提督×大和7-281

※独自設定があります
※捨て艦について触れている箇所がありますが、このSSはその是非について言及するものではありません



「提督、お茶が入りましたよ」
「ああ、ありがとう」

のどかな4月のある日、鎮守府内の執務室にて行われた提督とその秘書艦大和とのやりとり。

いつものように執務室の机に向かい、いつもの湯飲みでいつものように大和が淹れたお茶をすする。
いつもと違うところを上げるとすれば、鎮守府内が静まり返っていること、現在この提督の指揮下の艦隊には大和以外の艦娘がいないこと、
数時間後にこの提督は解任されて、二度と戻ることはないということだけだった。

何故、彼がそのようなことになったのか、原因は数週間前まで遡る。

数週間前、深海棲艦の拠点攻撃の任務がこの艦隊に下された。

しかし、包囲されつつあることでより士気の高まった深海棲艦は頑強に抵抗し、攻略は思うように進まない。
それどころか、物資を目的とした商船の拿捕等、近隣海域での海賊行為が激化する結果となった。

これに対し功を焦った軍上層部が彼に命じたのは「低価値装備を用いた陽動作戦」という回りくどい言い方による、「捨て艦」であった。

しかし彼は「徒な戦力の損耗は好ましくない」という理由から度重なる命令を拒否、それまで火力とコストのバランスを考えて編成していた艦隊を
コスト度外視の決戦艦隊へと再編成し、なんとか海域を制圧した。

しかしいくら功績が大きくとも、命令無視による独断専行が許されたわけではなく、
「軍人として不適格」という理由で査問にかけられ、解任が決定した。

この決定の裏にあるのは上層部の命令を無視した上で戦果をあげたことに対する妬みか、
自分たちの下した命令が現場に広がることへの口封じか。

ともあれ、それまで艦隊に所属していた艦娘達は転属の決まったものから艦隊を離れていき、ついに大和だけが残ることとなった。

「……いい天気ですね」
窓から差し込む暖かな日差しを浴びて、大和が呟く。

「本当だな」
静かに提督が答える。

「そう言えば、あの日もこんな天気だったな」
あの日、大和を旗艦に据えた決戦艦隊を編成した日を提督は思い出していた。

艦隊が再編成された日、
消費するコストに見合わないとして長い間出撃を見合わせられてきた自分が何故旗艦なのかと大和は提督に尋ねた。

艦娘というのはあまりにも特殊な存在である。

いつの頃からか世界中の海に現れ、
商船への海賊行為や、沿岸および海上の施設への破壊活動を繰り返す深海棲艦とよばれる謎の生命体。

人類はこの新たなる脅威に対し、当初は通常の駆逐艦やフリゲート艦等の艦艇及び航空戦力によって対処を試みたが、すぐにこれらは中止された。

理由はあまりにも非効率であったから。

大きくとも人間と同程度の大きさしかない深海棲艦に対しこれらの兵器はあまりにも大きすぎたし、数が多い深海棲艦に恒常的に対抗するにはコストがかかりすぎる。
「たまに撃つ 弾がないのが 玉に瑕」という川柳があるが、これは世界各国共通であった。

各国はこれに対処するため、より小型のミサイル艇や哨戒艇の使用を試みた。

より小回りが利き、運用コストが安いこれらの艦艇はいくつかの国では成功をおさめたが、
日本のような広大な領海、長大なシーレーンを有する海洋国家では航続距離の短いこれらの艦艇だけでは不十分であった。

こうした問題の解決のために採用されたのが艦娘であった。

深海棲艦と同様に水上の移動を可能とし、コストは従来の方法より格段に安く、人間と同様の大きさのため通常の艦艇で輸送することにより航続距離の問題も解決できる彼女達は瞬く間に対深海棲艦の主力となった。

もっとも、彼女達の正体については軍上層部の一部以外には極秘とされており、
艤装と呼ばれる特殊な武装を使用できること、深海棲艦と同様の行動ができること、戦闘に関して恐怖や躊躇がないこと等から
人造人間の類ではないかとの説まで飛び出したが、彼女達を指揮する提督も、彼女達自身もその正体を知ることがなかった。

とは言え、正体不明の存在でも味方である以上背に腹は代えられない。

この様に艦娘とはその成り立ちからして安さを求められていた。

そんな中で、重武装の代償にその利点を大きく損なう大和は当然のように冷や飯食いであり、
かつての大和型戦艦がそうであったように、出撃の機会は与えられずにいた。

その大和が、演習にしか出番がないと思われていた大和が突然の旗艦抜擢に驚くのも無理はなかった。

提督はその時、決戦艦隊に対しことの経緯を―彼女達が上層部に殴り込みをかけないように脚色した上で―語った。

その後、彼が着任してから最も士気の高まった艦隊を指揮し、見事作戦を成功させてきた。
帰投した際の大和の晴れやかな顔は、きっと一生忘れないだろう。

その日から今日まで、短い間ではあったが大和は秘書艦となっていた。

「ずいぶんと昔に感じるな……つい最近だったのだが」
「そうですね。本当に……本当に……」
大和は最後まで言葉にできなかった。
からん、と手から空の盆が落ちる。

「どうして!!どうして提督が…!」
泣きながらそう吐き出した彼女を抱き寄せ、提督は子供を諭すように静かに語りかける。

「仕方がないんだ。俺も軍人だからね。命令には逆らえんさ」
「だからって、だからってこんな……」
あまりにも無茶苦茶ではないか。
味方の損失を抑えて敵に勝利する。最小の犠牲で最大の戦果を出す。
司令官としての使命を、この提督は十分に果たしたはずだ。
それなのにこの仕打ちはなんだ。

大和はその不条理に対する憤りでおかしくなりそうだった。
いや、既に少しおかしくなっていたのかもしれない。

「……提督、こんな時に申し訳ありませんがお願いがあります」
涙を拭い、笑顔を作りながら大和は問いかける。

「うん?何だ」
「私は提督のことを忘れたくありません。
それに、私達をただの使い捨ての道具のように扱い、揚句にはそれに異を唱えた提督にひどい仕打ちをするようなお偉いさんにも復讐がしたいです」
「まさか、殴りこむから参謀本部に連れてけというんじゃないだろうな」
提督の問いに大和は首を横に振る

「提督、私を……抱いてください」
「なっ……!!!」
思わず絶句する提督に大和は自らの思いを打ち明けた。

「私たちはただの兵器なのかもしれませんし、提督のように軍人ならばどんな命令でも従わなければいけないのかもしれません。
でもそれでも感情があって、機械のように何も抵抗なく命令を聞くというのは間違いだと証明したいのです」

つまり、艦娘が意思を持っている事の証明。
そして、大和は提督に対しそういう感情を抱いていたのだという証明であった。

「……」
提督は何も言わず、己の発言に頬を赤く染めてはにかんでいる大和を見つめている。

大和は美しい。
おそらく、道を歩いていれば誰もが振り返るほどの美人だろう。
その美人にそんな告白をされたら、断れる男がこの世にいるのだろうか。

「いいんだな?」
「はい。お願いします」
大和が答え終わると同時に二人は唇を合わせる。

柔らかい大和の唇は、提督のそれを包み込むように受け入れる。
やがてその隙間に提督の舌が滑り込み、二人の舌同士がキスをする。

「んっ、んっ……」
艶めかしく音を立ててしばし二人は互いを味わっていた。

やがて提督から静かに唇を離し、唾液の糸が二人の間に引かれる。

提督は唐突に大和を離すと、壁の時計に目をやる。
本部から迎えの憲兵が来るまで、約三十分弱といったところだろうか。

提督は大和に耳をふさぐよう身振り手振りで伝え、
その時計を壁から外してひっくり返して仕掛けられていた盗聴器にあらん限りの大声をたたきつけると、

「舐めんなよ。こういうのは青葉に嫌というほど鍛えられてるんだ」
きょとんとしている大和に向き直って、時計から引きずり出したそれを踏み潰した。

「もういいぞ」
「あの、それって……」
「俺を監視するためだろうな。憲兵共め」

大和ははっとして、それから真っ赤になって俯いた。
盗聴器があったということは、さっきの彼女の「お願い」は見ず知らずの憲兵に聞かれてしまっている訳で…

「ううぅ……提督ぅ…」
「大丈夫だ。これからの事は聞こえんよ」
もじもじしている大和をずっと見ていたい提督であったが、時間は限られている。

箪笥から何枚かタオルを出して即席の寝床を作ると、白い上着と九一式徹甲弾を外した大和をそこに寝かせる。

提督は己の一物を出すと、仰向けになっている大和にまたがり、豊満な谷間に一物を挟み込む。

状況を察した大和は己の乳房を両手で押さえ、提督のそれを乳房越しに揉むように手を動かす。

むくむくと見る見るうちに隆起していったそれから、不意に白濁液が飛び出し、大和の胸元、喉、顔にかけて飛び散る。

「ひゃっ…!これが……提督の…」
顔についたそれを指で掬い取ると、指の間にぬるりと糸を引く。
しげしげと眺める大和だったが、突然股間に衝撃が突き刺さった。

「ふぁぁっ!て、提督!!ひゃん!!」

いつの間にか胸元から離れた提督が、大和のスカートの中に手を入れ、彼女の秘所をすっと撫で上げた。
指は時々止まり、逆方向に動いたり、同じ個所を往復したりしていて、その度に大和は嬌声をあげる。

「あっ!ひっ、ふ、ぅああっ!」
肩を上下させて荒い息をし、額に光る汗を滲ませている大和は、街の商売女など比べ物にならないほどの色香を放っている。
やがてスカートから出てきた提督の指は、大和のそれと同じように糸が引いていた。

「そろそろ行くか」
提督はそう呟くと、彼女の両足を抱え上げてその真ん中に己の一物を進ませる。
指で十分にならされたそれは、提督の一物をするりと受け入れると、その入り口が嘘のようにしっかりと締め付けてくる。

「うあっ…!提督がっ!提督が入って…」
押し付けられるような異物感に大和は声を上げるが、それでも提督は時々腰を動かし、大和の中に潜り込ませていく。

「んああああっ!!!!」
大和が絶叫を上げ、白いタオルに血が広がっていった。
そこで提督は一度止まり、大和が落ち着くのを待つ。

「はぁ…はぁ…提督、もう……大丈夫です」
大和が股の下から告げたと同時に提督は再度腰を動かし始める。

「はふっ、ああっ!うっ!ああん!」
大和は提督の腰の動きに合わせて、先程より大きな嬌声を上げた。


やがて全てが終わって、大和は心地よい気怠さの中で提督に体を拭かれていた。

「ありがとうございました」
「こちらこそ」

提督に手を借りて立ち上がると、脱ぎ捨てていた服を拾い上げて元のように着ていく。

これで終わり。男と女から提督と艦娘、軍人と兵器に戻る。

やがて現れた憲兵二人のうち一人は耳を抑えていた。

「どうした?耳元で怒鳴られでもしたのか?」
白々しく尋ねた提督に憎々しげな顔を見せる憲兵。

連行しようとした彼らに提督は告げる。
「五秒待ってくれ」

返答も聞かずに隣に立っていた大和に振り返ると、憲兵達には聞こえないような小声で、しかししっかりと告げた。

「さよなら。愛してる」

連行されていく提督の背中を大和は敬礼で見送った。
今度の4月は、彼女が見送る番だった。

最終更新:2014年02月06日 14:39