提督×那智3-206

前回の話

 

南洋の夜空は無数の星の瞬きと青白いほど美しい三日月が暑さを忘れさせるほ

ど美しい。
海を渡る風は昼の熱波とは反対に爽やかに涼気を運んでくる。
火照った顔に海風が心地よい。
古いホテルを改修したこの鎮守府にはバルコニーや立派な厨房、果てはプール

までついている。
提督執務室はかつてのスイートルームを改装したものらしく、バルコニーが併

設されていた。
古いテーブルの上には本土から遥々やってきた純米酒”那智の滝”。
クリスタルのグラスに注がれた酒が満点の星を映して煌く。
満天下の酒宴。
男と女、二人きり…。
テーブルに肩肘をついて那智はグラスを乾した。
サイドポニーに纏めた黒髪から除く怜悧な顔に朱が射している。
ほぅ、と酒気を帯びた息を吐き出しテーブルの向こうに座る提督に熱っぽい視

線を向ける。
「うむ、やはり及び腰の射撃は駄目だな」
「20.3サンチ砲の散布界、遠距離では厳しいか…」
「そうだ。やはり肉薄攻撃が一番敵に打撃を与えられる」
「いや、それは損害が大きい。航空先制で敵の行足を止めるのが先決だ」
幻想的な夜景には全くそぐわない生臭いというか現実というか、そんな会話が

テーブルの上を行きかっていた。
生真面目に返答をする提督の顔はさして酔いは見られない。
夕刻から飲み始めて既に数時間。
一升瓶は既にカラに近い。そのほとんどは那智の体内に消えていったのだが。
しばらく給仕を兼ねて妙高も同席していたのだが、『今日は布団で寝たい』と

一言残してフラフラと自室へと帰って行った。
その後もミリタリー知識爆発で那智は戦術論を提督に吹っかけ続けている。
「93式酸素魚雷の過早爆発も改善しなければ-」
「…那智、そろそろ世もふけた。お開きにしないか?」
珍しく酔いのまわっている那智に提督はやんわりとストップをかけた。
「らりを言う。まだまだ艦隊について話さねばならん」
「それは作戦会議でもできるだろ?今日はもう休みなさい」
席を立った提督は優しく諭して那智の肩に手を置いた。
「……や」
那智は俯いたまま呟いた。
解けばかなりの長髪であるサイドポニーに隠れて表情は見えない。
「ん?どうした那智」
提督は腰を折って顔を覗き込む。
視界の中で那智の顔が急速に近づく。
「んっ、ちゅっ……」
唇に柔らかな感触が触れた。

「ん?んんっ!……那智どうした」
不意打ちのキス。
重なり合うだけの稚拙な接吻。
だが、奇襲を成功させた重巡娘は、とても勝者とは思えない顔をしていた。
伏せた目、下がった眉、今にも泣きだしそうな口元。
寂しげに俯く顔は主人を見送る子犬のように弱弱しげだった。
酒気と羞恥で頬を限界まで赤くしながら那智はか細い声で哭いた。
「…行っちゃやだ。ここにいて」
ワイシャツの裾を掴み涙目で見上げる那智にいつもの怜悧な戦術家の面影はな

い。
「どうした?」
片膝をついて那智の目線に自分の目線を合わせる。
しかし、端正な美貌は視線を逃げるように横を向く。
そっと那智の頭に手をやりことさら優しく問う。
「何かあったのか?」
「………」
しばらくの沈黙の後、那智は提督の胸におずおずと縋り付いた。
突然の、というよりも普段の那智からは想像もできない行動に提督は驚きつつ

もそっと抱きしめる。
抱きとめながらゆっくりと頭を撫で続ける。
しばらくして那智は口を開いた。
「わ、私には戦の話しか、ない。その……貴様と対等に話せることが」
相変わらず顔は胸につけたまま那智は続ける。
「青葉のように豊富な話題も無く、第六駆逐隊のように無邪気に話すことも出

来ない」
那智の声は照れるように、拗ねるように、甘えるように聞こえた。
「……一緒に居たい。戦場で指揮される艦船としてではなく、私個人として」
那智は顔を上げた。
涼しげな瞳は普段の冷静な輝きとは違う輝きを湛えている。
彼女の奥にあった感情を直線的に語っている。
「貴様が、司令が……あなたが好き」
-言ってしまった。
那智の頭の中は空っぽでいて尚且つ混乱していた。
-好きだ、
-ダメだ私たちは軍人だ軍艦だ、
-でも………
顔を限界まで赤面させて那智は言葉を続けた。
「だ、だから、その、足柄のマネをして、その、みようかと」
「不器用だな」
「な、何だ、んっ、んんん」
苦笑した顔で提督は言って、那智の抗議を唇で塞いだ。
「ん、ふぅ、はあ……貴様も不器用ではないか」
「そうだな……那智、いいのか」
紅潮した頬の朱は戦闘の時の朱ではない。
熱病に浮かされたように震える唇も潤んで全てを差し出すような瞳も彼女らし

くは無かった。
だが、本当の彼女の姿がそこにあった。
「ああ。私を愛してくれ……」

「んっんんんん、お、大きぃ、うあっ」
嬌声が提督の寝室に響いた。
自分が思ったより大きな声をあげてしまって那智は顔を真っ赤にした。
-思ってたよりきつい、
とても結合部は見られないが、自分の秘所が限界近く広がって男を迎えていることはわかる。
真っ白いシーツに広がった黒髪が乱れる。
細く長い手足、柳のような細腰、丸みを帯びたてはいるが引き締まった臀部。
仰向けになっても崩れない双球が腰の律動と同時に跳ねる。
提督の眼下にある裸身は月明かりに照らされて、神秘的でさえある。
戦場で冷静に果断に判断を下す怜悧な姿とはまた違う情熱的な那智の痴態に興奮が高まる。
「あっあっあっあっ、あぅんっ、そこ、いいっ」
限界まで硬度を増した肉槍が那智の奥を突く。
熱いぬかるみが硬い肉にかき回されるたび那智の口から嬌声が漏れる。
「んんんっ、くぅっ、ふあぁぁぁぁぁぁっ」
カリ首が膣の上側を奥から入り口の裏側に引っ搔くと那智はひときわ大きな快感を吐息とともに吐き出した。
「そこっ、すご、いっ!!」
「はあはあはあ、ここか?……どうだっ」
提督は那智の足首を掴みV字に足を股を開く。
同時に自身の腰と那智の腰を密着させ奥を抉るように腰を細かに打ち付ける。
クチュクチュと捏ねる様な水音が結合部から漏れる。
互いの陰毛が擦れあい陰嚢が那智の蟻の門渡りを叩く。
快楽のツボを細かくペニスで擦られて那智はよがり哭く。
「それっ、だ。あふあぁぁぁ、提督ぅっ、ダメだ、イって、しまうっ」
「イッていいよ……んっ、んっ、んっ」
殊更にグリグリと快感のスポットを擦る。
「ひあっ、ダメ、だ、イクぅ、イクイクっ、んんんン~」
那智が右手の人差し指を噛み絶頂に伴う嬌声を押し殺す。
背が弓なりになり体がガクガクと震える。
狭い肉洞の襞一枚一枚が絡むように陰茎を食い締める。
強烈な刺激に耐え、提督は那智の足を下した。
繋がったまま那智の背に手を回して抱きしめる。
そっとキスをすると穏やかに那智が反応を返す。
そのまま緩やかにバードキスを暫く続ける。
「ちゅっ、ちゅ、んちゅっ……司令」
「ん?どうした」
「中で、まだ硬い……」

蕩けた瞳で那智は甘えるように言った。
「イッて、出して欲しい……あなたが欲しい」
「わかった……いくぞ」
那智の体ごと持ち上げ対面座位の姿勢になる。
「うあっ、あはぁぁぁんぅぅ、ふ、深ぃっ」
より深く肉棒が那智の中に刺さる。
抱きしめた那智の体温を全身で感じながら提督は那智を突き上げる。
「那智……熱っ、くっ」
「んあぁぁぁぁぁっ、すごいっ、いいっ」
普段はサイドポニーで纏めている豊かな黒髪を振り乱して那智は悶える。
冷静で物事に動じない那智が、自身の腰の動きに為すがまま翻弄されている。
快感に溺れ、素直に感情を吐露している。
「んっ、那智は、可愛いな」思わずニヤリとしながら耳元で呟いてしまう。
耳朶まで真っ赤に染めた那智が赤子がいやいやとするように首を揺する。
「か、かわいく、なんか、ないっ、だめ、だめだってぇ」
「そんなこと、ないさ……ホラ」
そう意地悪く笑って目の前で揺れる美乳にキスの雨を降らせる。
「んあっ、ちょっ、ダメェっ、んふぅぅぅっ」
不意打ちに那智の顎が上がる。
吸い付くような滑らかな柔肌の唇に心地よい。
いつの間にか那智の上半身は梅が咲いたかのようにキスマークで彩られる。
「キ、キスマーク、残っちゃうからぁ」
「じゃあ、ここならいいのかな」
「ひゃぁっ、あふぅんっ、ふあぁっ、ダメ、びりびりするぅ」
興奮で硬くしこった桜色の先端に吸い付かれて那智はむせび泣く。
舌先で敏感な突飛を舐り乳房に押し込む。
押し返される感触を舌で楽しみ、唇で桜色の突起のコリコリとした弾力をまた楽しむ。
「や、やあっ、乳首、吸っちゃ、ダメぇ」
チュウチュウと乳首を吸い上げると那智は提督の頭を抱えてよがる。
「はぁぁんぅ、もうらめぇ、気持ちいぃぃ」
ガクガクと体を揺らして那智が脱力する。
そのまま重力に任せて那智を横たえる。
「やっやだぁ、司令、しれぃ、ぎゅって、ぎゅってぇ」

暫く荒い息をついていた那智だが、胸にあった温もりが無くなって急に不安になったのか両手を出して抱擁をねだる。
「司令、きす、きっすして、ん、んちゅ、ちゅぷ、んう」
愛欲全開で己を求める姿に提督の肉棒が硬さを増し、衝動が律動を要求する。
「んっ、はぁはぁ…那智、いくぞ」
辛抱たまらなくなった提督はラストスパートに向けて抽送を始める。
がっちりと腰を抱え、腰を激しく打ち付ける。
「すごっ、すごいっ、つよっ、いぃぃっ、待っ、て」
「くっ、すまん、止められないっ」
那智が眉間に皺を寄せて弱弱しげに乱れる姿が提督の加虐心に火をつける。
-この娘を俺のものにしたい、
-畜生、結局は地位を利用して艦娘達をいいようにしてるだけじゃないか。
相反する感情が心の奥底で渦巻くがそれを上回る原初の欲求が体を支配する。
「あっあっぁっあっあっぁっ、あはぁぁぁんっ」
抽挿と同時に美乳が上下に揺れる。
じゅぶじゅぶと結合部から淫靡な音が漏れる。
未だ硬さを残した膣口が丸く目いっぱいに広がりペニスを食い締める。
充血した陰核が首をもたげ、性器がメスの本能にざわめいている事を示す。
「くっ、那智、出る、よ」
「んんぅっ、だしてぇ、そのままきてぇ」
両足を提督の腰に絡め、那智は息も絶え絶えながら言った。
「あなたを、ちょうだいっ、あなたを刻んでぇっ」
一際強烈にペニスが那智の奥に打ち込まれる。
直後、提督の背筋を電流が走る。
「ぐっ、出るっ!」
「熱っ、熱いっ、出てるぅ、あはぁぁぁん」
那智の最奥に熱い迸りが叩き付けられる。

「いくっイクぅっ、うぅぅっ、あぁぁぁぁぁっ」
剛直の胴震い、膣内を満たしていく熱い生命の元を感じて那智も二度目の絶頂を迎える。
膣壁が陰茎に残った精液を絞り出すように収縮する。
トロリと結合部から白濁が滲み出す。
「はあはあはあ、那智……」
脱力が全身を襲い、提督は倒れこみ那智の胸に顔を埋める。
鼻孔を那智の匂いが満たす。
そっと那智の手が提督の頭を抱く。
暫くして那智が口を開いた。
「……これで、私もあなたのものだ」
そっと顔を上げるとすっかり険の取れた顔の那智がいた。
「心置きなく戦地に行ける……」
すっかり悟りを開いたような那智の物言いに提督は体を起こして那智の顔を覗き込む。
「おい、変な物言いは止せ。まるで-」
「安心しろ」
まるで遺言を残すかのような那智の言葉に抗議の声をあげる提督を那智は微笑みながら遮った。
「沈むつもりは無い。帰ってくる意味がここにできたから」
そう言って提督に甘えるように抱きつく。
「七生報国、何度でも私は死地から帰ってくる。だが、今度報いるのは大八州ではない」
頬を赤らめた那智の顔が提督に近づく。
ちゅっ、と触れる様なキスをすると那智はもじもじと視線を外す。
「だ、大好きなあなたの為に……」
「那智……」
いつも怜悧な艦娘の”娘”の部分を感じて提督は胸がいっぱいになった。
-そうだ。この娘達をこの港に必ず帰って来させるのが俺の仕事なんだ、
世界の海を蹂躙する深海棲艦。
迎え撃つは連合艦隊の魂を受け継ぐ戦乙女、艦娘。
いつ果てるとも無い戦い。
それは戦船として生まれてしまった彼女達の宿命。
ならば、俺が港になろう。
彼女達が喜んで帰ってくる港に。
殊更、にっこりと優しく笑い那智の体を抱きしめる。
暖かな提督の胸に体を預けた娘はやがて安堵の寝息を立て始める。
いつしか男も甘美な眠りに落ちていった。
……
………
…………
「ひっ、いやぁぁぁぁぁっ!!!!!」
翌朝、鎮守府を貫く大きな悲鳴で那智は目を覚ました。
寝室の入り口にセミロングボブの艦娘が顔を手で覆って腰を抜かしている。
もっとも指の間から、大きな目を更に大きく見開いて事が見えているのだが。
「んん?羽黒か。ああ、すまん。もう起床時か………うわぁぁぁぁぁ!!!」
今度は那智の声が鎮守府に響いた。
裸の自分。しかも体には乳房を中心に無数のキスマーク。
横には裸の提督。しかも男の生理現象で股間は絶賛自己主張中。
常識的に考えて、他人に、まして姉妹に見せていい姿ではない。
あたふたと布団をかき集め、自分と未だ夢の中の幸せな男のおっ立ったナニを隠しながら那智は声の限り叫んだ。
「見ないで。見ないで!!」

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那智
最終更新:2013年10月30日 20:22