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扉を潜った先は幻想的な世界だった。
まるで深海にでも居る様な気にさせる不思議な光景。
巨大な魚類と思われる生物の骸が辺りには散乱し、
回遊する深海魚はただその場を泳いでいるだけ。

「うわっぷ!?」

少年、天野雪輝は思わず口を塞いで息を止める。
自分が海の中に放り込まれたと勘違いしたからである。
すぐにそれが間違いだったとは気づくのではあるが。

「…ぷはぁ~!!
 あ、あれ? 息が出来る?」

辺りをきょろきょろと慌ただしく見回し、
自分が巨大なガラスのような物の内部に居るのだと理解する。

「な、何であそこからこんな所に?」

近くのガラス壁を叩いてみながら状況を整理する。
自分がいつの間にこんなところに
連れてこられたのかは憶えてはいない。
気づいた時には先ほどの教会の様な場所に居た。
そしてあの神父としては怖すぎる印象の男が現れたのだ。
あの男が言っていた「聖杯」が何なのかは分からない。
だが、重要なのはそこではない。
重要なのは『それが願い事を叶えられる何か』だという事だ。
天野雪輝は藁にも縋る思いだった。
自分が巻き込まれたサバイバルゲーム、
その過程での両親の死。
それを覆す為だけに神の座を目指していたのだ。
だが、突如降って湧いたように目の前に
『別な手段』が現れたのだ。
縋れるものには何にだって縋る。
それが、サバイバルゲームとなんら遜色もない
殺し合いなのだとしても、である。

「と、取り敢えず日記を確認しよう」

彼の世界において彼が生き残るための手段。
未来に起きる事が記された日記。
それは凡人たる彼を生き延びさせてきた代物である。
ポケットから取り出した携帯を覗き、
雪輝は表情を変える。

【??:?? 怪物に襲われる。 DEAD END】

「な、何だよ…これ!?」

戦慄で顔を歪めながら雪輝は携帯の画面を食い入るように見つめる。
時間すらはっきりと書かれていない。
書かれているのはこの一行のみ。
予想だにしなかった自体に心臓の鼓動は加速し、
身体は冷や汗を垂れ流す。

(落ち着け…落ち着くんだ。怪物に出会うってあるなら、
 その怪物を避ければ未来は変わるって事でしょ?)

肉食獣を警戒する非力な小動物の様に体を丸めながら、
周辺をじっくりと確認しながら通路を奥へ奥へと進んでいく。
風景は変わらず、未知への恐怖から通路は無限に続くような錯覚を覚える。
先が見えない、という事はこんなにも恐ろしいものなのかと
改めて身体が実感していく。
張りつめた緊張感の中、不意に広い空間へと出た。
目の前には巨大なステンドグラスが見え、
空間の中央に美術のモデルに使うような人形が座り込んでいた。

他には、何もない。

「あれ? これだけ?」

拍子抜けしたように息を吐き、
取り敢えず、空間の中心へと歩み寄る。

カタリと音がした。

「えっ?」

天野雪輝は誤解していた。
怪物とは何も絵物語に出てくる様なものを指している訳じゃない。
怪物とは『人知の及ばないモノ』に対して使われる言葉だという事を。

中央に座していた人形が突如として立ち上がり。
雪輝へと向き直る。
其れは獲物を定めた様に深く屈み込むと、
大きく雪輝へと向けて跳躍する。

「う、うわぁぁぁっ!!」

人形の鋭角に研ぎ澄まされた椀部が目の前へと迫り来る。

(し、死ぬ? 僕はここで死んじゃうの?)

景色はゆっくりと流れ、今までの記憶が走馬灯のように流れる。

(嫌だ、死にたくない! 嫌だ! 助けて由―)

――ザッ…――ザザッ…――

持っていた携帯にノイズ音が響く。
それと同時に、

「あいや、ちょお~~~~~~と待った!暫く、暫くぅ!!」

素っ頓狂な口上が辺りに響いた。
自分へと迫っていた腕は鏡の様な物で遮られており、
あわやと言う所で止められていた。
思わず腰が抜けてその場にへたり込む。

「何処の誰かとかぜーんぜん存じませんが。
 その慟哭、その頑張り。
 他の神様が聞き逃しても、
 私の耳にピンときました!
 宇迦之御魂神もご照覧あれ!
 この人を冥府に落とすのはまだ早すぎ。
 だって、このイケメン魂、
 きっと素敵な人ですから!
 ちょっと私に下さいな♪」

ステンドグラスに光が差し、
空間が照らされる。
部屋の中央にはいつの間にか、
ぼぅっと何かが浮かび上がりつつあった。
その姿は―――

「謂われはなくとも即参上!
 軒奄陵墓から、
 良妻狐のデリバリーにやってきました!」

露出の高い巫女服のようなものを着た狐耳の少女?が
目の前で大見得を切っている。

「あ、なんかドン引きしてません?
 えーと、あなたが私のご主人様……
 でいいんですよね?」

「え、あ、は、はい?」

「やったぁ、契約成立!
 よろしくお願いしますねご主人様(はぁと)」

ぴょんぴょんと飛び跳ねる少女?を尻目に
展開についていけずに呆然としていた
雪輝の手に刻まれていた紋章が僅かに発熱する。
まるで目の前の少女を認識するかのように。

「な、何がどうなって――」

そこで背後の物音に振り返る。
先程、襲い掛かってきた人形はいまだに其処に残っていた。
身構えて戦闘準備を整えている。
その姿に思わずたじろぐ。
そんな雪輝の脇を少女?が通り過ぎ、前へと躍り出る。

「ご主人様、ご迷惑でなければ、
 私にお任せくださいませんか?
 あんな益体もない木偶人形、
 塵も残さずに、
 この世から根絶させておきますから」

少女の言葉と共に少女の周りを
先程雪輝の窮地を救った鏡が旋回し始める。

「行きますよ!」

互いに身構えていた両者が戦闘態勢に入る。
が否や、

「炎天よ、奔れ!」

少女が手に持っていた護符を人形へと投げつける。
ピタリと張り付いたそれは、
その瞬間に劫火へと変わり、
宣言通り人形を塵も残さずに消し去った訳だが、

「使わないの鏡!?」

雪輝的にはつっこまざるを得ない所であった。

「結果的にはデストロイったんですから、
 細かい事は抜きっていう事で☆」

テヘッと笑いながらペロッと舌を出している少女。
一つだけ気づいた事は、
この少女は明らかに「ぶってる」という事である。

「私、キャスターのクラスに預かるものです。
 不束者ですが末永くよろしくお願いしますね、
 ご主人様(はぁと)」

「……は、はは」

腕に絡み付いてくるキャスターと名乗る少女に
一抹の不安と由乃にはどう説明するかという
重大な考えを頭の中で巡らせながら、
天野雪輝は乾いた笑いを浮かべるしかなかった。

【参加者No.1天野雪輝@未来日記】
【サーヴァント:キャスター@Fate/Extra】




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