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衛宮たちから別れたルルーシュとガウェインは、深山町の空き家に進入し居間の椅子に座っていた。 明かりを射してない部屋でうな垂れるその姿は、普段の自尊心が高く、クールな性格からは考えられないほど、ルルーシュの顔には影が差していた。 先刻の衛宮切継の言葉、そして金田一一を自分のミスで死なせてしまった事実が、ルルーシュの心を苛んでいた。 黒の騎士団のゼロとして振舞っていた頃は、偽悪者、復讐者、反逆者として結果のみを追い求める非情な態度を貫いていた。 しかしそれはルルーシュの一面でしかない。 彼の元来の性格は、正義感が強く実直で、ギアスを獲得する以前から困っている人を見ると放っておけず、渦中に飛び込み救いの手を差し伸べるなど人間的に優しく情に厚い。 それゆえルルーシュは、金田一の死を悼んでいたし、後悔していた。 そうして、どれほど時間がたったのだろう。 ふいにポツリと、ルルーシュが口を開いた。 「ガウェイン。」 「ハイ。」 「・・・すまなかった、もう大丈夫だ。」 背後に佇む己の騎士には、取り返しのつかない過ちを自分のせいで犯させてしまった。 衛宮切継の言うとおり、心の中に慢心があったのだろう。 絶対遵守の力に。 自分の頭脳とそれによって立てられた戦略に。 大国を相手に渡り合ってきた経験に。 驕ることはしなかったが、過信はしていた。 過信したがゆえに、金田一とライダーは死に、ガウェインに仲間殺しの罪を犯させてしまった。 それでもこの騎士は、決して責めることをせずルルーシュを守った。 そのことがルルーシュには今は有難かった。 「金田一には謝りきれんな・・・せっかくの忠告を無駄にしてしまった。」 「あまり自分を責めないでくださいルルーシュ。あなたは最善を尽くされた。それにハジメ殿も、あなたを決して責めませんでした。」 ガウェインの慰めの言葉は嬉しく、そして苦しくもあった。 「我ながら弱くなったものだな・・・。たった数時間一緒にいた奴が死んだだけで、こうも動揺するとは・・・。」 「ルルーシュ・・・」 「心配するなガウェイン。言っただろう、もう大丈夫だと。」 だが・・・っと立ち上がり外を睨み付ける。 まるでそこに仇敵がいるかのように、紫の瞳に強い意思を宿らせる。 「衛宮切継・・・。借りは返させてもらうぞ。」 振り返り己の従者の前に立ち、真っ直ぐに目を見る。 「頼むガウェイン。まだ俺を主と呼ぶのならば、俺に力を貸してほしい。」 「ルルーシュ、主君たる者が気安く頼むなどと口にしてはなりません。」 そしてガウェインは、膝を突き頭を垂れる。 「この身は貴方の剣。どうかご命令を、ルルーシュ!貴方の剣たる私に、聖杯戦争を破壊せよと!」 ルルーシュは驚いた表情をしたが直ぐに毅然とした顔に戻り、太陽の騎士に命を下す。 「サー・ガウェインよ。我が剣となり、聖杯戦争を終わらせよ!」 「騎士の名の下に!」 その宣言と共に、脱いであった上着を羽織り外に出る。 その後ろからガウェインも供に進みだす。 先ほど金色の閃光が空に向かって放たれたのを見た。 間違いなく衛宮のセイバーの宝具の力だろう。 「行くぞガウェイン!」 「ハイ!ルルーシュよ!」 目指す先は柳桐寺――― 王と騎士は歩き出す・・・・・ 「こんなところでしょうか。」 気絶した士郎を空き部屋に運び、布団を敷いて横たわらせる。 外傷こそは無いが魔力の急激な消耗による魔力回路の負荷は、回復には暫らくかかるだろう。 「コナタたちともなるべく早く合流したいのですが・・・ やはり暫らくは動けませんね。」 こちらの方に敵が来ても、今の自分なら最悪でも士郎を連れて逃げることは可能だ。 それよりも心配なのは、コナタやるルルーシュたちの方へ敵が襲撃される事だった。 無論ガウェインもオーズの強さは知っている。 並大抵の相手には遅れをとらないだろう。 しかしマスターの方はそうはいかない。 切継のような参加者に当たった場合、コナタやルルーシュでは勝てないだろう。 だが今士郎を動かす訳にもいかず、結局のところ無事を祈るしかないのだ。 その時、士郎のポケットに入っている携帯電話から着信が入った。 一応警戒しながら通話ボタンを押す。 「もしもし、一体誰で『その声はセイバーか?』っ!ルルーシュ!?」 数時間前に別れた仲間からの連絡に驚くも、すぐに気持ちを切り替える 「ルルーシュ、大丈夫ですか!?ガウェインは!?」 『すまない、心配をかけたようだな。 もう俺は大丈夫だ。ガウェインも無事だ。』 覇気の戻った声に安堵する。 きっとガウェインのおかげで持ち直すことができたのだと、内心嬉しく思いつつ通話を続ける。 「いまどこにいるのです?私と士郎は柳桐寺です。」 『俺たちは学園前だ、泉たちは一緒じゃないのか?』 「・・・そのことで話があります。」 星海原学園の校門前で、ルルーシュは携帯を片手にあて話していた。 近くでガウェインが霊体化してあたりを警戒しており、ルルーシュ自身も注意深く周りを見ていた。 アルトリアの宝具が使われてから時間が経過していたため行き違いになることを防ぐため、わかり易い場所の学園前まで来ると予め衛宮に渡していた携帯を使う。 そして衛宮の代わりに電話に出たアルトリアから、今までに起こった出来事についてすべてを聞いた。 「なるほど、天海陸の本性に衛宮切継の襲撃か・・・」 『はい、あいにくこちらは直ぐに動くことができません。切継の方も今は行動を起こさないとは思いますが・・・』 「泉たちか?確かあのディケイドとやらは泉のライダーに執着しているようだったが。」 『おそらくディケイドは再び現れるでしょう。今度は確実に、オーズを破壊するために。』 僅かに思案するルルーシュ。衛宮のセイバーが本調子に戻ったとはいえ、今現在衛宮自身は身動き取れない状況にいる。 こちらも柳桐寺に向かい衛宮たちと合流するのもいいがその場合泉たちが危険に晒される。 メリットとデメリット、様々なパターンを頭に思い浮かべる。 「セイバー、お前たちは回復に専念しろ。俺とガウェインは泉たちと合流する。」 『いいのですかルルーシュ?私としては助かりますが・・・」 「問題ない、泉たちは遠坂凛の家に向かったんだな? 俺とガウェインが今から向かってそのまま遠坂邸で篭城する。お前と衛宮は回復しだい連絡してこちらに向かってくれ。 もし遠坂邸が拠点にできなかったら改めて連絡する。」 『わかりました。コナタたちをお願いしますルルーシュ。』 「ああ、では切るぞ。」 『あ、待ってくださいルルーシュ。』 通話を終えようとする前に、アルトリアから最後にこれだけは、と待ったをかけられる。 『気をつけてくださいルルーシュ、どうか無事で。』 「―――ああ、そっちも気をつけておけ。他の参加者が来る可能性もゼロではないからな。」 そういって今度こそ通話を終えた。 そしてセイバーから聞いていた遠坂邸へ向けて歩き出す。 そして歩きながらギアスについて考えていた。 (絶対遵守のギアスもこの場ではあまり信用できないな。 過度の期待はせず通じたら運がいいと思うぐらいが丁度いいか・・・) すでに敵に対して三度も遅れをとっている。 相手がどんな手段を持っているか解らない以上、これからはギアスが通用しないと仮定した上で行動したほうがよさそうだ。 「さて、念のためだ。」 近くを歩いていたNPCにギアスをかける。 『柳桐寺に近づくものがいたら連絡しろ。』 この命令を数人にかけて柳桐寺付近に配置させる。 直接柳桐寺を見張るのは違反になるが、その方向に近づくものを報告させるのは違反にはならない。 もっとも柳桐寺の近くにいるNPCまで報告されるという欠点もあるが、これで奇襲に対して僅かながら有利になるだろう。 (もっとも、これもあまり当てにするべきではないな。引っかかればラッキー程度に思っておくとしよう。) 「さて、まずは泉たちと合流、できたら遠坂邸で資料も探す。他にもやることも多いな。」 金田一とライダーの死はやはり大きな痛手だ。 彼らは聖杯戦争の破壊に必要な人材だった。 だが、嘆いたり後悔は十分した。あいつらの分も俺が頭を働かせなければならない。 「さて、行くかガウェイン。」 「はい、ルルーシュ。」 黒の皇帝と太陽の騎士 名探偵と軍師に心の中で別れを告げ、彼らの想いを受け継ぎ歩き出す。 彼らの頭上には、正しき道を照らす太陽が輝いていた。 【深山町・月海原学園校門前/午後】 【ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア@コードギアス反逆のルルーシュ】  [令呪]:1画  [状態]:健康  [装備]:携帯電話、ニューナンブ  [思考・状況]  基本行動方針:聖杯戦争の破壊もしくは封印し、自らの人生を完結させる  1.遠坂邸に行き泉こなたと合流する  2.衛宮切継に借りを返す  3.ギアスの力を過信しない  ※柳桐寺付近にNPCにギアスをかけました【柳桐寺に近づく奴がいたら連絡する】  ※アルトリアから別れてから今までに起こったことの詳細を聞きました 【セイバー(ガウェイン)@Fate/extra】  [状態]:健康  [基本行動方針]ルルーシュに従い聖杯を破壊もしくは封印する 【深山町・柳洞寺/午後】 【衛宮士郎@Fate/stay night】 [令呪]:2画 [状態]:疲労(大)、魔術回路への負荷(中)、気絶中 [装備]:携帯電話、ICレコーダー ※反魔の水晶は消滅しました ※紅の暴君の投影に成功しました。 柳洞寺から魔力を汲み出すことが出来ますが、伐剣覚醒を始めとした魔剣の力による恩恵は一切受けられません また、破壊されたり破却した場合は再度投影し、土地に剣を突き立てる必要があります 【セイバー(アルトリア・ペンドラゴン)@Fate/stay night】 [状態]:健康、魔力充実 [道具]:紅の暴君(投影)@サモンナイト3 ※ムーンセルに課せられていた能力制限が解除されました ※ムーンセルから得られる知識制限が解除されました

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