小ネタ:提督は鎮守府にて最強14-416

416 :提督は鎮守府にて最強:2014/09/19(金) 21:39:07 ID:mr6YQj2E
 MI/AL作戦――AL方面へ陽動の一個艦娘隊、本命のMIへ二個艦娘隊、そしてその支援に一個艦娘隊。
 まさに総力をつぎ込んだ大作戦の最中、彼女らは現れた。

 姫種を中心とした空母任務群。そして拠点の破壊を目的とした水上打撃群。
 残留していた艦娘たちは次々と出撃していく。彼女らの母港を守るため。――だがしかし。それさえも深海棲艦の手のひらの上だった。

「……これはどういうことかな」
「冗談を言っているとしか思えませんネ。こうして私が砲を突きつけていル。それが全てでス」
「ALに精強な棲艦が陣取っていたのも、MIにいまひとつ手ごたえがなかったのも、そしてこの本土奇襲――に紛れて私を殺そうとするのも、全てを知ってる君だからできたということか」

 提督のその言葉を聞いて任務娘――深海棲艦の間諜はほがらかな笑みを浮かべた。傍らの戦艦棲姫と空母棲姫もつられて笑う。

「殺しはしませン。あなたには水底にてあらゆる情報を提供していただきまス。そのためにわざわざ戦艦と空母の姫君に来ていただいたのですかラ。……戦場に『誤爆』はつきものですからネ」

 現に艦載機が彼らの上を旋回している。すでに艦娘たちはこの状態を知っていると見て間違いないだろう。

 敵艦隊は撃破されつつある。だが、あまたの戦を勝利に導いた提督を失っては意味がない。

「フフふ、大丈夫でス。海の底まで私たちがしっかりとエスコートして差し上げますかラ」

417 :提督は鎮守府にて最強:2014/09/19(金) 21:40:00 ID:Zsa559dM


 多くの艦娘たちが必死に海を駆けていた。無傷のものは一人もおらず、中には大破の身でも姉妹の肩を借りながら機関に鞭を入れるものもいた。
 誰もが自分たちの帰る場所がなくなることに、そこで待っていてくれる提督が帰らぬ人となることに、表情を強張らせながら。
 痛みや疲れは埒外だ。最悪の想像がもたらす凍えるような冷たさに比べれば。

 そんな中一人、最初期から提督と苦楽を共にしているはずの吹雪だけが焦りを見せずに周囲に気を配っていた。本来ならば最も取り乱していなくてはいけない彼女だけが。
 提督と不仲というわけではない。彼女は秘書官の教導も任せられているのだから。

 しかし彼女に気を割く余裕のあるものはおらず、彼女たちは目撃することになる。
 出撃したときと同じ、否、それ以上に整理され手入れされた港たちと――岸壁に立つ提督の姿を。




「ア、アあ……」
「いつから――」

 任務娘はへたり込んでいた。そして彼女が尻餅をついている周囲の地面は変色している。彼女は失禁していた。

「いつから艦娘さえいなければ鎮守府の攻略は容易であると錯覚していた」

 膨大な破壊をもたらすはずの戦艦棲姫のユニットは何本もの軍刀が突き立てられて活動を停止していた。無慈悲な死をもたらすはずの空母棲姫のユニットはあちこちが陥没し使い物にならなくなっていた。

「残念だ。実に残念だよ。優秀な君ならばもっと私のことを理解しているものとばかり思っていたのだが」

 その左腕には接続ケーブルを断ち切られた戦艦棲姫が首を捕まれ吊り下げられ――

「ば、化け物、メ――っ!」

 その右足には艤装を無理やり引き剥がされた空母棲姫が踏みにじられる。

「地に足がついている限り。我々人類は最強だ。私などそこいらにいる極々平凡な人間だよ」

 最強の姿がそこにあった。

+ 後書き
418 :名無しの紳士提督:2014/09/19(金) 21:47:13 ID:mr6YQj2E
艦娘一同「いや、あんたのどこが平凡だよ」
提督「そんなっ!」

当鎮守府ではバーン様や藍染さんを応援しております


419 :名無しの紳士提督:2014/09/19(金) 21:50:46 ID:Hgd/ozAk
GJ! 提督自らが戦うってのはありそうでなかったシチュだな。


420 :名無しの紳士提督:2014/09/19(金) 22:15:27 ID:8ACuUJWE
階級的に将官以上なキャラクター(海軍に限らない)で戦闘キャラって探せば結構いるよなあ


421 :名無しの紳士提督:2014/09/19(金) 23:39:11 ID:7Yi9bIuE
418
どちらも人類ではないのですが、それは

これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/

最終更新:2016年07月13日 20:32