過去問 > 2011年度夏学期

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*問題Ⅰ *(a) $$ 1+\sqrt{2} $$を連分数展開する問題。 >$$ 1+\sqrt{2} $$は白銀数δ&sub(){S}とか呼ばれるらしいです。 >連分数展開するときれいになります。親切設計です。 &bold(){<解法1>} 覚えていた。 &bold(){<解法2>} とりあえず計算した。 1+√2=2.41...なので、整数部分は2。 小数部分の逆数は、$$ \frac{1}{(1+\sqrt{2})-2}=\frac{1}{\sqrt{2}-1}=1+\sqrt{2} $$ 早くも循環したのであとはずっと2。 ということで答えは、 $$ 1+\sqrt{2} = 2+\cfrac{1}{2+\cfrac{1}{2+\cfrac{1}{2+\cfrac{1}{\ddots}}}} $$ (終) *(b) $$ e^{\pi i/3} $$を計算する問題。 >オイラーの公式を覚えているかのチェック。 &bold(){<解法1>} 過程を書かない場合。 複素平面に単位円を書いて、座標が1の点から反時計回りにπ/3だけ進むと1/2+i√3/2。 &bold(){<解法2>} 過程を書く場合。 $$ e^{\pi i/3} = \cos {\pi/3} + i\sin{\pi/3} = \frac{1}{2} + i\frac{\sqrt{3}}{2} $$ (終) *問題Ⅱ *(a) $$ \sum_{n=1}^\infty \frac{n}{2^n} $$の収束性を調べ、その値を計算する問題。 >大学入試で良く見るやつ。今年(2013)の東大前期の数学(理科)第3問にも登場しました。 &bold(){<収束判定1>} ぱっと見で判定する。 2^n は n^3 より強く発散するので、n/2^n は n/n^3 = 1/n^2 よりも速く零に近づく。 ここで、1/n^2 は収束するので n/2^n も収束する。 &bold(){<収束判定2>} コーシーの判定法は使えますが、ダランベールの判定法を使うのが楽です。 ということで、lim(a&sub(){n+1}/a&sub(){n})を計算します。 $$ a_{n+1}/a_n = \frac{n+1}{2^{n+1}} \Big / \frac{n}{2^n} = \frac{n+1}{2n} \xrightarrow{n\to\infty} \frac{1}{2} < 1 $$ 収束値が1より小さいので級数は収束。 &bold(){<解法1>} とりあえず足した。 >足し算の順番を入れ替えていますが、絶対収束することが前提です。 >つまり、あらかじめ収束を確認する必要があります。 1/2が1個、1/4が2個、1/8が3個、1/16が4個、1/32が5個…を足せば良い。 まず1個目は、1/2,1/4,1/8,1/16,1/32...なので足すと1。 2個目は1/2は無くて、1/4,1/8,1/16,1/32...なので足すと1/2。 同様に3個目は、1/8,1/16,1/32...なので足すと1/4。 4個目は足すと1/8。以下同様。 したがって、全部足すと1+1/2+1/4+1/8+1/16+...=2 &bold(){<解法2>} 部分和を計算します。 >この解法の場合、収束を確認する必要がありません。 #math(128){{{\begin{align} \sum_{n=1}^N \frac{n}{2^n} & = \sum_{n=1}^N \left( \frac{n}{2^{n-1}}-\frac{n}{2^n} \right) \\ & = \sum_{n=1}^N \left( \frac{n-1}{2^{n-1}}-\frac{n}{2^n}+\frac{1}{2^{n-1}} \right) \\ & = \sum_{n=1}^N \left( \frac{n-1}{2^{n-1}}-\frac{n}{2^n} \right)+\sum_{n=1}^N \left( \frac{1}{2^{n-1}} \right) \\ & = \frac{0}{2^0}-\frac{N}{2^N}+\left( 2-\frac{1}{2^{N-1}} \right) \\ & \xrightarrow{N\to\infty} 2 \end{align} }}} *(b) $$ \lim_{x \to 0} \frac{x-\tan x}{x-\sin x} $$を計算する問題。 &bold(){<解法1>} >ロピタルの定理。講義では扱わなかったはずだが、受験で使った人もいるらしい。 分子は微分すると、1-1/(cosx)^2 分母は微分すると、1-cosx ロピタルの定理より(最初の変形)、 $$ \lim_{x \to 0} \frac{x-\tan x}{x-\sin x} = \lim _{x \to 0} \frac{1-\frac{1}{\cos^2x}}{1-\cos x} = \lim _{x \to 0} \frac{\cos^2x-1}{\cos^2x(1-\cos x)} = \lim _{x \to 0} -\frac{1+\cos x}{\cos^2x} = -2$$ &bold(){<解法2>} >分子、分母を係数が0でなくなるまでテイラー展開。 分母は、$$ 0+0x+0x^2+x^3/6+\cdots $$ 分子は、tanの展開を覚えていればそれでよい。 覚えてなくても地道に、 $$ (x-\tan x)' = 1-(1+\tan^2x) = -\tan^2x \overset{x=0}{=} 0 $$ $$ (-\tan^2x)' = -2\tan x(1+\tan^2 x) = -2(\tan x+\tan^3x) \overset{x=0}{=} 0 $$ $$ (-2(\tan x+\tan^3x))' = -2( (1+\tan^2x)+3\tan^2x(1+\tan^2x) ) = -2(1+3\tan^2x)(1+\tan^2x) \overset{x=0}{=} -2 $$ と計算すれば、$$ x-\tan x = 0+0x+0x^2+(-2)x^3/6+\cdots $$とわかるので、 $$ \lim_{x \to 0} \frac{x-\tan x}{x-\sin x} = \lim _{x \to 0} \frac{(-2)x^3/6+\cdots}{x^3/6+\cdots} = -2$$ *(c) $$ \frac{d^2}{{dx}^2} \sqrt{1+x^2} $$を計算する問題。 >(うまい解法があったら教えてください) &bold(){<解法1>} $$ \left(\sqrt{1+x^2}\right)' = \frac{2x}{2\sqrt{1+x^2}} = \frac{x}{\sqrt{1+x^2}} $$ $$ \left(\frac{x}{\sqrt{1+x^2}}\right)' = \frac{1 \cdot \sqrt{1+x^2} - x\frac{x}{\sqrt{1+x^2}}}{1+x^2} = \frac{(1+x^2) - x \cdot x}{(1+x^2)\sqrt{1+x^2}} = \frac{1}{(1+x^2)^\frac{3}{2}}$$ &bold(){<解法2>} 後半で対数微分法を使う場合。 $$ \left(\frac{x}{\sqrt{1+x^2}}\right)' = \frac{x}{\sqrt{1+x^2}} \left(\log \left| \frac{x}{\sqrt{1+x^2}} \right| \right)' = \frac{x}{\sqrt{1+x^2}} \left(\log |x| - \frac{1}{2} \log(1+x^2) \right)' $$ $$ = \frac{x}{\sqrt{1+x^2}} \left(\frac{1}{x} - \frac{x}{1+x^2} \right) = \frac{x}{\sqrt{1+x^2}} \cdot \frac{1}{x(1+x^2)} = \frac{1}{(1+x^2)^\frac{3}{2}} $$ *問題Ⅲ テーラー展開をするという問題。 *(a) >(1)は覚える。(2)は説明不要。(3)は導けなければ覚える。ここまでは[[テーラー展開の例]]に載せてあります。 *(1) $$ \sin x = x - \frac{x^3}{3!} + \frac{x^5}{5!} - \frac{x^7}{7!} + \cdots $$ *(2) $$ \frac{1}{1-x^2} & = 1 + x^2 + x^4 + x^6 + \cdots \, (-1<x<1) $$ *(3) $$ \arcsin x = x + \frac{1}{2}\cdot\frac{x^3}{3} + \frac{1 \cdot 3}{2 \cdot 4}\cdot\frac{x^5}{5} + \frac{1 \cdot 3 \cdot 5}{2 \cdot 4 \cdot 6}\cdot\frac{x^7}{7} + \cdots \, (-1 \le x \le 1) $$ *(4) $$ x\frac{\cos x}{\sin x} = 1-\frac{x^2}{3}-\frac{x^4}{45}-\frac{2x^6}{945}-\frac{x^8}{4725}-\cdots $$ >今回の鬼問。答えだけ載せておきます。 >詳細は以下を参照してください。手に負えません。 >2012年度夏学期数学IB演習(1年 理科一類23~28組) で、2012年6月14日に実施された小テスト >問題:[[http://www.ms.u-tokyo.ac.jp/~hosaka/2012_summer/20120614.pdf]] >解答:[[http://www.ms.u-tokyo.ac.jp/~hosaka/2012_summer/20120614ans.pdf]] *(b) $$ \frac{\pi^2}{6} = 1+\frac{1}{2^2}+\frac{1}{3^2}+\frac{1}{4^2}+\cdots $$を証明する問題。 >前ばらし問題です。ちなみに「バーゼル問題」という有名な問題です。 $$ \sin x = x\left(1-\frac{x^2}{\pi^2}\right)\left(1-\frac{x^2}{4\pi^2}\right)\left(1-\frac{x^2}{9\pi^2}\right)\cdots $$...(*)は既知とする。 右辺を展開すると $$ x-x\left(\frac{x^2}{\pi^2}+\frac{x^2}{4\pi^2}+\frac{x^2}{9\pi^2}+\cdots\right) $$+(5次以上の項) となるので、 式(*)の右辺のx&sup(){3}の係数は $$ -\left(\frac{1}{\pi^2}+\frac{1}{4\pi^2}+\frac{1}{9\pi^2}+\cdots\right) $$ 一方、 $$ \sin x = x - \frac{x^3}{3!} + \frac{x^5}{5!} - \frac{x^7}{7!} + \cdots $$より 式(*)の左辺のx&sup(){3}の係数は -1/3! したがって、 $$ -\frac{1}{3!} = -\left(\frac{1}{\pi^2}+\frac{1}{4\pi^2}+\frac{1}{9\pi^2}+\cdots\right) $$ ゆえに、$$ \frac{\pi^2}{6} = 1+\frac{1}{4}+\frac{1}{9}+\cdots $$ ∥ *問題Ⅳ $$ f(x, y)=x^2y^2-x^2y-xy^2+xy $$という関数の極値と鞍点を調べる問題。 >とりあえずいつもの流れで行きます。 偏微分して、 $$ \begin{cases} f_x(x, y)=2xy^2-2xy-y^2+y=(2x-1)(y^2-y) \\ f_y(x, y)=2x^2y-x^2-2xy+x=(x^2-x)(2y-1) \end{cases} $$ $$ f_x=0, f_y=0 $$とすると、 x=1/2のときはy=1/2 そうでないときはy=0,1で、どちらにしてもx=0,1 したがって、極値と鞍点の候補は(1/2, 1/2), (0, 0), (0, 1), (1, 0), (1, 1) さらに偏微分して、 $$ \begin{cases} f_{xx}(x, y)=2y^2-2y=2y(y-1) \\ f_{xy}(x, y)=4xy-2x-2y+1=(2x-1)(2y-1) \\ f_{yy}(x, y)=2x^2-2x=2x(x-1) \end{cases} $$ よってヘッセ行列は、 $$ H(x, y)=\begin{pmatrix} 2y(y-1) & (2x-1)(2y-1) \\ (2x-1)(2y-1) & 2x(x-1) \end{pmatrix} $$ $$ |H(1/2, 1/2)|=\begin{vmatrix} -1/2 & 0 \\ 0 & -1/2 \end{vmatrix}=1/4 $$ が正なので極値。f&sub(){xx}<0なので極大。 $$ |H(0, 0)|=\begin{vmatrix} 0 & 1 \\ 1 & 0 \end{vmatrix}=-1 $$ が負なので鞍点。 |H(0, 1)|, |H(1, 0)|, |H(1, 1)| についても同様に負なので鞍点。 したがって、 極値:(1/2, 1/2)で極大 鞍点:(0, 0),(0, 1),(1, 0),(1, 1) >この問題ではありませんでしたが、ヘッセ行列式|H|が零となる困った点については >グラフを描くなど頑張って調べる必要があります。 *問題Ⅴ *(a) 閉区間[0, 1]上に定義され、つねに0以上1以下の値をとる連続関数f(x)について、 c=f(c) を満たす実数 c∈[0, 1] が存在することを示す問題。 >中間値の定理。 f(0)=0の場合やf(1)=1の場合は明らかなので、それ以外の場合を考える。 g(x)=f(x)-x とすると、g(x)は連続関数。 仮定よりf(0)>0なので、g(0)=g(0)-0>0 仮定よりf(1)<1なので、g(1)=f(1)-1<0 よって、中間値の定理より、g(c)=0なる実数cが(0, 1)に存在する。 ∥ *(b) $$ e^{x+y}=e^xe^y $$を示す問題。 >頑張ればできるレベルの問題。 >とりあえず以下の説明が分かりやすいので読んでください。 >指数関数の冪級数から指数法則を導く:[[http://wasan.hatenablog.com/entry/20110429/1304095039]] *(c) ネピアの数eが実数になることを示す問題。 >解けるとうれしいですが、方針が分かっているかがより重要。 eを定義する数列が収束することを示せばよいです。 [[§4 有界な単調数列の収束性]]の大半を割いて解説しています。 (読みにくくてすいません。)
*問題Ⅰ *(a) $$ 1+\sqrt{2} $$を連分数展開する問題。 >$$ 1+\sqrt{2} $$は白銀数δ&sub(){S}とか呼ばれるらしいです。 >連分数展開するときれいになります。親切設計です。 &bold(){<解法1>} 覚えていた。 &bold(){<解法2>} とりあえず計算した。 1+√2=2.41...なので、整数部分は2。 小数部分の逆数は、$$ \frac{1}{(1+\sqrt{2})-2}=\frac{1}{\sqrt{2}-1}=1+\sqrt{2} $$ 早くも循環したのであとはずっと2。 ということで答えは、 $$ 1+\sqrt{2} = 2+\cfrac{1}{2+\cfrac{1}{2+\cfrac{1}{2+\cfrac{1}{\ddots}}}} $$ (終) >連分数展開について詳しくは、[[1学期最終講義]] へ *(b) $$ e^{\pi i/3} $$を計算する問題。 >オイラーの公式を覚えているかのチェック。 &bold(){<解法1>} 過程を書かない場合。 複素平面に単位円を書いて、座標が1の点から反時計回りにπ/3だけ進むと1/2+i√3/2。 &bold(){<解法2>} 過程を書く場合。 $$ e^{\pi i/3} = \cos {\pi/3} + i\sin{\pi/3} = \frac{1}{2} + i\frac{\sqrt{3}}{2} $$ (終) *問題Ⅱ *(a) $$ \sum_{n=1}^\infty \frac{n}{2^n} $$の収束性を調べ、その値を計算する問題。 >大学入試で良く見るやつ。今年(2013)の東大前期の数学(理科)第3問にも登場しました。 &bold(){<収束判定1>} ぱっと見で判定する。 2^n は n^3 より強く発散するので、n/2^n は n/n^3 = 1/n^2 よりも速く零に近づく。 ここで、1/n^2 は収束するので n/2^n も収束する。 &bold(){<収束判定2>} コーシーの判定法は使えますが、ダランベールの判定法を使うのが楽です。 ということで、lim(a&sub(){n+1}/a&sub(){n})を計算します。 $$ a_{n+1}/a_n = \frac{n+1}{2^{n+1}} \Big / \frac{n}{2^n} = \frac{n+1}{2n} \xrightarrow{n\to\infty} \frac{1}{2} < 1 $$ 収束値が1より小さいので級数は収束。 &bold(){<解法1>} とりあえず足した。 >足し算の順番を入れ替えていますが、絶対収束することが前提です。 >つまり、あらかじめ収束を確認する必要があります。 1/2が1個、1/4が2個、1/8が3個、1/16が4個、1/32が5個…を足せば良い。 まず1個目は、1/2,1/4,1/8,1/16,1/32...なので足すと1。 2個目は1/2は無くて、1/4,1/8,1/16,1/32...なので足すと1/2。 同様に3個目は、1/8,1/16,1/32...なので足すと1/4。 4個目は足すと1/8。以下同様。 したがって、全部足すと1+1/2+1/4+1/8+1/16+...=2 &bold(){<解法2>} 部分和を計算します。 >この解法の場合、収束を確認する必要がありません。 #math(128){{{\begin{align} \sum_{n=1}^N \frac{n}{2^n} & = \sum_{n=1}^N \left( \frac{n}{2^{n-1}}-\frac{n}{2^n} \right) \\ & = \sum_{n=1}^N \left( \frac{n-1}{2^{n-1}}-\frac{n}{2^n}+\frac{1}{2^{n-1}} \right) \\ & = \sum_{n=1}^N \left( \frac{n-1}{2^{n-1}}-\frac{n}{2^n} \right)+\sum_{n=1}^N \left( \frac{1}{2^{n-1}} \right) \\ & = \frac{0}{2^0}-\frac{N}{2^N}+\left( 2-\frac{1}{2^{N-1}} \right) \\ & \xrightarrow{N\to\infty} 2 \end{align} }}} *(b) $$ \lim_{x \to 0} \frac{x-\tan x}{x-\sin x} $$を計算する問題。 &bold(){<解法1>} >ロピタルの定理。講義では扱わなかったはずだが、受験で使った人もいるらしい。 分子は微分すると、1-1/(cosx)^2 分母は微分すると、1-cosx ロピタルの定理より(最初の変形)、 $$ \lim_{x \to 0} \frac{x-\tan x}{x-\sin x} = \lim _{x \to 0} \frac{1-\frac{1}{\cos^2x}}{1-\cos x} = \lim _{x \to 0} \frac{\cos^2x-1}{\cos^2x(1-\cos x)} = \lim _{x \to 0} -\frac{1+\cos x}{\cos^2x} = -2$$ &bold(){<解法2>} >分子、分母を係数が0でなくなるまでテイラー展開。 分母は、$$ 0+0x+0x^2+x^3/6+\cdots $$ 分子は、tanの展開を覚えていればそれでよい。 覚えてなくても地道に、 $$ (x-\tan x)' = 1-(1+\tan^2x) = -\tan^2x \overset{x=0}{=} 0 $$ $$ (-\tan^2x)' = -2\tan x(1+\tan^2 x) = -2(\tan x+\tan^3x) \overset{x=0}{=} 0 $$ $$ (-2(\tan x+\tan^3x))' = -2( (1+\tan^2x)+3\tan^2x(1+\tan^2x) ) = -2(1+3\tan^2x)(1+\tan^2x) \overset{x=0}{=} -2 $$ と計算すれば、$$ x-\tan x = 0+0x+0x^2+(-2)x^3/6+\cdots $$とわかるので、 $$ \lim_{x \to 0} \frac{x-\tan x}{x-\sin x} = \lim _{x \to 0} \frac{(-2)x^3/6+\cdots}{x^3/6+\cdots} = -2$$ *(c) $$ \frac{d^2}{{dx}^2} \sqrt{1+x^2} $$を計算する問題。 >(うまい解法があったら教えてください) &bold(){<解法1>} $$ \left(\sqrt{1+x^2}\right)' = \frac{2x}{2\sqrt{1+x^2}} = \frac{x}{\sqrt{1+x^2}} $$ $$ \left(\frac{x}{\sqrt{1+x^2}}\right)' = \frac{1 \cdot \sqrt{1+x^2} - x\frac{x}{\sqrt{1+x^2}}}{1+x^2} = \frac{(1+x^2) - x \cdot x}{(1+x^2)\sqrt{1+x^2}} = \frac{1}{(1+x^2)^\frac{3}{2}}$$ &bold(){<解法2>} 後半で対数微分法を使う場合。 $$ \left(\frac{x}{\sqrt{1+x^2}}\right)' = \frac{x}{\sqrt{1+x^2}} \left(\log \left| \frac{x}{\sqrt{1+x^2}} \right| \right)' = \frac{x}{\sqrt{1+x^2}} \left(\log |x| - \frac{1}{2} \log(1+x^2) \right)' $$ $$ = \frac{x}{\sqrt{1+x^2}} \left(\frac{1}{x} - \frac{x}{1+x^2} \right) = \frac{x}{\sqrt{1+x^2}} \cdot \frac{1}{x(1+x^2)} = \frac{1}{(1+x^2)^\frac{3}{2}} $$ *問題Ⅲ テーラー展開をするという問題。 *(a) >(1)は覚える。(2)は説明不要。(3)は導けなければ覚える。ここまでは[[テーラー展開の例]]に載せてあります。 *(1) $$ \sin x = x - \frac{x^3}{3!} + \frac{x^5}{5!} - \frac{x^7}{7!} + \cdots $$ *(2) $$ \frac{1}{1-x^2} & = 1 + x^2 + x^4 + x^6 + \cdots \, (-1<x<1) $$ *(3) $$ \arcsin x = x + \frac{1}{2}\cdot\frac{x^3}{3} + \frac{1 \cdot 3}{2 \cdot 4}\cdot\frac{x^5}{5} + \frac{1 \cdot 3 \cdot 5}{2 \cdot 4 \cdot 6}\cdot\frac{x^7}{7} + \cdots \, (-1 \le x \le 1) $$ *(4) $$ x\frac{\cos x}{\sin x} = 1-\frac{x^2}{3}-\frac{x^4}{45}-\frac{2x^6}{945}-\frac{x^8}{4725}-\cdots $$ >今回の鬼問。答えだけ載せておきます。 >詳細は以下を参照してください。手に負えません。 >2012年度夏学期数学IB演習(1年 理科一類23~28組) で、2012年6月14日に実施された小テスト >問題:[[http://www.ms.u-tokyo.ac.jp/~hosaka/2012_summer/20120614.pdf]] >解答:[[http://www.ms.u-tokyo.ac.jp/~hosaka/2012_summer/20120614ans.pdf]] *(b) $$ \frac{\pi^2}{6} = 1+\frac{1}{2^2}+\frac{1}{3^2}+\frac{1}{4^2}+\cdots $$を証明する問題。 >前ばらし問題です。ちなみに「バーゼル問題」という有名な問題です。 $$ \sin x = x\left(1-\frac{x^2}{\pi^2}\right)\left(1-\frac{x^2}{4\pi^2}\right)\left(1-\frac{x^2}{9\pi^2}\right)\cdots $$...(*)は既知とする。 右辺を展開すると $$ x-x\left(\frac{x^2}{\pi^2}+\frac{x^2}{4\pi^2}+\frac{x^2}{9\pi^2}+\cdots\right) $$+(5次以上の項) となるので、 式(*)の右辺のx&sup(){3}の係数は $$ -\left(\frac{1}{\pi^2}+\frac{1}{4\pi^2}+\frac{1}{9\pi^2}+\cdots\right) $$ 一方、 $$ \sin x = x - \frac{x^3}{3!} + \frac{x^5}{5!} - \frac{x^7}{7!} + \cdots $$より 式(*)の左辺のx&sup(){3}の係数は -1/3! したがって、 $$ -\frac{1}{3!} = -\left(\frac{1}{\pi^2}+\frac{1}{4\pi^2}+\frac{1}{9\pi^2}+\cdots\right) $$ ゆえに、$$ \frac{\pi^2}{6} = 1+\frac{1}{4}+\frac{1}{9}+\cdots $$ ∥ *問題Ⅳ $$ f(x, y)=x^2y^2-x^2y-xy^2+xy $$という関数の極値と鞍点を調べる問題。 >とりあえずいつもの流れで行きます。 偏微分して、 $$ \begin{cases} f_x(x, y)=2xy^2-2xy-y^2+y=(2x-1)(y^2-y) \\ f_y(x, y)=2x^2y-x^2-2xy+x=(x^2-x)(2y-1) \end{cases} $$ $$ f_x=0, f_y=0 $$とすると、 x=1/2のときはy=1/2 そうでないときはy=0,1で、どちらにしてもx=0,1 したがって、極値と鞍点の候補は(1/2, 1/2), (0, 0), (0, 1), (1, 0), (1, 1) さらに偏微分して、 $$ \begin{cases} f_{xx}(x, y)=2y^2-2y=2y(y-1) \\ f_{xy}(x, y)=4xy-2x-2y+1=(2x-1)(2y-1) \\ f_{yy}(x, y)=2x^2-2x=2x(x-1) \end{cases} $$ よってヘッセ行列は、 $$ H(x, y)=\begin{pmatrix} 2y(y-1) & (2x-1)(2y-1) \\ (2x-1)(2y-1) & 2x(x-1) \end{pmatrix} $$ $$ |H(1/2, 1/2)|=\begin{vmatrix} -1/2 & 0 \\ 0 & -1/2 \end{vmatrix}=1/4 $$ が正なので極値。f&sub(){xx}<0なので極大。 $$ |H(0, 0)|=\begin{vmatrix} 0 & 1 \\ 1 & 0 \end{vmatrix}=-1 $$ が負なので鞍点。 |H(0, 1)|, |H(1, 0)|, |H(1, 1)| についても同様に負なので鞍点。 したがって、 極値:(1/2, 1/2)で極大 鞍点:(0, 0),(0, 1),(1, 0),(1, 1) >この問題ではありませんでしたが、ヘッセ行列式|H|が零となる困った点については >グラフを描くなど頑張って調べる必要があります。 *問題Ⅴ *(a) 閉区間[0, 1]上に定義され、つねに0以上1以下の値をとる連続関数f(x)について、 c=f(c) を満たす実数 c∈[0, 1] が存在することを示す問題。 >中間値の定理。 f(0)=0の場合やf(1)=1の場合は明らかなので、それ以外の場合を考える。 g(x)=f(x)-x とすると、g(x)は連続関数。 仮定よりf(0)>0なので、g(0)=g(0)-0>0 仮定よりf(1)<1なので、g(1)=f(1)-1<0 よって、中間値の定理より、g(c)=0なる実数cが(0, 1)に存在する。 ∥ *(b) $$ e^{x+y}=e^xe^y $$を示す問題。 >頑張ればできるレベルの問題。 >とりあえず以下の説明が分かりやすいので読んでください。 >指数関数の冪級数から指数法則を導く:[[http://wasan.hatenablog.com/entry/20110429/1304095039]] *(c) ネピアの数eが実数になることを示す問題。 >解けるとうれしいですが、方針が分かっているかがより重要。 eを定義する数列が収束することを示せばよいです。 [[§4 有界な単調数列の収束性]]の大半を割いて解説しています。 (読みにくくてすいません。)

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