小ネタ:榛名と霧島13-206

206 名前:名無しの紳士提督[sage] 投稿日:2014/07/27(日) 05:32:36 ID:8zfMEpH2

※賞味期限……今日のメンテまで

「賎しくも帝国海軍が戦艦の一艘に名を連ねていながら貴様、時報・放置ボイスの一つも考えておらんとはどういう了見だッ!」
「ああっ!」
 唸る拳、響く悲鳴。すわ、さる重巡ばりの中破姿を晒すかと思われた榛名だったが、基準値七十mmを誇る装甲の金剛型戦艦三番艦には、悲しいかな大したものではなかった。しかし、人は時として感情が理性を押さえつけて思考を働かせる。
「指定の期限までに考えてこなかったならば、貴様、身の振り方を考えておくんだな!」
 提督は床に倒れこむ榛名を、何か厭らしいものでも見るかのような目つきで睨んだ。吐き捨てる言葉を唱えるその同じ口が、つい先日まで、彼女の事を歎賞し褒めそやしていたとは、到底信じられなかった。
「姉さま!?」
 足音高く、提督がそこから立ち去っていくのと入れ替わるように、姉妹艦の霧島が駆け寄ってきた。
 ぶたれた(大して痛くない)頬を押さえ、項垂れる彼女の姉を、霧島は酷く不憫でいたわしく思った。この姉が、今までどれほど艦隊のために、そして、提督のために骨を折ってきたのか、それを思うと悔しさのあまりに涙が滲み、視界がかすみ、鼻水が躍り出るのだった。
「うっ……ずず、姉さま、どうして、こんな仕打ち……これではあんまりです……ずず」
「いいんです、霧島」
 そんな霧島の頬をそっと押さえ、榛名は大きく息を吐くと、一度目を瞑った。
「全ては、わたしの至らなさから。でも、かくなる上は、完璧な時報と放置アピールを、やり遂げてみせます」
「姉ずま……」
「貴方も、力を貸してくれますか、霧島?」
「もちろんです!」
 霧島の力強い返事を聞いて、榛名はその顔一杯にまで、にっこりとほほえんだ。
 綺麗な笑みだった。そこには葛藤も悲しみもなく、ただただ透明で透き通るような、それはそういう笑顔だった。
 霧島は姉のその笑顔が大好きで、だから、ふと、訊ねた。
「でも、姉さま。どうして、わたしの、時報の時に、一緒に考えてはおかなかったのですか?」
「――ああ?」

(寝ようとしたら榛名改二を知りました)


これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/

最終更新:2016年12月06日 22:44