§ 連続関数


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連続の定義
f(x)を閉区間[a, b]で定められた実数値関数とする。
つまり、任意のx∈[a, b]に対して実数f(x)が決められている。
f(x)は実数なのだからもちろん有限の値である。

定義 1.22
f(x)が[a, b]に含まれる点yで連続であるとは、
(※) xがyに限りなく近づくときf(x)もf(y)に限りなく近づくこと
と定める。
f(x)が任意のy∈[a, b]で連続のとき
f(x)は[a, b]で連続であるという。

(※)は次のようにも表現できる。
\lim_{y\to x} f(y) = f(x)
もちろんyは「xと異なる値をとりながら」「xの両側から」xに近づくのである。
+ plus ε-δ論法で※を表現



これから証明したいことは以下の3つである。
定理 1.23 (中間値の定理)
f(x)が[a, b]で連続、f(a)<0、f(b)>0 とすると、
あるc∈(a, b)においてf(c)=0となる。
定理 1.24 (最大値、最小値の存在)(夏学期の大定理)
[a, b]上の連続関数は、その区間内に最大値、最小値をもつ。
定理 1.25
f(x)が[a, b]で連続、内点c∈(a, b)でf(c)>0とする。
このとき、cを含み、任意のx∈Uに対してf(x)>0となるような閉区間Uが存在する。
定理 1.23と定理 1.25は比較的あっさりと証明できる。
そのあとは、定理 1.24を証明するのに以下の2つを使いたいので証明し、
定理 1.26 (ボルツァーノ=ワイヤシュトラスの定理)
任意の有界な数列a n は、収束する部分列a n(k) をもつ。
言い換えると、
全てのnでa n ∈[a, b]のとき、a n の部分列a n(k)
\lim_{k \to \infty}a_{n(k)}=c \in[a, b]
を満たすものが存在する。
命題 1.27
有界な数の集合A(ただしA≠ø)には上限sup(A)、下限sub(A)が存在する。
最終的には定理 1.24の証明を完成させる。



定理 1.23、定理 1.25 の証明

定理 1.23 (中間値の定理)
f(x)が[a, b]で連続、f(a)<0、f(b)>0 とすると、
あるc∈(a, b)においてf(c)=0となる。
Proof.
f(c)=0となるcをがんばって見つければよい。
区間[a, b]に対し二分法を用いる。
条件は、
「中点での値が正なら下半分を、負なら上半分を選ぶ」
零ならもちろんその時点で題意を満たすので終了。
得られた区間をI n =[a n , b n ]、実数をcとおくと、
lim a n =lim b n =c である。
f(x)は連続関数であったから、lim f(a n )=lim f(b n )=f(c) ...(1)
f(c)=0を示そう。
選んだ条件より、a n <0、b n >0
よってlim f(a n )≦0、lim f(b n )≧0
(1)より、f(c)=0 ∥

定理 1.25
f(x)が[a, b]で連続、内点c∈(a, b)でf(c)>0とする。
このとき、cを含み、任意のx∈Uに対してf(x)>0となるような閉区間Uが存在する。
Proof.
背理法で証明する。
「cを含み、任意のx∈Uに対してf(x)>0となるような閉区間Uが存在する」の否定は、
「cを含む任意の閉区間は、f(x)≦0となるxを含む」
cを含む任意の閉区間は、f(x)≦0となるxを含むと仮定する。
閉区間の列を、cを含んだまま長さが0に収束するようにとると、
どの閉区間も0以下のの値をとる点を含むという仮定から、0以下の値をとる点の列a n を作れる。
f(a n )≦0、lim a n =c
f(a n )≦0よりlim f(a n )≦0
ここで、c>0なのでlim f(a n )≠0
これはf(x)が連続であることに反する。 ∥



定理 1.26 の証明

部分列の定義
a n の部分列とは、a n からいくつかの要素を取り除いてできる数列である。
たとえば、
 a_2, a_3, a_5, a_7, a_{11}, \ldots はa n の部分列である。
 a_4, a_6, a_8, a_9, a_{10}, \ldots はa n の部分列である。
実際「取り除く」ではなく「選び出す」でもいいのだが、
「いくつかの要素を選び出して」と書かなかったのは、
順番を入れ替えないということを明確にするためである。
言い換えると、
自然数の増加列n(k) ( n(k)∈N, n(1)<n(2)<n(3)<… )
に対し、a k(n) をa n の部分列という。

定理 1.26 (ボルツァーノ=ワイヤシュトラスの定理)
任意の有界な数列a n は、収束する部分列a n(k) をもつ。
言い換えると、
全てのnでa n ∈[a, b]のとき、a n の部分列a n(k)
\lim_{k \to \infty}a_{n(k)}=c \in[a, b]
を満たすものが存在する。

+ plus 「含む」の使い方
Proof.
a n(k) が収束するようなn(k)をがんばって作ればよい。
区間[a, b]に対し二分法を用いる。
条件は、
「下半分と上半分のうち、無限に多くのa n を含むものを1つ選ぶ」
a n は有限数列なので、少なくともどちらか一方には無限個の要素が含まれるはず。
得られた区間をI n 、実数をcとおく。
まず、n 1 =1とする。
選んだ条件よりI k+1 には無限個のa n が含まれるので、n(k)より大きな番号のものも存在するはず。
そのようなものを1つ選んでその番号をn(k+1)とする。
このようにすれば a n(k+1) ∈ I k+1 かつ n(k) < n(k+1) になる。
a 1 ∈[a, b]=I 1 なので、a n(k) ∈ I k
I n の端点はどちらもcに収束するので、a n(k) もcに収束する。 ∥



命題 1.27 の証明

上界、下界、上に有界、下に有界、有界、上限、下限の定義

実数Mが実数の集合Aの上界であるとは、任意のx∈Aに対してx≦Mとなることとする。
実数Lが実数の集合Aの下界であるとは、任意のx∈Aに対してx≧Lとなることとする。

実数の集合Aが上に有界とは、Aに上界Mが存在することとする。
実数の集合Aが下に有界とは、Aに下界Lが存在することとする。
上にも下にも有界であるとき、単に有界という。

Aの上界のうち最小のものを上限sup(A)といい、
Aの下界のうち最大のものを下限inf(A)という。

(例)

集合A={0, 0.9, 0.99, 0.999, ...}を考える。
Aの最小値は0だが、最大値は存在しない。
1以上の実数はすべてAの上界である。上界の集合U(A)には最小の元1が存在するので、sup(A)=1
0以下の実数はすべてAの下界である。下界の集合L(A)には最大の元0が存在するので、inf(A)=0
Aには上限も下限も存在した。
(例)おわり

上界が存在するとき、最小の上界は存在するのだろうか?

命題 1.27.改1 (上限性質)
空集合でなく上に有界な数の集合Aには上限sup(A)が存在する。

Proof.
最小の上界をがんばって見つければよい。
Aの上界のひとつをMとする。
Aの元をひとつ選び、それよりも小さい実数L'をとる。
すると、区間[L', M]上にAの元が少なくとも一つ存在する。
区間[L', M]に対し二分法を用いる。
条件は、
「上半分にAの元が存在すれば上半分を選ぶ。」
得られた区間をI n =[a n , b n ]、実数をcとおく。
上半分を選ぶのはAの元が上半分に存在するとき。したがって、a n はAの上界でない。
下半分を選ぶのはAの元が上半分に存在しないとき。したがって、b n はAの上界である。
またこのとき、Aの元が下半分に少なくとも一つ存在するはずなので、分割はいつまでも続けられる。

まず、cはAの上界であることを示す。
cがAの上界でない、つまり、Aの元xでc<xをみたすものが存在すると仮定する。
n→∞でb n →cなので、nを十分大きくするとc<b n <xとできる。
これは、b n がAの上界であることに反する。
ゆえに、cはAの上界である。
次に、Aの上界で、cより小さいものがないことを示す。
Aの上界yでy<cをみたすものが存在すると仮定する。
n→∞でa n →cなので、nを十分大きくするとy<a n <cとできる。
すると、yがAの上界であることから、a n もまたAの上界となるが、
これはa n がAの上界でないことに反する。
ゆえに、Aの上界でcより小さいものはない。 ∥

+ plus 上限性質は公理?

命題 1.27
有界な数の集合A(ただしA≠ø)には上限sup(A)、下限sub(A)が存在する。

Proof.
命題 1.27.改1 をAの上界と下界について適用すれば得られる。 ∥



定理 1.24の証明


定理 1.24 (最大値、最小値の存在)(夏学期の大定理)
[a, b]上の連続関数は、その区間内に最大値、最小値をもつ。

Proof.
f(x)を、[a, b]上で定義された連続関数とし、値域をAとする。
すなわち、A=\{f(x)|x\in [a, b]\}

まず、Aが上に有界であることを背理法で示す。
Aが上に有界でないと仮定すると、
f(a_n)&gt;2^nとなるような数列a n ∈[a, b]がとれる。
一方、定理 1.26 (ボルツァーノ=ワイヤシュトラスの定理) より、a n の部分列a n(k) で、収束するものが存在する。
すなわち、
\lim_{k \to \infty}a_{n(k)} = \alpha \in [a, b]
ここで、
\lim_{k \to \infty}f(a_{n(k)}) \le \lim_{k \to \infty}2^{n{(k)}} = \infty
より、
\lim_{k \to \infty}f(a_{n(k)}) = \infty \ne f(\alpha)(有限)
これはf(x)がx=αで連続でないことを意味するので矛盾。
ゆえにAは上に有界である。

これと命題 1.27.改1 (上限性質) より、Aの上限mが存在する。

mは上界で、mより小さい上界は存在しないから、mのすぐ下(mを含む)にはAの元が待ち構えている。
これを数学のことばで表現すると…
mは最小の上界だから、
m-1/2^n &lt; f(b_n) &lt; mとなるような数列b n がとれる。
また、定理 1.26 (ボルツァーノ=ワイヤシュトラスの定理) より、b n の部分列b n(k) で、収束するものが存在する。
すなわち、
\lim_{k \to \infty}b_{n(k)} = c \in [a, b]
ここで、
\lim_{k \to \infty}f(b_{n(k)}) \le \lim_{k \to \infty}m-1/2^{n{(k)}} = m
だから、はさみうちの原理より、
\lim_{k \to \infty}f(b_{n(k)}) = m
f(x)は連続なので、\lim_{k \to \infty}f(b_{n(k)}) = f(c)
ゆえにf(c)=mが成り立ち、f(x)は点cで最大値mをとる。

最小値についても同様のことが成り立つ。 ∥

これで夏学期の大定理、定理 1.24 (最大値、最小値の存在) が示された。

そういえば命題 1.27 を使わなかった気がする。まあ気のせいだろう。


次:2章 微分法 §1 導関数