の石



【名無鉄之介@私の救世主さま】
[令呪]:2画
[状態]:疲労(小)
[装備]エロ本(体中に巻きつけてあります)
[持ち物]:エロ本(大量)@現実・携帯電話@現実(携帯電話には花村陽介の名前が登録されています) 予備の服@現実・鳴上悠のクレジットカード
※聖杯戦争のルールと仕組みを言峰神父から聞きました
(意図的に隠された情報があるかもしれません)

※鹿目まどかの遺体、鋼鉄の腕、鋼鉄の腕の予備弾@鋼鉄の腕@エンバーミング が目前に散乱しています


【衛宮切嗣@Fate/zero】
[令呪]:1画
[状態]:固有時制御の反動ダメージ(中)、魔力消費(大)
[装備]:ワルサー、キャレコ 、狙撃銃
     携帯電話、鉈、大きな鏡、その他多数(ホームセンターで購入できるもの)
 ※アーチャー(DIO)と契約しました。

【アーチャー(DIO)@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]:疲労(大)、魔力消費(大)、片腕切断
[装備]:携帯電話
 ※衛宮切嗣と契約しました。ステータスが以下のように変化します。
  筋力A 耐久C 敏捷C 魔力C 幸運A 宝具A →  筋力A 耐久B 敏捷B 魔力B 幸運D 宝具A+




【アサシン(ファニー・ヴァレンタイン)@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態](4人目)・魔力消費(大)
[装備]:拳銃
[道具]:携帯電話

【アサシン(ファニー・ヴァレンタイン)@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態](6人目)・魔力消費(極大)・宝具「D4C」無し・気配遮断
[装備]:拳銃
[道具]:携帯電話

【アサシン(ファニー・ヴァレンタイン)@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態](7人目)・魔力消費(極大)・宝具「D4C」無し・気配遮断
[装備]:拳銃
[道具]:携帯電話


【新都・双子館/黎明】

【ジョン・バックス@未来日記】
[令呪]:2画
[状態]:疲労(大)、魔力消費(大)、冬木市市長
[装備]:「The watcher」
[道具]:栄養ドリンク(箱)

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