提督×瑞鶴、翔鶴3-183

前回の話

 

「第二次攻撃隊、稼動機、全機発艦!」
瑞鶴の声と同時に多数の艦載機が敵艦隊を蹂躙していく。
主力艦隊にはまだ練度が劣るとは言えそこは最新の正規空母
相手に空母がいなかったということもあり、あっさりと制空権を抑えた後
アウトレンジからの攻撃で次々と巡洋艦や駆逐艦が沈んでゆく。
そして第二次攻撃隊の帰還を待たず突撃していった他の艦娘たちの攻撃により
あっという間に戦闘は終結した。

「どうした瑞鶴、MVP取った割には機嫌が悪いな」
「だって相手は軽巡と駆逐艦の艦隊でしょ、勝って当然じゃない」
「まぁ戦力差で言えば確かに圧倒的ではあったが味方に被害が出ないに越したことはない、よくやってくれた」
「う、うん……」
瑞鶴の視線の先では帰還時の恒例とも言うべき頭撫でが駆逐艦たちに行われている。
中には子供扱いしないで欲しいという娘もいるので嫌がる相手や年長組には『基本的には』していないが
「あーずるいなー。鈴谷もなでてよー」
「お前もか、別に構わんが」
「へへー」
こういう例外もいたりする。
「……(ぐぬぬ)」
思い切り不機嫌な顔でその様子を眺め、自分もなでて欲しいという言葉を必死に飲み込む瑞鶴。
(ず、瑞鶴は正規空母なんだからっ!!)
そう自分に必死に言い聞かせる、が……

「提督、翔鶴姉達が帰ってきたみたいよ」
主力である第一艦隊が帰還する。
そういえば瑞鶴が秘書艦になってから第一艦隊の報告に立ち会うのは初めてだ。

(やっぱりみんな風格あるよね……翔鶴姉もすごい馴染んでるなぁ)
歴戦をくぐり抜けてきたという自信からくるオーラのようなものを感じて正直圧倒される。
「提督、第一艦隊帰還した」
旗艦長門の報告に口元を緩める提督。
「ご苦労、圧勝だったそうだな。翔鶴が小破か、ゆっくり休んで疲れと傷を癒せ」
「はい」
何気ないやり取りの中にある確たる信頼関係とやはり自分はまだ子供なのかという悔しさを感じる。
(……頭撫でられたいなんて思ってるようじゃダメだよね……もっとがんばらなk)
「ヘーイ、テートクゥー!」
「どうした金剛?」
「どうしたじゃないネー、いつものアレして欲しいネー!」
「はいはい」
と、提督は金剛に近寄り

ナデナデ
「は?」
瑞鶴が小さく間の抜けた声を上げる。
「やっぱり帰ってきたらこれがないと落ち着かないネー!」
(ま、まぁ金剛さんは普段から思いっきり行動に出てるしね……)

ナデナデ
「へ?」
「そんな……榛名にはもったいないです……」
金剛に続いて頭を撫でられ顔を赤くする榛名。
(は、榛名さんも、ま、まぁ……ね)
思わぬ光景に内心動揺しまくる瑞鶴。

ナデナデ
「へへっ……ありがとね」
(えっ、北上さんも!? 提督大井さんに刺されるよ!?)

ナデナデ
「連合艦隊の旗艦を務めた栄光に比べれば微々たるものだが、貰っておこう……か」
頬を微妙に赤らめて呟く長門。
(長門さん!なんかカッコいいこと言ってるけど表情がセリフと逆ですよ!?)

ナデナデ
「……良い作戦指揮でした。こんな艦隊なら、また一緒に出撃したいものです」
(一航戦ッ──────!!!)

そして最後に
ナデナデ
「うふふ、瑞鶴が見ている前だと少し恥ずかしいですね」
(し、翔鶴姉まで………!!)

「では解散!」
その言葉と同時に部屋を出ていく6人。
「じゃあ瑞鶴、私ドックに行ってくるわね」
そう言って翔鶴も出て行った数分後。
「提督さんのバカァ─────!!!」
ワナワナと体を震わせた瑞鶴の罵声と同時に理不尽な暴力が提督を襲うのであった。

「ふん……なによ……提督さんのバーカバーカ……チェッ」
膝を抱えて自室の部屋の隅でいじける瑞鶴、そしてその態勢のままゴロリと横になる。
(翔鶴姉のあんな顔……今まで見たことなかったな……)
頭を撫でられている時の翔鶴の顔、普段自分に向けてくれる笑顔とは違う
気配りのある自慢の姉がみせていたのはまるで恋する───

「ああもうっ! なんなのよー!!」
提督に八つ当たりしていた時もそうだったが胸がざわざわする。
他の艦娘たちと触れ合っているところを思い出すとさらにざわざわは酷くなる。
わかってはいるのだが認めたくない、だからこんな言葉が口から出てしまうのだ。
「提督さんのバカ……」
枕を抱き締めながら自分がして欲しかった事を想像する。

以下妄想
「提督さんっ! 瑞鶴頑張ったよ!」
「よくやったな瑞鶴」
ナデナデ
「えへへ……提督さん」
「ん?」
「大好き(はぁと」
「俺もだよ瑞鶴」
提督が瑞鶴の唇を塞ぐ。
ちょっとびっくりするけど提督のするがままに任せる。
空いている手で抱き寄せられ、頭を撫でていた手は徐々に下に下がり……
「あっ……提督さん! そこは……」
「ダメか?」
「……ううん。提督さんなら……いいよ」

気がつくと瑞鶴は自分の指を下着の中に入れ、自慰をしていた。
「提督さん……んっ……提督さん……」
妄想の中で瑞鶴は提督に純潔を捧げる。
指使いがだんだんと激しさを増し、瑞鶴の口から押し殺した喘ぎ声が漏れる。
「やっ…! 提督さん! 瑞鶴、イっちゃうっ……!!」
自身の奥に指を突き入れると同時に瑞鶴の体がビクンと跳ね、軽く絶頂に達する。
ハァハァと息を整えながらボンヤリと自分の愛液にまみれた指を見つめる瑞鶴。
そしてノロノロと体を動かしティッシュで指とアソコを拭き、再び枕を抱きしめる。

(この枕が提督さんだったらいいのに……)
しばらくしてそんなことを思いながら先ほどの自分の行為を思い出し、自己嫌悪に陥る。(………く)
(なんで素直に言えないのかな……こんな性格じゃ好きになってなんか……もらえないよね)
いつも何かしようとしては空回ってばかりいる気がする。(……かく)
(それに翔鶴姉にも……ううん、ほかの人にもどうせかないっこないし……)
はぁ~と深くため息をつく(…いかく?)
(だけど、少しくらい気づいてくれたっていいじゃない)
そう思いながらまたいつもの言葉をこぼしてしまう。
「提督さんのバーカ……」
「瑞鶴?」

「瑞鶴、提督と何かあったの?」
背後から翔鶴の声がして文字通り飛び上がる。
「しょ、翔鶴姉!?」
お風呂上がりの翔鶴がいつの間にか瑞鶴の背後に立っていた。
湯から上がったばかりでほんのりと肌の上気している翔鶴は同性から見ても艶かしい色気を醸し出している。
「べ、別に……何も……」
「あら、提督のこと呟いてるからどうしたのかしらって」
「へ……? ……翔鶴姉……どのくらい前からいたの?」
「5分くらいかしら、瑞鶴ったらちっとも気づかないんだもの」
つまり5分間ずっと恥ずかしい妄想をしていて気づかず、独り言を聞かれていたということだ。
「イヤァァァァァァァ!!」
真っ赤になった顔を枕にうずめてジタバタと転げまわる瑞鶴
クスクス笑いながら見守る翔鶴をよそに10分ほど転がっていた。

「落ち着いた?」
「う、うん……」
転げまわっている間に翔鶴がいれてくれたお茶を一口飲む。
「あ、あのね……一つ聞きたいんだけど……」
「あら、あらたまってどうしたの?」
「そ、その……翔鶴姉って……提督さ、て、提督のことどう思ってるのかな……って」
「そうね~、提督のことは好きよ? というよりここの鎮守府にいる娘達はみんな好きなんじゃないかしら」
なんともないかのように答える翔鶴に瑞鶴は盛大にずっこける。
「え、いや! そ、そうじゃなくて、そう言う意味の好きじゃなくて!」
「?」
「あの……その……い、異性として……その……ゴニョゴニョ」
顔を赤くして口ごもる瑞鶴に翔鶴はあぁ……という笑顔を向ける。

「そうね、正直に言うと困ってしまうわね」
「え、どういうこと?」
予想のしていなかった答えに瑞鶴の顔が?になる。
そんな瑞鶴に翔鶴は笑顔のままで爆弾発言をかました。
「だって、妹と同じ人を好きになってしまっているんですもの」
「……へ?」
全く表情を変えない翔鶴とは対照的に瑞鶴の顔がみるみるうちに赤くなってゆく。
「そっそそそそそそんなことないっ!!」
「あらあら」
そんな瑞鶴の様子を楽しそうに見ていた翔鶴だが、少し真面目な顔になり、瑞鶴の手の上に自分の手を乗せ静かに尋ねる。
「本当に……そうなの?」
「…………」
瑞鶴は目を逸らして黙りこくってしまう。
「だ、だって……どうせかなわないから……翔鶴姉みたいに強くないし。む、胸だってゴニョゴニョ」
「それはあなたの気持ちとは全然関係ないわよ?」
「う……」

「提督のこと、好きなんでしょ?」
………コクン
「うふふ、素直でよろしい」
畳を見つめながら瑞鶴は考える、姉妹だというのにこの余裕の差は何なんだろうと。
「気持ちってね……多分ちゃんと言葉にしなければ伝わらないものなのよ」
そう言う翔鶴は優しく語りかけてくる。
でも、と瑞鶴は思う。そう言うなら翔鶴はもう提督に対して……
「翔鶴姉は……もう提督にそのこと話しちゃったの?」
少なくとも提督からはそういう感情は見受けられなかった、と思う。
そんな瑞鶴の言葉を聞いた翔鶴は困ったような笑顔を浮かべて答える。
「それがね、まだなの。私だって怖いのよ。拒絶されたらどうしようって」

お淑やかな雰囲気の中にも凛とした強さを持ち、一航戦にまで実力を認められた姉の意外な言葉に瑞鶴は目を丸くする。
「し、翔鶴姉ならそんなこと……!」
「ふふっ、私も瑞鶴と同じなのよ。思っていてもなかなか素直に言い出せない」
と、何かを思い出すように天井を見上げる。
「翔鶴姉?」
「ん……違うわね。一回だけあったわ、素直に気持ちをぶつけたこと」
「そうなの?」
「ええ、前に加賀さんのこと瑞鶴から言われたことあったでしょう? それで思い出したの」

その頃着任したばかりの翔鶴は正規空母という肩書きに見合った戦果を上げられず
当時秘書官であった加賀からは名指しで
「五航戦の子なんかと一緒にしないで」
と言われていた。
そして言い返せない自分が情けなかった。
かつて付けられた被害担当艦という不名誉なあだ名を思い出させるかのように出撃するたびにドックに入る日々。
今の瑞鶴にとっての翔鶴のように頼れる人もおらず、鬱々とした感情が溜まっていった。
そんな感情がその日ついに爆発した。
いつものように中破し、惨めな姿で帰ってきた翔鶴は暗い気持ちで戦闘詳細を報告した。
いつものように優しく労いの言葉をかけてくれる提督。
だが隣に立っていた加賀の視線が、翔鶴には冷たく自分を見下すものに思えてならなかった。
そう思った瞬間言わずにいられなかった。

自分なんていてもいなくても変わらない
なんでボロボロの自分にそんな優しい言葉をかけるのか、いっそ罵られたほうがマシだ
他にもひどい言葉をたくさん言った気がする。
もう自分でも何を言っているか分からずに気がついたら泣いていた。
それと同時に提督が優しく抱きしめてくれていることに気づいた。
何も言わずに頭を撫でてくれるその暖かな感触にまた涙が溢れ
今まで溜めていたものを吐き出すように提督の胸でわんわん泣き続けた。
泣き止んで我に返り、慌てて周りを見ると執務室には自分と提督しかいなかった。

加賀はどこに行ったのだろう?
恐る恐る尋ねると「多分演習場」という答えが帰ってきた。
「何故?」という翔鶴の問いに笑いながら提督は答えた。

「あいつも昔は今のお前と同じだった。だがお前よりも強い今も必死に自分を高めようと努力し続けている。何故だかわかるか?」
「わかりません……」
「怖いからだ。きっと翔鶴は強くなる加賀は思っている。
だからこそ一航戦……単なる先輩としての意地に思えなくもないが
お前にとっての目標でありつづけようと人一倍自分を律しようとしている」
まぁ口調がきついのはあの性格だから仕方ないが、と付け加える。
正直信じられなかった、加賀が自分をそこまで評価しているなんて。

だが、ある日演習場で加賀の訓練を翔鶴は目にする。
通常の訓練が終わった後も居残り
発着艦と攻撃指示を反復し続ける姿を。
自分の思い通りに艦載機を操る、それがどれだけ難しいかは同じ空母である翔鶴にもわかっていた。
見ている間一切気を抜かずにより早く、より速く、より正確に
鬼気迫る表情で訓練を続ける加賀を『美しい』と思った。
そして自分は一体何をやっているのだろうと。
最新の正規空母であることによる慢心があったことは否定できないが
それ以上に覚悟の段階で彼女とは埋められるはずのない差ができてしまっていたのだ。
(もう迷わない、いつかきっとこの人に追いついてみせる)
そう決意した翔鶴の足は自然と演習場に向かっていた。

「………」
並んで訓練を開始した翔鶴を加賀は横目でチラリと見ただけだった。
その視線を気にすることなく加賀に負けじと艦載機を発艦させる。
そして宣言する。
「いつかきっと……加賀さんに追いついて、追い抜いてみせます!」
「……五航戦の子には負けないわ」
加賀はそっけない声を返した。
だが翔鶴は確かに見た、ほんの一瞬だが加賀が微笑んでいたのを……

「その時からかしらね……全て受け止めてくれた提督を好きになって
加賀さんからだんだん『五航戦の子』って言われなくなっていったのは」
翔鶴の長い話を聞いた瑞鶴は黙りこくっている。
自分にもし翔鶴姉がいなかったらどうだったろう。
きっとその時の翔鶴姉と一緒で耐えられなかったと思う。
そして自暴自棄を起こしたであろう自分を提督は受け止めてくれるだろうか。
(きっと提督さんは受け止めてくれるんだろうな……)
明確な証明などできるはずもないが、瑞鶴はそう確信していた。
だから好きになってしまったのだろう、姉と同じように。

「翔鶴姉……」
「なに?」
「瑞鶴も頑張る……翔鶴姉達に追いつけるように!!」
「うふふ、期待してるわ。瑞鶴……でも今は夜間だから訓練できないわよ?」
今にも飛び出しそうだった瑞鶴が固まる、そうだ……空母は野戦無理だった……
夜戦……という言葉で以前提督の言葉を勘違いした記憶が蘇る。
(提督さんと夜戦……)
さっきの妄想が脳裏をよぎり、真っ赤になりながら頭をぶんぶん振って追い出そうとする。
「瑞鶴……大丈夫?」
「だ、大丈夫……そ、それと……その……提督さんのことは……」
「そのことなんだけど……」
翔鶴はニッコリ笑って一言。
「どうせだし、今から二人で言いに行きましょうか?」
「へ……? え、えぇぇぇぇぇぇぇぇ!? な、なんで!?」
「せっかくの機会だし……それに私もまだ一人で言う勇気がないもの」
「え……う……い、いや……その……」
有無を言わさず姉に腕を掴まれて瑞鶴はズルズルと引きずられていくのであった。

「え~と……これは……瑞鶴?」
「う、うぅ~……」
執務室に入った二人が目にしたのはまるで誰かに爆撃でも受けたかのような惨状の執務室と
床で大破して気を失っている提督だった。
「こ、これは……その……」
癇癪を起こして全力で提督に爆撃を浴びせた瑞鶴は状況の確認もせずに
「提督さんの大バカァァァァァァァァ!!」
と叫びながら飛び出していってしまったため、提督がどんな状態かわからなかったのだ。

「怪我はそこまで酷くないわね。気を失っている……というより眠ってしまっているようだけど」
「……う」
「あ! て、提督さん!?」
うめいた提督が目を開き、周囲を見回す。
「提督、大丈夫ですか?」
「……翔鶴と瑞鶴か……まぁ、少し体は痛むが。最近寝不足だったからそのまま寝てしまったようだな」
ほっと胸をなでおろして謝ろうとする翔鶴を瑞鶴が止めた。
「あの……提督さん。……ひどい事してごめんなさい」
提督の正面に正座し、涙を浮かべながら瑞鶴が謝る。
もしかしたら大怪我を負わせていたかもしれない、改めて部屋の惨状を見てそう思う。
「……ふぅ、二度はごめんだぞ?」
「……はい、ごめんなさい」
「さて、じゃあ提督はドックに連れていきましょうか」
「……いや、医務室でいいだろ」
提督の反応は至極真っ当なものだ。
そもそもドックは艦娘用のもので原理はよくわからないが傷や損傷を高速で癒すことができる。
確かにそのよくわからない効果で傷は早く治るかもしれないが普通は男子禁制の場所だ。

「大丈夫ですよ。今日は私が最後でしたから今は誰もいません」
「いやしかし……」
「ほら瑞鶴、そっちの肩を持って」
「う、うん。わかった」
「いや、お前ら人の話を」
と言いたいところではあるが正直体に力が入らない。
抵抗する間もなくドックに到着。
「ちょっと待て、わかった。ここで直すからその手をどけろ」
提督の声に焦りの色が浮かぶ、原因は二人が自分の服を脱がそうとしていることだ。
なんとか歩ける程度には感覚が戻っている。
流石にこれ以上させるのは風紀上望ましくない。
タオルだけ受け取ると器用に前を隠して服を脱ぎ、危なっかしい足取りで湯船に歩いて行った。
半裸は見られているがこの際仕方あるまい、さすがに体が限界だった。

湯船に浸かると不思議な感じが体を駆け巡る。
これがドックの効果かー……などど考えながら体の感覚を確かめる。
体ははほぼ動くようになった、傷や火傷はまだ痛むがそれは時間に任せればいいだろう。
もう少ししたら出るか、と考えていたところでガラガラと脱衣所の扉が開いた。
「はい?」
そこにいるのはバスタオルで体を包んだ翔鶴と同じくバスタオルで体を覆い、顔を赤くした瑞鶴だった。
「おい、お前達は別にドックに入る意味がないだろう。それに俺はもうすぐ出る。入るならそのあとにしてくれ」
笑顔でそれを無視しつつ翔鶴は湯船に入り、提督の隣に座る。
そして遅れて瑞鶴もその反対側に座った。
「……なんなんだ一体……」
「本当に提督……あなたという人は、鋭いのか鈍いのか未だによくわかりません」
いつにもまして静かな瑞鶴は姉よりも体を密着させてくる。
完全に離脱するタイミングを逃した提督は諦めたように背を湯船につけた。

しばしの間静かな時間が流れる。
「……あのね」
「ん?」
瑞鶴が口を開く。
「瑞鶴が勝手に怒って提督を爆撃したのはね……その……瑞鶴も、頭なでて欲しかったから……」
提督の頭の中が今日の出来事を掘り起こす。
そういえばなでられていないのは瑞鶴だけだ。
ただ、言わなかったのでそういうことをされるのは嫌だと思ったからであった。
ただでさえ爆撃してくるし、とはいえ
チャプン、という音ともに提督の右腕が湯から出て瑞鶴の頭をなでる。
「濡れた手で申し訳ないけど、な」
なでられている瑞鶴の方はというと、真っ赤な顔をしながらもおとなしくそれを受け入れている。
「うふふ、良かったわね瑞鶴」
「……うん」
姉の言葉に素直に頷く瑞鶴

「さて、それじゃ俺はそろそろ上がる」
そう言って湯船を上がるがなぜか二人共付いてくる上に洗い場の方に誘導されてしまう。
「いつもの気を使っていただいているお礼にお背中流させていただきますね」
「瑞鶴は……さっきのお詫び」
提督とて男だ、二人の態度が何を示しているのか完全に分からないほど愚かではない。
だがそれは彼自身の決めたルールを破る行為に他ならなかった。
「すまないが「提督」
提督の言葉は翔鶴の言葉で遮られ、彼女の体が背中に密着する。
「提督……私はあなたが好きです。ずっと前からお慕いしていました……それに瑞鶴も」
その言葉と同時に斜めから瑞鶴が提督の体に細い腕をまわす。
「うん……瑞鶴も提督さんのことが好き……大好き」
力はそれほどでもない、だが振りほどくことを躊躇われるほどの意志がその腕に込められていることを感じる。

再び静寂に包まれるドック内、提督の声が静かに紡がれる。
「お前たちの好意は嬉しい、と思う。だがそれ以前に俺は提督だ。
特定の部下と関係を持ってそれが指揮や士気に悪影響をもたらしてしまっては本末転倒になってしまう」
ある程度好意に気づいたとしても応じなかった理由がそれだろう。
(ほんとに頑固なんだから……)
瑞鶴としてはもっと職権乱用してもいいと思ってるくらいだ。
だが、翔鶴はにっこり笑いながら全く予想外のセリフを紡ぎ出す。
「提督も意外と甲斐性がないのですね」
「は?」
「『提督ならば艦娘の10人や20人養ってやる』位のことを言ってくださってもいいと思いますよ?」
さらりととんでもないことを発言する翔鶴。
要約してしまえば『YOUハーレム作っちゃいなYO! 誰も邪魔しないからSA!!』ということだ

それに、と翔鶴は言葉を続ける。
「提督ならきっとうまくできますよ、それどころか絶対に守りたい人が鎮守府にいて自分たちの帰りを待っていてくれる。
こんなに嬉しいこと、そしてこれ以上ないくらいに士気を高めてくれる事はありません」
「…………ッ!?」
逡巡する提督の唇に突然柔らかいものが触れる
瑞鶴が目一杯の勇気を振り絞って提督の唇を奪ったのだった。
舌を入れるとかそういうことはなしに、ただただ自分の思いをぶつけるかのように提督に口付ける瑞鶴。
ようやく唇を離すと真っ赤になりながらも真っ直ぐな目で提督を見つめる。
「瑞鶴も絶対翔鶴姉や加賀さんみたいになるために頑張る
……だけど強くなりたいのはそれだけじゃなくて……その、提督さんやみんなを守りたいから」
「瑞鶴……」
今までの彼女とは違う、どこか吹っ切れた迷いのない瞳でそう宣言する彼女を見つめる。
「提督」
「ん?……んんっ!?」
今度は翔鶴に唇を奪われる。
「お願いします。提督が私たちを受け入れてくれたように今度は私たちが提督を受け入れたいんです」
唇を離すと穏やかな中にも譲れない強さを秘めた目で提督を見つめる翔鶴。

「……負けたよ。憲兵でも軍法会議でもなんでも持って来い」
「提督!」
「提督さん!!」
本当に嬉しそうに提督の体を強く抱きしめる二人。
「~~~~っ!!」

ムクムク

「どうしたの提督さん……ってきゃあ!」
提督の視線がそらされたのを見て視線を下げた瑞鶴の目に入ったのは
すっかり元気になってタオルの下からこれでもかと主張する提督の分身の姿だった。
「仕方ないだろ、俺だって男なんだから……それにお前達みたいな美人に抱きつかれたら普通はこうなる」
(お前達? って瑞鶴のことも美人って言ってくれてるんだ……!!)
翔鶴が美人なのは瑞鶴から見たって一目瞭然だ。
そんな姉と同じに見てくれている、それが嬉しくてますます提督の体にしがみつく。
提督からすると後ろからは翔鶴の体全体、特に背中に二つの柔らかいものが強く押し付けられ
さらに前からは今まで見たことがないくらい素直になった瑞鶴の若々しい肌が密着して
これで体に興奮するなというのが無理な話だろう。

思う存分提督の体に抱きついた二人が提督の前に移動しタオルを取り外すと
下からはすっかり固くなり反り返った肉棒が現れる。
「これが提督……殿方の……」
「お、思ってたよりおっきい……」
「あんまりジロジロ見ないでくれ……これでもかなり恥ずかしいんだ」
目を逸らしながら言う提督を無視して瑞鶴に尋ねる翔鶴。
「ねぇ瑞鶴、どうしてさしあげるのが一番いいのかしら」
「えっ!? そ、そこで瑞鶴に聞くの!?」
「ごめんなさい、私よりは知っているかなって」
「そ、その……確かこうされると気持ちいいって書いてあったかな……」
そう言いながら瑞鶴はおずおずと肉棒に舌を這わせる。
舌が触れた瞬間、ビクッと肉棒が震える。
「あら、提督。大丈夫ですか?」
「あ、ああ……その、気持ちいいぞ瑞鶴」
褒められて嬉しくなり日々の妄想で培われた技術を提督の分身にぶつけていると
反対側から翔鶴も肉棒に舌を這わせ始める。
「ん……ペロッ……これでよろしいのですか?提督」
「うっ……あ、あぁ……」

ある意味目の前の光景は天国である。
あの美人の鶴姉妹が自分のモノをこれ以上ないくらい愛おしげに舐めてくれているのだ。
これで興奮しない男がいようか、いやいない(反語)
口や舌捌きは当然ぎこちないが、そんなことはおつりが来て有り余るほどに目に映る光景は扇情的だ。
提督とて一応健全な男子だ、その光景とまるで取り合いをするかのように竿や亀頭に与えられる刺激は
限界を迎えるに十分すぎるものだった。
「うっ…二人共離れろ!」
だがその言葉に二人は従わず、唇を亀頭に押し付け舌による攻撃で止めを刺した。

ドビュルルルルッ!!

白い液体が先端から吐き出され、二人の顔を汚してゆく。
目を閉じ、逃げずに受け止めた二人がゆっくりと目を開く。
「これが……提督の子種」
「し、翔鶴姉!?」
瑞鶴の顔についた精液をゆっくりと舐め取ってゆく翔鶴。
その背徳的な光景は精を放出したばかりのソレを再び固くするのに申し分のない光景だった。
「提督さんの……また大きくなってる」
「し、仕方ないだろう」
「提督……」
「翔鶴?」
うっとりとした顔を提督に向けながら翔鶴が自分と瑞鶴がまとっているタオルを外し
「お願いします……どうか次は提督のお好きなように……」

正直そこからはよく覚えていない。
理性の切れた頭で本能のまま二人の体を貪った。
唇を奪い、体中に手を這わせ、秘所に舌を這わせた。
指を入れ、豆を弄り、二人が喜びに悶える姿をぼんやりとした頭で見つめていた。

そしてそそり立ったモノを入れようとした時ふと迷ったことで少しばかり我に返る。
(こ、この場合……どっちを先にすればいんだ)
息を荒くして絶頂の余韻に浸ってた翔鶴が提督の様子に気づくとニッコリと微笑む。
「提督、瑞鶴から先にしてあげてください。この子がいなければ今日こんなことをする勇気、出ませんでしたから」
そう言うと翔鶴は瑞鶴の足を開け、割れ目を指で広げる。
綺麗なピンク色のそこはヒクヒクと蠢き、物欲し気なよだれを垂れ流している。
「ぁ……やぁ……恥ずかしいよぉ……」
顔を赤くする瑞鶴だが、抵抗は全くしようとしない。
頷いて瑞鶴に近づき、先端を割れ目にすりつける。
それだけの刺激で瑞鶴の中からさらに愛液が漏れて先端に絡みつく。
「じゃあ行くぞ瑞鶴」
「……うん」
「よかったわね瑞鶴。でも提督、私にもちゃんとしてくださいね?」
「ああ」
そう言うとゆっくりと瑞鶴の中に侵入をはじめる。
「あっ……くっ……痛っ」
「うっ……瑞鶴、力を抜け」
「で。でも……」
痛みに顔をしかめる瑞鶴の頭を翔鶴の手が優しくなでる。
「大丈夫よ瑞鶴。私もいるから、ね?」
「ぁ……翔鶴姉……」
抵抗が弱まった瑞鶴の中をゆっくりと進み、やがて先端が処女膜に達する。
少し力を入れるとプチンという感覚とともに結合部から初めての証である血が流れる。
さらに用心深く肉壁をかき分け、コツンという感触とともに肉棒の先端が瑞鶴の子宮に達した。
「全部入ったぞ……瑞鶴」
「あ……提督さん……グスッ……嬉しい」
痛みと嬉しさで涙を流す瑞鶴の目尻に優しく手を伸ばし涙をぬぐい取ってやる。
「それじゃあ……動かすぞ」
「うん……提督さん……瑞鶴の中でたくさん気持ちよくなって……」
ゆっくりと腰を前後に動かす、瑞鶴の中はきつく肉棒を締め付けて気を抜くとすぐにでも果ててしまいそうだ。
何度か往復するとだんだんきつさが薄れ、それと入れ替わるようにやわやわと肉壁が優しく全体を包み込み
愛液を潤滑油としてグチャグチャと卑猥な音が結合部から漏れ始める。
それと同時に瑞鶴の声にもだんだん喘ぎ声が混じり始める。
頭を撫でていた翔鶴の手は今は優しく瑞鶴の乳首や肉芽を刺激し、その度に瑞鶴の体はビクンと跳ね
キュウキュウと提督を締め付ける。

「あっ!ダメ翔鶴姉!!これ以上されたら瑞鶴おかしくなっちゃうッ!!」
「いいのよ、おかしくなって」
そう言ってさらに瑞鶴の体に刺激を与える翔鶴。
提督の方はすっかり馴染んだ瑞鶴の中に容赦なく自分のものを叩きこんでいる。
全身に与えられる快感に瑞鶴はあっという間に絶頂に上り詰めてく。
「あっ……!やぁっ! 提督さん…翔鶴姉……! 瑞鶴、もう……もうっ────!!!」
瑞鶴の膣内がギュウっと欲望を締め付ける。
「クッ……瑞鶴!!」
その刺激を存分に味わおうと一番奥に叩きつけ、先端が子宮を叩いた瞬間

ドクンッ!!

大量の熱い白濁液が瑞鶴の一番奥に放たれる。
「ふぁぁぁ……あったかいのがいっぱい……入ってくるよぉ」
その感覚を瑞鶴は本当に嬉しそうな表情で受け入れていた。

ズルッ……

精を吐き出した肉棒を瑞鶴から引き抜き翔鶴を見ると
「……ん……はぁ……すごい」
瑞鶴の痴態を見ていた翔鶴はぎこちなく自分の秘所に手を伸ばしていた。
普段の彼女からは全く想像できないその光景に再び元気を取り戻していく欲望。
(我ながら業が深いな、人間ってのは全く)
そんなことを思いながら翔鶴を抱き寄せる。
「ぁ……提督」
赤らんだ顔で翔鶴は提督の顔を見て小さく頷く。

瑞鶴の血と愛液、そして精液で汚れた肉棒を翔鶴の割れ目に押し当てる。
優しい表情で頷く翔鶴に笑みを返して今度は昇格の中に挿入してゆく。
瑞鶴ほどではないがやはりきつい、だが翔鶴は必死に声を上げずに痛みに耐えている。
ズブズブと肉棒が翔鶴の中を押し分け、彼女の処女膜を突き破る。
一旦そこで侵入を止め、翔鶴の息が落ち着くのを待つ。
「て、提督……私は……大丈夫ですから」
「そういうわけには行かない、それに仕返しをしたがっている奴がそこにいるぞ?」
気丈な言葉を放つ翔鶴にいたずらっぽい笑みを投げかける。

「え?」
いつの間にか余韻から復活した瑞鶴がやわやわと翔鶴の胸を揉みしだく。
「ひゃう!? ず、瑞鶴?」
「さっきのお返し、それに翔鶴姉にも気持ちよくなって欲しいし……」
そう言いながら今度は胸にくちづけ、赤ん坊のように翔鶴の乳首を赤ん坊のように吸う。
「あんっ……ふぁぁっ!!」
翔鶴の気が上にそれている間に徐々に腰を動かす提督。
その場で細かく動かしていると緊張がほぐれてきた翔鶴の中から愛液が溢れ
徐々にスムーズに動かせるようになったのを確認すると不意に一番奥まで突きこんでやる。
子宮を叩いた瞬間キュンと中が締まり、危うく出してしまいそうになるところを歯を食いしばってこらえる。
「て、提督も瑞鶴も……いきなりしてくるなんてずるい……です」
その嗜虐心をそそる表情に反応して大きさを増す肉棒。

「あっ……中で大きく! ず、瑞鶴も……ダメェ!!」
長い銀髪を振り乱してイヤイヤする翔鶴の中を思う存分に提督の欲望が蹂躙する。
「翔鶴姉……可愛い」
そう呟いた瑞鶴は結合部に顔を近づけ、翔鶴の陰核を舌で刺激する。
そのたびに翔鶴の体が跳ね、快楽から逃げようとするのだが腰をがっちり掴んだ提督の腕がそれを許さない。
「やぁっ! こん、な……気持ちいいの……私知らな……あぁっ!!」
結合部は翔鶴の愛液と血でピンク色の泡が立ち、瑞鶴の時と同じグチャグチャと淫猥な音と翔鶴の喘ぎ声が風呂場に響いている。

感じやすいのか既に数回イっている翔鶴が提督に懇願の目を向ける。
「お願い……します……わ、私……もうっ!」
「ああ……いくぞ翔鶴」
提督の方もそろそろ限界だった、腰の動きを早め、ラストスパートに移る。
激しく肉と肉がぶつかる音が響き、完全に快楽に支配された翔鶴の息絶え絶えな声が欲望を刺激し
「翔鶴……出すぞっ!!」
「ああっ……!提督!提督!私も、もうっ!!」

ドクン!!

今日三回目の射精が翔鶴の中で暴れ狂う。
ビクンビクンと大きく体をのけぞらした翔鶴の体が落ち着いた頃
ようやく収まったモノを引き抜くと入り切らなかった精液がゴポッっと翔鶴の中から溢れた。
そして3人は荒い息を吐きながらしばらく快楽の余韻に浸っていた。

それぞれ体を洗い流した3人がドックから出て廊下を歩いているとバッタリと加賀に出くわした。
「あら」
そう言いながら3人を一瞥する加賀。
提督の両脇は翔鶴と瑞鶴がそれぞれ腕をとってしがみついている。
「はぁ……せめてもう少し声を抑える努力をしなさい」
とため息を漏らした加賀の言葉に固まる三人。
風呂場の反響でどうやら外に丸聞こえだったらしい。
「あと提督」
「ハイ」
「提督たるものが率先して風紀を乱す行為をなさるのはどうかと思いますが」
「いや、まぁ……その、言葉もない」
翔鶴があんなことを言ったとはえ、加賀の言うことは正論だ。
「全く……してしまったものは仕方ないですが」
そう言ってすれ違い、廊下を曲がって加賀は消える。

「まぁ……あれが正論だよな」
「ふふ……いいんです。だって提督は言ってくださったでしょう?
10人20人の艦娘くらい養ってくれって言ったら『憲兵でも軍法会議でもなんでも持って来い』って」

「oh! それは本当デスカ!?」
「こ、金剛さん!?」
瑞鶴が驚いた声を上げる。
「お、お姉さま! 飛び出していってどうするんですか!?」
突然登場した金剛の後ろから榛名が現れる。
「榛名、気にすることないネー! 翔鶴サン達に先を越されてしまったと思いましたが
その言葉からするとまだチャンスは十分にアリマース!!」
「はぁ……さっきまで提督を取られたって泣いていらっしゃったというのに」
「な、ななな何の話ネ!? 榛名だって思いっきり涙ぐんでたじゃないデスカー!?」
「そ、それは……その……」
「と、というわけで改めてバーニングラァァァァァァ」
「そこは譲れません」
呆気にとられてそれを見ていた3人をよそに提督の胸に飛び込もうとした金剛の体が空を切る。

いつの間にか提督の背後に回っていた加賀が提督を羽交い絞めにして後ろに引っ張り。
危うく金剛は壁の直前で慌てて停止する。
「提督、少しお話が」
「ちょ、ちょっと待て! 引っ張るな!!」
「oh、加賀サン! 抜けがけはずるいデス!!」
「とにかく提督、先ほどの言葉の件について詳しく話していただきます」
そう言って提督をズルズル引きずっていく加賀。

「ふふ、加賀さんも素直じゃないんだから」
「へっ?」
一連の流れに完全に飲まれていた瑞鶴が疑問の声を上げる。
「あら、見てなかった? 提督を引っ張っていく加賀さん、顔が真っ赤だったわよ。さっきの瑞鶴みたいに」
「うっ……え、えっとじゃあ加賀さんて……」
「そうね、私達と同じだったのかもしれないわね」

告白はした。
受け入れてもらえた。
まぁその後がいろいろグダグダだった気がしなくもないが
それでもこの人達となら上手くやっていけるのかな
そんなことを瑞鶴は思った。

もう昨日までの自分ではない、瑞鶴には目指すものと守るべきものができたのだから

 

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最終更新:2013年10月30日 20:17