提督×霞16-168

168 名前:2-683 霞[sage] 投稿日:2015/02/22(日) 07:57:22 ID:G9FxYqM2





今の時間は、どうなっているだろう。
どうでもいいか。
深い夜である事は分かる。執務を再開できる気分ではない。
今の自分は砂嵐が吹き荒れる心情にあったからだ。
蹴飛ばしたい衝動を抑え、執務室の扉を開けた。
秘書艦霞はずっと待っていたのか否か私をぞんざいに出迎えた。
霞は普段通りの気を緩めない顔でいるが、私は普段通りの精神状態ではないのだ。
今は霞と口を利く気分ではないのだが、霞からすればそれは関係のない事だろう。
大本営に呼び出された今日の事柄を霞に尋ねられ、私は全てを語った。
この鎮守府が設立されてから目立った戦果がない事を糾弾された事。
艦の犠牲を躊躇しない他の鎮守府を引き合いに出された事。
大本営のその身勝手な態度に、自分は首が飛びかねない程の危ない態度で応戦した事。
それら全てを聞き終えた霞は、私を見上げて歯向かって来た。

「はあ? それで逆切れ? だらしないったら!」

逆切れ? だらしない?
霞の怒号が疲れた身に染みるが、私は霞の言葉を頭で反芻した。
霞の辛辣な言葉は聞き慣れていると自負している筈だが、気が立っている所為なのか稚拙に口が動く。
上の価値観が狂っているから自分はそれを然るべき在り方へ導こうとしただけだ。
それなのに自分が間違っていると言うのか?
霞はあんな事を言う上がおかしいとは思わんのか?
霞は私に、そんな上の人間の犬になれとでも言いたいのか!?
自分は自然と声を荒げていった。
しかし霞は一蹴するように鼻で嘆息した。

「上の人間が発言力のない司令官の戯言を聞くと思ったの?
それに、これで左遷でもされたらやり方も何もなくなるでしょ。
そんなことも考えられないんじゃクズ司令官は犬同然よ。馬っ鹿みたい」

……何だと。
もう駄目だ。我慢ならん。
自分の周りには味方がいないようだ。
秘書艦にさえ自分を否定されたこの時、蔓延っていた黒い感情は爆発してしまった。
全く、上官に向ける言葉とは思えない。霞にはお仕置きと調教が必要のようだ。
霞を蹂躙してやりたい、そのような生意気な口を二度と叩けないようにしてやりたい。
この泥々とした感情を抑えられそうにない。

「っな!」

霞の手をひったくるようにして薄暗い自分の私室へ連れ込む。
邪魔者が入らないよう後ろ手に鍵をかけると、霞はその目に警戒心を色濃く表した。
霞には無意味かもしれないが、目をなるべく鋭くさせて威圧するように見下ろす。
抵抗出来ないよう霞の両腕を痣が残らんばかりに掴んだまま追い詰め、やがて寝具へ押し倒した。



「私に当たる気?」

霞は素行を改めない。
予想は出来ていたが、全く威圧出来ていないようだ。
もしくはこれからされる事が分かっていないのかもしれない。
自分はボタンが破損する事も躊躇わず霞の上部装甲を力尽くで開いた。
その中にある青緑を基調とした装甲をたくし上げると、慎ましいタンクが二つ露わになった。
それの片方を右手でむんずと掴む。

「っ……」

予想に反して霞は大声を上げるどころか唇を硬く閉ざした。
しかし仮に大声を上げたところでここは奥まった提督の私室だし、
ここを出た執務室の壁は防音効果もあるので誰にも聞こえる事はなかろう。
通りすがりの者に聞こえやしないか気を割く必要もない。
目前の霞に集中する。
自分の右手にすっぽり収まる程度の慎ましいタンクは張りが強いのか少々硬めだ。
だが、硬かろうが柔らかろうが自分がこうして昂る運命は変わらなかっただろう。
見た目は人間の少女そのままなのだ。背徳感を煽られる。
目を尖らせる霞の意思は"屈してなるものか"と言う歴戦の勇士のものだろうか。
そんな態度を取るならば、此方としても更に張り合いがあっていいと言うものだ。
空いている左手を口元に持ってきて指を舐ると、それを霞の下部装甲の、またその奥の装甲に潜らせる。
ぴったりと閉ざされている霞の艦内へ、舐った中指をぐりぐりとねじ込む。

「いっ……!」

当然だが霞の艦内は一切濡れていない。
それを見越して指をあらかじめ舐ったのだが、あれだけでは摩擦率の大幅な改善は見込めない。
別段太くない自分の指を一本入れただけなのだが、霞の艦内はとても狭かった。
私の中指を異物と察知して懸命に押し出そうとしてくる。
私はそれに抗うように小さいながらも指を前後に動かす。
この時点で霞の両手は私の束縛から解放され自由になっているのだが、
何故か霞は寝具にしがみついて耐えるだけだった。
おい。痛いだのやめろだの言ったらどうなんだ。抵抗しないならもっと痛い事をしてしまうぞ。
しかし霞は一向に抵抗しようとしない。
霞は今一体何に束縛されているのだろう。
私は霞から両手とも離し、冷めた目で霞を見下ろし、ズボンのファスナーを悠々と下ろした。
自分の動きは慢心と言える程に無防備なものだが、そんな私を霞は鋭い目付きで見上げるだけだった。
霞の下部装甲を捲り、白い装甲を外す手間を惜しんで横にずらす。



「……ひ、ぐ……、っは、ぁっ……!」

慈悲などなしに主砲を突き入れると、霞は声になっていない悲鳴を上げた。
歯を食い縛ったり酸素を求めたりと忙しなく口を開閉させている。
それにしても狭い。きつい。
ふと目を落としてみれば、結合部からは明らかに赤い液体が滲み出ていた。
おいおい。見た目人間のようだと思っていたが、これでは完全に人間ではないか。
霞の血を見て自分の頭から血が引きかけたが、今更やめる選択はない。
全ての鬱憤をこの小さな艦体にぶつけるべく、無理矢理自分を突き動かす。
霞の艦内を何度も力任せに押し広げる。
最早血を潤滑剤とする事で動かす事が出来ている有様だ。

「っ! ぅ、ううっ、ぎっ……」

嗚呼、だが気持ちいい。
小さく無垢な身体を蹂躙すると嫌でも滲み出る背徳感が、征服感が、酷く快感を煽る。
痛い位に、絞るように締め上げる霞の中が、気持ちいい。
一方瞼まできつく閉じ懸命に耐える霞に、真上から影を落として罵詈雑言を浴びせる。
ほら、痛いんじゃないのか。苦しいんじゃないのか。やめて欲しいんじゃないのか。
抵抗してみろ。霞から届く距離にある屑司令官の頬を張ってみろ。霞なら出来るだろ。
出来ないのか? 上官を粗末に扱う何時もの高慢な威勢はどうした!? 何か言ってみろ!!



「……めよね……」

あ?

「惨めよねっ……!」

自分は思わず動きを止めてしまった。
霞は、どこまでいっても霞だった。
外部から駄目出しされて憤慨する自分と、気にも留めない霞。
頭の螺子が飛んだ自分と、ボルト一本抜け落ちなかった霞。
勝手に征服感を感じていた自分と、己を睨み続けた霞。
己を見失った私を、蔑む霞。
"惨め"と言うのが一体誰の事か等、考えたくもない。

「この、どうしようもない、クズ……!!」

霞の目には変わらぬ強い光があった。依然鋭く睨みを利かせてくる。
何故、挑戦的な目を向けてくる?
何故、ここまでされて屈しない?

何故、冷めた目をしていない?

「っ、……!」

自分は目を痛い位瞑って腰を慌ただしく動かし始める。
霞の底知れぬ何かを見、途端に恐怖心を抱いた。
霞の艦内を乱暴に抉って快感を得ようとし、と言うより、射精感を促してゆく。
逃げ道を作る為に、突く。突いて突いて突いて突いて……。

「め、目を見なさっ、この、クズっ……!」

「っぐ……!!」

黙れッ!!

「んんっ!! んや、ぁぁああ……!!」

歯を食い縛り、鬱憤を霞の最奥に掃いた。
暫し肩の荷が吹き飛んだような、ついでに螺子もまた数本吹き飛んだような感覚に支配される。
だが鬱憤を全て射撃し終えた頃、自分は糸が切れたように意識まで吹き飛んでしまったのだ。

……………………
…………
……



今の時間はどうなっているのだろう。
目覚ましの音を聞く前に目覚めてしまった。
……夕べの自分は随分と卑猥且つ下劣な夢を見たようだ。煩悩でも溜まっているのかもしれないな。はっはっは。
等と笑っている場合ではない。
その記憶の正体が夢であるならば、昨日自分は何をしていた?
開発、演習、遠征、執務、大本営に呼び出され、駄目出しされ……。

「…………!」

勝手に夢にするな。全て現実だ。
自分は、取り返しのつかない事を……。
いや待て。それなら自分がこうして服装の乱れ一切無く寝具に包まれている筈がない。
軍服のまま眠る習慣はないのだが、多分昨日の疲れでそれすら覚えていないんだろう。
起き上がって時計を見れば、起床時刻前だ。
随分と疲れが抜けた体は良い目覚めだろうが、精神的にあまり良い目覚めでないのは何故だろうな。
起き上がって私室を出ると、執務室中央のテーブルを囲うソファに、霞が腰掛けていた。

「おはよう」

「……おはよ」

霞は私の挨拶にも短くだが応じた。
ちらりと一瞥だけでもくれる霞は何時もと変わらぬ様子に見えた為、自分は安堵した。
やはり昨日のアレは、夢だったのだ。
霞、食堂へ行くぞ。

「もう食べたわ」

もう食べた?
なんと早い。
起きるのは私より早くてもいいが、食事位は共にしたいぞ。
しかし過ぎた事を求めても仕方が無い。零れた水は盆には帰らない。
霞は執務を進めると言うので、お言葉に甘えてテーブルに少しの紙の束を置き、自分は食堂へ向かった。



朝の身支度も終わり、その後は自分も執務を進めようと戻った。
その頃には霞は私が提示した少しの執務を全て掃いてしまっていたから優秀だ。
それから暫くは自分の分の執務を進めていたのだが、妙だ。

"ちょっとぉ! この大事な時に艦隊を待機させるって、どういう事なの? ねえってば!"

今日の霞ときたら、いつまで経ってもこのように此方を急かそうとしないのだ。
どうしたかと悟られぬようにソファの霞に視線を向け様子を探る。
ソファに腰掛ける霞は膝上で小さく拳を作り、やや俯いたまま何処も動く気配がない。
おかしい。能動的な霞としては異常だ。
いや、能動的云々の前に像のように微動だにしないので機能停止していないか心配だ。

「霞!」

「っ、……何よ」

良かった。振り向いてくれた。機能停止してはいない。
いないが、反応が普段より遅い。寝ぼけているかもしれない。
自分は執務を取り止め、霞の手を引こうとした。
霞、少し運動しに行くぞ。

「え、う、嘘でしょ、いっ! たぁ……!」

「霞……!?」

自分はそれ程力を入れていない。
霞を立ち上がらせようと霞の手をくいと引っ張り上げただけなのだ。
しかし霞は、立ち上がったはいいが歩く事すらままならずその場で倒れこんでしまったのだ。
自分は咄嗟に屈んで霞を受け止め、床との衝突を回避させた。
だが、霞が苦痛に喘いで下腹部を抑えて蹲るその様子は、自分に良くないものだった。
脳裏に蘇る、夕べの記憶。
自分は霞を座らせ直してから、床に跪いた。

「霞、昨日はすまない……!」

「……思い出したようね」

最初から忘れて等いない。夢だと思い込んでいただけだ。
どうもおかしいと思っていたが、合点が行った。
自分の推測で補完すれば、霞は私が疲労で意識を失ってから後始末を行った。
動くのが困難になった霞は、このソファで眠りについた。
起床した私は忘れていると思い、食事もせずひた隠しにしようと嘘をついた……。
霞、何故責めないのだ。
霞を傷つけたのだ。
この罪はどうやっても償えない。
そうだ。せめて。



「責任を取って切腹を……」

「やめて!!」

私の自責の念は、霞の悲痛混じる大声で遮られた。
思わず顔を上げる。

霞は、見た事もない程顔にその感情を滲ませていた。

「あ……、なんでもないわ」

何故そんな事が言えるんだ。
何故撤回しようとするんだ。
霞は目を逸らして一つ咳払いをしてから、跪く私の目を覗き込むように顔を近づけた。
もう普段通りの吊り目が顔に作られていた。

「馬鹿でしょ。クズ司令官が死んだところで私にした事は消えないし、それに、他の艦の事はどうするのよ」

私より軍に向いているであろう士官なんかごまんといるだろう。
こうして艦娘に当たる自分よりマシな人間が後任に就く可能性は高いはずだ。
それに、死ねば消えると思って言っているんじゃない。

「責任取るって言うのなら、ちゃんと取りなさいよ。死ぬのは逃げの一手にしか見えないから」

それは……。
そういう考え方もできる。
私は納得してしまい閉口せざるを得なかった。
少しの沈黙が流れた後、霞は静かに口を開いた。

「昨日の話だけど、私は、あんたのやり方は嫌いじゃないわ。
私は別に、上の人間に従えって言ってるんじゃないの。
あんたはやり方が悪いんじゃなくて、やり方に見合った実力が足りてないだけ」




「だから、今は黙って私について来なさい。ガンガン行くから」



霞は、よく注意して見ないと分からない程度だが、私には笑っているように見えた。
嗚呼、優しさが身に染みる。少し優しさが過ぎるんじゃないか。
何故そこまで前向きに考えられるんだ。
全く、秘書はこんなにもできた艦なのに、昨日の自分は本当に何本螺子が飛んでいたのだ。
思えば、昨日の霞は単に私を励まそうと、慰めようとしていたに違いない。
自分が勝手に曲解して一人で暴れて霞をとばっちりに合わせただけなのだ。
阿呆だ。海軍軍人最大の阿呆だ。
そんな自分の部下である筈の此奴はこうも変わらず偉そうな口を叩くが、
実際それに見合った実力があるのだ。私とは違うのだ。
最早ついていけるか不安もあるが、ついて行ってやる。
霞らしくなくなってしまうから、待っていろ、とは言わない。
今は霞の背中を追うが、やがては追い付いて肩を並べ二人三脚が出来るくらいまで成長し、
あの憎たらしい大本営に勲章を出させてやるのだ。
私の戦いはまだまだこれからだ!



「司令官、何故今日は霞を負ぶっているのですか」

おはよう朝潮。
いや何、霞は昨日の夜戦で被害を受けてしまってな。
自身では動けないと言うからこうする事で秘書艦と行動を共にしているのだよ。

「ええっ! 霞は大丈夫なんですか!? それなら修復ドックに……」

修復ドックでも治せないんだ。しかしこうして私の背中にいればそのうち治る。
私の背中は特別な修復ドックでもあるのだ。すごいだろう朝潮。一隻限定だぞ。

「へぇー……!」

「朝潮、嘘だから真に受けないでよ」

違うと言うのか。
ならこの背中を降りて修復ドックに浸かるか?
この問い掛けに、霞は返事をしなかった。聞こえていない振りか。
こうして私に身を委ねる霞の今の心境は如何ほどのものか。
きっと吐露しようとはしないだろう。
しかし、吐露してくれなくても分かる事はある。
霞は私の首に腕を巻き付けつつも、首が絞まらないように気遣ってくれている。
人の背中に体を預ける以上それは当たり前の事なのだが、
私に身を預ける事に何ら抵抗を示さないだけでも霞は私の事を蔑ろに思ってはいないと言う事だ。
私も吐露はしないが、昨晩あんな事をして置きながら態度を変えない霞が今は愛おしくてたまらなかった。
霞の嘆息をうなじで受けながら、私は霞と朝潮と共に食堂へ向かう事にした。



「あーもう、司令官が出来損ないのクズだと苦労するわ……」







177 名前:2-683[sage] 投稿日:2015/02/22(日) 08:02:55 ID:G9FxYqM2
以上 15-188の続きみたいなもんで
霞好きな人を増やしたい
霞だって可愛いところはあるのよ

178 名前:名無しの紳士提督[sage] 投稿日:2015/02/22(日) 08:28:19 ID:TKrX5a/c
GJです!

179 名前:名無しの紳士提督[sage] 投稿日:2015/02/22(日) 10:35:55 ID:Kw92rUww
GJ。
霞は最近もっとあの隠れ面倒見の良さとか振り返られていいと思う





これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/

最終更新:2015年11月09日 23:26