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「お前が俺のマスターか」 と、俺は問われた。 必要なものは、覚悟だ。 殺す覚悟。殺される覚悟じゃない。 俺はこの手で人を殺す。 縁もゆかりも恨みもない、顔も名前も知らない24人……いや、48人を全て殺し尽くす。 望みを叶えるために。大切なものを取り戻すために。 勝手だと、横暴だと。 いいや、それが吐き気を催すほどのゲスな考えだとわかってはいる。 だが構わない。 一度この手からこぼれ落ちた大切なもの……「  」を、もう一度取り戻せるなら。 だから俺は、自分の意志で、ここにいる。 自分の意志で――人を殺す。 「そうだ」 だから、そう応えた。 だが応える前からわかっていた。 こいつの眼を見た瞬間から。 こいつは、俺の同類だ――     ◆ 「お前が俺のマスターか」 と、俺は問うた。 必要なものは、戦略だ。 俺は自分をただの刀だと自負している。自慢じゃないが頭を使う事は得意じゃない。 人を殺すのに覚悟なんて必要ない。 そんなもの、もう必要ないくらいに俺は人を斬る事に慣れ過ぎている。 本当は、もう人を斬るつもりはなかった。 全部放り出して、逃げ出して。忘れようと思っていた。 でも、ただ一つ。一つだけ、絶対に忘れられない、許容できない死があった。 それを、覆せるなら……あいつの、「 」の死を、俺の罪を。 無かった事にできるのなら。 だから俺は、自分の意志で、ここに来た。 自分の意志で――人を斬る。 「そうだ」 そして、俺は応えられた。 だが応えられる前からわかっていた。 こいつの眼を見た瞬間から。 こいつは、俺の同類だ――     ◆ 右手の甲を撫でる。 そこにはまるで、翼を広げた鳥のような――鷹、のような文様が刻まれている。 令呪と言うらしい。俺の相棒――サーヴァント、に対する絶対的命令権。 「使いどころを間違えるなよ」 窓から外を見ていた、俺と大体同じくらいの背丈のそいつが言う。 サーヴァント。俺の相棒。頬に刻まれた十字傷。 殺し尽くすべき48人に含まれない、現在ただ一人の俺の仲間――いいや、武器、か。 俺とほぼ同年代のくせにぞっとするくらい冷たい眼をしている。 でも多分、今のおれも似たような眼をしているのだろう。 俺達は互いに利害と目的の一致を見た。 だからか、こいつは特に衝突も無く俺の言葉に従ってくれている。幸先のいい始まりだ。 「わかってるよ」 そう言って、俺は懐からもう一つの武器を取り出す。 銃だ。拳銃。手にずっしりと重い、人を殺傷するための鋼鉄の筒。 手にするのは二度目だ。一度目は、ある殺し屋と相対したとき。 そのとき俺は震えていたかもしれないが、今は――はは。笑える、嫌になるくらい何も感じない。 怖いと思うのはもう通り過ぎている。そう。 そのお祭りは、すでにやったじゃないか。 さすがに直に人に当てた事はない。でもあのとき邪魔が入らなければ、多分当てていた。人を殺していたんだ。 二度目だ。ならもう、俺は揺らがない。一本の木のように、立ち尽くしていられる。 ぐっと足に力を込めて立ち上がる。まさか自分の家がスタート地点だと思わなかった。 多分、そう見せかけているだけのただの偽物なんだろうけど。 それでも、思い出す事はできた。俺の一番大切なものが何なのかを。 「行こうか、サーヴァント」 「ああ。マスター」 ん、これは堅苦しいかな。 俺の命を預けるんだから、やっぱ名前で呼ばないとな。 「勝つぞ――剣心」 「無論だ――潤也」 【参加者No.2 安藤潤也@魔王 ジュブナイルリミックス】 【サーヴァント:アサシン(緋村剣心)@るろうに剣心】

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