うん?
市長、今なんと言った?
私のスタンド…D4Cについて、質問があると?
そうだな、別に今さら君に隠してもしょうがないことだし…ここらで一度、D4Cについて詳しく説明しておこうか。
戦力を理解しておくことは重要だしな。

D4C…正式な名称はDirty Deeds Done Dirt Cheap。
訳するなら『いともたやすく行われるえげつない行為』というところか。
…いや、私の能力を説明する前に、まずはスタンドというものについても詳しく話しておこう。

スタンドとは…そう、端的に表すなら『パワーを持った像』。
私のD4Cは人型をしているが、これは別に人間型に限った事ではない。
かつての私の部下には『実像を持たずに現象だけを起こす』タイプもいたし、敵には『自分の爪を回転させて発射する』やつなんかもいた。
わかりやすく言うなら『超能力が形になった存在』、でいい。
直接的な破壊に優れているものもいれば、諜報や暗殺に秀でたもの、一見何の役にも立たないように見えても使い方次第で強力な戦闘手段となるもの…様々だ。
この能力は発現させたスタンド使い各々によって違う。
似ている能力こそあれど、同じスタンドは基本的に存在しない…はずだ。
だが、この場には私以外にもう一人スタンドを持つものがいる。
あのアーチャーだ。ヤツについてもあとで話そう。

とにかく…だ。
私たちが生きているこの人間世界には厳しい現実がある。
新しい時代の幕開けの時には、必ず立ち向かわなくてはならない『試練』がある。
そして『試練』には必ず 『戦い』があり『流される血』がある。
その試練に『立ち向かう』ための力…それがスタンドだと、私は考えている。

ここからはD4Cについて話そう。
私のD4Cの能力は、『隣りの世界へと干渉できる』ことだ。
現代の言葉なら平行世界、パラレルワールド、と言うらしいな。
今いるこの世界とよく似ているが、少しだけ違う…そんな世界を渡り歩くことができる、それがD4Cの能力。
発動条件は物と物の間に挟まること。これは布でも壁でも、何なら液体だって構わない。
この性質上、殴られたり押し潰されたりという攻撃は私には通用しない。
敵のサーヴァントはセイバーやビームを撃つランサーなので、あまり有利には働かないかもしれんがな。

既に君も経験していることだが、隣の世界から『私』を何度か連れてきたな。
あんなふうに私は自分を複製…正確には異なるのだが、とにかく自分を増やすことができる。
ただし連れてきた私がこの私と全てにおいて同等かというとそうでもない。

この『私』と違う『私』…差異はただひとつ、D4Cを有しているかどうかだ。
私はいくらでも増えることができるが、D4Cは唯一無二…すべての世界に一つしか存在しない。
そしてアサシン、ファニー・ヴァレンタインとしての本体はむしろD4Cであると言っていい。
D4Cが破壊されない限り『私』は何度でも隣の世界から『私』を召喚する…連れて来ることができる。
逆に言えば、どれだけ『私』が残っていようとD4Cを破壊されてしまえば『私』は無力化されるということだ。

具体的に説明しようか。
まず、一つ。D4Cを持つ基本の『私』と、D4Cを持たない『私』たちについてだ。
仮に、いま遠坂邸に張り付いている『私』が何者かに殺害されたとしても、ここにいる『私』と君にはさほど影響もない。
D4Cが魔力を喰らうのは能力を発動した時であって、既に連れて来られている『私』は独立した一個のサーヴァントだ。
D4Cを持たない『私』は非力ではあるが、その分君に掛かる負担も少ない。
場合によってはマスターにすら遅れをとるが…諜報員としてなら十分だろう。
仮に、いま君の眼の前にいるこの『私』が、突如気の触れたアーチャーなりライダーなりに襲撃されたとしよう。
純粋な戦力では私は彼らには及ばない。
正面からではまあ、十中八九敗北するだろう。
しかし、死の瞬間に違う『私』を隣の世界から連れてきてD4Cを引き継がせることができたなら、『私』は存続する。
今はここが『基本の世界』だ。
D4Cさえ無事ならやり直しが効く。

だが、もしD4Cを次の『私』に引き継がせる前に葬られるとどうなるか。
この『私』とD4Cは失われ、残ったのは隣の世界から連れてきた『D4Cを持たない私』だけ…。
本体がD4Cだとは言っても、それはあくまで能力に限った話。
契約上の形態としては、『ファニー・ヴァレンタイン』が存続していれば、君がサーヴァント不在のマスターとしてムーンセルに処理されるということはないだろう。
しかし、D4Cを失った私に何ができるかと言うとな。
気配遮断スキルを持ち合わせているとはいえ、残っているのは百戦錬磨の強者達ばかりだ。
そうなったらまあ…諦めてくれ。
ここで問題なのは、D4Cの引き継ぎについてだ。
D4Cの射程はさほど長くない。
遠く離れた地にいる『私』にD4Cだけを向かわせる、という真似はできないんだ。
つまり、引き継がせるにはその場にもう一人、別の『私』を用意する必要がある。
既に連れてきている者か、あるいは新たにその場に連れて来るか…いずれにしろ、この瞬間を狙われると弱い。
令呪を用いればD4Cだけを別の私に転写することもできるかもしれないが、それならその『私』を直接転移させてくれれば済む話だ。

二つめ、D4Cの能力について。
先程も言ったが、D4Cは物と物に挟まれることによって発動する。
どれだけでかいハンマーだろうと戦車だろうと、それが私を壁や物質と挟む形になる限り、確実な回避が可能だ。
なにせその瞬間、私は違う世界に行っている。
どれだけ強力であろうと、次元の壁を超えるような攻撃でない限り私には届かない。
幸いというべきか、ここにはジャイロ・ツェペリもジョニィ・ジョースターもいない。
いかに時間を止めるアーチャーであっても、一度私が違う世界に行けば追い縋っては来れないだろう。
だが、例外はある。
私を挟まない…『斬り裂く』『抉り取る』といった攻撃に関して、D4Cは発動させられない。
ゆえに剣を振るうセイバーとは相性が悪い。
ああ、『消滅させられる』ことも同様だ。
あのビームを放つという訳の分からないランサーだな。
広範囲を一気に吹き飛ばすような攻撃を受けては、挟む物ごと私も消し飛ばされるだろう。
無論、そんな堂々と宝具を使えるような状況に身を晒す気はないがな。

攻撃面では、D4Cは残念ながらさほど優秀とはいえない。
あのアーチャーのスタンドはセイバーやランサーといった三騎士と互角にやりあえるほど高い格闘能力を持っていた。
D4Cの本領は能力にこそあるため、やつほどの攻撃力はない。
だがアサシンらしく、一撃で敵を葬る手段はある。
別世界から連れてきた人物を対象に接触させることだ。
同じ世界に同じ人物は二人存在できない。
それが許されるのは、D4Cを所有するこの私だけだ。
出会った同じ人物は身体が徐々に崩壊し、死ぬ。
タイムパラドックス? さあ、その辺の詳しい理屈はわからんな。
だがたとえセイバーだろうとランサーだろうと、違う世界から同じやつを連れて来ればその時点でそいつの死は確定する。
連れてきたやつを殺しても助からない。たとえ死体にしても、そいつが同じ存在だということは変わらないからだ。

…ああ、すまない市長。
喜ばせて悪いがこの方法は使えないんだ。
なんで?
うむ、考えてみてくれ。
『別世界のお前を殺害したいので、一緒に私の世界について来てくれないか』。
こんな事言われてついてくるアホなサーヴァントなどいるはずがないだろう。
なら力ずくで連れて来ればいいじゃないかって?
おいおい、私はアサシンだぞ。
連れて来るのが同じサーヴァントである以上、まずそいつを無力化しなくてはならない。
どうやって?
サーヴァントが強くて正攻法では殺せないから同じサーヴァントをぶつけて消滅させたいのに、同じ強さのそのサーヴァントをどうやって無力化すると言うんだ。
…理論的には可能だが、現実的に達成するのは不可能。そういう方法なんだ。
自分を殺したがっている、そんな奇特なサーヴァントがいれば話は別なのだがな。

まあこの話はこのへんにしておこう。アサシンの真髄は破壊力ではないことだしな。
そうそう、私の気配遮断スキルはアサシンというクラスを得たものが備えるスキルであり、D4Cとは関係がない。
だからD4Cのない別の『私』も隠密性に優れている。
そこにD4Cを加えるとさらに優れた隠形が可能になる。
何のことはない、『違う世界に行って移動する』んだ。
世界を行き来できるのが私だけである以上、この私に侵入できない場所はない。
違う世界に行って目的地に到達し、その後この基本の世界に戻る…それだけで私はどこにでも行けるからだ。
別の『私』による正確な現在地の観測があれば、西の陣営のやつらの目前に現れることも可能だ。
もちろん、D4Cを発動させた瞬間は気配遮断も解けて袋叩きにあうからやらんがな。
だがこの後の決戦では、この方法も使うことになるだろうな。

市長、おそらく君にはこのスタンドという言葉、現象は馴染みがないものだろう。
私と君は違う世界の人物、まったく関わりない世界からそれぞれ連れて来られているからな。
もちろん私も君の未来日記とやらは知らない。
だからこそ、異質なのだ。
あのアーチャー…やつのあれは紛れもなくスタンド。
理屈ではない、感じるのだ。
スタンド同士が惹かれ合うというのか…
ディエゴ・ブランドーの面影があるという点を差し引いても、奴がスタンド使いであることは疑いない。
だが、私はヤツを知らない。
あれほど強力なスタンドを使うものであるなら、間違いなくレースに参加して『遺体』を狙ってきたはず…
しかし、ヤツを見たことはない。やつも私を知らない。
別世界のディエゴであるなら私の顔を知っているはずだが、そんな素振りもなかった。
つまりやつは…『私と同じスタンド使いである』が『私とは別の世界から来た』そういう存在であるということだ。

私もやつも、スタンドの能力を開放する際はその真名を明かさねばならない。
私であれば『D4C』。そしてあのアーチャーは『ザ・ワールド』だったか。
スタンド使いにとっては名前を知られるくらいは別に問題ないが、ことサーヴァントである今の我々では少し違う。
なにせ宝具の真名だ。ムーンセルのデータベースにアクセスすれば、おそらく我々の素性はある程度詳らかになることだろう。
強力さの代償というわけでもあるまいが、我々の能力はほぼ完全に的に看破されていると見て間違いない。

ところで一つ、ここで気になることがある。
私のスタンドにして宝具、D4Cはスペック上はEXランクに分類される。
これは宝具としては最上級…評価規格外ということだ。
だがな、私はこれについてやや疑問を感じざるを得ない。
スタンドは確かに強力な力だ。
違う世界に干渉する私のD4C、時間を止めるアーチャーのザ・ワールド。
どちらも桁外れに強力な力ではあろうだろう。
だが…EXランク、というのは明らかに高すぎる。
セイバーの…アヴァロン、と言ったか。
妖精郷のとか、そういった神代からの聖遺物ならわかる。
だがスタンドとは個人に発現するものであり、古き神秘と呼べるほどの歴史を持てるものはないだろう。
ならばなぜ、スタンドだけがこうまで高い神秘の影をまとっているのか…


私には思い当たる点がある。
私のD4Cは、ある聖人の『遺体』と接触して発現した。
説明は省くが、この聖人の『遺体』…あれは、聖遺物としてはセイバーの鞘など比較にならん神秘だ。
聖杯に匹敵すると言っていい…それほどに価値のある、聖なるものであった。
『遺体』を全て集めた時、D4Cは進化した。それこそ、世界の中心にあるかのような…
あの能力は今や失われている。
さすがにムーンセルも『遺体』をエミュレートすることはできなかったのだろう。
だが、紛れもなくあれはD4Cの『先にある』能力。
『世界を支配できる』可能性そのものを神秘とするなら、私のD4CがEXランクの宝具であることは必然であるといえる。

ならば、あのアーチャーはどうか。
やつが『遺体』と関係がないのならば、それ以外の方法で同じくらいの神秘を有することになる。
あるいは、奴のスタンドが更に成長して…『遺体』に匹敵するエネルギーを持つ可能性があるから、なのか。
案外、生前の奴は本当に時間を止めて世界を支配した…書き換えたのかもしれんな。
それならばEXランクのスタンド能力もうなずけるというものだ。

やはりあのアーチャー、能力が危険というだけではない。
放置すれば、かつて私が『遺体』を得て新たな力に目覚めたように…やつもまた進化を遂げるかもしれない。
アーチャーだけは、この戦いで必ず、西のセイバーらともども抹殺しなければならない。
ライダー、バーサーカーはこの際後回しでいいだろう。

ディエゴ・ブランドー。
アーチャーに似たディエゴをこの場に召喚し、アーチャーのマスターを引きずり出す…
無論、この聖杯戦争の場にディエゴを召喚するのは容易ではないが、令呪の支援があれば可能だ。
相手がサーヴァントでなければ制圧して連れて来るのはたやすいしな。
セイバーどもを打ち破った後、機を見てアーチャーに仕掛ける。


ふむ、こんなところか。
話が長くなったが、これで君も私とD4Cについては深く理解してくれたと思う…そこでだ。
君に、『私』たちの総括を頼みたい。
いざ戦闘が始まれば『私』たちは悠長に電話で連絡を取り合う訳にはいかないだろう。
だが『私』たちは、同じ存在であるとはいえ独立したサーヴァント同士、念話で繋がることができない。
ゆえに逐一君に状況を報告し、君からの指示で動くことになるだろう。

ここにいる『私』が二人、遠坂邸にいる『私』、新都を捜索中の『私』…都合四人。
まずこの『私』念話を送る。
それを、遠坂邸にいる『私に』転送する…どうだ、処理できそうか?
…よし、大丈夫のようだな。
このように、我らが集めた情報は一旦君を経由して全員に共有される。
君は後方に待機しているが、同時に前線指揮官でもある。
これで我らは離れていながらも迅速な作戦行動が可能となる。
ここまで温存してきた令呪も、さすがに次の戦いではいくつか使うことになるだろう。
転移による撤退か、急速な魔力の充填か、はたまた暗殺か…いずれにしろ、君の判断がカギを握るということだ。

聖杯は、私たちが獲る。
私と君は人種も思想も何もかも違うが…聖杯を得て『民を幸福に導く』、その目的だけは一致している。
だからこそムーンセルは君と私を引き合わせたのだろう。
聖杯は、誰にも渡さない…自分の欲望でしか考えないゲスどもになど、渡してはならない。
死してサーヴァントに成り果てたこの私でも、聖杯さえあれば未来永劫、我が国民の安全を守っていくことができる。
我が『国家』を、永久に繁栄させていくことができるのだから。







…そろそろ時間だ。
ライダー、アーチャー、枢木スザクに連絡…よし、全員準備はできているようだ。
冬木大橋の手前で集合、各自手筈通りに。

市長。
私は一度口にして誓ったことは必ず実行する。


「聖杯は、私たちが獲る」


必ずな。
では、行ってくる。


【新都・双子館/未明】

【ジョン・バックス@未来日記】
 [令呪]:3画
 [状態]:疲労(中)、魔力消費(小)、冬木市市長
 [装備]:「The watcher」
 [道具]:栄養ドリンク(箱)
【アサシン(ファニー・ヴァレンタイン)@ジョジョの奇妙な冒険】
 [状態](4人目)・魔力消費(中)
 [装備]:拳銃、対ランサー用プログラム弾
 [道具]:携帯電話
【アサシン(ファニー・ヴァレンタイン 並行世界)@ジョジョの奇妙な冒険】
 [状態](6人目)・魔力消費(極大)・宝具「D4C」無し
 [装備]:拳銃、対ランサー用プログラム弾
 [道具]:携帯電話

【新都/未明】
【アサシン(ファニー・ヴァレンタイン)@ジョジョの奇妙な冒険】
 [状態](7人目)・魔力消費(極大)・宝具「D4C」無し・気配遮断
 [装備]:拳銃
 [道具]:携帯電話


【深山町・遠坂邸付近/未明】
【アサシン(ファニー・ヴァレンタイン 並行世界)@ジョジョの奇妙な冒険】
 [状態](5人目)・魔力消費(極大)・宝具「D4C」無し・気配遮断
 [装備]:拳銃
 [道具]:携帯電話


【新都/未明】
【衛宮切嗣@Fate/zero】
 [令呪]:1画
 [状態]:固有時制御の反動ダメージ(中)、魔力消費(大)
 [装備]:ワルサー、キャレコ 、狙撃銃
  携帯電話、鉈、大きな鏡、その他多数(ホームセンターで購入できるもの)
【ライダー(門矢司)@仮面ライダーディケイド】
 [状態]:魔力消費(中)

【新都/未明】
【枢木スザク@コードギアス 反逆のルルーシュ】
 [令呪]:2画
 [状態]:疲労(大)、義手・義足を機械鎧化
 [装備]:キャスターが制作したブレード(複数)
 [道具]:エッケザックス@ファイヤーエムブレム 覇者の剣、封印の剣@ファイアーエムブレム 覇者の剣
【バーサーカー(ランスロット)@Fate/Zero】
 [状態]:ダメージ(特大・戦闘行動に支障あり)、魔力消費(極大・実体化困難)、右腕欠損、兜及び上半身の鎧破壊
      宝具“無毀なる湖光(アロンダイト)”喪失

【キャスター(ゾルフ・J・キンブリー)@鋼の錬金術師】
 [状態]:疲労(小)、魔力消費(小)、全身ダメージ(小)
 [装備]:羽瀬川小鳩を練成した賢者の石


【新都/未明】
【鹿目まどか@魔法少女まどか☆マギカ】
 [令呪]:2画
 [状態]:健康
 [装備]:鋼鉄の腕(アイゼン・デア・アルム)@エンバーミング 、鋼鉄の腕の予備弾@鋼鉄の腕(アイゼン・デア・アルム)
【アーチャー(DIO)@ジョジョの奇妙な冒険】
 [状態]:令呪(まどかの戦いに力を貸す)
 [装備]:携帯電話

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