§8 曲面の極値

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§8 曲面の極値」(2013/08/31 (土) 22:45:48) の最新版変更点

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#blockquote(){{{(接平面に関する必要条件) 十分滑らかな曲面 z=f(x, y) を考える。 点(x, y)=(a, b)で極値をとるためには $$ \begin{cases} f_x(a, b)=0 \\ f_y(a, b)=0 \end{cases} \cdots (*) $$ となることが必要。}}} α, β は十分小さいとする。 テイラーの公式を用いて (a+α, b+β) での値を α, β の2次式まで見ると、 $$ f(a+\alpha, b+\beta)=f(a, b)+\alpha \underbrace{f_x(a, b)}_{\overset{(*)}{=}0}+\beta \underbrace{f_y(a, b)}_{\overset{(*)}{=}0} +\frac{1}{2}\{\alpha^2 f_{xx}(a, b)+2\alpha\beta f_{xy}(a, b)+\beta^2 f_{yy}(a, b)\}$$ +(3次以上の項) 条件(*)の下では $$ f(a+\alpha, b+\beta)-f(a, b) \cong \frac{1}{2}\{\alpha^2 f_{xx}(a, b)+2\alpha\beta f_{xy}(a, b)+\beta^2 f_{yy}(a, b)\} $$ ここで、右辺は2次形式となっているので、 #blockquote(){{{''ヘッセ行列''と呼ばれる実対称行列 $$ H(x, y) = \begin{pmatrix} f_{xx}(x, y) & f_{xy}(x, y) \\ f_{xy}(x, y) & f_{yy}(x, y) \end{pmatrix} $$ を用いると、 $$ f(a+\alpha, b+\beta)-f(a, b) \cong \frac{1}{2}\begin{pmatrix} \alpha & \beta \end{pmatrix} H(a, b) \begin{pmatrix} \alpha \\ \beta \end{pmatrix}$$}}} #blockquote(){{{命題 2.26 (ヘッセ行列式による極値判定) z=f(x, y) を十分滑らかな曲面とする。 さらに、点(x, y)=(a, b)で f&sub(){x}(a, b)=f&sub(){y}(a, b)=0 となっているとする。 このとき、 (1) $$ |H(a, b)|>0 $$ なら極値で、   f&sub(){xx}(a, b)>0 なら極大点。   f&sub(){xx}(a, b)<0 なら極小点。 (2) $$ |H(a, b)|<0 $$ なら峠点。 $$ |H(a, b)|=0 $$ の場合は判定できないので、他の方法を考える必要がある。}}} '''Proof.''' #blockquote(){{{補題 2.26.1 φ''(t) は連続とする。 φ'(0) かつ φ''(0)>0 ならば、φ(t) は t=0 で狭義の極小。 φ'(0) かつ φ''(0)<0 ならば、φ(t) は t=0 で狭義の極大。}}} 証明は省略する。 $$ |H(a, b)|>0 $$ かつ f&sub(){xx}(a, b)>0 なら、命題 2.25 より 2次形式$$\begin{pmatrix} \alpha & \beta \end{pmatrix} H(a, b) \begin{pmatrix} \alpha \\ \beta \end{pmatrix}$$は正値。 すなわち、任意の (α, β)≠(0, 0) に対して、$$\begin{pmatrix} \alpha & \beta \end{pmatrix} H(a, b) \begin{pmatrix} \alpha \\ \beta \end{pmatrix}>0$$ 左辺は φ''(0) に等しいので、φ''(0)>0 よって 補題 2.26.1 よりφ(t) は t=0 で狭義の極小。 任意の方向 (α, β)≠(0, 0) に対して φ(t) が t=0 で狭義の極小となるということは、 すなわち f(x, y) が点 (a, b) で極小であることを意味する。 f&sub(){xx}(a, b)<0 についても、同様の議論により極大。 $$ |H(a, b)|<0 $$ なら、 正の固有値に対する固有ベクトルの方向には φ''(0)>0 で極小、 負の固有値に対する固有ベクトルの方向には φ''(0)<0 で極大となる。 すなわち峠点である。 ∥ (例) 過去問を参照。 ---- *次:[[1学期最終講義]]

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