過去問 > 2011年度夏学期


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問題Ⅰ

(a)

 1+\sqrt{2} を連分数展開する問題。
 1+\sqrt{2} は白銀数δ S とか呼ばれるらしいです。
連分数展開するときれいになります。親切設計です。
<解法1>
覚えていた。

<解法2>
とりあえず計算した。
1+√2=2.41...なので、整数部分は2。
小数部分の逆数は、 \frac{1}{(1+\sqrt{2})-2}=\frac{1}{\sqrt{2}-1}=1+\sqrt{2}
早くも循環したのであとはずっと2。

ということで答えは、
 1+\sqrt{2} = 2+\cfrac{1}{2+\cfrac{1}{2+\cfrac{1}{2+\cfrac{1}{\ddots}}}} (終)

連分数展開について詳しくは、1学期最終講義

(b)

 e^{\pi i/3} を計算する問題。
オイラーの公式を覚えているかのチェック。
<解法1>
過程を書かない場合。
複素平面に単位円を書いて、座標が1の点から反時計回りにπ/3だけ進むと1/2+i√3/2。

<解法2>
過程を書く場合。
 e^{\pi i/3} = \cos {\pi/3} + i\sin{\pi/3} = \frac{1}{2} + i\frac{\sqrt{3}}{2} (終)

問題Ⅱ

(a)

 \sum_{n=1}^\infty \frac{n}{2^n} の収束性を調べ、その値を計算する問題。
大学入試で良く見るやつ。今年(2013)の東大前期の数学(理科)第3問にも登場しました。
<収束判定1>
ぱっと見で判定する。
2^n は n^3 より強く発散するので、n/2^n は n/n^3 = 1/n^2 よりも速く零に近づく。
ここで、1/n^2 は収束するので n/2^n も収束する。

<収束判定2>
コーシーの判定法は使えますが、ダランベールの判定法を使うのが楽です。
ということで、lim(a n+1 /a n )を計算します。
 a_{n+1}/a_n = \frac{n+1}{2^{n+1}} \Big / \frac{n}{2^n} = \frac{n+1}{2n} \xrightarrow{n\to\infty} \frac{1}{2} &lt; 1
収束値が1より小さいので級数は収束。

<解法1>
とりあえず足した。
足し算の順番を入れ替えていますが、絶対収束することが前提です。
つまり、あらかじめ収束を確認する必要があります。
1/2が1個、1/4が2個、1/8が3個、1/16が4個、1/32が5個…を足せば良い。
まず1個目は、1/2,1/4,1/8,1/16,1/32...なので足すと1。
2個目は1/2は無くて、1/4,1/8,1/16,1/32...なので足すと1/2。
同様に3個目は、1/8,1/16,1/32...なので足すと1/4。
4個目は足すと1/8。以下同様。
したがって、全部足すと1+1/2+1/4+1/8+1/16+...=2

<解法2>
部分和を計算します。
この解法の場合、収束を確認する必要がありません。
\begin{align}
\sum_{n=1}^N \frac{n}{2^n} & = \sum_{n=1}^N \left( \frac{n}{2^{n-1}}-\frac{n}{2^n} \right) \\
& = \sum_{n=1}^N \left( \frac{n-1}{2^{n-1}}-\frac{n}{2^n}+\frac{1}{2^{n-1}} \right) \\
& = \sum_{n=1}^N \left( \frac{n-1}{2^{n-1}}-\frac{n}{2^n} \right)+\sum_{n=1}^N \left( \frac{1}{2^{n-1}} \right) \\
& = \frac{0}{2^0}-\frac{N}{2^N}+\left( 2-\frac{1}{2^{N-1}} \right) \\
& \xrightarrow{N\to\infty} 2
\end{align}

(b)

 \lim_{x \to 0} \frac{x-\tan x}{x-\sin x} を計算する問題。
<解法1>
ロピタルの定理。講義では扱わなかったはずだが、受験で使った人もいるらしい。
分子は微分すると、1-1/(cosx)^2
分母は微分すると、1-cosx
ロピタルの定理より(最初の変形)、
 \lim_{x \to 0} \frac{x-\tan x}{x-\sin x} = \lim _{x \to 0} \frac{1-\frac{1}{\cos^2x}}{1-\cos x} = \lim _{x \to 0} \frac{\cos^2x-1}{\cos^2x(1-\cos x)} = \lim _{x \to 0} -\frac{1+\cos x}{\cos^2x} = -2

<解法2>
分子、分母を係数が0でなくなるまでテイラー展開。
分母は、 0+0x+0x^2+x^3/6+\cdots
分子は、tanの展開を覚えていればそれでよい。
覚えてなくても地道に、
 (x-\tan x)' = 1-(1+\tan^2x) = -\tan^2x \overset{x=0}{=} 0
 (-\tan^2x)' = -2\tan x(1+\tan^2 x) = -2(\tan x+\tan^3x) \overset{x=0}{=} 0
 (-2(\tan x+\tan^3x))' = -2( (1+\tan^2x)+3\tan^2x(1+\tan^2x) ) = -2(1+3\tan^2x)(1+\tan^2x) \overset{x=0}{=} -2
と計算すれば、 x-\tan x = 0+0x+0x^2+(-2)x^3/6+\cdots とわかるので、
 \lim_{x \to 0} \frac{x-\tan x}{x-\sin x} = \lim _{x \to 0} \frac{(-2)x^3/6+\cdots}{x^3/6+\cdots} = -2

(c)

 \frac{d^2}{{dx}^2} \sqrt{1+x^2} を計算する問題。
(うまい解法があったら教えてください)
<解法1>
 \left(\sqrt{1+x^2}\right)' = \frac{2x}{2\sqrt{1+x^2}} = \frac{x}{\sqrt{1+x^2}}
 \left(\frac{x}{\sqrt{1+x^2}}\right)' = \frac{1 \cdot \sqrt{1+x^2} - x\frac{x}{\sqrt{1+x^2}}}{1+x^2} = \frac{(1+x^2) - x \cdot x}{(1+x^2)\sqrt{1+x^2}} = \frac{1}{(1+x^2)^\frac{3}{2}}

<解法2>
後半で対数微分法を使う場合。
 \left(\frac{x}{\sqrt{1+x^2}}\right)' = \frac{x}{\sqrt{1+x^2}} \left(\log \left| \frac{x}{\sqrt{1+x^2}} \right| \right)' = \frac{x}{\sqrt{1+x^2}} \left(\log |x| - \frac{1}{2} \log(1+x^2) \right)'
 = \frac{x}{\sqrt{1+x^2}} \left(\frac{1}{x} - \frac{x}{1+x^2} \right) = \frac{x}{\sqrt{1+x^2}} \cdot \frac{1}{x(1+x^2)} = \frac{1}{(1+x^2)^\frac{3}{2}}

問題Ⅲ

テーラー展開をするという問題。

(a)

(1)は覚える。(2)は説明不要。(3)は導けなければ覚える。ここまではテーラー展開の例に載せてあります。

(1)

 \sin x = x - \frac{x^3}{3!} + \frac{x^5}{5!} - \frac{x^7}{7!} + \cdots

(2)

 \frac{1}{1-x^2} &amp; =  1 + x^2 + x^4 + x^6 + \cdots \, (-1&lt;x&lt;1)

(3)

 \arcsin x = x + \frac{1}{2}\cdot\frac{x^3}{3} + \frac{1 \cdot 3}{2 \cdot 4}\cdot\frac{x^5}{5} + \frac{1 \cdot 3 \cdot 5}{2 \cdot 4 \cdot 6}\cdot\frac{x^7}{7} + \cdots \, (-1 \le x \le 1)

(4)

 x\frac{\cos x}{\sin x} = 1-\frac{x^2}{3}-\frac{x^4}{45}-\frac{2x^6}{945}-\frac{x^8}{4725}-\cdots
今回の鬼問。答えだけ載せておきます。
詳細は以下を参照してください。手に負えません。
2012年度夏学期数学IB演習(1年 理科一類23~28組) で、2012年6月14日に実施された小テスト
問題:http://www.ms.u-tokyo.ac.jp/~hosaka/2012_summer/20120614.pdf
解答:http://www.ms.u-tokyo.ac.jp/~hosaka/2012_summer/20120614ans.pdf

(b)

 \frac{\pi^2}{6} = 1+\frac{1}{2^2}+\frac{1}{3^2}+\frac{1}{4^2}+\cdots を証明する問題。
前ばらし問題です。ちなみに「バーゼル問題」という有名な問題です。
 \sin x = x\left(1-\frac{x^2}{\pi^2}\right)\left(1-\frac{x^2}{4\pi^2}\right)\left(1-\frac{x^2}{9\pi^2}\right)\cdots ...(*)は既知とする。
右辺を展開すると
 x-x\left(\frac{x^2}{\pi^2}+\frac{x^2}{4\pi^2}+\frac{x^2}{9\pi^2}+\cdots\right) +(5次以上の項)
となるので、
式(*)の右辺のx 3 の係数は
 -\left(\frac{1}{\pi^2}+\frac{1}{4\pi^2}+\frac{1}{9\pi^2}+\cdots\right)
一方、
 \sin x = x - \frac{x^3}{3!} + \frac{x^5}{5!} - \frac{x^7}{7!} + \cdots より
式(*)の左辺のx 3 の係数は -1/3! したがって、
 -\frac{1}{3!} = -\left(\frac{1}{\pi^2}+\frac{1}{4\pi^2}+\frac{1}{9\pi^2}+\cdots\right)
ゆえに、 \frac{\pi^2}{6} = 1+\frac{1}{4}+\frac{1}{9}+\cdots

問題Ⅳ

 f(x, y)=x^2y^2-x^2y-xy^2+xy という関数の極値と鞍点を調べる問題。
とりあえずいつもの流れで行きます。
偏微分して、
 \begin{cases} f_x(x, y)=2xy^2-2xy-y^2+y=(2x-1)(y^2-y) \\ f_y(x, y)=2x^2y-x^2-2xy+x=(x^2-x)(2y-1) \end{cases}
 f_x=0, f_y=0 とすると、
x=1/2のときはy=1/2
そうでないときはy=0,1で、どちらにしてもx=0,1
したがって、極値と鞍点の候補は(1/2, 1/2), (0, 0), (0, 1), (1, 0), (1, 1)
さらに偏微分して、
 \begin{cases} f_{xx}(x, y)=2y^2-2y=2y(y-1) \\ f_{xy}(x, y)=4xy-2x-2y+1=(2x-1)(2y-1) \\ f_{yy}(x, y)=2x^2-2x=2x(x-1) \end{cases}
よってヘッセ行列は、
 H(x, y)=\begin{pmatrix} 2y(y-1) &amp; (2x-1)(2y-1) \\ (2x-1)(2y-1) &amp; 2x(x-1) \end{pmatrix}
 |H(1/2, 1/2)|=\begin{vmatrix} -1/2 &amp; 0 \\ 0 &amp; -1/2 \end{vmatrix}=1/4 が正なので極値。f xx <0なので極大。
 |H(0, 0)|=\begin{vmatrix} 0 &amp; 1 \\ 1 &amp; 0 \end{vmatrix}=-1 が負なので鞍点。
|H(0, 1)|, |H(1, 0)|, |H(1, 1)| についても同様に負なので鞍点。
したがって、
極値:(1/2, 1/2)で極大
鞍点:(0, 0),(0, 1),(1, 0),(1, 1)
この問題ではありませんでしたが、ヘッセ行列式|H|が零となる困った点については
グラフを描くなど頑張って調べる必要があります。

問題Ⅴ

(a)

閉区間[0, 1]上に定義され、つねに0以上1以下の値をとる連続関数f(x)について、
c=f(c) を満たす実数 c∈[0, 1] が存在することを示す問題。
中間値の定理。
f(0)=0の場合やf(1)=1の場合は明らかなので、それ以外の場合を考える。
g(x)=f(x)-x とすると、g(x)は連続関数。
仮定よりf(0)>0なので、g(0)=g(0)-0>0
仮定よりf(1)<1なので、g(1)=f(1)-1<0
よって、中間値の定理より、g(c)=0なる実数cが(0, 1)に存在する。 ∥

(b)

 e^{x+y}=e^xe^y を示す問題。
頑張ればできるレベルの問題。
とりあえず以下の説明が分かりやすいので読んでください。
指数関数の冪級数から指数法則を導く:http://wasan.hatenablog.com/entry/20110429/1304095039

(c)

ネピアの数eが実数になることを示す問題。
解けるとうれしいですが、方針が分かっているかがより重要。
eを定義する数列が収束することを示せばよいです。
§4 有界な単調数列の収束性の大半を割いて解説しています。
(読みにくくてすいません。)