二次キャラ聖杯戦争@ ウィキ

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匿名ユーザー

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「ランスロット。君と、話がしたい」













「話す事など、何もありませぬ」













        ◆




 残念なお知らせだ、マスター。

 サーヴァント、仮面ライダーディケイドはそう言った。
 愛すべき娘がこの殺し合いに参加している。これ以上に始末に悪い事などあるものかと、衛宮切嗣は応えようとした。
 だが、出会って間もないこのライダーが切嗣について知っている事は少ない。
 その彼が、残念などという言葉で形容するべき事態など、一つしか有り得ないはずだ。
 答えを半ば予測しながらも、認めたくない、認められないと切嗣は先を促した。


「さっきのランサーのマスターな。死んだぞ」


 呼吸が止まった。
 念話越しに伝えてくるライダーの声は平静そのもの、嘘ではないかと疑ってしまうくらいで。


 衛宮切嗣が聖杯に託す望みは、地上にある全ての戦争の根絶と、恒久的な平和だ。
 イリヤがずっと笑顔でいられるような世界、それこそを望んでいる。
 世界の救済。大事なものを切り捨てながら追い求めてきた理想。

 巨大な鎧武者のサーヴァントのマスターは、イリヤスフィール・アインツベルン。衛宮切嗣の実子であった。
 知らずとはいえ娘を自らの手で殺しかけた動揺を押さえつけ、強張った身体を解す。動けるようになるまでどれほどかかったか。
 その僅かな遅れが致命的だった。見失ったイリヤを追跡するにも、飛行できるあのサーヴァントを追うのは困難を極めた。
 市街を走り回って微かな魔力残滓を探知し、ライダーの能力も使い、何とか追いつく目処が立ったところで――

「……そう、か」

 自分のものとも思えないほど乾いた声だった。
 走り続けてきた足を止める。否、止まってしまった。

「……間に合わなかった、のか?」
「ああ。可能な限りは急いだが、それでもな」

 ライダーには切嗣が割り出したイリヤの予想進路を先行させていた。
 サーヴァントである彼なら、大体の方向さえわかっていれば切嗣より早くイリヤを発見できるはずだったのだ。
 だが、遅かった。

「あの子の、身体は……?」
「ないな。砕かれたか、消えたか……いずれにしろ、それがこの聖杯戦争における敗者の運命だ」

 遺体すらも、ない。イリヤの死を示す根拠はライダーの言葉だけだ。
 ライダーが発見したのはイリヤの遺体そのものではなく、彼女と彼女のサーヴァントが発していた魔力の残り香。
 証拠というには弱い。嘘だと言うのは容易かった。
 お前は僕を騙そうとしているのだろう、ランサーへの止めを邪魔したマスターへの意趣返しのつもりだろう……と。

 ――意味もない妄想だ。
 ライダーは天邪鬼ではあっても、マスターを嬲って楽しむような嗜虐趣味を持ち合わせてはいない。
 サーヴァントもまた優勝を目指す理由がある以上、マスターの不興を進んで買うはずがない。
 ならばイリヤの死は、紛れも無い事実なのだろう。

「そう……か」

 自分を構成する、魂や思い出といったものがごっそりと抜け落ちていくように感じた。
 冬の森でクルミの新芽を探していた笑顔も。
 羽のように軽い身体を担ぎ上げ肩車をした重さも。
 父親をキリツグと呼び捨てにする軽やかな声も。

 全て零れ落ちていく。
 胸の奥に空いた、暗く真っ黒な穴の奥に――

「ハ。ハ、ハハ……ハハハハ」
「……マスター?」

 両足で立っているのに、地面を踏んでいる実感が無い。底なしの穴に落ち続けていくような浮遊感すら感じる。
 こんなに簡単に、呆気無く、一番守りたかったものが失われてしまう。
 耳鳴りがする。風が吹いている。
 これはきっと、止まない風だ。イリヤがいなくなった穴から吹き続ける、渇いた虚無の風。

「アイリに……合わせる顔がないな……」
「大丈夫か、マスター? ……そこを動くな、今すぐ戻る」

 ライダーの声にはらしくもなくいたわる響きがあった。
 彼は切嗣がこのまま打ちひしがれて立ち上がれなくなる事を恐れているのだろうか。
 マスターが戦意を喪失すれば、どんな優秀なサーヴァントだって勝ち残れるはずはない。
 ライダーが彼自身の願いを果たすために切嗣が必要であるからこそ、心配もするのだろう。
 だが――無用の心配だ。

「いや、いい。ライダー、誰がやったのかわかるか?」
「大体分かる。すぐに別のマスター達が来て、逃げていった奴がいるからな」
「よし、ではこちらに合流してくれ」
「すでに向かっている。三騎もサーヴァントがいる場所に長居はしたくなかったしな」

 思考を意図的に、急速に切り替えていく。イリヤを失った事実を受け止めるのはまだ先でいい。
 この空虚を、今は埋められる。戦いで埋められる。
 イリヤに届かなかった手は――イリヤを殺したマスターとサーヴァントになら、届く。

「他のマスターの話は後で聞く。まずは逃げたマスターを追う」
「やるのか?」

 懐から煙草を取り出し火を点ける。火を、点ける。
 もう『父親』の衛宮切嗣は必要ない。
 切嗣を弱くしたもの、変質させたもの――もう、この世のどこにもないのだから。

「ああ。済まないがランサー、付き合ってもらうよ」
「戦いは俺の領分だ、それは構わない。しかし」
「復讐という理由で戦うのは危険だと、わかってはいる。だが今は……僕は、こうするしかないんだ」

 肺を紫煙で満たし、吐く。家族の前では吸わなかった煙草だ。だが今は、何の味も感じない。
 これは逃げだと、自覚している。イリヤの死という現実から自分を守るための代償行為だと。
 それでも、そうせずにはいられない。
 この胸の虚無を、叩きつけられる何か――敵が、仇が、必要なのだ。

「いいだろう。付き合ってやるさ」

 ライダーは勝ち残る以外にもう一つ、他のライダーを破壊するという目的がある。
 自身の宣言を曲げてまで切嗣に従うのは、今の切嗣が尋常な精神状態ではないとわかっているからだろう。
 ライダーはそれ以上何も言わず、念話を打ち切った。

「……イリヤ」

 煙草を吐き捨て、火を踏み消す。一瞥した吸い口には赤い色が混じっていた。
 感覚が、来たるべき闘争へ向け先鋭化していくのを感じる。熱した鉄が、冷えて鋼になるように。
 握るコンテンダーの重さを意識する。ずっしりと重い――だが、今なら引鉄は羽根のように軽いだろう。
 切嗣は“これ”になる。指先一つで弾丸を打ち出し、命をすり潰す一個の機械に。
 ただ破壊を生み出すだけの機械、その部品になる。
 “魔術師殺し”衛宮切嗣として。


        ◆


「何を話すと言うのです。あなたはただ、命じればいい。敵を倒せと、杯を掴み取れと。私はそのための剣でしかなく、あなたは私の王であるのだから」
「……違う。俺は王ではない。俺にそんな資格は無い」
「では、あなたは何だというのです? この私を、サーヴァントを駆り戦場に赴くあなたは、一体何者であると」
「俺は、騎士だ」

 迷いなく答えられた。そう、枢木スザクは王ではない。
 なぜなら枢木スザクとは、ブリタニア皇女ユーフェミア・リ・ブリタニアの騎士なのだから。

「騎士が……私を、騎士を必要とするのですか?」
「俺は国を取り戻したい。祖国を取り戻そうとしてくれたユフィの……俺の“王”の遺志を、成就させたい」
「あなたの王の遺志?」
「そうだ。もう失ってしまった……俺が弱いから、彼女を守れなかった」
「あなたの王は……あなたの想い人であったのですか」

 それが一般的な意味での恋かどうかと聞かれると、全く違うとは言い切れない。それでも、スザクがユーフェミアを愛していたと思うのは恋愛感情だけではない。
 日本を丸ごと、血を流さずに救おうとする彼女の理想が――あまりに眩しく思えたからだ。
 ユーフェミアのためなら何でもできると、自然にそう思えていた。


「……そうだ。俺は、彼女を愛していた。今更だってわかってる。けど……俺は、彼女を守れなかった!
 だからこそ、彼女の遺した理想は、夢だけは、守りたかったんだ! なのに……俺は、裏切ってしまった」
「裏切った?」

 フレイヤの引鉄を引いた時の事は、思い出せもしない。
 ギアスに支配されていたから、というのは言い訳だ。本当のところは、スザクの心がそれを思い出すのを拒否しているだけ。
 ユーフェミアが成そうとしていた理想はルルーシュによって砕かれた。
 そのルルーシュを否定すべく戦っていたスザクが、あろうことか守るべき日本の民をこの手で消し飛ばしてしまった。
 ルルーシュと同罪か、それ以上の忌むべき所業だった。

「俺はこの手で、全て壊してしまった……守りたかった国も、人も……理想も、全て」
「あなたは……」
「だからこそ、俺は聖杯がほしい! こんな俺でも、償える方法があるなら。俺は縋るしか無い……」
「あなたは」

 決してこちらを見ようとしなかったランスロットが、スザクをまっすぐに見据えた。


「あなたは、あなたの“王”の命を、求めないのですか?」


 問われ、理解したその言葉は、頭を思い切り殴りつけられたような衝撃を伴っていた。


        ◆


「発見したぞ、マスター。あのランサーだ」

 切嗣が引き当てたライダーのサーヴァントは、驚くほどに汎用性が高かった。
 人間並みの魔力しかない状態を基本とはするが、一度宝具を使用することで実に数十種以上の戦術を展開する事ができる。
 決して探知能力に優れているとは言えないライダーが何故一方的に敵を補足できるのか。
 その答えが、彼の宝具にある。

 カメンライド《クウガ》――フォームライド《ペガサス》。

 ライダーは体表を緑の甲殻を纏った姿に変貌させている。数多ある“仮面ライダークウガ”の力の一つ、感覚器官を極限まで強化する形態だ。
 この状態のライダーは、アーチャー並みとまではいかないまでも他のクラスを軽く凌駕する索敵性能を備える。
 イリヤを見つけたのもこの力のおかげだ。もっとも、消耗が激しく常時その姿でいる事も多用もできないため、情報を得たらすぐに通常形態に戻したが。

「どうする、正面から行くのか?」
「君の見た戦闘から考えて、赤い槍を使うランサーの真名はケルト神話の大英雄、光の御子“クー・フーリン”と考えて間違いない。
 彼がスカアハより授かりし魔槍“ゲイ・ボルグ”と言えば、どんな防具でも貫き通し、避ける事叶わず。おまけに毒まで付与する強力な逸話がある宝具だ」
「そりゃまたとんでもないな。繰り出されればそこで終わりって事か」

 サーヴァント同士の戦闘においてこれほど強力な宝具は滅多に無い。
 単純な威力や効果範囲ならかつて従えていたセイバーの“約束されし勝利の剣”が上回る。だが相手取ってどちらが厄介かといえば、間違いなくこのランサーの宝具だ。
 逸話がどんな形で再現されるものかは戦ってみなければ分からないが、特徴である『防げないし避けられない』という効果はまず間違いなく存在するだろう。
 防御も回避もできないのでは手の打ちようが無い――撃たれてから、では。

「手はある。ライダー、じゃんけんを知っているか?」
「馬鹿にしてるのか? それくらい当然だろう」
「そのじゃんけんで、相手は後出ししてくるのがわかっているとしよう。君ならどうする?」
「……相手の顔面にグーを叩きつけるな」

 ライダーはそう言って実際に拳を握る。一体誰を殴るイメージをしているのか。

「そういう事さ。正直に相手に付き合ってやる義理は無い。
 ランサーは無理に倒そうとしなくていい。ただ、僕と敵のマスターから引き離して、宝具を使いそうだったら邪魔してくれ」
「油断させておいて敵マスターを直接、って訳か。やれるのか?」
「ランサーのマスターはおそらく僕向きの相手だ。魔力で構成された傀儡を操る魔術師……仕留めるのは難しくない」

 了解だ。言ってライダーはバイクへ跨り、戦闘を仕掛けるため離れていく。切嗣も物陰に隠れて密かに接近していった。
 やがてライダーが仕掛ける。ライダーが乱射する光弾を、ランサーは手にした朱槍で事も無げに叩き落としていく。

「……始めよう」

 肉眼でも確認できる。ランサーのマスターは、銀髪に眼鏡をかけた学生服の青年だ。
 ライダーの位置取りはうまくいった。青年は切嗣に背を向けている。
 ライダーが銃を剣に変形させ、接近戦を挑む。ランサーは応じ、マスターを背中に置いたまま前進する。

「ペルソナ!」

 学生服が叫ぶ。すると彼の頭上に巨大な人影が出現。ライダーから聞いていた通り。魔術師としては平凡な切嗣にもわかる、魔力の塊。両手に剣と矛を構えた異形の影だ。
 影が矛を一振りすると、影とランサー双方の魔力量が増大した。マスターによる補助魔術だ。合わせて繰り出されるランサーの一撃は、ライダーの纏う装甲を容易く斬り裂いた。
 ライダーの反撃。ライダーとてかなり高い敏捷性を有しているが、ランサーは更にその上を行く。
 剣戟は弾かれ、避けられ、たまに命中したように見えてもランサーにはまるで通じたようには見えない。耐久性が増幅されているようだ。
 切嗣はワルサーとキャリコを握り締める。切り札のコンテンダーは半秒で取り出せる位置にある。青年に狙いを定め、待つ。

「決めるぞ、ランサー!」

 青年が影をライダーへと向かわせる。前後を挟まれ、ライダーは苦境に陥る。
 自身が圧倒的に優勢な状況で、さらに宝具を使うサーヴァントなどいないだろう。ランサーもまた、宝具ではなく直接攻撃でライダーを屠らんとしている――狙い通りに。
 先行して影がライダーを襲う。しかし強力な魔術とはいえさすがにサーヴァントには及ばない。振るわれた剣と矛をライダーが弾いた。
 体勢が崩れた瞬間を狙い澄まし、ランサーの一撃が飛ぶ。ライダーの右手は振り切られていて、瞬時にランサーの槍を迎撃するのは不可能だ。
 必殺の瞬間。

(だと、誰もが思うだろう)

 切嗣さえもそうだった。ただ一人、ライダーを除いて。
 ランサーの槍が迫る中、ライダーは俊敏な動作でカードを取り出し、腰のベルトへ通す。
 目眩ましの閃光。だがランサーの槍はそんなものでは止まらない。
 槍を防いだのは、厚みを増したライダー自身の装甲だった。

 カメンライド《カブト》――フォームライド《マスクド》。

 ランサーの槍撃はライダーの装甲を貫くには十分な力が込められていたが、それはあくまで通常のライダーの装甲に合わせた力だ。
 プットオン――瞬時に分厚い装甲を纏ったライダーには通じず、装甲表面に傷を刻みながらも朱槍を受け流す事に成功した。

「なんだ、このサーヴァント?」
「アーチャーかと思えば剣を振るい、更に姿まで変えるとは。面白い英霊もいたもんだな」

 訝しむ青年と対照的に、ランサーは笑う。

「大した防御力だ。だが……遅い!」

 仕切り直しとばかり、ランサーが槍を回転させ嵐のような連撃を放つ。
 装甲が強まる分敏捷性を残ったライダーは、その嵐に翻弄される。いくら装甲が厚いとはいえ、無傷でいられる訳ではない。
 ランサーも今度は装甲の厚さを認識した上で、それを貫ける威力の一撃を放っている。駄目押しに青年の影がもう一度ライダーの背後へ回り込んでいく。
 防御に徹しろ――事前の作戦通り。ランサーはライダーを攻め立て、青年の影も本体から離れている。
 満を持して引鉄を引く。解き放たれた弾丸は、青年の無防備な背中へ喰らいつき、血の花を咲かせた。

「悠ッ!」

 ランサーが叫ぶ。後はランサーが消滅するまでの間、やり過ごせばいい。
 マスターを失ったサーヴァントの最後の足掻きを警戒し、意識をそちらへ向ける。

「切り札を使うまでも――」
「イザナギッ!」

 突き抜ける怒声に押され、切嗣は反射的に身を投げ出した。
 颶風とともに鋭い矛がコートを掠めて行く。一拍遅れていれば首から上を持っていかれただろう。
 悠と呼ばれた青年は、確実に致命傷を負っていた。なのに、今瞬時に飛び起きてきた彼には傷一つない。

「っ……蘇生しただと!?」

 元々弾丸のダメージなどなかったか、自己の損傷をトリガーにして発動する魔術をあらかじめ仕掛けていたか。
 いずれにしろランサーのマスターは無傷で復帰し、万全の状態で切嗣と対峙している。
 彼がイザナギと呼んだ影が、主を傷つけた切嗣を誅戮すべく猛然と迫ってきた。

「Time alter――double accel!」

 躊躇している時間は無い。最速で呪文を紡ぐ。瞬間、魔力が体内を駆け巡った。駆け出した切嗣の速さは、普段の倍速。
 我流魔術、“固有時制御”を発動させたのだ。体内時間を高速化することにより現実時間を倍加させる魔術だ。
 加速の反作用、“振り戻し”によるダメージを度外視して動き続ける。一瞬でも足を止めたら、切嗣は即座に斬り捨てられる。

(ライダーは……くそっ、ランサーに抑えられているか!)

 横目で見れば、飛び出そうとするライダーの前にランサーが立ちはだかっている。
 マスターが健在な以上、背に気を配る必要はないということだ。奇襲こそ受けたが、持ち直した今の青年なら銃を持っている切嗣でも障害には成り得ないとわかっているのだろう。
 二倍速で動いて何とかイザナギの攻撃を凌ぐが、撃ち返す銃弾はイザナギに傷一つ付けられない。
 青年はもう油断しないだろう。イザナギの背後に自身を置き、決して切嗣と繋がる射線上に踏み入ってこない。
 膠着状態。 

「マハ……ジオ!」

 動き回る切嗣を捉えられず業を煮やした悠が、イザナギのペルソナの動きを止めた。構える矛の切っ先に魔力が収束していく。
 力を溜めて繰り出される攻撃は、確実に切嗣を捉え、絶命させるだろう。
 渾身の一撃で切嗣を確実に打ち伏せるために、あえて動きを止めたのだ。

 この瞬間、衛宮切嗣は勝利を確信した。
 両手の銃を放り捨て、コンテンダーを引き抜く。
 細かく狙う必要は無い。ペルソナとやらの全長は人間の倍ほどもある。
 どこに当たろうが構わないのだ。当たりさえすれば――

 それで、事は足りたのだから。

 短機関銃とは明らかに違う重い銃声が、たった一度。
 その音の反響が消えたときにはもう、悠がイザナギと呼んだ心象具現化魔術の結晶体は、影も形も消え去っていた。

「……イザナギ?」

 青年は立ち尽くしている。その顔を見れば、目の前で起こった事を理解できていないのはすぐに知れた。
 切嗣はコンテンダーをホルダーに戻し、落としたキャリコを拾い上げる。

「ペルソナ!」

 はっとして、切嗣に撃たれる前にと、悠がもう一度その言葉を叫ぶ。
 だが――いくら待っても、彼の魔術が具現することは無かった。

「出ない!? ぺ……ペルソナ!」

 キャリコは弾切れだった。放心し微動だにしない青年に近づき、短機関銃の銃把で殴りつけた。

「がぁっ……」
「悠!」
「おっと、お前の相手は俺だ」

 マスターが倒れたのを見て、ランサーがこちらを向く。その背中をライダーは見逃さない。
 ライダーがベルトを操作すると、全身を覆っていた装甲が破裂するように四散した。
 ランサーが高速で飛来する装甲片を叩き落とす。だが次の瞬間、ランサーは背後からの衝撃を受け吹き飛んだ。

 フォームライド《ライダー》、アタックライド《クロックアップ》。

 キャストオフ――装甲を自ら弾き飛ばし、スマートなスタイルへ変化したライダーが、ランサーを上回る速度で背後へと回り込み、したたかに殴りつけたのだ。
 瞬時の装甲着脱と、時間流操作による超高速移動。これが“仮面ライダーカブト”の固有能力。

「さっきは好き放題やってくれたな。今度は俺の番だろ?」
「てめえ、どきやがれ!」

 ランサーが目にも留まらぬ槍を振るう。ライダーは、今度はそのことごとくを躱し、弾き、反撃の一撃を見舞う。先程のランサーの無双ぶりはもう影もない。
 補助の源であった悠のイザナギが切嗣によって砕かれた上に、クロックアップで一時的に上昇したライダーの敏捷性はランサーを上回っていたからだ。
 ライダーが再びランサーを押し戻す。マスターからの魔力供給を絶たれたランサーなら、ライダーに任せても心配ないだろう。
 ランサーが宝具を使おうとしても、今のライダーのスピードならば出鼻を容易く押さえ込める。

「ペルソナ! イザナギ! 出ろ、出ろ……イザナギッ!」

 這いつくばったまま、敵マスターが呪文を繰り返す。それが無駄なものであると、切嗣だけが知っている。
 コンテンダーに装填されている弾丸は、切嗣の肋骨を擦り潰して加工したものだ。
 これを魔術的な手段で防いだ瞬間、切嗣の起源である『切断』と『結合』が発現し、対象の肉体と魔術回路をズタズタにする。
 『魔術師殺し』を象徴する礼装である。回復魔術を用意していようと関係ない。魔術を使う手段そのものを強制的に消滅させるからだ。
 が、切嗣の予想では敵マスター自身もこれで致命傷を与えられるはずだったが、どういう訳かマスター自身は傷一つ負っていなかった。

(魔術師ではなかったか……まあ、いずれにしろ結果は変わらないが)

 ともあれ、魔術の無効化自体は成功した。止めの弾丸を撃ち込めば結果は同じだ。
 落とした銃を拾い、弾丸を装填していく。

「ペルソナ、ペルソナ! ペルソナ……! どうして……!? 俺の……イザナギィッ!」
「無駄だよ。君はもう、空っぽなのさ」

 壊れた機械のごとく呪文を繰り返す悠が哀れになった訳でもない。
 イリヤを殺したこの青年に対し、一言でも何か言っておこうと思ったのだ。

「失ったものは戻らない。死んだ人間はもう帰ってこない。君の魔術は、もう使えない」
「から、っぽ……?」
「そうさ。僕と同じだ」
「戻らない……もう、いない……俺の、ペルソナ……」

 青年にとってペルソナというものがどんなものだったかなど、切嗣には知る由はない。
 だが、切嗣にとってのイリヤほどに重要であったのだろうかと、ふと考えた。

「空っぽ……俺は……俺には……何も、ない……」

 ぶつぶつと呟き続ける青年を静かな面持ちで見つめ、切嗣は装弾を終えた。
 切嗣の言葉に何か思うところがあったのだろうか。正直、思った以上に過敏な反応だった。
 だが悠長に眺めている気は無い。切嗣自身もまた、固有時制御の振り戻しで相当のダメージを受けている。

(イリヤを殺した男が無様に転がる様を見て、多少は何か得る物があるかと思ったが――驚くほど、何も感じないものだ)

 まだ、現実感がない。本当に、イリヤはこの青年に殺されたのだろうか。遺体すらも見ていないのだから、実感が湧かない。
 とは言え……彼を、敵のマスターを見逃す理由にもならないが。

「違う……俺は……! 空っぽじゃない! 俺には、まだ……!」
「違わないさ。その幻を抱いて……溺死しろ」

 もう語ることも無い。青年の頭へと、拳銃を向ける。
 引鉄を引き絞る瞬間――

「避けろ、マスターッ!」

 初めて聞いた、ライダーの叫び声。


        ◆


「聖杯は万能の願望機。その力を以ってすれば、死人を蘇らせる事も不可能ではないかもしれない。
 あなたは、王と、王の理想と。どちらを選ぶのですか?」

 その可能性を考えなかった訳ではない。だが、無意識に除外していた可能性だった。
 もしユーフェミアと再び会えるのならば。また、スザクに微笑みかけてくれるのならば。
 それはなんと甘美で、そして残酷な夢なのだろうか。

「……俺は」

 震える自らの手を睨む。ユーフェミアの死後、ナイトオブセブンとして幾多の戦場を駆け抜けてきた。
 もはや片方しか無いが、この手はとうに血に塗れている。ユーフェミアが生きていた頃は絶対にしなかった、容赦なく敵を殺す、ブリタニアの白き死神としての手だ。
 今のスザクを蘇った彼女が見れば、何と言うだろうか。きっと咎めはしない。ただ悲しそうに――泣くだろう。
 それでも、スザクを救おうとする。それだけは確信を持てる。スザクがどんなに堕ちようとも、彼女はきっとスザクを救おうとするはずだ。


「それでも」


 だが、今更救われる事など。誰に許されようとも、スザク自身が許せない。
 散々人の命を奪ってきて、この場でも他のマスターを殺して、その果てにユーフェミアを蘇生させ救いを得るなど。
 ユーフェミアという高潔な人物への、これ以上もない侮辱に他ならない。

「俺はもう、救いなんて望まない。欲しいのは日本の開放……もうそれだけだ。
 誰にも、ブリタニアにも、中華連邦にも、EUにも脅かされない平和な国を。それが成るのなら、俺は他に何もいらない」

 それに、もしユーフェミアが生き返ったとしても。
 もはやあの世界にユーフェミアの居場所などどこにも無い。あるのは虐殺皇女としての汚名と、日本人からの恨み憎しみだけだ。
 そんな絶望しか無い世界に彼女を呼び戻す事など、絶対にしたくなかった。

「俺だけでは足りない。あなたの力が必要なんだ、ランスロット」
「王の命よりも、王の理想を求める……あなたは、騎士として失格です」
「……っ! そ、それでも俺は……」

 恥も外聞もない懇願に返されたのは、否定。

「騎士はいかなる時も王を第一に動かねばならない。王を救う手段があるのにあえて選ばぬなどとは言語道断」
「それでも……俺は! 今更行く道を変える事なんて……できるものか!」

 ここで逃げてしまうのなら、何のために多くの人々をこの手にかけてきたというのか。
 さらに反駁しようとするスザクを制し、ランスロットは兜の面頬を外す。
 露わになったランスロットの素顔は――


「そう、それでも……そうせずにはいられない。私も同じです。私もまた、騎士たるを名乗る資格は無いのですから」


 何故だか、優しく微笑んでいた。


        ◆


 ライダーの声と同時に、背後から音がした。重い音。何か、落ちてきた――着地したような。

「Time alter――double accel!」

 背筋を貫く悪寒に逆らわず、切嗣は反射的に魔術を発動させた。
 飛び込むように前転、立ち上がる勢いを利用しそのまま反転。右手に持ったキャリコを背後の何かへと突き付け――払われる。

「がっ……!」

 間髪入れず、脇腹に重い衝撃が来る。身体を押す力に逆らわず、切嗣は自ら後方へと跳んだ。
 何とか離さずにいたワルサーを、吹き飛びながらも乱射する。
 切嗣の背後に現れた、悠とは違う別の人物の右手に刻まれているのは紛れもなく令呪である。
 新手のマスターは左腕の肘から先を欠損しているというのに――凄まじい速さで駆け、迫り来る銃弾の中を突っ切ってくる。

「Time alter――double accel!」

 転がりながらも再度呪文を唱え、固有時制御を展開。再び二倍速の時間流へ突入する。
 キャリコを構え、接近される前に弾幕を張って――目を疑う。
 二倍速で後退する切嗣の眼前に、隻腕のマスターはぴたりとついてきている。前進と後退という違いこそあれ、二倍の速度差を全く感じられない踏み込みの速さだった。
 視線が合う。冷徹な意志を感じる眼差しが、膝を曲げて跳躍した。銃口を向けるのが間に合わない。
 明らかに人体の限界を超越した跳躍力を以って切嗣の頭上を取り、空中で回転し存分に遠心力を乗せられた蹴りが放たれる。
 切嗣は両腕を交差し、防御の姿勢を取る。倍速でなければ間に合わなかった。強烈な衝撃が腕から前進に突き抜ける。倒れずに踏ん張るのが精一杯だ。
 固有時制御が強制的に中断させられ、振り戻しの痛みまでが切嗣を襲った。切嗣は意志の力で痛みを黙殺し、両手の銃を悠と新手のマスターへそれぞれ向ける。

「何者だ」

 体勢を整えた切嗣の誰何に、隻腕のマスターは返答しない。
 彼はイザナギが消えた事により転がっていた漆黒の長剣を拾い上げていた。切嗣を追撃するより、剣の確保に動いていたのだろう。
 片手では振るうのも難しそうな長剣を、隻腕のマスターは回転し勢いをつけて投擲した。
 彼を撃つと意識するより先に、その行動の理由を考えた。

(マスターが居るということは……)

 マスターを牽制しつつ、横目で その剣の向かっていく先を見る。そこにはやはり、また別のサーヴァントが参戦してきていた。
 漆黒の鎧に身を包んだ騎士の輪郭には見覚えがある。第四次聖杯の初戦でセイバーと対峙した、あのバーサーカーだ。
 バーサーカーが長剣を手にし、かと思えば剣は掻き消え、バーサーカーの姿が黒い靄に包まれる。
 脳裏で警鐘が鳴り響く。あのバーサーカーの能力は、確か――

「……ッ! 待てライダー、そいつには手を出すなッ!」

 遅すぎた命令だった。
 ランサーとバーサーカー、どちらも敵と見たライダーは新たな力を発現させてしまっていた。

 カメンライド《龍騎》――ファイナルフォームライド≪リュウキドラグレッダー≫。

 “仮面ライダー龍騎”の力の顕現。虚空に現れた赤い戦士が瞬時に赤龍――“リュウキドラグレッダー”へと変形する。
 ライダーはランサーと斬り結びつつ、ドラグレッダーをバーサーカーに向かわせた。切嗣にしかわからない、これ以上は考えられないほどの悪手だった。
 バーサーカーが片足で跳躍、ドラグレッダーに飛びかかる。龍の頭を掴んだバーサーカーの腕から黒い魔力が流し込まれ、赤龍の色彩が赤から黒へと染められていく。

「やはり……! アーチャーの時と同じか!」

 手にした物を支配し、自らの宝具へと変える能力。これが、ただの鉄柱を以ってセイバーと渡り合ったバーサーカーの力か。
 黒龍へと変異したドラグレッダー――ドラグブラッカーへ、バーサーカーが跨がる。負傷していると思わしき右足のディスアドバンテージが消えた。
 ドラグブラッカーが尻尾を一振り、街灯を叩き折る。バーサーカーが掴み取ったそれは、龍と同じく宝具としての属性を帯び即席の槍と化した。
 バーサーカーならぬ、ドラグーン。文字通りの龍騎。

「俺の力を……!?」

 龍騎へのフォームライドを解除され、ライダーは基本戦闘形態“ディケイド”へと強制的に戻される。
 驚愕したライダーに敵と化したドラグブラッカーが漆黒の炎を浴びせかけた。
 ライダーは跳躍し躱す。だが続いたバーサーカーの一撃までは防げなかった。強烈な打撃を受け、ライダーが崩れ落ちる。
 バーサーカーは止まらず、マスターの元へ向かおうとしたランサーの前に舞い降りた。

「貴様か……ハッ、二度は逃さんぞ!」

 ランサーが槍を放つが、バーサーカーもまた鉄柱を突き出す。黒く染まったただの鉄柱が英霊の宝具と拮抗し、絡み合う。
 黒龍をまるでライダーのクラスのように乗りこなし、強化した鉄柱を槍のごとく扱う様から見て、バーサーカーの力は物をただ宝具へ変えるだけではない。
 理性のないバーサーカーのクラスでありながら、支配した武器を自在に操るだけの高い技量も持ち合わせているのだ。
 ライダーとの戦いで消耗し、マスターからの魔力供給を絶たれた今のランサーでは、槍と黒龍の怒涛の連携に抗えなかった。数合の打ち合いの後、ライダーと同じく叩き伏せられた。

 戦況は、完全に新手のマスターとバーサーカーによって支配された。
 仕損じた。あのバーサーカーを認識した瞬間、令呪を使ってでもライダーと引き離すべきだった。
 ライダーは多種多様な形態と武器を使い分ける事で状況を支配するサーヴァントであるが、あのバーサーカーは敵の宝具を我が物とする。
 アーチャーとの戦いの再現だ。そしてライダーは、アーチャーほど多くの武装を有している訳ではない。一つでも武装を奪われればかなりの戦力を削がれてしまう。
 ライダーとランサーの二騎を相手取って尚、バーサーカーに分がある。黒龍を支配したバーサーカーはそれほどの強敵だった。

「借り物の力で……調子に乗るなよッ!」

 怒りに燃えるライダーが立ち上がった。切嗣にも、魔力回路を通じてライダーの尽きぬ戦意が伝わってくる。
 ライダーには更に底がある。“仮面ライダーディケイド”の真の力を開放する切り札が。
 全戦力を解き放てばあるいはバーサーカーを打倒し得るかもしれない。だがそれは、無謀な賭けでもあった。

「待て、ライダー! それは……」
「バーサーカー!」

 切嗣がライダーを制止しようとした瞬間、突如バーサーカーのマスターが叫んだ。
 彼は這い蹲っていたランサーのマスターを片腕で器用に担ぎ上げ、バーサーカーへ向かって跳び、首を下げた黒龍の背へ着地した。
 バーサーカーはそのまま高度を上げ、飛び去っていく。

「退く……のか?」
「逃がすかよ! 龍騎だけでも取り返す!」

 切り札の解放を中断し、ライダーが別のカードを取り出す。イリヤのサーヴァントを撃墜した遠距離攻撃用のカードだ。
 だがライドする前にライダーはカードを放り捨てた。切嗣へ向かって飛び出しつつ、更に別のカードをドローする。
 ライダーの行動の理由はすぐにわかった。黒龍の炎が鎮まり露わになった視界に、切嗣へと朱槍を構えるライダーが見えたからだ。

「いただく――」
「させ……るかああぁッ!」

 宝具ではないようだが、ランサーの気迫は生半可な防御では受け止め切れない――そう感じ取ったライダーは、バーサーカーへの追撃も捨てて切嗣を守りに入った。
 クロックアップによる加速、カードを引き抜きライド、正常な時間流への復帰、迫るランサーの朱槍、響く電子音。

「俺! 参じ」
「でぃぃぃやっ!」

 紙一重、というところでライダーは間に合った。
 切嗣の前に立つライダーと、槍を突き出したランサーの間に出現した赤い鬼――

 カメンライド《電王》――ファイナルフォームライド《モモタロス》。

「ょう……あれ?」

 間の抜けた声は、その赤鬼から発せられた。
 ランサーの槍が、赤鬼の胸を豪快にぶち抜いている。

「な……なんだこりゃぁぁっ!?」
「凌いだだと……!」

 槍を引き抜き、ランサーが後退。穴が開いた赤鬼の胸からは、血ではなく砂が零れ落ちていく。

「ここまでか……ライダー、この勝負預けておくぞ!」

 乾坤一擲の一撃をライダーに凌がれ、ランサーもまたバーサーカーを追って跳び去っていく。
 ライダーに命じるまでもなく、追撃は論外だった。消耗と引換に得たものが少なすぎる。

「ご苦労だった、モモタロス。休んでいいぞ」
「てめえ、ディケイド! や、やっと出番が来たと思ったら……これかよ!」
「十分役に立ってくれたよ。次があればよろしくな」
「ちくしょう……最初からクライマックスどころか、ゲームオーバーだ、ぜ……」

 ライダーに毒づき、赤鬼、モモタロスは消えていく。ランサーの槍で破壊されたらしい。
 砂の山となったモモタロスを見て、ライダーはようやくと息を吐き、変身を解いた。
 二人のマスターと二騎のサーヴァントが去り、残ったのは衛宮切嗣とライダーだけ。

「負けてはいないが、勝ってもいないな。無駄な戦いだった」
「今のは……ライダー、君の使い魔か?」
「そんなものだ。カブトのマスクドフォームじゃ、あの攻撃は防げそうになかったからな。しかし、こうも容易く破壊されるとは……」

 予備は後三つあるが、とライダーは言うものの。終わってみればやはりこれは敗戦というべき戦果だった。
 功はバーサーカーの存在を確認した事くらい。
 こちらはライダーの力を一つ奪われ、一つはこうして破壊された。狙ったランサーの首はバーサーカーに横から持っていかれた。
 さらにバーサーカーのマスターには、切嗣のサーヴァントがライダーだと知られただろう。

「まあ……なんだ。気を落とすなよ、マスター。どの道、あの悠ってマスターは死ぬだろうさ」

 ライダーの言葉はランサーのマスターを指しているのだと気付くのには少し間が開いた。
 自らの手でランサーのマスターを仕留められなかった。ライダーの言う通り、今頃はあのバーサーカーに殺されているだろう。唇を噛む。
 だが、少なくとも仇は死んだ。過程はともかく、結果は望んだものだ。今はそれを、慰めとするしかない。

「ライダー。一つ、聞きたいことがある」
「何だ?」
「本当に、間に合わなかったのか?」

 次に切嗣が問うたのは、イリヤの最期についてだ。
 ライダーのサーヴァント。真名、門矢士。またの名を仮面ライダーディケイド。
 宝具を介することにより変幻自在の姿を見せる彼の力は、ライダーのクラスとしては異端のもの。
 未だ底を見せないその全力を以ってすれば――

「助けることが……できたんじゃないのか?」

 誰を、などとは言わない。今の戦いでライダーが見せた力と、秘されし切り札。
 実際に目の当たりにした今ではこう思うのだ。あの力を全て開放し臨んでいれば、あるいはと。

「ああ、かもな」

 特に躊躇う素振りもなく、ライダーはそう答えた。切嗣も薄々予想していた答えだった。
 彼が先程見せたクウガ、カブト、そして電王の力を全力で使用していれば――あるいはイリヤを助ける事が、できたかもしれない。
 しかしライダーはそうしなかった。

「何故、なんて聞かないだろうな?」
「わかっている。責めているつもりはない……正しい判断だと、僕も思うよ」

 もしその場にライダーが介入していれば、ライダーはマスターの援護もなく単騎であの強力なランサー組との戦いを強いられていた。
 仮にランサーを退けたとしても、続いてその場にやってきた二騎のセイバーに確実に討ち取られていただろう。
 そこまでしてイリヤが助かるかといえば、結局いずれかのサーヴァントに討たれていた可能性の方が大きい。
 別のライダーまでやってきたのは想定外だったが、消耗の激しいフォームを連発してまで複数のサーヴァントがひしめく戦場に首を突っ込むのは、自殺行為以外の何物でもない。
 ライダーは自身の生存とイリヤの生死を秤にかけ、自分を取っただけだ。ライダーにとってイリヤはあくまでも敵マスターであり、身を削って助ける理由などどこにも無かった。

「俺を恨むならそれでも構わない。俺は元々そういう存在だからな」
「君が憎い……その気持ちは、無いとは言えない。でも、僕のサーヴァントは君だ。今、君を手放す訳にはいかない」
「だったら、どうする?」
「勝つ。もう……僕にはそれしか無い……」

 イリヤを失った今、切嗣の胸に残っているのは暗く冷たい虚無だけだ。
 理想に縋り、この手に掴み取らねば、それこそイリヤの死は無駄になってしまう。

「戦えるのか、マスター」
「やれるよ、ライダー。もう……僕を引き留めるものは、何も無いからね」

 楽しかった記憶も、胸を裂く痛みも、全てが沈んでいく。
 残るのは殺人武器としての己だけであり、懐かしくも忌まわしい自分へと立ち返っていくのだ。
 セイバーの時とは違う。たとえこのライダーが間接的にイリヤの仇であったとしても、徹底的に使い潰さねば勝利は得られない。
 ならばやれる事は全てやる。気に入らずともコミュニケーションを放棄する事はできない。

「バーサーカーを追うぞ。あれは早い段階で始末しておきたい」
「了解だ。俺も、奴には借りを返しておきたいしな」

 未だ奪われたままの龍騎の力を取り戻すか、破壊するためにも、まずバーサーカーだ。
 小休止がてら準備を整え、追跡を開始しようとしたとき、死角になっていた物陰から電子音が鳴り響いた。
 敵マスターが残した罠を警戒し、ライダーが即座に戦闘態勢へと移行する。

「ライダー、吹き飛ばせ」
「いや、待てマスター。これは……」

 排除を命じた切嗣を尻目に、ライダーはその電子音の発信源へと歩み寄る。彼が拾い上げたのはどこにでもある携帯電話だった。

「爆弾が仕掛けられている……という訳でも無さそうだ。出てみるか? マスター」
「……ああ」

 ライダーが言うなら危険はないだろうと判断し、切嗣は携帯を受け取って通話ボタンを押した。

「……聞こえますか?」
「誰だ?」
「枢木スザク。バーサーカーのマスター、と言えばわかるでしょう」

 先ほどの戦闘では一切会話の無かった、あの隻腕の青年らしい。

「どういうつもりだ? 僕からランサーの首を掠め取っておいて、わざわざ連絡してくるとは」
「あなたと取引がしたい」
「なに?」
「有り体に言えば、僕と一時共闘しないかということです」

 思わずライダーを見る。彼は肩を竦めた。 全てマスターに任せるという仕草だ。

「あなたとあなたのサーヴァントの強さは先程の戦闘でよくわかりました。
 僕は自分以外の二十四人のマスターを一人で仕留められるとは思っていない。だから、あなたと同盟を結びたい」
「共闘だと? ランサーを逃しておいてよく言えたものだな」
「それについては謝罪します。ですが、ああでもしなければあなたとはこうして話も出来なかったでしょう」
「君は既に僕に多大な不利益をもたらしている。そんな相手と組む事ができると思うのか」
「その不利益を埋め合わせる事はできると思います。例えば……二騎のセイバーとライダー、そしてランサーの情報について、など」

 眉を顰める。二騎のセイバーとライダーとは先程ライダーが確認したサーヴァント集団と一致する。
 そしてランサーときた。携帯を握り締める。

「君はあのランサーのマスターを倒していないのか?」
「ええ。彼にもまた、あなたと同じように共闘を依頼し、了承を得ています」

 イリヤの仇はまだ生きている。
 ドクンと心臓が震えた。まだ……この手で仇を取れるのかもしれない。

「ただ、彼にはあなたとこうして連絡を取っている事は伝えていません。彼とあなたの間には因縁がありそうでしたから」
「何が言いたい?」
「僕があなたに提示する共闘のメリットは、敵の情報と僕ら自身の戦力。そして、彼の首です」
「味方を売るというのか?」
「味方とは思っていません。最後に勝利するのは一人だけである以上、共闘するとしてもいつかは戦う事になります。
 ただ早いか遅いかの違いでしかない。そしてそれはあなたも同じだ」
「裏切る事を前提とした共闘……か。だが、もしこの話を僕が断ればどうする?」
「僕と彼であなたを潰します。幸い、僕のバーサーカーはあなたのライダーと相性が良いようですので」

 依頼も何も、これでは体の良い脅迫だ。
 だが、枢木の言う事は合理的でもあった。

「理屈はわかりませんが、見ていた限りあなたはランサーの彼に対して絶対的な優位にある。
 そして僕のバーサーカーはあなたのライダーに対して優位にありますが、逆にあのランサーのような宝具に頼らないタイプとは相性が悪い」
「三竦み、という事か。だが現状、僕とランサーのマスターへのラインを確保できている君が一番有利であるのはフェアじゃないな」
「あなたとランサーの彼が連絡を取れたところでさほどの意味は無いと思いますが。彼と協力する事ができるのですか?」

 問われ、考えるまでもなく却下した。イリヤの仇を目の前にして平然でいられる自信は無い。指は無意識に引鉄を引く事だろう。
 だが、このバーサーカーのマスター……枢木スザクなら、組めなくもない。
 本音を言えば、ライダーのアキレス腱となりうるバーサーカーは早めに叩いておきたいところだが、実際問題手は足りていない。

 サーヴァントが七騎しかいない本来の聖杯戦争ならばともかく、この戦いは三倍以上の数がいる。久宇舞弥のようなサポートも望めない現状では、共闘は現実的な選択肢だ。
 バーサーカーの能力はライダーにとっては相性が悪い。
 逆に言えば、共闘しライダーの武器をバーサーカーに貸与すれば、戦力は単純な加法ではなく乗法になる。
 ライダーを見る。彼は嫌悪も露わに切嗣を睨みつけたが、止めろとも反対だとも言わなかった。自身の状態を鑑みれば共闘も已む無しというのだろう。
 切嗣にしろライダーにしろ、既にかなりの消耗を強いられている。枢木は信用できないにしろ、共闘は有り得る選択肢だった。

 それに、バーサーカーというクラスは得てして扱いが難しいものだ。
 強力な能力値と引換に細かい制御ができず、場合によっては令呪の使用を強いられる。
 他のどのサーヴァントよりも自滅の可能性が高い。それがバーサーカーというクラスの抱える欠陥とも言える宿命だ。

「わかった。君の提案を呑もう」
「ありがとうございます。では……あなたの名前を教えていただけますか?」
「……衛宮切嗣。こちらも一つ聞く。あのランサーのマスターの名は?」
「鳴上悠、だそうです。では一旦切ります。そろそろ移動しなければならないのは衛宮さんも同じでしょう。また連絡します」

 通話が切れた。思いの外戦場に長居してしまったが、確かにここから離れなければまた別のサーヴァントと遭遇する危険がある。
 ライダーがバイクを呼び出し、切嗣を後ろに乗せて発進した。
 目的地は衛宮邸。冬木市における、衛宮切嗣のセーフハウスの一つである。

「油断するなよ、マスター。手を組むとはいえ、目下あのバーサーカーが俺達にとって一番の脅威である事は変わりないぞ」
「わかっている、ライダー。もう油断などしない……するものか」

 イリヤを失い、仇を逃し、仮初の同盟を結んだ。それでも前に進まなければならない。
 弱さは捨てていく。今膝を折ってしまうと、次はもう立ち上がれる自信は無い。
 見据えるのはただ一つ残った理想の成就のみ。それ以外は全て、心の奥底にある、二度と開くことのない箱へと押し込める。
 “魔術師殺し”と“世界の破壊者”が、次なる戦場へと駆けていく。


「さよなら……イリヤ」


 切嗣が小さく呟いたその言葉に――ライダーは沈黙を貫いた。


        ◆


「貴方も私も、共に騎士失格の身。なればこそ……我らが巡り合うは必定だったのかもしれない」
「ランスロット卿……」
「私には聖杯に託す望みなどありません。ならば、貴方と共に征くのも、運命なのでしょう」

 手を、差し伸べられる。

「望みは無くとも、それでもただ一つ、この身に悔いがあるとするなら……それは、私が最後まで騎士でいられなかった事です。
 王を裏切り、友を斬り、全てを失って……私には何も残らなかった。もし、一つでも今、あの日抱いた騎士の誇りを取り戻せるのなら……」

 真っ直ぐにスザクを見据え、ランスロットは言う。
 視線を合わせ、手を差し出す。

「私の王ではなく、友として。あなたは私と共に戦場を馳せる勇者であるか? どんな苦境であろうとも、私の隣で剣を振るう戦士であるか?」


 どんな戦であろうと共に在る。 戦場に斃れ命尽き果てるその時まで、互いの背中を預け合う友である――これは、誓いの儀式だった。


「この手を取るのなら……私は。貴方の願いが叶うその時まで、貴方を守り、貴方の敵を斬る、貴方の騎士となりましょう」
「誓う……サー・ランスロット。僕は貴方と同じ戦場に立つ。貴方と共に戦う騎士となって、勝利をこの手に掴んでみせる」

 ルルーシュやブリタニア皇帝のギアスとは違う。誰かに強制されるものではない。
 スザクが自らの意志で、魂に刻む誓い――“スザクのギアス”。


 枢木スザクは決してランスロットを裏切らない。
 ランスロットは決して枢木スザクを裏切らない。


 ――契約は、ここに成った。


「行こう、ランスロット!」
「ええ、スザク……我ら、共に騎士にあるまじき騎士として」


        ◆


 衛宮切嗣との通話を終え、枢木スザクは息を吐いた。
 戦果は上々だ。二人の協力者を得て、自分は彼らに対して情報的な優位にある。
 奪われた宝具、無毀なる湖光も取り戻せたし、ドラグブラッカーという足も手に入れられた。

「ありがとう、ランスロット。貴方のお陰で何とかなったよ」

 傍らに立つバーサーカーへと、礼を述べる。
 ギアスによって死なないギリギリのところまでスザクから魔力を供給され、急速に両腕を再生させたランスロットの活躍あったからこその、勝利だった。
 事前にランスロットから聞いていた情報がなければ、こうもうまくはいかなかっただろう。
 戦場にライダーがいたのは望外の僥倖だった。彼らがランサーと交戦していなければ、スザク達は無理を押してランサーに奇襲を仕掛けるつもりだったのだから。
 せっかくランスロットが理性を保っていられるというのに、この機を逃す手は無い。多少の無茶は覚悟の上だった。
 だが、ライダーの参戦というサプライズのお陰で、予定よりかなり楽に目的を達成できた。
 ランサーを助けたのは、ランスロットの右足の傷があったからだ。スザクはどうしてもこの傷の原因を知る必要があった。
 だから、彼らの交戦を察知した時点でスザクはランサーのマスターを確保する事にして、手近なコンビニからすぐに使える携帯電話を調達しておいた。

「ランサーが言っていた、柳洞寺にいるライダーの宝具なら、その足の傷も消せるかもしれない……か」

 ランサーのマスター、鳴上悠とは、ライダーとの戦いから離脱した後いくらか話をした。
 俊敏性に優れるランサーとはいえ、さすがに空までは届かない。宝具を使えば話は別だが、それでは己のマスターまでも巻き込んでしまう。
 令呪を使おうとした時はさすがに焦ったが、スザクが切嗣同様に共闘を持ちかければ存外あっさりと承諾したものだ。
 彼らがバーサーカーを負傷させた事はわかっている。本来ならここで倒しておくべきだったが、それだけ強いのなら共闘するメリットはそれだけ大きくもなる。
 スザクが悠を殺さない見返りとして要求したのは、令呪一画。


 『現在より四十八時間、鳴上悠のサーヴァントは枢木スザクとそのサーヴァントに対し攻撃を禁ずる』


 これを言った時、悠は当然ながら断ろうとした。一方的に生殺与奪を握られるも同然だからだ。
 だからこうも付け足した。


『ただし、枢木スザクとそのサーヴァントから攻撃を受けた場合は、以上の誓約を一方的に破棄する事ができる』


 先手は許すが、反撃は可能になるという条文だ。
 やはり渋った彼には、それが命を救った対価だと押し通した。呑めないのならばここで殺すと。
 令呪を使ってランサーを呼び寄せたとして、結果的に消費する令呪の数は同じだ。強引ではあったものの、悠はスザクとの同盟を呑んだ。
 その後は軽く情報を交換、連絡用の携帯電話を渡し、ランサーと合流させるべく適当なところで彼を降ろし、スザクはバーサーカーと共に引き上げた。
 スザクは人気のない民家の一画に潜り込んだ。その後、衛宮切嗣との同盟も無事締結し、現在に至る。

「ランスロット卿。もう一度言わせてくれ。俺は必ず、あなたと共に勝ち抜いてみせる」

 そしてついに、離別の時間がきた。
 令呪によって許されていた、一時の対話の時間が終わる時が。

「……もはや、名を呼ぶ事も叶いませんが……友よ。私は、今度こそ……最後まで、騎士として……」
「ええ……共に征こう。最後まで」

 ランスロットの望み――忠節の騎士として、最後まで主を守り抜く事。
 たとえバーサーカーのクラスで現界したとしても、彼は高潔な騎士であろうとしている。
 ならばスザクが膝を折る訳にはいかない。王ではなく、ランスロットという剣の騎士として。

「貴方に……勝利を……」

 勝利を約束し、ランスロットの理性は封印され、入れ替わりでバーサーカーの凶相が現れる。
 これで、また一人。だが――孤独ではない。
 かつて駆っていたナイトメアフレーム・ランスロットに乗っている時ですら、スザクは一人だった。
 しかし今は、もはや会話を交わす事叶わずとも、本当の意味で背中を預けられるバーサーカーと共に在る。
 それがこの戦いの、最大の収穫だった。

「……約束します、ランスロット卿。必ず、俺達が勝利を掴み取る……」

 バーサーカーが霊体化する。彼の支配下に置かれているドラグブラッカーもまた、霧のように消えた。
 張り詰めた気が緩んだ途端、疲労が身体に押しかかってくる。さすがにもうこれ以上は動けない。

「今は身を休めよう……さすがに、疲れた……」

 握り締めた携帯電話に登録された二名のマスター。
 鳴上悠に撃破された、別のランサーのマスター。
 柳洞寺にいる、三人のマスター。
 自分を除けば二十四人のマスターの内、一人は脱落が確定、二人とは共闘する事になった。
 現時点で倒すべきは残り二十一人。そしてその一人に――

「やはり……君もいたか、ルルーシュ」

 悠とランサーが交戦したというセイバーのマスター。黒髪に紫紺の瞳、細い体躯。
 何よりの決め手は、ランサーが受けたという強力な魔眼の存在。
 疑いようもない。スザクの親友にして最大の宿敵、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアだ。彼は自らのサーヴァントを“ガウェイン”と呼んだらしい。
 円卓の騎士が一人、“太陽の騎士”ガウェイン――スザクがランスロットを引き当てたように、彼にもまたかつての乗機の原典たる英霊を引いたのだ。
 ガウェインの強さはランスロットとほぼ同等、とはランスロット本人の弁だ。また、時間制限こそあるがガウェイン固有のスキルが発動すればランスロットとて太刀打ち出来ないと。
 そこにルルーシュの知略が合わさればとてつもない脅威となるだろう。


「結局……俺達は……こうなる運命なんだろうな……ルルーシュ」


 激突は必至。
 今はただ、その時に備え――スザクの意識は闇に落ちていく。
 傍らに荒々しくも頼もしい、湖の騎士の存在を確かに感じながら。





【深山町・民家/黎明】

【枢木スザク@コードギアス 反逆のルルーシュ】 (残令呪回数:2)
 [状態]:疲労(大)、左腕欠損(処置済)、失血(命に別条なし)
 [持ち物]:携帯電話
  ※携帯電話には衛宮切嗣、鳴上悠の番号が登録されています。

【バーサーカー(ランスロット)@Fate Zero】
 [状態]:ダメージ(大)、右大腿に刺し傷(通常の回復手段では治癒不可能)
  ※右大腿の傷はゲイボルクによる傷なので、通常の手段では治癒できません。
  ※カメンライド《龍騎》・ファイナルフォームライド により召喚された“リュウキドラグレッダー”を支配下に置いています。


【深山町・衛宮邸/黎明】

【衛宮切嗣@Fate/zero)】 (残令呪使用回数:2)
 [状態]:疲労(中)、精神力消耗(中)
 [持ち物]:トンプソン・コンテンダー、ワルサーWA2000、キャリコM950、携帯電話
  ※携帯電話には枢木スザクの番号が登録されています。

【ライダー(門矢士)@仮面ライダーディケイド】
 [状態]:全身に掠り傷(軽症)、魔力消費(大)
  ※ライダーカード≪龍騎≫の力を喪失(コンプリートフォームに変身するだけなら影響なし)。
  ※ライダーカード≪電王・モモタロス≫破壊(コンプリートフォームに変身するだけなら影響なし)。


【深山町・北部住宅街/黎明】

【鳴上悠@ペルソナ4】 (残令呪使用回数:2)
 [状態]:疲労(中)、精神力消耗(大)
 [持ち物]:大鹿のルーン石@Fate/stay night、携帯電話
  ※携帯電話には枢木スザクの番号が登録されています。
  ※ペルソナ“イザナギ”消滅。

【ランサー(クー・フーリン)@Fate/stay night】
 [状態]:魔力消費(大)
  ※原初のルーン発動時のステータスは以下の通りです。
   【筋力】B+ 【耐久】B+ 【敏捷】A 【魔力】A+ 【幸運】E 【宝具】A
  ※参戦時期はセイバールート、ギルガメッシュに倒された後です(記憶は継続しています) 。
  ※令呪の力により、四十八時間後まで枢木スザクとバーサーカーには攻撃できない。
    ただし、『先に攻撃されて反撃する場合』においてはこの限りではない。

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