非エロ:提督×大鯨「ほ・ろ・よ・い 幼妻大鯨ちゃん」16-325

325 名前:幼妻大鯨ちゃん[sage] 投稿日:2015/03/03(火) 21:41:49 ID:UK87oIHg
桃の節句なので非エロですが投下します




326 名前:ほ・ろ・よ・い 幼妻大鯨ちゃん[sage] 投稿日:2015/03/03(火) 21:42:48 ID:UK87oIHg





今日は3月3日。女の子を祝う楽しい雛祭りの日である。
鎮守府には艦娘と呼ばれるたくさんの女の子がいるため、男の俺にも無関係というわけではない。
だが元々は古代中国の上巳節と呼ばれるもので、それは男女の関係なく行われるものであった。
唐の時代に日本に伝わり上巳の節句となり、様々な過程を経て女の子を祝う雛祭りとなったのだ。
季節の行事には目敏い俺だったが、雛祭りが元々女の子だけのものではなかったと知ったのは最近の事だった。
準備なんてできるはずもなく、今年は雛祭りとして艦娘を祝う為の祭りに終わることになるが
来年はきちんと準備しておいて女の子だけでなくみんなの健康を祝う行事を行いたい。
鎮守府での雛祭りを楽しみに足早に出張から帰ってきた俺は意外な出迎えに驚いた。

「おっ帰りなさぁ~い」
「ッ!?」

その場にいたみんなも驚いていた。大鯨が高いテンションで俺に抱き着き、キスしたからだ。
しかもそのキスはなんだか酒臭い気がした。

「まあ、大鯨ちゃんったらダ・イ・タ・ン、大胆ね」
「んんっ…………っはあっ、のんきに大鯨の声真似してる場合か!?一体どうしたというのだ!?」

やっとのことで口を離した俺は思わず如月に怒鳴り散らすような口調で言ってしまった。

「あ、あの……」
「なんだ?」

電が恐る恐る話しかけてきた。俺はとりあえず落ち着いて聞いた。

「実は…私が大鯨さんに雛祭り用に用意した甘酒がたくさんあまったからそれを飲ませて…
 そうしたらあんな調子になっちゃって……」
「甘酒で酔うなんて……お酒とっても弱いのかしら!」
「そんなはずないよ。大鯨はあまりお酒には強くないけど、提督と同じくらいには飲めたはず……まさか!?」
「どうやらそのまさかみたいだな」

隼鷹が何かに気付いた時、俺は転がっていた酒瓶を確認した。



「こりゃ甘酒じゃない。白酒だ」
「やっぱりね…」
「司令官、白酒ってな・あ・に・」

いつもの調子…だが必死にいつもの調子でいようとしているような感じだった。

「白酒は甘いから甘酒と混同しやすいけど、アルコールがほぼない甘酒は酒税法上はお酒じゃないけど、
 白酒はアルコール度数が9もあってリキュール、つまりれっきとしたお酒なんだよ」

さすがは隼鷹だ。酒が絡んだ時の速さときたら天下一品だろう。

「じゃあ私達子供が雛祭りに白酒と思って飲んでいたのは…」
「酔わなかったのなら甘酒と勘違いしていたのさ」
「つまり白酒は甘酒の一種ではなかったのですか…」
「そういうことだ……電、このことはよく覚えておいて、これからは気をつけるんだ」
「わかりました……」

電がすまなさそうな顔をしながら答えた。

「で、これからどうするのかしら……?」
「そうだな……」

如月が目をやった先にはすっかり出来上がっていた大鯨の姿があった。

「さっきまではこんなんじゃなかったけど提督が帰ってきた途端こうなのよ…」
「このままじゃ雛祭りに参加させられないな…」
「司令官さんは大鯨さんと一緒に休んでいてください。後は私達が……」
「…わかったよ鳥海。君達に任せる」
「そうよ司令官、私達に頼ってもいいんだからね!」

俺は鳥海や雷達に全てを任せ、大鯨と共に司令室に戻った。



「提督ぅ…雛祭りに行かないんですかぁ…」
「大鯨、今の君じゃ何をしてしまうかわからない」
「隼鷹さんだって酔っ払いながら任務に勤めている時があるじゃないですかぁ」
「彼女は酔っ払っていてもそれなりにしっかりしているから大丈夫だけど、
 君はここまで酔ったことなんてないからどうなるのかわからないし」

彼女は酒に少しは付き合える程度には強く、いつもこうなる前には飲むのをやめる。
だから彼女は酒を飲んでいても悪酔いすることはなかった。
彼女がこれほどまでに酔っていたのは、甘酒という思い込みのもとでかなりの白酒を飲んでしまったからであろう。

「とにかく俺達の今日の仕事は終わりだ。ゆっくりと休もう」
「そうですかぁ……だったら!」
「おいっ!?」

彼女がいきなり押し倒してきた。

「何を…」
「いいじゃないですか、夫婦なんですし……それに……私……寂しかったんですよ……長い間あなたと会えなくて」

長い間といっても一週間のことである。しかし俺達は結婚してからそれほどの期間離れ離れになったことはなかった。
俺が大鯨を雛祭りの料理の準備の為に鎮守府に残したのが原因だろう。
……ふと見せた悲しげな顔は艦娘大鯨ではなく一人の女としての顔だった……

「だからしましょ。久しぶりに、たーっぷりと…ね」
「い、いや…」

俺が彼女を拒む理由なんて全くない。だけど彼女は酔っている。
酔っている人に対してそういった行為に及ぶ事は悪い事だからだ。
彼女なら及んでしまってもわかってくれそうだと思う一方、
どこか頭の中でやっちゃいけないと叫ぶ自分がいた。

「私はいつでも準…でき…………」

そういって彼女は俺に倒れ込んだ。そして聞こえてきたのは安らかな寝息だった。
ふう…一時はどうしようかと思ったがとりあえず一安心か。
俺はこのままだと二人とも風邪をひいてしまうだろうと思い布団を敷き、
彼女を布団に寝かせて俺も一緒の布団に入った。
彼女の顔はとても安心しきった表情だった。さっきまでの寂しげな表情はもうなかった。
俺はそんな彼女の寝顔をいつまでも、彼女の手を握りながら見つめていた。



「き、昨日はその、ご、ごめんなさいっ!」

彼女は起きて早々昨日の事について謝った。

「せっかくお寿司やはまぐりの潮汁を作っておいたのに……
 それにあんなはしたない真似をしちゃって……」

はしたない真似なら今までにもなくはなかったが……
もしかしたら酒に呑まれてしまっての事を恥じたのかもしれない。

「いや、過ぎたことはいいんだ。これから気をつけたらいいから」
「ごめんなさい……」
「……この話はここまでだ。さて、今日は何をするか……」
「今日は……あなた確か出張帰りだから休みでしたね」
「君も雛祭りの準備をさせていたから今日は休みだな…………
 そうだ、せっかくだから料理を教えてくれないかな」
「料理、ですか?」
「俺だってちょっとは料理を作れるようにならないとな。
 ラーメンスープとかうどんつゆとか、煮卵風のゆで卵とか……
 お世辞には料理とはいえないものばかりだからな、俺ができるのは」
「はいっ!わかりました!一生懸命教えてあげますね」

昨日の失態を挽回しようとするかのように張り切る彼女の姿を見て頼もしさを感じた俺だった。

「そうだ、ついでに一ついいか?」
「なんですか?」
「その……君が酔っ払っている時に…そういったこと、してみても……いいかな……」
「…………はい…………別に構いませんよ……昨日だって、しても文句は言いませんでしたよ……」

彼女は恥ずかしそうに許可してくれた。
そんなことに許可を求める俺もちょっとアレだろうが、
親しき仲にも礼儀あり…ってこの場合に当てはまるかわからないが、
言っておかないと不安になる性格な俺なのであった。

―続く―






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最終更新:2017年02月26日 20:59