提督×足柄2-390


照り付ける太陽と紺碧の海。
 熱い陽光を覚ますかのようにさわやかな海風がわたる。
 透明度の高い海中に目をやれば、色とりどりの魚が薄い水色の海中に華やかさを添える。
 東部オリョール海。
なにもなければここ南洋は楽園と称してかまわない海だろう。
 「なにもなければ、な…」
 双眼鏡を下した青年-というには少々歳のいった男は独り言ちた。
 彼の頬に当たる海風に含まれる鉄と油と硝煙の匂いがここが楽園でないことを示していた。
 水平線の彼方に黒煙が上がっている。
 上空には任務を終え母艦に戻る艦載機の轟音。
 「提督。撃沈、軽巡1。大破、雷巡2、戦艦と空母は無傷です」
 太眉と切りそろえた前髪が印象的な艦娘が男-この艦隊の司令官に戦況を伝える。
 「了解。航空先制はまずまずか…。一航戦を下がらせろ」
 「はい、赤城さんと加賀さんには必要以上に前に出ないように伝えます」
 「ふふ、相変わらず気が付くな。妙高」
 妙高型一番艦妙高。提督の鎮守府には妹たちに遅れてやってきた。
どこか、ほんわかぼんやりしたような艦娘だが、さすがに4姉妹の長女だけあってかしっかりとしており何くれとなく提督に尽くしてくれる。
 妙高の何気ない気づかいに思わず頬を緩め頭を撫でてしまう。
 「……。では、行ってきます」
されるがままに掌を堪能した妙高は、ドキドキする胸と上気した頬を隠すよう

 にクルリと背を向けた。
 提督の顔に緊張が走る。
 「うむ。戦略的にはもう勝っている。無理をしないように皆に伝えてくれ」
 「了解しました……、第5戦隊敵艦隊に突撃します」
 号令一下、かつて連合艦隊が誇った一等巡洋艦4隻の魂を引き継いだ艦娘達が35ノットの快速力で飛び出した。

世界を瞠目させた強武装の一万トン級巡洋艦妙高型の魂は今、艦娘として蘇り、
再び祖国を脅かす夷敵-深海棲艦を倒すため戦場を疾駆する。
 紺碧の海を割り裂いて白い航跡がたなびく。
 眼前には戦艦を先頭とした敵艦隊が迫る。
 戦艦ル級の生気のない青白い顔に薄い笑みが浮かんでいる事すら見える。
 敵艦、発砲。
4隻の周囲、右に左に16インチ、8インチといった砲撃の水柱が上がる。
 水柱の壁をくぐり抜けるように彼女たちは距離をつめていく。
 柔肌を至近弾の破片がかするがものともせず疾る。
そして、距離10,000。
 「撃ちます!」
 「砲雷撃戦用意!」
 「砲雷撃戦てぇーっ!」
 「撃ち方、始めてくださぁーい!」
 空と海の狭間に乙女たちの号令がかかる。
20.3サンチ連装砲が敵を指向し測距を始める。
 同時に61サンチ魚雷発射管が敵の未来位置を定め回頭する。
いち早く4姉妹の中で最も冷静かつ戦術判断に優れる次女の那智が砲撃を開始する。
 「敵一番艦に初弾、夾叉!良し、いいぞ。姉さん、ワレ統制砲撃ヲ希望ス」
 「了解、目標敵一番艦、5戦隊統制砲撃始メ!」
 砲撃データが姉妹たちに分配されるや否や、4姉妹で最も血気盛んな三女足柄が10門の主砲を斉射する。
 「弾幕を張りなさないな、撃て!撃てぇー!」
 砲撃時の発射干渉を避けるため0.03秒ずつ遅延して放たれた砲弾は彼女のかつ

 ての異名"餓狼”のように敵戦艦に襲い掛かった。
 水柱と閃光。
 足柄の砲撃を追うように妙高、那智、羽黒の砲撃も命中する。
 近距離から放たれた20.3サンチ砲弾は敵戦艦の装甲を食い破り確実にダメージを与えていく。
ル級の能面が歪み、明らかに砲撃の精度が落ちていく。
 速度が衰え、煙を吐き出しながら傾斜するル級の陰から空母ヲ級の姿が除く。
 「いかん!艦載機を発艦させてるぞ!」
 那智が振り返るよりも早く敵艦載機は後方の一航艦に襲い掛かっていた。
 上空で直掩滞空していた零戦52型が銀翼を日本刀のように煌かせ敵機に突撃する。
しかし、慢心からか不用意に突出していた母艦を助けるには時間が足らなかった。
 急降下爆撃機が猛禽のように赤城と加賀に襲い掛かる。

「敵機直上、急降下!」
 飛行甲板に火柱が上がる。
 「後方、一航戦に命中弾!火災が発生しています!」
 最後尾を進む末の妹羽黒が悲鳴を上げる。
 「あの、あのっ、助けに行かないと!」
 「大丈夫、羽黒ちゃん。あれぐらいじゃ赤城さんも加賀さんも轟沈しないわ」
パニック気味に叫ぶ羽黒をやんわりと妙高が制する。
 「それに対空戦闘は私たちには向いてないわ。私たちは-」
 「目の前の敵を葬るだけだ、砲雷撃戦で!」
 「そうよ、さあ行くわよ!勝利が私を呼んでいるわ」
 三者三様の励ましを受けて羽黒はハッと我に返る。
まだ目に涙は溜まっていたが顔を上げ戦場を見据える。
 「わかりました。精一杯、頑張ります!」
 電撃を放ちながら雲海を進む一匹の竜のごとく妙高級は縦横に戦場を駆ける。
 既にヲ級は爆発を繰り返しながら傾斜し、最後に残った重巡ももはや雷撃する

余裕もなくなっている。
 距離5,000。
93式酸素魚雷の必中距離だ。
 「青い殺人者」「ロングランス」と恐れられた連合艦隊所属艦艇の最大の秘密兵器にして最強の切り札。
 「5戦隊統制雷撃戦用意」
 「統制雷撃戦、ヨーソロー」
 「そのままそのまま、よーい、テェーっ」
 「魚雷発射、始めてくださーい!」
 海原に放たれた32本の魚雷は静かにしかし素早く海中を進む。
3分後。
 「敵戦艦に水柱4つ!巡洋艦に水柱2つ確認。敵艦大傾斜、沈みます」
 冷静に敵情を見わたした那智が報告する。
 「皆さんの努力結果です。よく頑張りました」
にっこりと妙高がほほ笑む。
 「だって私がいるんだもの!当然の結果よね!大勝利!」
 至近弾で少々傷を負ったが未だに元気な足柄が興奮冷めやらぬ様子で胸をそらす。
 「勝って兜のなんとやら、だ。さあ、帰投しよう」
 那智が怜悧な顔に満足げな笑みを浮かべてたしなめた。
4人姉妹は傷ついた2隻の空母を護衛しつつ母港への帰路に就いた。
 未だ沸き立つ海面を眺めながら羽黒は呟いた。
 「このまま、すべての戦いが終わってしまえばいいのに」

「以上で戦闘報告を終わります。……あの提督?」
 東部オリョール海突破、おまけに戦闘後新しい仲間蒼龍を戦列に加えられたにも関わらず提督の顔は冴えなかった。
 「主力空母が2隻とも大破、これは痛いな…」
 母港にたどり着くやいなや2隻の空母はドッグ入りとなった。
 「俺のミスだ。陣形をもう少し考えてやれば損害は防げたかもしれないな…」
この男は戦果よりも艦娘の損害を気にする、いや気にしすぎる傾向があった。
 「それは後知恵というものだ。戦略的にも戦術的にも我々の勝利だ」
 「そうです、そうです!大勝利ですよ」
 冷静に那智が、興奮冷めやらぬ足柄が提督を慰める。
 「あの、司令官さん。私ももっと頑張りますから…あの、その…」
わたわたする羽黒の頭を撫でながら提督はようやく笑みを浮かべた。
 「そうだな、皆ありがとう。一航戦が使えない以上大規模な作戦は難しい。しばらくは蒼龍の慣熟訓練と資源の備蓄務めるとしようか」
 「ということは?」
 「第5戦隊もしばらくはお休みだ。みな、ご苦労だった」
4人の艦娘達は揃って執務室を辞した。
 「さて、しばらくは休みだな。ということは少なくとも今日はしっかりと飲めるわけだ」
 普段はクールな那智が相好を崩す。
 「それなら獅南島に果物を使った美味しいお酒があるらしいわよ」
ほんわかと妙高が返した。
 「なにっ?それはいいな。よし、みなで繰り出そう」
 「勝利をつかむには休息も大事ね」
 「あの、あの、頑張ります」
こうして4姉妹は夜の街に消えていった。
……
 ………
 …………
それから数時間後。
 羽黒は多少フラフラする頭を抱えて鎮守府に帰ってきた。
 4人は獅南島の一流ホテルのバーで杯を交わした。
いつものように、那智がハイスピードでグラスを開けていった。
 妙高は那智に付き合ってしばらく飲んでいたが、とうとう"轟沈"してしまいカウンターに突っ伏して幸せな寝息を立てている。
 獅南島は日本酒こそ少ないものの、かつてイギリス統治下だったこともあり船乗りの酒-ジンやラムが豊富に取り揃えられていた。
 多分、那智は未だに飲んでいる。多分。
 『今日ぐらいは飲ませてくれ』と那智は言うが出撃前以外はほとんど毎日飲んでることを羽黒は知っていた。飲んでもほとんど乱れないが飲み始めると止まらないことも知っていた。
さすがに出撃した後は自室の布団で寝たいと思った羽黒は妙高を起こすことを断念して一人鎮守府への家路についた。
 「……羽黒山、飲みたいなぁ」
はるか遠い祖国のきりっとした飲み口と芳醇な香りを持つ酒を思い出しながらフラフラと鎮守府の廊下を歩く。
 「そう言えば足柄姉さんはどこに行ったんだろう?」
 飲んでる最中も興奮気味だった足柄は2時間ほど前に『おさまりがつかないわ。しようがない夜戦してくる』と大股で店を出ていった。
 『頑張ってね~』と手を振る妙高と『ふんっ』とプイと顔を背け不機嫌にグラスを乾した那智をいぶかしげに見ながらその背を見送った。
 「姉さんと一緒に帰れば良かったかな?」
そう思いながらふと顔を上げると司令官公室の方からなにやら声が聞こえてきた。
 艦娘達の寮に行くのに提督の自室前を通るのが近道であることは鎮守府では半ば常識であった。
 小首を傾げて扉に近づく。
 「……ぅぅ……ぃぃ…ゃぁ……」
 薄らと開いたドアから漏れ聞こえる声に羽黒は聞き覚えがあった。
 「足柄姉さん?」
そっと中を覗いて羽黒は言葉を失った。
 「あぁぁぅっ、おぉぉぉぉぉぅっ」
 全裸の足柄がベットの上で四つん這いになり嬌声をあげている。
 覆いかぶさるように足柄を抱きしめる影を見て羽黒は腰が抜けたようにしゃがみこむ。
 「し、司令官さん」
 夜戦で鍛えた目が影の正体をとらえる。汗みずくで腰を振る男は紛れもなく鎮守府の顔、提督であった。
 「足柄、少し、強すぎないか?」
 結合部は羽黒の位置からは良く見えないが長大な男根が足柄のすらりと伸びた足の間を行き来しているのがわかる。
 「いゃいやぁん、もっと、もっと突いてぇっ」
ストロークが弱くなると足柄は尻を振って抗議する。
 「いやぁん、おちんちん、ズボスボして、くださぁい」
 普段の自信に満ちた表情から想像もつかない蕩けた”メス”の表情で肩越しに提督をねめつける。
 「全く、仕方がない奴だっ」
 「あぉぉぉ、ふぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
 再び力強く抽挿を開始する。足柄の豊満な尻に提督の腰が当たりバシバシとリズミカルな音が響く。
 「あっおっおっおっぉっんんんん、気持ち、いいっ」
 提督は腰を叩き付けながらそっと足柄の股間に手をやる。
 濡れた秘所、太い男根を食い占める膣口の上あたりをまさぐりそれを見つける。
 「ひゃっんっ、それっ、イイっ」
 背筋をビクンと跳ねさせて足柄の嬌声が一オクターブ上がる。
 提督はクリトリスを摘まんだのだ。
 「足柄はこれが好きだったな」
 「くぅぅぅっクリ、お豆ぇもっと、もっとぉぉ、引っ張ってぇ、痛くしてぇ」
さすがに全力で引っ張ったりはしないがそれでも指の力を強める。
 膨らんだクリトリスを引っ張るだけではなく押し込むようにぐりぐりと擦る。
 「そ、それ、それぇぇ、くひぃぃぃぃぃ!」
ぶるぶると背を震わせながら足柄がよがる。
 抽挿のたびに豊満な乳房が揺れる。
 「あっあっあっぁっんん、気持ちいいぃぃっ」

「おちんちん、中にいるのぉ、いい、いいのぉ」
 戦闘で昂ぶった足柄を落ち着かせるのに抱くようになったのはいつ以来だろうか。
この方法をとっている-肉体関係を持っている艦娘は何も足柄だけではない。
そのことを、自分以外の艦娘が彼に抱かれていることを彼女たちは皆知っている。それでもなお、彼との肉体関係を続けている。
 提督自身これが最良の解決方法だとは思わないが少なくとも足柄達はこの方法を受け入れている。
だが、提督とて男だ。普段、きりっとした自信家の足柄が自分に組み敷かれてあられもない声をあげるのに興奮しないわけが無かった。
 「ああああっ、好き、好きぃっ、くあぁぁぁぁっ」
 「っく、そんなにセックスが好き、か」
 自嘲も込めて提督が問う。
 「ちがっ、違うぅんっ」
 足柄は乱れた髪をさらに振り乱して答えた。
 「提督もぉ、提督も好きぃぃぃ」
 足柄の潤んだ眼を見て抽挿が止まる。
 「提督も、提督の……おちんちんも、好きぃ」
ぞくりとするような会心の笑顔を見て、提督の心に火が付く。
さっきに倍する力で己が男根を足柄のぬかるみにねじりこむ。
 「あっあっぁっあっあっ、すごっ、強いっ」
 熱い肉筒が嫌というほど男根を食い締める。
 「くっ、だめだ。出る」
そう言ってペニスを引き抜こうとする提督に足柄は尻を押し付ける。
 「いやっ、いやぁっ、抜かないでぇぇ」
 「お、おい、足柄」
 足柄は後ろで回した手で腰を抑える提督の手を握る。
 「お願い。このまま、はぁはぁはぁ、このまま来てっ」
 足柄の手を握り返すともう一方の手で抱くように上半身を持ち上げる。
 「いくぞっ」
 今までに無い強いストロークで足柄の最奥を突き上げる。
 「あは、ぉっおおっ、んっ、中に、中にきてぇぇぇっ」
 「んっ出るっ」
ペニスが胴震いすると灼熱の白濁が艦砲射撃のように足柄の奥を叩いた。
 「あっ熱ぃ、イクッ、イグゥ、イグぅぅぅぅぅぅ」
がくがくと体を痙攣させてそのまま後ろに崩れる。
 受け止めた提督も荒い息のまま足柄とともにゆっくりとベットに倒れる。
ずるりとペニスが足柄の膣から抜け出る。
 後を追うようにして白濁が秘裂からどろりと垂れた。
 愛しい艦娘を胸に抱く男と戦いの高揚と快楽の絶頂を味わいつくした巡洋艦娘が戸口から足早に去っていく影に気付くことは無かった。
 

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足柄
最終更新:2014年06月11日 22:54