二次キャラ聖杯戦争@ ウィキ

La Danse Macabre(後編)

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2jiseihaisennsou

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「無事か、まどか!!」

霊体から実体に戻ったDIOが部屋へ飛び込む。
彼女が居た部屋は不用心に扉が開け放たれており、
室内に飛び込んだDIOの眼に映ったのは比較的に落ち着いているとはいえ、
明らかに荒らされた形跡のある部屋。

「クソッ、何という事だ!!」

苛立ち紛れにDIOが拳をテーブルに叩きつける。
その音に反応するように傍のクローゼットからガタリと物音がする。
それに呼応するように微かに感じる魔力。

「……アーチャーさん?」

クローゼットから怯えた少女の声が聞こえる、
DIOがクローゼットを開けるとビクリと一瞬、
身を強ばらせたものの無傷な様子のまどかの姿がそこにはあった。

「何があった、まどか!」

DIOの言葉にまどかが視線を彷徨わせる。
明らかに恐怖で困惑している。

「大丈夫だ、落ち着いてくれ。
 私がついている、だから何があったのか教えてくれないか?」

内心で舌打ちしつつ、DIOが幼子を諭すような
優しい声音で再びまどかを問い直す。
その言葉で緊張が緩んだのか、堰を切ったように
ぼろぼろと涙を流しながら嗚咽を漏らしつつ、まどかが口を開く。

「わた、私、そのアーチャーさん探そうと思って…ひくっ…
 そ、それで外に出ようとしたら、女の人が入ってきて…
 そ、その人、マスターだったんだけど…うぇっ…
 疲れてるみたいだったから…わた、し、部屋に入れたんです」

「何て馬鹿なことをッ! それでこの部屋はそいつがやったのか?」

敵のマスターを自ら招きいれる、それも悪意ではなく好意でもって。
まどかの告白を聞いた時にDIOはこの少女の思考を本気で疑った。
だが、まどかはDIOの言葉に首をぶんぶんと横に振る。

「ちが、違うんです。 その女の人、し、詩音さんは…うぅ…
 わた、私を助けてくれて…それで、後から来た人に…ひぐっ…
 連れてかれて……うわぁぁぁん!!」

泣き喚くまどかを落ち着かせるように抱き寄せながら
DIOは混乱する思考を纏めていく。

(何もかもが滅茶苦茶だ、このDIOがここまで翻弄されるとは。
 女というのはあのバーサーカーのマスターの事だろうが、
 後から来た奴があの雌狐のマスターか?)

まだ胸元で嗚咽を漏らすまどかを一旦離し、
その顔を見つめながらしっかりと言い含める。

「いいかい、まどか?
 他のマスターに場所が知れた以上、ここは危険だ。
 今すぐにでも移動しなければならない。
 わかってくれるな?」

まどかから返事はなかったが、
力なくこくりと項垂れる様に首を縦に振る。

「そうか、では少し乱暴になるが許してくれ」

DIOはまどかを抱き上げ、窓を開ける。

「えっ、あの、ちょ?」

DIOの大胆な行動に頬を赤らめ、まどかは困惑するが
次の瞬間にはその表情は別なものに変わる。

「わきゃぁあぁ~~~~~!?」

まどかを抱き上げたままDIOが跳躍。
街の明かりが彼方に見えるような気がするほどの
高さにまどかは目が眩む。

「すまないな、まどか。
 急いで離れる必要がある以上、
 少々手荒になってしまった」

DIOは周辺に気を配りながら次々とビルの谷間を跳躍していく。
夜の闇の中でその姿に殆どの人は気づきもせずに往来を歩いていき、
気づいた者もあまりの光景に自分の正気を疑い、
気のせいとして足早に去っていく。

「あれ? アーチャーさん、その腕は?」

泣き腫らした眼を擦りながら、まどかは自分を抱き上げる
DIOの腕に傷が出来ている事に気づいた。
“まるで切断でもされたかのように”腕を一周するような傷跡が出来ている。

「……詳しい話は後でしよう」

DIOは明らかに言葉を濁した。

「あっ…いえ、何でもないです……」

それを追求しようかと思ったが、まどかは口を閉ざす。
まどかにとって信頼できるのはDIOしかおらず、
その関係を壊す事を極度に恐れた故に。
だが、一つだけ気になる事があった。

如何して、自分のサーヴァントから血の臭いがするのだろうか?

それはまどかは知る事がない、ある出来事。
乱戦を終えた直後、霊体化したDIOはある一室に居た。
そこに居る住人は普通の何の変哲もない女性。

(手頃なのはこの位か……)

ぼんやりとテレビを眺めていた女性の前でDIOは実体へと戻り、
女性は突然現れたDIOに唖然としている。

「へっ? あ、誰? ど、泥棒!?」

女性が慌てて電話の位置を確認し、
電話を引っつかむように取り上げる。

「女、警察を呼ぶ必要は無い。
 ゆっくりとこちらへ来い」

DIOが命令口調で呼びかける。
その言葉にこの女性は従う必要は本来は無い。
だが、その言葉は女性にとって抗い難い魅力があった。
受話器をそっと元に戻すとふらふらと夢遊病者のように
DIOの元へと歩み寄っていく。

「いい娘だ、じっとしていればいい」

ぼんやりとした瞳でDIOを見つめる女性の首筋に
DIOの指が食い込んでいく。
そして吸血鬼の特性として女性の身体から
血液が吸い上げられていき、
間も無く女性の身体が崩れる様に倒れ、
DIOはそんな事は気にせずに自らの切断された腕を
その傷口にくっつける様に押し付ける。
血液を介した事で一時的に治癒力が上昇したDIOの腕は
さほどの時間も掛からずに癒着する。

「さて、急がなくてはな」

何度か腕の動作を確認した後、DIOは再び霊体に戻り、
遺された者は哀れな犠牲者のみ。
一人のNPCが死んだ所で聖杯戦争に支障は無く、
それは後日、謎の殺人事件として処理される事になる。

そんな事はまどかが知る必要は無い事である。


【新都・駅前/未明】
【鹿目まどか@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]:憔悴(残令呪使用回数:3)

【アーチャー(DIO)@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]:負傷(軽微)・吸血による治癒上昇中
    魔力消費(大)

時刻はDIOが『世界(ザ・ワールド)』を発動した時点まで遡る。
詩音が扉を開けた先で少女がこちらを見つめて身を竦めている。

(しまった、ここの住人? どうする、始末するべき?)

朦朧とする意識で考えを纏めようとするが
思考能力を削られた今の状態では上手く考えも纏まらない。

「ウッ!?…グ、グゥ……」

直後、それまで以上の疲労感が詩音を襲う。
胸元を握り締めるように押さえ、壁へともたれ掛る。

「だ、大丈夫ですか!!」

そんな詩音の元へと少女が駆け寄ってくる。

(駄目だ、とにかく休まないと)

身体と思考が全力で疲労を訴え、それ以外が思い浮かばない。
目の前で慌てふためく少女が誰なのかは知らないが
最早、そこに頼る事しか考えられない。

「すみません、出来れば休む場所を貸してください。
 救急車は呼ばないで下さい。
 少しだけでいいんです、お願いします」

ハァハァと荒い息をつきながら、詩音は少女に頼み込む。

「……分かりました、こっちに来て下さい」

どこか思い詰めた表情の少女の様子には気づかずに
少女の招きに従い、少女の肩を借りつつ部屋の中へと入る。
ソファーへと座らされ、荒い呼吸を何とか整えようとする。
少女の方はと言えばパタパタと部屋の中を走り回り、
タオルや水などを次々と用意している。

「ありがとうございます、少し休んだら出て行きますので」

差し出された水に口をつけて、少しだけ潤った喉で
それでも変わらずに乾いた声のまま詩音が少女に告げる。
少女は詩音の傷ついた右腕に包帯を巻いている最中で
詩音の言葉に如何返したらいいのか分からないと言った様子であった。

「……あの、その右手は?」

自分の怪我の処置までしてくれる少女の右手が
『包帯を巻きつけられている』のに気づいて詩音が尋ねる。
その瞬間、少女の動きがピタリと止まった。

「えっと、あの、その、火傷しちゃって……」

視線を彷徨わせ、まるで今思いついたかのような
言い訳をする少女なのだが思考が混濁している詩音は
少女の言葉に疑問を感じる余裕も無く、素直に鵜呑みにする。

「そうですか、気をつけてくださいね」

どこか儚げに笑う詩音に少女がより一層その表情を暗くし、
何かを決意したかのように口を開く。

「あの…私、鹿目まどかって言います。 貴方は?」

突然のまどかの自己紹介に詩音は少しだけ疑問を覚えるが、
それ以上は結局のところ思い浮かばず、

「園崎……詩音」

まどかに対して自分の名前を告げた。

「詩音さん……あの、わたし!」

まどかが何かを告白しようとした矢先、
唐突に部屋のチャイムが鳴らされた。

「……誰だろう?」

出鼻を挫かれ、仕方なくまどかは玄関口へと向かおうとして、
響き渡る銃声の音を耳にする事になる。

「ひっ!? な、何!?」

それは鍵の掛けられていた扉へと何者かが発砲した証拠。
それと同時に外側からガチャガチャと何者かが扉をこじ開けようとしている。

「私の客人みたいですね」

立ち竦むまどかの背後で詩音がふらつく身体を何とか立ち上がらせる。

「け、警察を……」

「あんたはどっかにすっこんでな!!
 死にたくなけりゃね!」

まどかが振り返り、警察を呼ぼうとするも
それを詩音の怒声に遮られる。

「ひっ!!」

それまでの彼女と違って狂気の滲む詩音の表情にまどかは怯える。
右往左往しているまどかを他所に詩音は玄関へと進んでいく、
その際に一言だけ、

「すみませんでした」

ぽつりとまどかへと侘びの言葉を漏らして
置きっ放しにしていた剣を拾い上げる。

「さっさと隠れなさい、邪魔なんですよ!」

詩音の言葉に何度も首を縦に振ると、
まどかは部屋の奥へと駆け込んでいく。
程なくして玄関の扉は破られ、無骨な銃を構えた青年が現れた。

「失礼、マスターとお見受けしますが間違いありませんね?」

青年は掛けていた眼鏡の位置を直しながら口を開く。

「らあぁぁぁぁっ!!」

そんな青年の言葉など無視して、詩音は青年に向かって剣を振るう。
だが、それはガキンと大きな金属音を立てて、剣は弾かれた。
青年の鋼鉄の義足によって蹴り飛ばされた剣を呆然と見つめる
詩音へ次の瞬間には青年が構えていた銃の銃把が彼女の
後頭部を打ち据える。

「ガッ!? ちく…しょう……さと…」

ただでさえ、バーサーカーに魔力を割かれ、
体力も底を尽いていた詩音の意識はあえなく沈没する。
倒れ込む詩音を支えて青年は部屋の中を見回す。

「……セイバーからは二人分の反応があると聞いていましたが、
 時間もありませんし今回はこの辺でいいですね」

詩音を抱えあげると青年は踵を返して出て行ってしまう。

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい……」

隠れ潜んで難を逃れたまどかはただ只管に詩音へと謝り続ける。
その無意味な行為はアーチャーが戻るまで続けられる事になる。


…………………

……………………………

…………………………………………


新都の夜の中を少女を負ぶった青年、アシュヒト=リヒターが歩いていく。
その姿は寝入ってしまった少女を青年が介抱している様に見える為、
周りの人間も対して気に留める事無く通り過ぎていく。

『おっ、そいつが他のマスターか?』

アシュヒトの耳元で声だけが聞こえてくる。

「戻りましたか、セイバー。
 そちらの首尾は如何でしたか?」

他の人間には聞こえぬように小声でアシュヒトは声の主、テレサへと返答する。

『アーチャーらしいのとバーサーカーと戦ってみて、
 アサシンにばっさりと肩口をやられたよ』

さも愉快そうに笑うテレサに少しだけアシュヒトは眉間に皺を寄せる。

「深入りはしないように注意した筈ですが」

ふぅとため息をつき、アシュヒトは眼鏡を光らせる。
実際には光った訳ではないが、それだけの迫力を青年は持っている。

『まぁ、いいじゃないか。 負傷の方は差して問題ない。
 アサシンがアーチャーに気を取られている間に直したからな』

「……まぁいいでしょう、次からは気をつけてください」

テレサの態度にそれ以上は言っても無駄だと察してアシュヒトは追求は諦める。

『それで、この後は如何するんだ?』

「そうですね、まずはこの人から情報を引き出したいですね。
 どこか身を置ける場所を探しましょう」

ふ~ん、と鼻を鳴らしたテレサが何かに気づいて声を上げる。

『おい、あそこなんて如何だ? 何かキラキラしてて面白そうだぞ?』

テレサの声に従って青年が示された場所に顔を向ける。
それはごてごてとした装飾が施された建物で入り口には
【ご休憩:○○○○円】等と記された看板が立っている。

「却下します」

その施設の存在意義を察したアシュヒトは即座に提案を却下するのであった。


【新都・蝉名マンション付近/未明】
【アシュヒト=リヒター@エンバーミング】
[状態]:健康(残令呪使用回数:3)

【セイバー(テレサ)@クレイモア】
[状態]:負傷(軽微)、魔力消費(小)

【園崎詩音@ひぐらしのなく頃に】
[状態]:気絶・右腕にかすり傷(処置済み)(残令呪使用回数:3)

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