小ネタ:提督×響14-918

壁際に追い込まれ、威嚇するように彼女は壁を強く叩いた。
「司令官、報告だ」
見れば撃沈2という凄惨な結果だった。やはり、陸軍の要請など受けたのが間違えか。
沈んだのは雷に電。やはり鬼神や不死鳥、阿修羅に死神が沈むはずはないか。
「怒っているのか」
撃たれる覚悟すらあった、私は間違えたのだから。
「いや、もしそうなら司令に対してではなく私の力不足に対してだね」
なら、この状況はなんなのだ。
「司令官にお願いがあるんだ」
黙って先を促す。
「まず、私が二番艦というのは知っているかな」
言われて思い出す。彼女はネームシップではない。この鎮守府に来たときから妹艦二人と共にいたから忘れかけていたが。
「姉の名前は暁、私が覚えていることはそれと一人前のレディであった事くらいだ」駆逐艦らしからぬ落ち着きを持つ彼女がそう称するのださぞかし素晴らしい艦娘だったなのだろう。
一度息を継ぐと彼女らしからぬ早口でまくし立てて来た。
「どうしても、記憶というのは消えてしまうんだ。一週間前の食事を覚えているのは赤城くらいのものだよ」
「私は怖いんだ。姉と同じように、妹たちの顔や言葉を忘れて言ってしまうのが」
「だから、司令官、改めてお願いする。今日という日を忘れられないくらい」
「滅茶苦茶にして欲しい」
剣幕に押され思わず頷く。
彼女の薄い胸を愛撫するでもなく、口づけを交わすでもなく、ただ犯した。
心苦しくはあったが、他ならぬ彼女自身が望んでいるから。
「くっ、」
痛みに顔を歪めるが、決して制止したりはしない。
遠くを見る光なき瞳には、きっと妹たちを描いているだろう。

愛の言葉はなく、されど彼女の思いは分かり。
彼女は絶頂を知らず、されど彼女は私に股を開く。
私が果てた後交わす言葉は、決まって雷、それに電のこと。

ああ、そうだいつだったかこんなやりとりもした。
もし二人が桜の丘に行く日が来たらそこで待つ姉を紹介してくれと頼み。
彼女が苦笑した時だ。
たしか、私を何度も抱いているのに、他の艦娘の話かい?
それに私は、酷く気になるからと答えた。
彼女はもし紹介して姉に惚れたら、大変な事になると釘を刺してきた。
だから、素直に答えたんだ。
一人前のレディに惚れる男は、駆逐艦を抱いたりはしない。その逆もまた、と。
彼女は堪えきれなくなって破顔した。
久しぶりに彼女が笑った。

これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/

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最終更新:2015年10月25日 11:24