わたしは……このDIOは、『引力』を信じている。
この聖杯戦争にアーチャーとして召喚されたことには、必ずそれだけの意味がある。
……『出会い』は、『引力』である。
だがわたしを呼んだのは、マドカ、君じゃあない……
わたしを呼んだのは……この『世界』、そのものなのだ。


と言っても、わたしのスタンド、ザ・ワールドのことじゃあない。
いまわたしが存在するこの空間……時間……星。
この広大なる『世界』そのものだ。


わたしはあのとき、『世界』に触れた。
かつて忌々しきジョースターの血統に敗れ、灼熱の太陽に灼かれ滅び去りゆくとき……
無明の暗黒へ落ちてゆくわたしの意識に、なにかが触れた。
いま思えば、おそらくはあれこそが『世界』との契約だったのだろう。


そう……『世界』は言ったのだ。
このDIOは、まだここで死ぬ運命ではない……と。
そして、わたしに道を示した。
肉の身体を捨て、現世の軛から解き放たれ……英霊となる道を。


朽ちて灰となるだけであったわたしは、こうして今一度の生を手に入れた。
しかし、大別としては、わたしはおそらく『守護者』……『世界』が自らを存続させるために遣わす抑止力であったのだろう。
自由意志のない殺人人形。人間の手による破滅を阻止するための安全装置。
人間を支配するべきこのDIOが、人間を始末するだけの猟犬として貶められる……なんたる屈辱ッ。
たとえ命を救われたとて許し難い……が、どうすることもできなかった。
否、反抗どころかそれを不満だと思うことすら、そのときのわたしには許されなかったのだ。


だが……いま。
わたしは、わたしだけの『意思』を携えてここにいる。
ムーンセルが何を思ってこのわたしを選んだのかは定かではない。
わからんが……そんなことはもはやどうでもよいのだ。重要なことじゃない。


重要なのはッ!
この聖杯戦争を勝ち抜けば……このDIOは再び、誰に飼われることもないただ一人の帝王として!
あまねく『世界』に再生を果たすことができるということだッ!
そうする力が聖杯にはあるッ!
『世界』との契約など障害にはならない。聖杯とはそういう『システム』なのだ。
屍の頂点に立つ最も強き者が、願いとともに数多の英霊の魂を注げば聖杯は発動する……


これが『運命』でなくてなんだというのか。
『運命』は、このDIOが朽ちて果てることを良しとしなかった。


この『世界』を支配せよと……
『世界』に支配されるな、『世界』を支配せよと……
『DIOの世界』……『天国』へ到達しろと!



『世界』はッ! 人類の無意識はッ!
このDIOの支配を、統治を、君臨を……望んでいるのだァッ————!
WRYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY————!!!




……ハッ!
いかんいかん。思わずヒートアップしてしまった。
落ち着かねばな……冷静に、クールに。
こういうときは素数を数えるのがいいと、友から聞いたことがあったな。
『素数』は1と自分の数でしか割ることのできない孤独な数字……勇気を与えてくれる。
別にいまは勇気は必要ではないが、まあいい。一つやってみよう。


2……3……5……7……11……13……17……19……23……29……

……………………………………………………………………………………

211……223……227……229……233……239……241……257……


……いくらなんでも、もういいんじゃあないか? 十分落ち着いたことだしな。
フム。我が友プッチよ、君の言うことはやはり正しいな。煮立った頭がすっかり冷えてしまったよ。


気を取り直して。
この戦い、勝利は既に約束されている。
わたしを押し上げるのは……前に進ませるのは……この『世界』そのものに他ならないからだ。


『世界』に後押しされ。
『世界』の名を関する最強無敵のスタンド、ザ・ワールドを操り。
『世界』のアルカナから生み出されたペルソナをも手に入れた。


鳴上悠は実に良い駒となってくれるだろう。
不安要素だったランサーももはや脅威ではない。
当面の間引きは彼らに任せ、このDIOは足元を固めておくとしよう。


帝王とは、最強たるべき者。
どれだけ強力なサーヴァントがかかってこようとも、ザ・ワールドを破ることは不可能だ。
ランサーから受けた傷もとうに完治している。吸血鬼の肉体が誇る治癒力は絶好調であるな。
そのために3人ほど適当なNPCから血を吸わせてもらったが、数が数だ。
他のマスターに調べられてはこのDIOが吸血鬼だと露見するかもしれなかったため、スマンが家ごと燃やさせてもらった。
あの一家の死体は灰も残さず燃え尽きるであろう……
とにかくおよそ戦闘において、このDIOを下せる者などいない、と……わたしは高らかに宣言できる。



……が、不安要素がないわけではない。
誰あろう、鹿目まどか。我がマスター殿のことだ。
戦闘能力のない一般人であることは、まあ仕方がない。
ただでさえこのわたしは強力なサーヴァントなのだ。
このうえ更に戦闘に秀でたマスターを割り合てれば贔屓がすぎるというもの。
幸いアーチャークラスには単独行動のスキルがある。マスターを伴わずとも戦闘にさほどの支障はない……


ない、が。
『戦えるか』『戦えないか』は問題ではない。
『戦うか』『戦わないか』が重要なのだ。
たとえどんなに弱くとも、目的に向かう意志……このDIOとともに戦う気高い『意思』あらば、やりようはいくらでもある。
なんとなれば魔力を供給しているだけでも良いし、切り札である令呪も互いの合意の上であれば効果は相乗されるからだ。
が、マドカにはそもそも戦意がない。
現状にただ怯えるばかりで、選択をしようとしない……これでは、な。
つらぬいた信念こそが、望む未来を拓くのだ。
自らの足で歩き出さぬ者は、何も手に入れることなどできはしまい。


ならば……どうする?
マドカに、鳴上悠のように肉の芽を使う……のは、論外だな。
あれは悠がいずれ使い潰す手駒であるからこそ使えた手だ。
他のサーヴァントがどんな宝具を持つかわからぬ以上、精神を歪める肉の芽をマスターに使ってしまうのはあまりにリスクが大きい。
それにもし、わたしが戦っているところに、いらぬ忠誠心を発揮されて飛び込んでこられても困るしな。


もうマドカは目覚めただろうか……?
もしまだ決意が固まっていないようなら……このDIOと肩を並べる気概なくば……ふむ。
マスターの交換を、考えておくべきかもしれんな。


必要なのは、『意思』あるマスターだ。
どんなにドス黒い望みでもいい。卑怯な人間でもいい。姑息であればあるほどディ・モールト・ベネ!
他人を蹴落とし、踏み躙り、殺し尽くし……願いをその手に掴み取る。
この悪の帝王DIOと、波長の合うマスター。
それが必要なのだ。


鳴上悠は、力も意思も申し分なかったが……いかんせん、やつにはランサーがいた。
もしあの状況でわたしに乗り換えろと言っても、受け入れはしなかっただろう。
それにランサーの戦闘力も魅力的であったからな。
『わたしと悠』より、『わたしと悠とランサー』の方が強いに決まっている。
番犬のようなものだ。放っておけば勝手に敵の首を獲って戻ってくるだろう。


となると、新しいマスター候補はおのずと絞られる。
まず……このDIOと目的を同じくすること。これは絶対条件だ。
次に……そいつのサーヴァントが役に立たないこと。
悠のように肉の芽で操ってもさして戦果を期待できないのであれば、手駒とする意味は薄い。
このわたしも気兼ねなく始末できるというものだ。
最後に……自らのサーヴァントを切り捨てられること。
なにせ相棒を裏切ってわたしに乗り換えろというわけだからな。
そりゃあサーヴァントは反抗するだろうさ。誰だってそうする。わたしだってそうする。
その荒れ狂うサーヴァントを……魔力供給を断つなり、弱点をこのDIOに教えて倒させるなり、最後の手段だが令呪で自害させるなり。
わたしと自らのサーヴァントを秤にかけ、すぐに結論を下せる思い切りの良さを求めている。
貧弱な有象無象のサーヴァントと、帝王であるこのわたしと……まともな頭をしているのなら考えるまでもない選択だがな。
まあ、これに関しては、サーヴァントを徹底的に痛めつけ、再起不能にしてから選択を迫ることもできるが……万が一令呪を使われてしまうと後が面倒だ。
マドカが持つ三角の令呪を別のマスターに丸ごと移植できるとすれば、最低でも四画の令呪を所持することになる。
令呪が聖杯戦争の参加資格である以上、通常使用できるのは二画が限度だが……移植がうまくいけば、掟破りの三画仕様も不可能ではない。
そう言った意味では、令呪を使用していないということも条件の一つにはなるか。


さて……





「君は、どうだろうな? このDIOのパートナーとなるに相応しい……気高い魂の持ち主であろうか?」


わたしは、視線を巡らせる。
人気のない雑居ビルの一室……
全身くまなくナイフで串刺しにして壁に磔にした……磔刑に処した、わたしが最初に交戦したバーサーカーと。
その足元でガタガタ震える、マドカとそう年齢の変わらぬ緑の髪の少女……バーサーカーのマスターに。


「初めまして……ではないな。御機嫌はいかがかな? バーサーカーのマスターよ」


悠との電話を終えてすぐ、彼女たちを見つけられたのは運がいい……いや、やはりこれも『運命』か。
ひどく傷つき、亀のように歩いていたバーサーカーは、カチカチに硬くなったパンほどの歯応えもなく叩きのめせた。
おかしいな、このバーサーカーは強力な再生能力があったはずだが……まあ、いま再生しないのであれば理由などどうでもいい。
マスターも消耗が激しく、意識がない状態だったのは好都合。
こうして拉致するのはマッチを擦るよりも楽なものだった。


「断っておくが、令呪は使わないほうがいい。君がそういう素振りを見せた瞬間、わたしは君らを挽肉にすることもできるのだからな」


おや、図星だったか。
フフフ……可愛いものだな。そんなに震えないでくれたまえ。
いま、わたしに君を害する気はないのだから。
バーサーカーも同様だ。打ち倒すのはたやすいが、君もまたムーンセルに消去されてしまう。それでは意味がない。
仮にわたしが君を次のマスターに選ぶ気になったとしても、君とマドカの双方を生きたまま教会に連れていかねば令呪の移植はできんのだからな。
彼女らをマドカと引き会わせたとき、なんと説明したものか……まあ、この聖杯戦争を止めるための仲間だとでも言えば疑いはしないだろう。


さあ……証明してくれ、少女よ。
わたしと君の出会いが『引力』によるものと……
わたしが『天国』に至る……そのための『運命』に導かれたのだと。



「話をしようか、お嬢さん。なに……君にとっても、悪い話ではないと思うがね」



【新都・蝉名マンション/朝】


【園崎詩音@ひぐらしのなく頃に】
【状態】:疲労(大)全身に小さな裂傷と打撲(残令呪使用回数:3)
    :雛見沢症候群が発症しました。現在はL4です。
【装備】:鋼鉄の腕(アイゼン・デア・アルム)@エンバーミング
     鋼鉄の腕の予備弾@鋼鉄の腕(アイゼン・デア・アルム)
     ※残弾の数などは次の書き手にお任せします。
【方針】:深山町へ逃げる。冬木教会か、月海原学園で情報を得る。

【バーサーカー(美樹さやか):@魔法少女まどか☆マギカ】
【状態】:ソウルジェムの濁り中 学生服姿、全身にDIOのナイフが突き立っています
【備考】:学生服姿でいる場合、魔力消費などが極端に下がりますが、ステータスも激減します。
     ステータスは下降時、筋力E 耐久E 敏捷E 魔力E 幸運Eとなります。
     この状態で攻撃を受けると、再生の時間が長くかかります。



【アーチャー(DIO)@ジョジョの奇妙な冒険】
 [状態]:魔力消費(中)
  ※宝具“ロードローラー”は破壊されました。再召喚は不可能です。
  ※鳴上悠より、彼が交戦した全てのマスター・サーヴァントの情報を得ました。
  ※携帯電話を入手しました。鳴上悠の携帯電話のナンバーを記憶しています。

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