衆 - 臨時物資需給調… - 7 号(回)  昭和21年09月12日

○田村委員 
 簡單に内務大臣に御尋ねして見たいことは、最近終戰と共に朝鮮人は相當歸國したかの如く見えたのでありままが、私は山口縣に住んで居る關係上、
山口縣或は又北九州方面に逆入して來る鮮人が、日に日に増加して居るのを見るのであります、
隨て是等の朝鮮人は一定の仕事もなく、又一定の食糧の配給と云ふやうなことも無論ないのであります、
隨て是等何萬と云ふ數字に上るであらう朝鮮人が食糧を買漁ると云ふやうなこと、或は又闇「ブローカー」と云ふことの中心になつて居る、今日主食の増配が叫ばれ、東京方面でも相當食糧の價格が下つて居る今日、高圓寺邊りでは六十圓なら闇屋で十分米が買へると云ふやうな、大都市ですら其の位の價格に下つて居るのに、山口縣或は北九州方面、例へば福岡縣では四、五日前のことでありますが、一升百二、三十圓して居る、山口縣で八十圓ばかりして居ると云ふやうな事態を我々が考へますと、今日日本の食糧對策、或は又色々な點に於て相當な支障を來すのではないかと云ふことを見受けるのであります

 隨て此の密航鮮人に對する所の取締或は法規と云ふものは、今日どう云ふ方法になつて居るか、又それに對する所の内務大臣として對策はどう云ふ風に持つて居られるかと云ふことと、もう一つは
 朝鮮人が最近團體を組んで、御承知の如く朝鮮人聯盟、或は又朝鮮人青年聯盟と云ふやうなものを拵へて、
 各地に於て日本人を捕へ、色々な難癖を付けて事務所に引張り込んで「リンチ」を加へると云ふやうなことが、九州方面でも盛んに行はれて居り、山口縣でも行はれて居るのでありますが、
是等に付ての日本政府の立場、或は執るべき態度、或は日本人としてどう云ふ態度で之に臨んだら宜いかと云ふことを、はつきり國民に知らして貰ひたいと思ふのであります
終戰と共に敗戰の痛手を受けた日本人は、第三國人或は非日本人が行ふことに對して、常に泣寢入して居るやうな事態が多いのであります、
でありますから此の點に付て日本人はさう云ふ場合にはどう云ふ對策をしたら宜いかと云ふ方途を示して貰ひたいのと、之に關聯して今の中華人に對しても、日本人は是等の亂暴に對してどう云ふ方法をしたら宜いのか、政府はどう云ふ取締をして居るのかと云ふことを、はつきり此の際明示して戴きたいと思ひます

○大村國務大臣 
 終戰後朝鮮人は段々歸國を致した者もあるのでありますが、
 本年の三月の末に一齊調査を致しました結果に依りますと、在留朝鮮人は六十五萬と云ふことになつて居ります
 其の中で大部分の者は歸鮮希望の者でありました
ので、關係筋とも打合せまして、特に彼等の送還計畫も立てまして、大體希望者を本年の九月一杯には之を送還をすると云ふことで進んで居つたのであります、
 然るに其の後朝鮮本國の事情、殊に「コレラ」の蔓延と云ふやうなことがありまして、一時送還輸送を中止致し、本年の十一月までには、全部の送還を終ると云ふことに計畫を變更した次第であります、而して今までの送還を致しました者は五萬程度であります
 又警察力も漸次囘復致しまして不良な朝鮮人に對しまする取締に付ては段々と徹底するやうになりまして、餘程關係は改善して居るのであります
 唯御話の如く、最近に於きまして密入國者が激増する傾向であります、
 七月の調査に依りますと、凡そ長崎から敦賀まで位の沿岸各地に對しまして、極めて熾烈なる密入國が展開致して居るのであります、
其の數は統計に上りましたものが月に凡そ八千人であります、
其の内の一割乃至二割程度のものは結局逮捕するに至つて居りませぬ、
八、九割の者は之ら逮捕致しまして、進駐軍に引渡し、進駐軍の手に依りまして本國に強制送還を致して居るのであります、
併し八千人と申しましても、是は數字に上つた者でありますから、夜陰密かに入國を企てる者に於きましては、可なりの統計の數字に上らない者もあることを推測されるのでありまして、御話の如く
昨今の情勢では月々一萬人内外の密入國者があると云ふやうに考へて居る次第であります、
 併し之に對しましては御話の如く、其のやうな密入國者が成功致しまして、日本の社會に濳り込むと云ふことは、色々の面に於きまして非常な支障を來すのであります
 密入國者は申すまでもなく悉く闇の生活でなければ生きて行かれないのでありまして、食糧の配給も受ける譯に參りませぬ、其の他凡ゆる生活が闇の生活である、闇の生活には不正が伴ふと云ふことは是は必然でございまして、是が我が國内の治安を亂す禍因になることは、火を賭るよりも明かなことでありますので、
關係地方に於きましては、全警察力を盡して、其の密入國の取締に懸命の努力を致して居ります、
 尚ほ警察力が密入國の取締の上に十分ならざる所に於きましては、特に民間から警察補助員の應援を受けまして、其の力の足らざる所を補ふと云ふやうなことに付きまして、各府縣に於きましてそれぞれの事情に應じまして、出來るだけの措置を講じて居るのであります

 尚ほ又一面に於きましては、是は海岸線を警備致しまして、其處で密入國者を待つて居つて捕へると云ふこととは如何にも非能率なのでありまして、出來得まするならば快速艦艇を以ちまして、密航船を拿捕する、若し更に進んで可能でありまするならば、密出國を取締ると云ふ所まで徹底しなけれは、此の勢ひを阻止することは甚だ困難でございますので、是等の點に付きましては、今日の我が國だけの力で之を解決することが困難でございます
故に此の點に付きましても聯合國の支援も懇請致して居る次第であります

○田村委員 
 朝鮮人のさうした人々が全部が全部と云ふ譯ではありませぬが、中にはさうした團體を利用して、
日本人に色々な「リンチ」を加へる、或は難癖を付けて脅喝すると云ふ事態が、頻々として行はれて居るのであります
私は朝鮮人聯盟と云ふやうなものが不當なものであり、さうしたものを背景して色々なことをすると云ふやうなことがある場合には、内務大臣に於て解散權があるかどうかと云ふ點を聽きたいのと、中國人或は臺灣人──是は私も過日汽車の中で、中國人と席の問題て喧嘩をしたのでありますが、無論私は一歩も讓ふず、相手が手を振上げた場合それを引つたくつてやつたのであります、一歩も讓らなかつたのでありますが、さうした場合に、車中或は電車の中に於て、中國人なるが故に色々な難癖を付けて座席を取る、或は汽車から引摺り下して色々な暴力を加へると云ふ點に付て、今日申上げました通り、日本人は敗けたが故に手も足も出ないと云ふ考へを、國民全體が持つて居ると思ふのであります、
 斯う云ふ場合に幾ら毆ふれても蹴ふれても默つて居るのか、或は自分がそれに對抗する力があつたならば、相手を毆り飛ばして宜いのか、さうした場合に國際問題が起るかどうかと云ふことを、はつきり國民に知らせて置きたい、其の點内務大臣の責任ある御答辯を御願ひしたいと思ひます
最終更新:2013年04月25日 12:10