提督×時雨2-492


──雨が降っている

 いつものように物静かに職務に励む時雨の横顔を見る。
そして先日の戦いの後、扶桑から言われた言葉を思い出していた。


 「ふふっ…まるで西村艦隊の時のことを思い出すわね」
どこか楽しそうでいて、それで悲しげな声で扶桑がつぶやく。
 「……お姉さま」
 妹の山城の心配そうな言葉に扶桑は微笑んだ。
 「大丈夫よ山城、今はあの時とは違う……そう、きっと」
 「そうそう 暗くなっちゃダメだよ! 『あの時』とは全然違うんだからさ!」
 航空巡洋艦、最上が明るく励ます。
 「最上の言うとおりだ、今度こそ貴様らを守りきってみせるさ」
そう言って不敵に笑う重巡洋艦那智。
 「ふんっ!どーだか…」
と憎まれ口を叩きつつも自信に満ちた表情の駆逐艦満潮

そう、『あの時』とは違うのだ。
 艦娘として転生した今、扶桑と山城は近代回収を行って速度以外の全面はほかの戦艦と遜色ない性能を誇る。
それは最上、那智、満潮、そしてまだ言葉を発していない時雨も同様だ。
なにより補給も整備も万全であり、戦況もあんな絶望的な状況ではない。
あの運命の『スリガオ海峡』に突入した時とは──

この編成になったのは最初は偶然であった。
 今回主力艦隊への突入に必要な火力を持つ戦艦と重巡、そして対潜警戒と先陣を担う駆逐艦。
 索敵に必要な航空機を6隻中4隻が使用できる、というところで候補に残ったのがこの6隻だったのだ。
だが出発前日になり、艦隊の編成を見ていた俺は慌てて彼女たちを集めて謝罪した。
よりにもよって彼女たちのトラウマを蘇らしかねない編成にしてしまったことを。
だが全員の力強い言葉で再編成の件はやんわりと却下され、今に至る。

 「偵察機より『敵発見』の打電あり!」
 最上の報告に6人の顔に緊張が走る。
 「戦艦ル級三隻! 重巡リ級一隻! 駆逐ニ級2隻!!」
 「数はこちらと同じ……ですが──」
そこで言葉を切り、扶桑は全軍に命令を下す。
 「右舷敵艦隊に対し単縦陣形で砲雷撃戦用意してください!」
 凛とした声で命じる扶桑の指示に素早く陣形を整える。
 索敵能力はこちらが上。その僅かな時間で陣形を組み直し未だ陣形を組む直しつつある敵に向かって航行を始める。
やがて徐々に敵の姿が見えてくる。
 「主砲、副砲、打てー!!」
 改修によって乗せられた46cm三連装砲が火を吹く。
 「初段着弾を確認、射角修正しつつ第二射はじめ!! 目標、敵意右翼戦艦ル級!」
 陣形を保ちながら距離を詰めつつ、最上と那智も砲撃を開始する。
 4隻の集中砲撃を受けたル級はたちまち大破炎上、そこに満潮から放たれた魚雷が炸裂し轟沈する。

 「手を休めないで! くっ!!」
 「お姉さま!?」
 残るル級2隻の砲撃で扶桑が小破、しかし──
「継戦に問題はありません、各艦手を休めないで!」
 甲板部に被弾したものの損害は軽微、改修済みの強固な装甲は敵の砲撃を簡単には通さない。
 「敵は右舷だ!しっかり狙え!!」
 「撃てェ!」
 続けて那智と最上の砲撃が敵駆逐艦に命中、轟沈する。
 「あと4隻ですが、手強い…!」
 山城の砲撃は敵重巡を捉え火災を発生させるが、それをものともせずに撃ち返してくる。
まだ向こうには戦艦2隻が健在であり、戦闘は膠着状態に陥りつつあった。

「そろそろ……かな」
 時雨の言葉と同時に快晴だった空から突如猛烈なスコールが両艦隊を包み込む。
それはほんの一瞬、だが双方の時間が確実に止まった。

 「お待たせしマシタ! 支援艦隊の到着ネー!!」
 「! 来たか!!」
スコール上がりの水平線にうっすらと姿を現した金剛たち高速支援艦隊の姿に、那智が快心の笑みを浮かべる。
 完全に劣勢に立った敵艦隊は即逃走に移ろうとする、が
「──キミたちには失望したよ」
いつの間にか突出した時雨から放たれた酸素魚雷が先頭を航行中のル級に全弾直撃、航行機能を完全に奪う
先頭を航行していた艦の停止は後続に大混乱を産む
 そこに集中砲撃と魚雷が放たれ、勝敗は決した。

 「よくやってくれた」
 帰ってきた艦隊を出迎える。
 「ふっ…勝って兜の緒を、と言いたいところだが。それでもこのような快勝には胸が踊るな」
 「ふふ……そうね、悪くないわ」
 笑い合う那智と山城を横目に見ながら
「ふん、私は一足先にドッグに行ってくるわ!」
 照れ隠しだろうか、いつもは入るのを嫌がることが多いドッグに向かって大股で歩いてゆく満潮。
 「あ、待って待って!ボクも行く、一緒に行こうよー!」
 追いかけていく最上を微笑みながら見送りつつ扶桑が振り返る。
 「今日のMVPは時雨かしらね」
 「そうね、あの一撃で完全に相手の勢いが止まったわけですし」
 同意する山城、だが当の時雨は
「この勝利、僕の力なんて些細なものさ。あの雨と…そう、提督のおかげだよ」
そう微笑むと静かに執務室に歩いて行った。

 先程と違い、複雑な表情でこちらを見る扶桑。
 「提督、お願いがあるのですが……」
 「ん?」
 「時雨のこと、ですか?姉さま」
 「ええ…提督は私たちの昔のこと、ご存知でしょう?」
 「大体は……な」
 彼女たち『西村艦隊(ただし、那智は違うが)』は絶望的な戦力さを誇る敵軍の待ち受ける場所に突入し
時雨を残して全滅したという。
 「それでも私と山城は良かったと思うんです……戦艦としての本懐は遂げたのですから
 それにまは提督のおかげでこうしてまた海を駆ける喜びを感じることができる」
 欠陥戦艦としてのレッテルを貼られ、それでも戦場で壮絶な最期を遂げた扶桑と山城。
もちろん彼女たちだけではない、ここにいる艦娘はほとんどが戦場で散っている。

そして逆に生き残った艦は極少数だ
例えば不死鳥と呼ばれた響、
 彼女には今、暁たち姉妹がいてくれる。
 最後こそ名前を変えたものの、今は昔と同じ姉妹たちが隣で微笑んでくれる。

そして雪風、彼女は時に死神とも呼ばれながら生き残り
折れそうになる心を異国の地で与えられた役割と暖かな眼差しに囲まれ艦歴を全うした。
 彼女が今、明るく振る舞えるのは間違いなく異国での生活のおかげだろう。

では時雨は──?
 時雨は最後まで生き残ったわけではなかった。
 何度も自艦隊の全滅をその目に刻み、そしてその後悔と仲間たちへの無念をそのまま抱え沈んだような
 それが今の時雨を形成しているような気がする。

 「いつも見ていて思うんです、あの子は艦娘になった今でも死に場所を探しているんじゃないだろうかって」
 艦娘になったここには扶桑も山城もいる。
だが絶対に忘れないと誓った当時の記憶は今でも時雨を苛んでいる。
 扶桑や山城からすれば、そんな時雨を見ているのは辛いのだろう。
 「ですから提督、時雨に優しくしてあげてください」
 「私からもお願いするわ」
 扶桑と山城を那智は黙って見ている。
 彼女は彼女で酔った時に最上の名を出して泣き出すことがあったりする。
やはり全部が全部吹っ切れるわけはないのだ。
だが、それでも時雨がかつて負った傷は深い。
そう、扶桑は言っている気がする。

 「ああ、わかった」
その言葉に満足したように扶桑たちは微笑み、ドッグの方へ消えてった。

───「いい雨だね」
 時雨の呟きで我に返る。
 今夜の雨は静かに夜の静寂を打ち消し
 それでいて何かを包み込みこんでくれる暖かさを持っている。
シトシトと降る雨に時雨もそんな感想を抱いたのだろうか。

 書類の作成がひと段落したようだ、時雨は窓に近づき外を見る。
 「そういえば今日の戦い、金剛達の到着直前にも雨が降ったと言っていたな」
 「うん、そのおかげで敵はみんなの接近に気づかなかった……運が良かったんだね」
 「そうか、案外それも時雨の力だったりしてな?」
 「あはは、僕にそんな力はないよ。ただの偶然さ」
こちらの言った冗談に微笑みながら答える時雨。

 再び外を見つめる時雨。
その姿は本当に儚げで、目をつぶったら次の瞬間に消えてしまいそうで……
「提督?」
 時雨の横に立って外を見つめると不思議そうな声をかけてくる?
 「提督も雨が好きだったかな?」
 「いや、特別好きなわけじゃないが時雨と見る雨は好きかな」
 「あはは、それってまるで僕を口説いてるみたいだよ?」
おかしそうに笑う時雨。
(それも悪くないかと思ってるんだけどな)
思わず口の中で小さく呟いた言葉は時雨に聞かれてしまったようだ。
 「提督……僕だって女なんだ。あんまりそういう冗談を言うのはやめたほうがいいと思うな」
 少し顔を赤くした時雨が抗議の声を上げる。
 「あながち冗談というわけでもないんだけど、な」

 最初に抱いたのは微かな同情心だったのかもしれない。
だがそれは時間を経るごとに一首の庇護欲のようなものへと変わった。
   ──この娘を守りたい──
一人で負の記憶を抱え込んだまま、それでもなお静かに微笑み続ける少女。
やがてそれが愛情へと変わってゆくことに気づくのにそう時間はかからなかった。
だが、触れたら壊れてしまいそうな雰囲気を持つ彼女に
 どうしても踏み込む勇気が出なかった。

 「え?」と怪訝な表情で聞き返す時雨。
 今なら、雨の音がこの場を包み込んでまるで切り取られた空間にいるような錯覚をしてしまう今なら
「俺は時雨のことが好きだぞ」
 「っ!……どうして?」
 動揺をを隠すように聞いてくる時雨。
 「同情心や庇護欲ではないことは確かだ、少なくとも今はな。
 理由を聞かれてもいつの間にか、としか言えないかな」
そういって時雨を見るとこちらから視線を逸らしながら呟く。
 「はは……困ったな。提督からそんな言葉を聞くなんて……まるで想像もしてなかった」
それはそうかもしれない、賑やかな艦隊の中で様々な艦娘とワイワイしているのを
彼女はいつも静かに微笑んで見つめているだけだったのだから。

 「時雨は……俺のことが嫌いかな」
 「そ…そんなわけ!……ないじゃないか」
 珍しく慌てて否定する。
 「急に言われたらきっと僕じゃなくても驚くよ。でもなんで今?」
 「本当はもっと早く言いたかったけど勇気が出なかった。
 今言えたのはそうだな……この雨のおかげかな?」
 「ふふっ……僕の台詞を取るなんてずるいよ?」
そう言いながらこちらを向く彼女を優しく抱き寄せると時雨は全く抵抗せずにこちらの胸に収まる。

「提督は優しいから……きっと他の娘と一緒になるんだろうなって思ってた」
 「え?」
 「提督のことを好きな娘はたくさんいるんだよ、でもそれでもいいと思ってたんだ」
 「なんで?」
 「僕にはそんな資格がないと思ってたから、それに幸せになったりしたらきっと昔のことを忘れてしまう。
 『あの時』の扶桑や山城、それだけじゃない。僕の目の前で沈んでいった娘や人たち。
そのことを忘れてしまいそうで怖かったんだ」
わずかに時雨の体が震える、それがきっと彼女の本心だったのだろう。
 「……扶桑から言われたんだ『時雨に優しくしてください』って」
 「え……?」
 「扶桑だけじゃない山城も、そしてきっと他のみんなもそう思ってる」
 「………」
 「昔のことを忘れろ、なんて言わない。昔のことも含めて全て、それを持った時雨と一緒にいたい……ダメか?」
 「ダメなわけ……ないじゃないか。僕もさ……みんなと……提督とずっと一緒にいたい」
 少し潤んだ綺麗な瞳を見つめながら顔を近づける、と時雨も理解したのか瞳を閉じて顔を上に向ける。

 唇が重なった瞬間一瞬だけ時雨の体が震え、そして力が抜けていく。
 顔を離し目を開けると、そこには少し頬を赤らめたままこちらを見て微笑む時雨がいた。
 「ふふ、僕がこんなことするなんて……全然想像したこともなかった」
その顔にドキリとしつつさらに強く抱きしめるのだが……
「あ、あのさ提督……なにか……当たってるんだけど」
 「うっ……! し、仕方ないだろう」
 「もしかして興奮してるの?」
さらに時雨が笑顔のまま追撃をはなつ。
 「提督はロリコンなんだね」
 確かに時雨は駆逐艦としては大人っぽいが、それでもこちらと見た目の差異だけ見ればそう呼ばれても反論できない。
 「わ、悪いか!?」
 「あはは、ごめん。でも嬉しいよ。ちゃんと僕のこと女としてみてくれてるんだって思えるから」
そういいながらおずおずとこちらの背中に手を回し、体を密着させてくる時雨。
 「提督がしたいなら……いいよ。僕も提督のことを感じたい」
 「……時雨」

 執務室に転がっている布団に時雨を優しく寝かせる。
 時雨の目に不安は感じられず、こちらを信じきった眼差しを向けてくる。
 頬に口づけながら、体を優しく撫でてゆく。
 体の緊張を和らげるように、壊れそうな華奢な体を壊さないように。
 太ももに触れるとしっかりと女の子らしさを主張する柔らかな感触が手に返ってくる。
 多少は緊張がほぐれてきたのか、息の中に多少甘い声が交じりはじめる。
 「時雨」
と優しく声をかけてやると目を開き、片手を掴んで自分の頬に持ってゆく時雨。
 「提督の手は暖かいね……うん、大丈夫だから続けて」

 時雨の服をゆっくりとぬがせるとスレンダーで白く、美しい肌があらわになる。
 「や、やっぱり少し……恥ずかしいかな」
 照れたように言う時雨に微笑むと再びその体に手を伸ばす。
 幸運感の名に恥じず、今日の作戦でも被弾しなかった綺麗な体に手を這わせてゆく。
 「……ふぁ……ん……」
 優しく胸を揉み、先端を軽く刺激してやるとピクンと体が反応する。
ちゃんと感じてくれていることが嬉しく、何度か同じ箇所を責め時雨の反応を楽しむ。
そしてもう片方の手を次第に息が荒くなってきた時雨の秘所に向かって伸ばす。
 「ハァ…ハァ……提督……」
 少し不安げな目でそれを見ていた時雨が、下着の上から指が触れた瞬間ビクっとしながら目を閉じる。
 少し湿り気のある感覚、それに喜びを覚えつつ下着の上から何度も指を往復させる。
 目をギュっとつぶって道の感覚に耐えようとする時雨の頭に優しく手を乗せて撫でてやる。
すると時雨の体から少し力が抜け、手に返ってくる反応が増す。

「……ぁ……んん……はぁ…提督……提督の手は……優しいね」
うっすらと瞳を開けて微笑みながら言ってくれる時雨の言葉が嬉しく。
 彼女の体に優しくキスの雨を降らせ、そして秘所を弄っていた手を下着の中に滑り込ませる。
 「……! あぁっ…!」
 愛液でしっとりと潤んでるそこを直接指ですり上げ、奥から染み出てくる液体を指に絡ませ
時雨の肉眼に擦り付けて軽く刺激してやる。
ビクンと今までで一番大きな反応を見せる時雨の体。
もちろん頭を撫でながら口で他の箇所を優しく刺激するのも忘れない。
 控えめな胸や乳首に舌を這わせると、紅潮した身体からしっかりと反応が返ってくる。
(そろそろ大丈夫かな……)
と、指を一本彼女の中にゆっくりと挿入していくとビクビクと体が震え、膣内の肉が指を締め付けてくる。
 「大丈夫か時雨?」
 一旦指の動きを止め、時雨を見る。
はぁはぁと息を切らしながら涙を浮かべた目でこっちを見てコクリと頷く。
 下着を半分脱がしたあと、ゆっくりと指を動かしながら彼女の中を慣らしてゆく。
 前後だけではなく上下左右に動かしてこれから迎え入れるものが少しでも負担にならないように徐々に拡げてゆく。
その度に時雨の体は跳ね、抑えきれない快感に対する喘ぎ声を上げる。
 「……て、提督…ぅ……ンッ…!」
 時雨が普段の姿からは想像できない甘い声を漏らすたび、股間に血が集まっていくのがわかる。

 指を2本に増やし、多少激しめに出し入れしてやると抑えられた声と反比例して襞肉が指を圧迫するのがはっきりとわかる。
 軽く指を曲げて擦ってやると大きく時雨の体が反応する。
そして目をつぶり、布団を掴んで必死に堪える時雨の膣内がギュっと指を締め付け大量の愛液を吐き出す。

 「時雨……イったのか?」
 「あ…はは……そうみたい……だね」
 体からは力が抜け、荒く息を吐きだしている時雨が照れたような表情を浮かべながら微笑む。
その少女らしからぬ色香に思わず唾を飲み込んで見入ってしまう。
 「提督……は、その……大丈夫……なのかい?」
 正直大丈夫どころではなく、今すぐに覆いかぶさりたいところだ。
 必死に理性を保ちつつ
「あ、ああ……その……いいか…時雨?」
 「ふふっ……今更確認するなんて提督は律儀だね……でもそういうところ、嫌いじゃない」
そういながらコクリと頷く時雨の前に自身のこれ以上ないくらい怒張したものを取り出す。

ほ、本当に……入るのかな?」
さすがにその大きさに少々怯えた表情を見せる時雨。
 「あ、ああ……大丈夫だと……思う」
 「そうだね、僕は提督のこと信じてるから。……だからきっと大丈夫だね」
そう言ってくれる時雨の入口に用心深く肉棒を擦り付ける。
 「あうっ……さっきと……全然違う感じだ」
 柔らかさと硬さを併せ持つ肉棒の感覚に時雨は戸惑いの声を上げる。
 「じゃあ、入れるぞ……時雨、できるだけ体の力を抜いてくれ」
 「う……ん、あ……あぁっ……入ってくる…!」
 先端が徐々に時雨の中に飲み込まれ、ギチギチと締め付けてくる。
ずっと我慢していたそれは、先端を入れただけで発射してしまいそうになるがなんとかこらえる。
 「し…時雨……大丈夫か?」
 辛そうな顔をしながら健気に頷く時雨の呼吸に合わせ、徐々に中に入ってゆく。
 途中の抵抗を躊躇なく突き破ると、プチっという感覚とともに時雨の体が肉棒を締め付け
結合部から血が流れだす。
 時雨の硬直が落ち着くのを待ってからさらに用心深く進んでゆくと先端にコツンという感覚が当たる。
 「ぜ、全部入ったぞ……時雨」
 「はぁっはぁっ……そうみたい……だね」
まだ苦痛の色が強いのだろう、顔をしかめつつなんとか声を搾り出す時雨。
この状態に慣れるまで少し鳴らしておこうかと思ったが
時雨の中がそれを許さないかというかのようにきつい締めつけとともに肉襞が肉棒に絡まり、
その微妙な動きが子宮にあたっている先端を刺激する。
 「くっ…! マ、マズイ」
 「んっ…はぁ…て、提督……?」

今慌てて抜き出せば時雨の体に苦痛を加えてしまうことを考え躊躇したのが命取りだった。
 「ぐっ…!!」
 時雨の膣内にビュクビュクと勢いよく白濁液が吐き出される。
 「あ…あぁぁぁあっ!!」
 突然中に吐き出され、ビクビクと痙攣する時雨。

 「す…すまん!時雨!!」
 子宮と膣内に納まりきらなかった精液が時雨の中から溢れ出て布団に落ちる。
 当の時雨はしばらく呆然としていたが、おもむろに精液を手ですくい取りじーっと眺める。
 「これが……提督の子種なんだね。なんだか……雨上がりの匂いがする……ん…に、苦いね…って、……て、提督!?」
 匂いを嗅ぎ、舌で指についた精液を軽く舐めて苦い顔をする時雨。
その様子が妙にエロチックで、あっという間に肉棒は硬度を取り戻す。
すぐに硬度を取り戻した肉棒の感覚に戸惑う時雨の腰をつかみ、ゆっくりと動き出す。
 「あぁっ…!! あぅん…! 提督っ!!」
 思ったとおり締めつけこそ変わらないものの時雨の愛液に加え、精液も潤滑油となった彼女の中は
緊張しきっていた先ほどに比べると格段に動きやすくなっている。
 可能なかぎり優しく動きながら肉芽を手で弄ってやると、時雨は声にならない快感の声を上げる。

 何度も往復しているうちにようやくスムーズになってきた中を奥につき入れてやると
快感に翻弄された時雨からは喘ぎ声とはっきりとした締めつけが返ってくる。
 「あっ…!あっ! …て、提督! 提督!!」
そう言いながらこちらに両手を差し伸べてくる時雨。
 「お…お願い……提督……抱き……しめて……」
そういう彼女の体をゆっくりと持ち上げて自分と正対させると体重が自分に加わり、さらに深く時雨の中に入り込む。
 背を仰け反らせた時雨が涙を流しながらこちらにしがみついてくる。
その体を強く抱きしめかえしながら時雨に声をかける。
 「時雨……どこにも行くな! ……ずっとここにいてくれ!」
そう本音をぶちまける。
 怖かったのだ、時雨は気がつけば遠くに行ってしまいそうな、何の根拠もない感覚が。
だからその存在を確かめるために強く抱きしめながら自分という存在を時雨に刻み込む様になんども打ち付ける。
 「てい……とくっ! うん……僕は……ぅン! ずっと……ここにいるか……ら……!」
 激しい突き上げに息を切らしつつ、時雨はしっかりとこちらを抱きしめながら答えてくれた。
それで十分だった。

 何度も何度も突き上げ、子宮の奥にゴリゴリと鈴口を押し付けながらさらに時雨の唇を塞ぐ。
 舌を入れてやると遠慮がちに時雨の舌が絡みつく。
 時雨の腕と足がこちらを離さないとでも言うかのように絡みつくのを嬉しく感じながら
 さらに彼女の中を突き上げる。
グチャグチャと血と精液と愛液の混じったピンクの泡が結合部を包み込み
 ゾクゾクと射精の予感が背を駆け上ってくる。
それに耐えるように激しく子宮と突くと一際きつい締めつけが肉棒を締め上げる

「クッ…時雨! 出る!!」
 「ぼ、僕も……もうっ…提督───ッ!!」

再び時雨の奥に先ほどを遥かに凌駕する量の白濁液位が流し込まれる。
 入りきらない精液が再び結合部から流れ出すが
 そんなことは関係ないとばかりに時雨の膣内が肉棒を一滴たりとも残すまいと締め上げ
 ビクンビクンと痙攣しながらドクドクと次から次へと精液が吐き出されていく。
その感触を時雨は心地よい気持ちで背を仰け反らせながら受け止めていた。

やがて長い射精が終わり、糸が切れたようにこちらに倒れこんでくる時雨。
 慌てて受け止め、時雨を見ると珍しく真っ赤な顔で俯いている。
 「……時雨?」
 「は、はは……その…終わってしまうと、なんていうか恥ずかしいな」
あれだけ乱れたのだから、我に返って恥ずかしがるのも当然かもしれない。
ただ、普段超然としている時雨のそんな素顔が妙に可愛らしく。
 悪戯っぽく言ってやる。
 「そうか……でもすごく可愛かったぞ?時雨」
 「か、可愛いって……そんな風に面と向かって言わないでよ。は……恥ずかしいじゃないか」
 顔を真っ赤にしたまま胸に顔を埋めた時雨が口を開く。
 「提督……僕はここにいていいんだよね?」
 「当たり前だ、さっきも言っただろう? ずっとそばにいてくれって」
そう言いつつ、華奢な体を強く抱きしめる。
 「うん……なら僕はずっと……」

そう言いながら顔を上げた時雨は──
「僕はずっと提督の……そしてみんなのそばにいるね」
 今まで見たことのないくらい眩しい、満面の笑顔を向けてくれた。

───雨はいつの間にか上がっていた
 

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最終更新:2014年06月11日 22:59